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1:日奈子(2)
投稿者:
山幸海幸
私は、とても自分という人間があまり好きではありません。私は産まれた時から体が大変弱くて虚弱体質だったものですから、両親には大層大変な思いをさせておりました。それだから、学校ではよく身体を壊しまして、その度に母が仕事を切り上げては保健室のベッドに横たわる私を迎えに来てくれていました。それもいつしか私の虚弱体質は体から心に転移しまして、仮病を使っては母親を呼び出したこともありました。それはただただ単純に母親の大きな母性に甘えたかっただけでしょう。ただ当時の私は母親がいないと怖かったのです。うまく説明できませんが、母親と離れると大変悲しくなり、ありとあらゆる角度から胸がきゅーと強く締め付けられ息が詰まる思いになりまして、身体が震えていたのをよく覚えております。しかし今考えれば、私の元へ駆けつける度に、母親も苦しい思いをしていたに違いないでしょう。上司に頭を下げて、職場では私の虚弱体質の事で仕事がないがしろになり悪口なんかも言われたでしょう。きっと心の中では無慈悲な言葉では表せないほどの深いストレスを抱えていたのだとおいます。それだから母は早くにこの世を去りました。心筋梗塞でした。私が小学4年生の春に私をおいて違う世界に行ってしまったのです。大切な人を失ったのはこれが初めての経験ではありませんで、その2年前に祖父が持病の糖尿病を患っていてそれが起因して脳梗塞でなくなりました。しかしその時の悲しさと母親をなくした時の悲しさは比べ者にならないものでした。私は祖父と一緒に住んでいまして、祖父は身体の弱い私を気遣い優しくしてくれていました。ですから私は祖父を非常に愛していました。しかし、祖父の死は私にとって、どこか他人事のように思い悲しみや哀れみらが不思議と湧いて来ませんでした。しかし、母親が死んだときは全身で泣きました。震えました。悲しくなりました。胸が強い牙で噛み砕かれたように、出口がない迷路を延々と姿の見えない何者か怖いものに追いかけまわられるように終わることの恐怖に走り回りました。 そんなに悲しんだのは、もちろん母親の母性を失ったのが悲しかったわけですが、それよりも私のせいで母親は死んだと思ったからです。そのあともずっとその事で苦しみました。夢に母が出てくる日もありました。母親の葬式で親戚のみんなから犯人を問い詰められ、皆が私を見て指さして"お前が殺人犯だと"言って私を追い詰めるのです。何日も続きまして、寝不足になり食べ物も口に入らなくなり、骨と皮だけの魂が抜けたさもしい人間なりました。いきたくもないのにただなにかにいかされている。そんな苦しみに蝕まれた生活を何年も続けましたが、いつからかそんな苦しさも心の浅いところからも深いところからも消え去りました。時々心の世界を覗きますが、その世界の裁判所では無罪放免になっていました。母親の死はなにも私だけのストレスによるものではないわけだし、心筋梗塞というもに私の関与がどれ程あったのかも科学的にも医学的にも証明できるわけでもなければ、他に色々な事が起因していたに違いない。さらに、母親は私の事を深く愛してくれていたから、私が殺しただなんておもってもいないはずだ。それによって、証拠不十分により私は無罪になり罪悪感という重い十字架からも解放された。 今では母親の顔も声もはっきり思い出すことはできないです。ただぼんやり霞んだ色や音を思い出すくらいです。私は特別勉強ができるわけではありませんし、特別秀でた能力を持っているわけではありませんから、それなりの会社に就職しまして、それなりの人生を送っておりました。なにかに突出することを嫌いまして、人の上に立つことも酷く毛嫌いしました。それなりに仕事をこなし、時間通りに帰宅できればそれで良いのです。なにかを産みだそうだとか、波風たてようなんて気持ちは満更自分の中には存在していないのです。人と関わることも面倒で、趣味も産まれた時から無いのです。それだから恋人なんかできたためしもありません。それは男ですから欲しいと思ったことはあります。しかし、私は恋愛の対象としてのステージにあがることすら許されない風貌をしているのです。末広がりの大きな鼻に、金づちで潰したような細い目、顔全体に陣地を張り巡らせるニキビやニキビのクレーター、前に張り出して出っ張ったお腹。汗をかきやすい体質。