あまり良くない方法で手に入れた錠剤を眺める。
結構な量を購入したのに、もう6錠しか残っていない。
透明な瓶を揺らすと、白い錠剤がカラカラと鳴った。
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幼い頃、刑事ドラマのワンシーン・・・薬を浸した布を口に当てられ、気絶する女性にドキドキした。
中学に上がる前に、それが性欲なのだと・・・しかも、異常なものなのだと認識した。
だから、誰にも秘密にしながら過ごした。
そしてその頃から、私は自分に触れていた。
深夜に、鍵を閉めた自分の部屋のベッドで、ゆっくりと触った。
頭の中には、あのドラマの女優のように気絶させられた自分がいた。
そして、あのドラマとは違い、私を囲んで身体中を撫でる男達に囲まれていた。
そんな妄想の中で、声を押し殺しながら 何度も果てた。
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シャワーを浴び、持参したバスタオルで髪を拭きながら、視線だけで時計を探した。
ナイトテーブルに置かれた小さなデジタル時計が、19:44と光っていた。
知り合いに会わないように、わざわざ1時間半も電車で揺られないと着かない土地で、名前を偽ってウィークリーマンションを借りた。
見た目は、少し綺麗な2階建てのアパートだった。
借りた瞬間から最低限の家具が揃う場所は、私の計画にとても理想的だと感じた。