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1:メディカルセンターにて… 3
投稿者:
ずる
メディカルセンターにて… 3
《告白》 翌金曜日、仕事から帰ると部屋に灯りがついていて、駐車場には黄色いカブトムシも停まっていた。 「ただいま」 「さっそく来ちゃった」 「でも ご飯は作ってないの、どっか寄って食べてこ、ね?」 そう言いながら 手を差しのべてくる。 「うん、良いけど」 特に何が入っている訳でもないが、普段から持ちあるいているワンショルダーのバッグを裕美さんに預けながら答えた。 「何ぁに?、ダメ?、嫌い?、こういうの」 「若作りが過ぎる って?」 頭の先から爪先まで舐める様に見ている俺に クルッと回ってみせた。 「いぃや、大好物」 「そッ、良かった(笑)」 黒地に細いストライプで かなりミニのタイト、その下には黒のストッキング。上は 窮屈そうにしているバストのせいで VネックかUネックか判らなくなってしまった白いニット。 谷間と言うよりは 一本の線が伸びているし、お尻は勿論 太ももまでがパンパンに張っている。 まるで どこか場末のスナックのママか 街娼の様な出で立ちだった。 いつもより丹念に 時間を掛けたであろう濃いめの化粧と香水の香りが 一層そんな雰囲気を醸し出していた。 「行こ、健ちゃん」 「シャワーとか(私の)家で良いでしょ?、着替えも(持たなくて)いいわ、プレゼントするから。でも今からだとイ◎ンとかア◎タとかになっちゃうけど」 「… … …」 裕美さんの勢いに圧倒されていた。 「ヤダ私ったら 勝手に…」 「泊まってくれるんでしょ?健ちゃん」 「大丈夫なの?、泊まっても?」 「大丈夫よ!。きっと明日の20:00位にならないと(旦那)帰って来ないから、毎回(バス)洗車して帰ってくるから」 「ねっ、行こ」 カブトムシの助手席に乗った。 「タバコ、(吸って)良いわよ」 「それ 使って」 ドリンクホルダーに真新しい灰皿が置いてあった。蓋を開けると淡いブルーの灯りがついた。 「どうしたの?これ、新しそうたけど」 「裕美さん、吸わないでしょ?普段は」 「買ってきたの 今日、オートバックスで」 「その格好で?」 「まさかぁ(笑)、そんな訳ないでしょ」 「これ(服)は そのあとよ」 「(スカート)短かすぎたかしら?」 「良いと思うよ俺は。でも ご主人の前では着れなそうだけど」 「とんでもない!あの人になんか見せないわよぉ、もったいない」 「どうしよ?、(着替え買うの)イ◎ンが良い?、ア◎タが良い?」 「おまかせ で。でもア◎タは 普段あんまり行かないかな」 「そぅ?、じぁア◎タ。良いでしょ?、たまには違う所も」 「おまかせします」 と、タバコに火をつけた。 「変なオバサンだっておもってる?、思ってるわよね?」 「… … …」 「会った その日に 家 押し掛けて しちゃうしさ、絶対思ってるよね?」 「思ってないって そんな事」 「何か 焦ってるのよね私」 「何て言うんだろ?、歳だって五つも上だしさ、すぐに相手にされなくなるんじゃないかって」 「だからって アレよ、男なら誰でも良かったって訳じゃないのよ。男は やれれば 誰でも良い って人もいるみたいだけど」 「ゴメン、健ちゃんのこと言ってる訳じゃないのよ」 「俺だって分かんないよ(笑)」 「そうなの(怒)?」 「だってさ、この間みたいに《好物》が目の前にあったらさぁ、食べてみたいっしょ?」 「好物なの?、こんな(私)のが?」 「そりゃぁもお」 「で?、裕美さんは」 「分かってもらえるかなぁ?。匂い」 「(お昼)食べてる時からね 薄々 感じてたんだけどね。チューした時にね…」 「初めて健ちゃんがチューしてくれた時 思ったの『あっ、この人の匂い 好き』って」 「柔軟剤とかコロンとか そんなんじゃなくてさ、判る?、この匂い 大丈夫!、って」 「ねっ?、変なオバサンでしょ?」 「うん!、変なオバサンだわ それ」 メスは 欲っする遺伝子を オスの匂いで かぎ分ける、みたいな話を『ほんまでっか…』で 言ってた様な気がするが、そんな意味だったんだろうか?。 