お世話にもお世話が出ないほど醜いのです。だからもうすでに恋愛なんか私の致すところではないように思えていたのです。彼女に出会うまでは、、、 今年も私の勤務する会社では、新卒採用試験が執り行われた。アパートの賃貸や住宅や土地の販売を生業としている不動産の会社で小さい会社ではありますが、地元定着を歌い、それなりの利益を出して、店舗も同県に6店舗ほどあり、開業当時から早、5年という歳月で驚くべき成長を遂げ、これからさらなる店舗拡大を視野に入れているため、学生にもある程度の人気のある会社でありまして、面接に訪れる学生はそれなりにいました。私は面接官として、学生を選別する役目にありました。もとより私は人の指導をしたくない人間でもありますし、人の進路など私にとってはどうでもよいのです。私が選んだ人間が、私のために私に関心をもち、私の中の白いノートになにか衝撃的な文章を書いてくれて、人生をかきまぜてくれるスパイスを持った完成された人間がいたならば、私はその人間を採用したいと思うのであります。なにも仕事ができそうな人間を頭から順にとったところで、私に興味がなければ、私は孤独の暗闇に閉じ込められてしまうから、それらの中で私に一番関心がある人間を採用することに決めていました。 私の記憶では、その人物が素晴らしく輝いて見えたんです。私とまるっきり違う人生を歩んできたかのように、汚れた心などない。初な瞳に透き通って優しく耳に届く母性的でいて若々しい声。美しい顔に美しいスタイル。彼女から漂う清楚の中のいやらしさ、おきれるほど男を嫉妬させてきだだろう完璧な容姿。気付くと私は思わず彼女だけをぼーと天使でもみているように見つめていました。黒いパンプスを履いていたから、爪先までは見えないでも、肌色のストッキングに包まれた血管の浮きが一切ない小さい足の甲にふっくらとしてマシュマロみたいに柔らかそうなふくらはぎ、恥じらわしく閉じられて一段といやらしさを醸し出したひざ。その間からパンティーが見えるかどうかためしに目を凝らしてみたりも致しました。見えるはずないのですが、その気持ちを酷く抑えられなくなりました。袖から伸びる彼女の手は美しく白く、彼女のそこから身体全体の白さを想像させて、きっと乳首はピンクなのだろうとか、額に汗を流しながら彼女の身体のどこを見ても彼女を裸にしてしまうような感覚に襲われました。 私は他の学生の話しなんか一ミリたりとも耳に入って来なかったんです。それよりも彼女の事をもっと知りたかった。必死に額から汗を流して、その汗は彼女の履歴書にはられた写真をぽつりぽつりと汚していき。彼女は私を見るとき笑顔になったんです。彼女は私と話すときもまた笑顔になったんです。行き過ぎた考えなのかもしれない。私は彼女の全てを知りたくなりました。彼女の匂い。彼女の質感。彼女の穴という穴の中のグロテスクな肉。彼女の汚物の味でさえ。きっと彼女なら私の空白のノートに筆を走らせてくれるかもしれない。落書きでもいい。もしそれを彼女が拒んだなら私が彼女のノートに無理やりでも落書きをしてやればいい。私は必死に履歴書に書かれた名前を確認した。日奈子 そう書いてあった。名字など、どうだって良い。私の中で、彼女を考えて、彼女で興奮するときにそれさえわかれば良いのだ。 面接は終わった。会場から出ていく学生は後ろ姿のまま何人か消えて行きました。最後に彼女が出ていくところでした。椅子から立ち上がった彼女も後ろを向いて出ていくところでした。私は彼女にみられていないと思うと、遠慮しませんでした。彼女の座っていた時にみせていなかった綺麗で遠くからでも柔らかさと匂いが伝わってくるような膝裏から足首それから全身を裸にしたりして舐め回すように目を見開いて最後の彼女の身体が、扉の向こう側に消えて行くまでを見続けました。誰もいなくなると、私はあわてて、スマホを取り出して彼女の履歴書を写真に納めました。 私の上司は私と正反対の性質をしていて、私が陰であれば彼は陽であって、それだから、仕事には大変熱心な人で、人情味があり人に好かれ、強い向上心をもっていて、非常に頭のキレる人であり、部下にも大変好かれていました。おまけに容姿端麗であって、これまでに完璧な男はまるでいない。私が入社した時も一から丁寧に仕事を教えてくれていて、とても細かいところにまで気が利く人だった。だから私の面接官としての仕事振りがどうであったのか、それが気になって仕方がなかったに違いありません。 彼は私に屈託のない笑顔で訊いてきました。