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ペット、はじめました。
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:人妻熟女 官能小説   
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1:ペット、はじめました。
投稿者: こかげくん
ふと、花の香りがした気がした。何の花かは分からないが、嗅いだ事がある。
においの元をたどると、手紙からだった。匂いに誘われたミツバチ、今となってみればその通りだった。不安と期待に転がされ、まんまと肉食植物に喰われる餌。それが僕だったのだ。

「お話がしたいです。授業が終わった後、裏手の室外機横の花壇で待っています。 片岡」

意外としっかりとした字だ、と思った。トメ、ハネ、ハライ、ハキハキとしたその字画と普段の片岡さんが結びつかない。
奥手なようで自発的に発言などしたところは、記憶の中では一度もない。
この予備校には、田舎とはいえ少なくない学校から人が集っている。片岡さんは他校の子で、あまり接点はなかった。
授業の合間、休憩のタイミングで缶コーヒーを買いに出ようとした時に発見した。手紙は、最近手に入れたお気に入りのニューバランスに寄り添うようにそっと置かれていた。

正直、嬉しかった。人から好かれるとか、色恋なんてものは経験も浅く、彼女もしばらくいなかった。
コーヒーをそそくさと流し込むと街灯の下で今一度目を通した。よくよく読んでいると話がしたい、としか書かれていない事に気がつく。そう思ったら少し不安になってきた。
何か用事を押し付けられるだとか、面倒な事ではないだろうか等不安の波が飛沫を立て始めた。
残りの授業が始まる。

全く頭に残らない授業内容に、板書したノートも抜けが多かった。身が入らなかった。
片岡さんは今日はいない日のようだった。終わるタイミングで来校するつもりだろうか。
だとしたら手紙はどのタイミングで。答え合わせは出来なかった。

顔見知りなだけの友人たちと軽口を叩き合い、別れを告げるといつものように建屋を出る。少し進み、知り合いの気配がないことを確認すると踵を返した。
塾の玄関口には数人いたが関わりのない連中だった。互いに目も合わせず素通りした。

花壇。街灯の下に人影はない。片岡さんはまだ来ていないのか。それともおちょくられているのか。そんな事するような子なんだろうか。話したこともないから判断がつかなかった。

砂利を踏みしめる音がした。咄嗟に振り返る。女がいた。確か事務員。「高橋くん」呼ばれた。間の悪い人だと思った。ナチュラルなミディアムボブ、背が低くグラマー。40半ばくらいか。膝上のふわりとしたスカートが夜風に揺れた。

「突然ごめんね」
何を言ったのか。謝られた。分からないまま表情が固まった。
「呼び出したの、ワタシなの。」
理解が追いつかない。ワタシ?片岡さんは?
「名前、知らないの?たまに手続きやら話したりしてたのに。片岡よ」
同じ名前の違う人だった。それにそんなムッとされても困るし、知らないものは知らない。それに話って何だ。
「まぁ、いいわ。お話なんだけど」というと一気に距離を詰めてくる。
「ワタシ、あなたの秘密知ってる」
どきりとした。距離を詰められたことも、秘密を知っているという発言にも。心当たりがもちろんあったが、それをなぜ。
「誰にも言われたくない?」柔らかな手が、僕の右手を優しく握る。
秘密って、なんだよ!上擦った声で答えるのが精一杯だった。

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2019/11/06 20:56:15(vE7hB/BC)
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