「でね、必死なの 今」 「健ちゃんに構って貰える時間は そう長くないんじゃないか?、って。焦ってるの」 「だから 今日だって こんな(格好)」 「恥ずかしいのよ、これでも…」 そんな話しをしているうちに、車はア◎タの駐車場に入っていった。 「何処からぁ?、何から買う?」 「Right-onとかも入ってたバスだけど…」 「ダッさい 須賀ジャンが良いかな?」 「スカジャンて ダサくてなんぼ でしょ?」 「そうなの?」 「なんか今日の裕美さんの格好にも 合いそうな気がするけど」 「袖 通さないで、カーディガンみたいに…」 「でも友達によく言われたな、『お前には(ダサいのが)似合いすぎるから やめとけ』って」 「アハハ、何それ?」 「だったら これは?、こっちのGジャン、どぅお?嫌い?、似合うと思うんだけどなぁ?」 『とっても お似合いですよ、如何ですか?』 と、店員さんが姿見を押しながら現れた。 「(似合ってる)だって!」 「じゃあ、この下、ブラウスか何か」 「でしたら こちらに…」 Gジャンをひじに掛け 店員さんの後ろを歩く裕美さんのあとにつづいた。 結局 チノパン シャツ Gジャン、を裕美さんがプレゼントしてくれた。 「あとわぁ?、下着ね!」 「健ちゃんのは ボクサーブリーフって言うんだっけ?。下着売り場はこっちよ」 スタスタと裕美さんが歩いてゆく。 下着は上下ともbodywild それと靴下、各2組。 「あっそうだ、コート」 「コート見に行こ 健ちゃん、ねッ」 (欲しいのが)有るはずがない と思いながら、裕美さんと2人 コートを物色した。 「…これもダメなの?」 「難しいのね(困)」 「てゆぅか、こだわりが有って、コートには」 「ふくらはぎ が隠れる位の丈のが…」 「何なら くるぶし まででも、って」 「それは無いわね、ここら辺には」 「青山とかの 何とかテーラー とかでオーダーするしか ないんじゃないの?」 「だけど やっぱりアレなのかしら?『どちら様のご紹介でしょうか?』とかって聞かれんのかしら?」 「そう言えば 行ってないなぁ しばらく、青山なんて」 「行こうか、健ちゃん。退院祝いに。まだ入院もしてないけど」 「ねッ、連れてって、ダメ?」 「帰りに浅草寄ってさ」 「浅草 すきなのよ、私」 「で、スカイツリー。とかですか?」 「ダメ?」 「良いですけど」 荷物を一旦車に置き、この日の夕食は 結局 フードコートで済ませた。 裕美さんの家に着いた。 広い敷地に 大きな2階建。 リビングかと思いきや そのまま 裕美さんの部屋に通された。 独立した六畳と六畳をぶち抜いてリフォームしたという その部屋には、セミダブルのベッドが1つ 部屋の両端にクローゼット 整理箪笥 40位のTV パソコンデスクとノートPC、小型の冷蔵庫まで有った。 ご主人とは 寝室を別にしているらしい。 ベッドとTVとの間にあるテーブル代わりの炬燵に 裕美さんがビールと灰皿をだしてくれた。 結局 2人並んで 部屋に腰掛けた。 「健ちゃんてさ、ホントに彼女とか居ないの?、私の他に」 「居ないですねぇ、残念なことに(笑)」 「ホントに?、ホントに本当?」 「(本当)ですって」 「ならね、焦りまくってる 変なオバサンの もっと変な話し、聞いてくれる?」 いつになく真剣な表情だった。 「なんですか?」 「あのね…」 「…(考え中)…」 「…(考え中)…」 「…(無言)…」 「ゴメン。やっぱり いい、ゴメンね」 「後で話す、飲も、ねッ、ゴメンね」 「後で って いつですか?」 「気になりますって」 「ゴメン、本当 ゴメンね」 「話すから、必ず話すから」 「今は許して、お願い、ゴメン」 裕美さんの その『もっと変な話し』が気になって仕方ない。 が、ここは取り敢えず ビールの缶と ビールの缶を合わせた。
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2019/11/13 01:47:42(9V8RU8eB)
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