しかし私にとっては嫌な笑顔であった。それは私を時々裏切るからです。笑顔でいてたまに氷のように冷たいことをぽっと言ったりするのです。「面接についてだけど、どうだった?」私は彼女を失わないようにするためにも笑顔を作り、彼の目をみて彼女の向上心や彼女の人間性がどれほど会社にとってメリットであるかを、いかにも論理的でいて、頭でっかちならないように、彼の機嫌を伺いながら伝えた。実は私が採用した人間はいままで、会社で良い成績を残してくれていた。それもあって、人事選別に多大の信頼をおかれていた。だから、今回はうまくいく。そう確信していた。 次の日の朝、朝礼の後で、上司がまたあの屈託のない笑顔で近づいてきて、私に話したんです。 私は愕然としましたよ。肩を落として私のしてきた事がまるで無駄であったように、彼は陽であったが陽の中の小さな陰で、私に刃を向けたんです。私は恨みました。会社を恨みましたよ。彼女の父親を心の深いずっと深い所から突き刺すような声で恨みました。結局彼女の採用は取りやめになったんです。 昨日の面接のあとに、彼女の父親から採用の取りやめの電話が届いたみたいで、どうやら父親の反対にあったということしか聞けなかったんです。それ以上は上司の口から話されなかったのです。 いったいなぜそうなってしまったのか?。 面接の時、いやらしい視線で彼女を見ていた事を彼女が察して、彼女がそれを父親に報告でもしたのか? しかしそれなら、最後まで笑顔でいて、最後に是非よろしくお願いします。とまで言い放ったのだから、それはありえないのではないだろうか。やはり、父親の、父親の、、憎い。私は非常に憎いと感じました。私の光を潰したような父親が憎い。憎すぎる。私の額からは再び汗が吹き出し、憎み、恨み、怒りがふつふつと私の中で煮えくり返り今にも弾けて、その熱がなにかを傷つけそうになっていました。あの私を無罪にした裁判所でさえもだまっていなかった。死刑に処すべきだ 父親の起こした処遇は有罪に値する。 ついには、私は狂った犬のようにもう自分で自分がなにをしているかも解らなくなりました。 私は何かにとりつかれたかのように、がむしゃらにスマートフォンのギャラリーを開いて、力強く指を走らせました。するとそこに保存されている写真の中から目的のものを見つけて。それを先ほどよりも力強く指でタップしました。彼女の履歴書。そこには彼女の住所がしっかりと記されていましたよ。 私の脚はなにかに憑りつかれたに違いなと思いましたよ。私は彼女の事を考えますと、脚が鎖で繋がれたように重くなりまして。善良な意識を働かせようと思えば思うほどに鎖の締め付けは縦横に強くなるんです。私の脚はギシギシと骨が圧迫されて軋むのです。それはそれは痛いなんて言葉では言い表せられないですよ。でもそれ以外の言葉が見つからなくて、痛いんですよ。とにかく。至極。 ですからこの痛みはいったいどうしたら治るか、私なりに考えましてね。暗い部屋で一人蜘蛛のように試行錯誤という罠をしかけまして、その見えない獲物がやってきてめいめいと私の寝床に入って来るの瞬間を目を潜めてじっと待ち続けたんです。 私は獲物をいきなりだって食べたりはしないんですよ。まずは色々な角度からそのものの情報を掴むんです。動きや匂い。細部までの質感。それから、そうして初めてそいつの一部を口に含んでみるのです。それは美味しければ美味しいだけ、私の身体全身を満たしてくれるのだと思います。それはやがて私の細胞一つ一つになるんです。それが彼女の情報であり、これからの計画なのです。 今日私は良くないことをしています。 私は彼女の履歴書に記されていた住所の一件や二軒隣の家の脇に陣を構えて、彼女の臭いや影を嗅ぎまわっている最中にあります。 どのくらいでしょうか。しばらくうろうろしていました。その間指を噛んだり、彼女の声や顔を思い出していたのです。そしたら突然、彼女の家のドアが空いたんです。私は息を飲みましたよ。それに額からはこれまでにない汗が吹き出してきまして。しかし、現れたのは男でした。見た目から推測するに50~60代であり、いかにもどこにでもありふれたような顔でいて、私はこの男がどういう男で、どんな性分をしているかなんて微塵たりとも興味ありませんで、私はこの男から受けた屈辱は今にもまさに刺のように張り出してかれの心臓をひとつきしたい。そんな欲望をこの男を見た時、彼女の父親だと知らされた瞬間に思って、心の中で、人の命奪うような古い呪文みたいなものを繰り返し唱えていたんです。 