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拭えない過去
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:強姦輪姦 官能小説   
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1:拭えない過去
投稿者:
記念日は旅行しようかと言われた
学会の後に有給を足して、そのまま旅行にしてしまおうかと
気弱で真面目で仕事の虫で・・・5年間の結婚生活のほとんどを仕事に費やし続けている男の言葉とは思えない提案だった

私は少しだけ考えるフリをした後、笑顔を作り、気にしなくても大丈夫だと
心配せずに仕事に打込んでもらえばいいと いつもと同じ言い訳を伝えた

研究者というわけではないが 業務の中で自社の研究者と触れ合う事が多く、
また新しいわけでも小さいわけでもない社内の雰囲気は昭和高度経済成長期そのままの根性論と泥臭さが充満しており
私をほとんど一人暮らしのようにほったらかしにしている事に 自分が40の誕生日を迎えたことで30歳の私を振り返り何か思ったのかもしれない

仕事の内容については 数年とはいえ同じ会社で同僚として過ごした私にはきちんと理解できている
こんなに歳が離れているにもかかわらず 私に「同僚」と表現されてしまうほどの実力しか持ち合わせていない事も含めて・・・
今の状況になることは安易に想像できていた
そして私にとっては 今のこの状況こそが理想なのだ・・・・

一言、「そうか」と言っただけで 旦那はまた連続何時間になるのかすら知れていない勤務に向かった
もしかしたら、また数日間は帰れない家から送り出される月曜だからこその気の迷いだったのかもしれない



朝は土曜と日曜にそうしたように、同じ時間に目を覚ました
寝返った先には 昨夜、私を求めようとして断られた時と まったく同じ姿勢で眠る旦那の背中があった

体を起こし キッチンに向かう
トースターにパンを入れ洗面所に向かう
簡単に髪を結わえたら トーストが焼きあがる前に卵をかき混ぜる
油の跳ねる音にあわせ、体を起こしていないだけだろう旦那に声をかける
旦那がテーブルに着くよりも早く、洗面所で頭と顔を簡単に整える

7時45分に旦那を送り出すと、家の中は一気に静かになる
私はまた始まる短い一人暮らしを ソファーに座り空中を見つめながら迎える


小さな電子音が8時半を知らせた
最近、私はこんな風にしていると 過去の記憶が自然に浮かんでくるようになった
それは回想というか・・・どこかを歩いているときに ふと別のことを考えてしまう時のような軽いものだが 抗わずに長時間続けると、とても濃く濃密に私の意識に絡みついてしまう

過去の記憶はどれも下品で・・・
中学時代のレイプ、大学、社会人と・・・どれも欲にまみれている
進んで思い出したくない記憶ばかりだが といって気の遠くなるような、安全で平和な時間の中では いつも抗う理由を見失ってしまう
失いたくないと思っている あの男の妻という立場でさえも、どのくらい?と聞かれれば それはおそらく他人よりもずっとずっと軽く・・・また邪で自己中で利己的なものにまみれているからかもしれない

ゆっくりと濃くなっていく記憶は 最後にはいつも「目」の形を象り、私が見つめる空中から私を見下ろす
睨むような目、怒っているような目だ
誰のかはわからない
輪郭を思い出そうとすら私の意識はしないのだから、おそらく誰でもかまわないのだ

まっすぐに睨み続ける視線の先で長い時間を過ごしてしまうと 我に返る頃には私は一枚の布も身に着けておらず
だらしなく、けれど伸ばせるギリギリまで伸ばし続けた舌から垂らした唾液にまみれ
指は自分の分泌した液でドロドロになっている

私は1時を指す時計の針を見ながら立上り 散らかった服もそのままに浴室に向かって歩く

 
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2012/09/09 19:13:10(00jYjUdt)
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