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輪廻第3章
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:強姦輪姦 官能小説   
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1:輪廻第3章
投稿者: モト・恭斗 ◆u.rpvKYEa6
第3章 10年前(1)

 2008年4月、小林玲子は新鮮な気持ちで新学期を迎えていた。この学校で2回目の3年生の担任となり、今年の後半には進路指導も控えている。しかも、前回の3年担任は、教員となって2年目、まだまだ駆け出しで何もわからないまま、周囲の同僚に助けられて進路指導を行ったという感じであった。
だが今年は違う。筑西中学校に勤務して5年目となり、もう新人ではない。生徒たちも1年生のときから持ち上がってきたので、今年の学級の生徒一人一人のことは大体把握しているつもりだ。また、新規採用教員は5年で異動することになっており、玲子も筑西中での勤務も今年が最後だと自覚しており、生徒たちへの思い入れも強く、気持ちも引き締まって新学期を迎えることとなった。
 3年C組、38名。クラスの名簿で一人一人の名前を確認しながら、この一年、どんな学級づくりをしていこうかと思いを馳せる。岡田純、野球部のキャッチャーは男子のクラス委員候補、中西麗奈が女子のリーダー候補、体育祭の中心者は高橋一平などと名前を見ながら一人ひとりの活躍の場を思い描いた。
名簿を見る目が、真ん中くらいで止まった。
新田薫。
「かおる君かぁ・・・」
薫は1年生のときに担任をした生徒で、2年生の後半くらいから学校に来なくなっていた。名簿の横の特記事項には{M}、{X}、「Y」と3つの記号が付いていた。この記号は学級編成の参考とするために、学級編成用個票に、前年度の担任が書き込む行動や性格を表す記号だった。
この学年では、学級編成のための個票が作成される。成績順に生徒を並べるのだが、成績は学年末テストの5教科の合計得点500点と、通知表の素点の合計45点を合わせた545点満点で点数化している。そして、この個票に生徒の特記事項がアルファベットで示されていた。。例えば「槌」はリーダーになれる生徒、「P」はピアノが弾ける生徒、「S」は運動に秀でた生徒など性格や技能などを前年度の担任が記入することになっている。問題行動の欄は、「M」は問題行動があった生徒、「X」はいじめっ子、「Y」はいじめられっ子などを意味していた。だから、薫のようにMとX、Yが3つもつく生徒は珍しかった。いや、いなかった。

玲子はあらためて、小学校の児童指導要録を取り出し、読み直してみた。もちろん、薫を1年生のときに担任した時も読んではいた。指導要録の「生活の記録」欄には「学校に馴染めず、不登校の状態が続いた」とだけ記入されていた。そして、それとは別にメモ書きが添付されていた。指導要録にメモ書きが添付されることはない。指導要録は三十年間保管する公募であり、公開請求をされたときには公開の対象となる資料であるので、余分なことあ書かない。まして、メモをつけることなど絶対にない。このメモは、小学校の担任がやむを得ず添付したもので、一年生の時の担任である玲子が読んだら添付しておく必要のないものである。玲子は念のため残しておいたが、まさか、再度、自分が読むことになるとは思わなかった。

『薫君は優しい性格で、真面目な子です。5年生の時に東京の学校から転校してきましたが、転校は突然のことのようでした。転校してきてすぐのころは学校にも来ていましたが、少し暗い感じの子でした。あまり、周りの友達とも話すこともなかったので、だんだん周りの子たちも声をかけなくなってしまいました。学校に居場所がなくなった薫君は、お母さんが平日に働いていることもあり、児童館に行ってました。児童館では女性の職員が親しく接してくれていました。10月に薫君が児童館で事件を起こしました。薫君の面倒をみていた女性職員のトイレを覗いてしまいました。女性職員と彼の母の年齢が同じらしく、お母さんに遭いたかったと言っていたとのことです。よくわからなかったのですが、本人それ以外のことは言わなかったそうです。
その後薫君は、駅前のゲームセンターで遊ぶようになりました。母親はお小遣いは月に500円で、ゲームセンターで遊べるようなお金は渡していないとのことでした。引っ越して来る前に貯金していたお金を使っていたようです。そこで中学生と知り合ったようです。3学期に万引きでの補導がありました。卒業のときは、中学生になったら勉強をがんばりたいと話していました。』

玲子はメモを一気に読み終えると、2年前のことを思い出していた。入学当初こそ、学校に来ていたものの、同級生から話しかけることはほとんどなく、孤立していた。自然と小学生のときにゲームセンターで知り合った3年生たちとの交流が深くなっていった。夏休みが終わった2学期以降は、学校にぱったり来なくなった。ゲームセンターに3年生といて補導されて連絡がきたこともあった。玲子は思い切って児童館に連絡をとってみた。事件当時の様子が知れれば、今後の指導の参考になると考えたからである。

しかし、児童館は詳細について語ろうとはしなかった。事件の内容が内容であり、子どもの起こした事件ということもあるが、学校という教育機関と児童館という社会教育機関の違いもあったようだ。ただ、教えてもらえたことが一つだけあった。それは小学校からのメモにもあったように、児童館の女性職員は、母親への過度の依存とコンプレックスのようなものを感じたということだった。

秋が深まった11月になると、薫は立て続けに事件を起こした。1学年上の先輩とのけんかをした。3年生の先輩の見ている前で、2年生をボコボコにした。2年生の男も、上級生のグループに属している薫に抵抗することはしなかったようだ。玲子は母親に連絡をとったが、謝罪の言葉だけで、相手の保護者への謝罪はなかった。さらに、ショッピングセンターでの万引きで補導された。このときは、玲子が警察に迎えにいった。母親は仕事を抜けることができないとのことで、夕方、学校に迎えに来て謝って帰った。玲子は若いお母さんとは聞いていたが、自分と変わらない年齢とその美貌に驚かされた。

さらに、薫が3年生から古着を買わされ、それを同級生に売りつけるという事件が起きた。売りつけられた生徒の親からの連絡で発覚した。3年生から売りつけられた古着のジャンパーを万単位の金額で売りつけたようだ。この事件で、3年生のリーダー格の生徒は補導され少年鑑別所に入れられた。この事件をきっかけに3年生たちのグループはおとなしくなり、やがて卒業していった。

 
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2019/12/22 21:42:27(zXQI4UY7)
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