するとそれから一時間くらいしたら、私の鼓動の高鳴りは最高潮に達したのです。現れたのは間違いなく、あの天使のように私に衝撃と興奮を与えた彼女だったのです。思わず舌からヨダレがドロリとたれて、鼻息は荒くなり、眼孔は見開いて彼女だけをとらえていました。 彼女はゴミを出しをするために家から飛び出てきたわけでした。私からすると家庭ごみほど美味しくて興味をそそる素材はないと思いましたよ。 家庭ごみの中には彼女の私物が混じっていかもしれない訳だからそう思うと、いてもたってもいられなかったんです。気付いたら私はそのごみ袋を手にもって車のトランクに入れていました。運転している間もゴミの中の彼女がしごく気になりましてね。運転になんか集中できやしなかっですよ。 家に着くと、もうそれはがむしゃらに我を忘れて袋の中に彼女を求めて探し続けましたよ。 とうとうゴミ袋の中身は空っぽになり、私の部屋の床はありとあらゆるゴミで埋め尽くされました。もう一度床に広がった無慈悲なゴミを達を私は一生懸命に必死て探したんですが、なにもでてきやしなかったのです。息を大きく吸って、一気に落胆しましたよ。 だけどその時、コンビニのレジ袋のような小さい袋の中に、なにかを感じたのです。 私は袋はすぐにとると中身を確認したんです。なかにあったのは、トイレットペーパーがぐるぐる巻きになったものでした。一緒息を飲みこみ、額からは汗がどくどくと沸き上がり、鼓動が今にも破裂しそうな音を上げて、私はただ欲望にまかせてそのトイレットペーパーを解いていきました。私の予想は的中いたしました。それは整理用品のナプキンだっわけです。 まるで誰にも見られないようするためにトイレットペーパーを巻き、そのはずらわしく汚ならしい汚れた部分を見せないように折り畳まれていまして。これを開けば誰もみることができない彼女の恥ずかしい嫌らしい汚れた楽園をあの天使のような彼女の汚ならしく美しいそれを、みることができると思うと、私のペニスは硬くなり大きくなり、破裂しそうなまでに膨れ上がり。今までにないくらいの酷い興奮が私を襲ったのです。 ですから私を誰も止めることはできず、ついにそれを開いたのです。白い生地のしたに赤い血がついて、さらにそれが茶色のように変化して、ところどころ陰毛の一部が嫌らしく不規則的についていました。私はそれを無理やり鼻に推しあてました。つんとさすような臭いが鼻を貫通し私の脳の奥まで、私の体の全体まで行き渡ったのです。私はがむしゃらに自らのペニスをしごきました。今私が嗅いでいる臭いは紛れもなく彼女の恥部よりもっともっと深い臭いなのです。 しかし、私は次の瞬間、それを無理にとめられました。なにものかにいきなりとめられたのです。彼女の臭いの中に別の臭いを見つけたのです。ナプキンの上のほうに、あきらかに、メスである彼女のものとは別の臭いを動物的な本能で嗅ぎ付けたのです。それは、あきらかに他のオスがそれで興奮した証であり、それに絶頂したのだと思たました。女を孕ませることなど容易いようにそれは強烈な臭いをはっして、ナプキンの縦横無尽にちりばめらたそれは一層強さを醸し出していたのです。これが万が一、彼女の子宮に投入されれば確実に彼女の卵子はこの精子と結合するわけです。誰か私と同じようにこっそりと持ち出し。これに射精したのです。いったい誰がこんなことをと私は思い、しばらく冷静になれないでいたのです。 でも、安易に想像できましたよ。その子種が誰のものかが、、、、、 私はすでにこの頃には酷く人間ではない。モンスターになり果てていました。あれから何度も私は彼女の家の近くに現れては、彼女の行動や彼女の父親の行動を近くから観察してきました。ですからこの頃にはかれらの生活リズムが手に取るようにわかるようになっていたのです。 ですから今日私は、かれらのいない時間を狙い家に入りました。鍵をかけていないかったのもわかっていたので、堂々と玄関から入りました。とてもとても簡単でした。盗聴カメラをいくつか付けてきました。私は楽しみです。これからの生活が至極楽しみで仕方ないのです。
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2018/07/29 13:13:17(HnSLPOlE)
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