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1:フリマ売買少女
投稿者:
奴
「あーーっ、畜生!偽物売りつけやがった!あのくそガキ!!」 フリマアプリで購入した中古スマホをテーブルに叩きつけた。 仕事用の2台持ちをするのに新品購入は費用がかかるから経費を抑えようとしたら偽物だった。 クレームを出して返ってきた返事は「〇〇フォンなんて書いていません。似た商品ですけどね」だ。 「悪質なもんに引っかかったな。運営事務所にでもクレーム入れとけ」 遊びに来ていた友人の勇助にこの出来事を愚痴った。 「わかってる…が自分が仕返ししてやりてぇ…」 すげぇ腹たって一箱分のタバコの吸い殻ををあっという間に柄入れに突き刺すハメになった。 「だいたい〇〇フォンが中古でもそんな値段で売ってるわけねーだろ」 「……っち」 冷静になりゃわかるものだけど、な。 「他にも被害者いんじゃねーの」 勇助がフリマアプリを触りながらビールをあおった。 俺はそんな様子を横目で見ながら2箱目のタバコのフィルムをピロピロと捲った。 「ほら、こいつから〇〇フォン買った他の奴もいるしメッセ送ってみたら?」 「そいつも騙されたんかな」 俺達はくそガキから中古の〇〇フォンを購入した人物にメッセージを送ってその日はそれ以上その話をしなかった。 翌朝フリマアプリから届いたメッセージを確認した。 俺と同様に偽物を掴まされたこと。 共通して手渡しで商品と現金をやり取りしていた。 この被害者もとても腹正しく思っていてちょうど運営にクレームを入れようと思っていたところだそうだ。 「俺が〇〇フォン、購入してやろうか、くそガキから」 「は?」 勇助が突拍子もないことを言い出した。 なんでお前までカモになるんだ。 俺が呆れた顔をしていると勇助が「おとりだよ。手渡しだったら、本人捕まえられるたまろー」と言った。 「なるほど」 「被害者Aも誘って捕まえて現金取り戻せばいいじゃん」 「いい考え!」 早速勇助はくそガキから〇〇フォンを購入して手渡しの日時を取り付けた。 そして被害者Aにも連絡を取り、当日を迎える事となった。 「はじめまして、拓也といいます」 夕方頃、手渡し場所の近くの喫茶店で被害者Aと待ち合わせをしてコーヒーを注文して軽く自己紹介をした。 被害者Aは拓也というらしい。 普段は大学生をしていて、節約の為に安い中古スマホを探していたらしい。 「雅人といいます。社会人やってます」 俺も簡単に自己紹介をして本題に入る。 販売者は多分未成年の女。 現金払いしか受け入れなかった事、△△駅近くの駅を受け渡し場所にしてきたこと。 背格好の特徴も一致した。 「今回は俺が待ち合わ場所に立っとくからくそガキが現れたら君達出てきてね」 あとは焼くなり煮るなり… と勇助が言った。 俺と拓也は頷き、時間になったら皆で店を出た。 そして勇助は待合い場所に出向いたらまんまとあのくそガキがやってきたから俺と拓也はくそガキを囲んだ。 「おい、騙しただろ。金返せ」 「俺のもだ」 「…くっ」 勇助にはめらられたくそガキが逃走しようとしたから慌てて手首を掴んだ。 「逃げようなんて思うな。男3人に囲まれてるんだぜ」 背はそんなに高くないだろう。 細身で色白、背中まで伸ばした黒髪、薄ら化粧をしている。 ファー付きの腰までダウンに膝上10センチ程のミニスカート、黒いハイソックスにパンプス。 詐欺師という情報さえなければ普通に可愛い。 「離して」 「離したら逃げるだろ、だまし取った金返せよ」 「持ってない」 「手元に無いってことか?おろしてこいよ」 「無いって!全部使った」 「は?」 「だから返せない」 「じゃあ警察に被害届出す、一緒に来て」 拓也が駅前の交番に行こうと首をクイッと傾けた。 「嫌だ、無理!」 「返せないんだろ」 「無理なものは無理!」 言い合いになってきて声が大きくなってきた。 「ここじゃ目立つから場所変えよう」 冷静に見ていた勇助が移動を提案した。 待ち合わせ場所から2駅離れた俺の部屋に連れてきた。 始めは喫茶店で…と思ったが男3人と女1人では不審に思われるかと思い落ち着いて話せる俺の部屋に連れてくることにした。 「で俺らの金は何に使ったんだよ」 「………」 「黙ってたら話し合いにならないだろ。警察に突き出すぞ」 「色々…」 「色々ってなに」 「服買ったり…友達と遊んだり…」 「……はぁーーっ」 享楽費かよ。 道中聞いた話では高校生でバイトもしていないらしい。 つまり支払い能力ゼロ! 親を呼び出すか、警察かどっちかだな。 俺も拓也も同じ意見らしく、黙って互いに頷いた。 親を呼び出すより警察だな。 その方が痛い目に合わせられて尚且つ親から返金をして貰える。 「警察に電話しますね」 拓也がスマホを操作仕始めるとくそガキが慌てて止めた。 「やめてよ!そんな事したら退学になる!」 「知らねぇし、大人しく罪を償え」 拓也が通話を押すのを必死で阻止しようとするくそガキ。 「やだ、やめてよ!」 「はいはーい、ストップ」 勇助が拓也とくそガキの間に入って落ち着くように促す。 勇助は第三者だから至って冷静だ。 「じゃあ警察に言わないって事がなんかこの人達にメリットある?」 「えっ……あの……」 俺達にメリットは全く無いからくそガキはどもった。 「身分証明書は?」 勇助の言葉に嫌がりながらも最終的にダウンのポケットから高校の身分証明書を取り出して渡した。 学割にも使えるから電車の定期入れに一緒に入れて持ち歩いているらしい。 「◎◎高校2年のエミリちゃんね」 勇助は証明書を写真に撮った。 そして自分の財布にしまった。 「返してよ」 「そっちこそお金返してあげてよ。汗水垂らして働いたお金なのよ」 「バイトして返すから…」 本気がどうかも怪しい提案に俺も拓也も腕を組む。 勇助とそんな俺達を隅に追いやってヒソヒソと相談する。 「どうする?」 「証明書押さえたからもう逃げられないけど」 「サンキュ、勇助がいてほんと助かる」 バイトして返してもらうにしてもバイトを見つけて働いて…けっこうタイムラグがある。 「…いい事思いついたんだけど……」 勇助が提案したのは…… 「いや、そりゃ犯罪だろ」 「そうですよ」 「いいじゃん、相手も犯罪者だし」 勇助の提案は現金は諦めてこの場で体で支払って貰おうってわけ。 「取られた金額もトントンって事で。だらだら引っ張るのも面倒じゃね?遊んだ金って事にしとけば諦めもつくんじゃね?」 「うーん……」 確かに何ヶ月も請求し続けるよりはここで1発… くそガキを改めて見ると不安が入り交じった眼でこっちを見ていた。 まぁ可愛いっちゃ可愛いし、むしろヤっといた方がお得な気もする。 「拓也はどう思う?」 「えっと…」 緊張した面持ちの拓也はゴクリとツバを飲み込んだ。 こりゃもう決まりだな。 「お前の案に賛成、拓也もいいよな」 「えっ、あっ、うん」 「よし決まり。俺も混ぜろよ、コンサルしてやったんだから」 そして俺達はくそガキの所に戻った。
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2023/11/23 02:51:55(9/CSCEhj)
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