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1:親友の母・久美その5
投稿者:
山吹
◆FLJ9FL01Xo
チャイムを鳴らすと同時に玄関のドアが開いた。『いらっしゃい。お待ちしてました。どうぞお入りになって』久美さんは、微笑みながら迎え入れ、応接間に案内してくれた。緊張していた私は、『こんにちは』と挨拶するのが精一杯だった。黄色いワンピースに、白のカーディガン、上品で清楚ないでたちの久美さん。改めて、美しい人だと思った。『お掛けになっててくださいね。今お茶の準備をしてくるわ』私をソファーに案内すると久美さんは、部屋を出た。以前、学生時代に遊びに来た頃の息子の友人に対するざっくばらんな対応から、大人の男性に対する対応という印象で、悪い気はしなかった。それから二時間位久美さんと昔話で盛り上がった。透き通るような白い肌と繊細な顔立ち、さりげないセンスの良さで、私がかつて憧れた久美さんは、更にグレードアップして私の前にいたのた。久美さんは、私の正面に座った。『直樹から聞いたかも知れないけど、お友達と共同で美容関係のお店を出すの。それに、小説も書いてて、県民文芸賞も目指してるのよ』『凄いですね。才能ありますね』『いえいえ、一人だから暇潰しよ。貴方の音楽の才能の方が凄いわよ』そこから、久美さんの現在の暮らし振りに、話題が移った。私が、尋ねた。『怖いとかはないですか?』『私は、割りと大丈夫な方だから、あまり気にしていないけど。旦那が札幌、娘が京都、息子は東京だからいざという時はやはり』と久美さんは、にこやかな顔が少し曇った。私は、ここぞとばかりに、『何かという時は、僕に連絡してくれませんか!』と久美さんの目を見つめながら強調した。『あらぁ本当にいいの?本気にするわよ』『緊急の時は、真夜中でも遠慮しないでください』気持ちを伝えた気がして、私は満足した。『緊急の時って、何かしら?強盗が入り込んで来た時とか、お化けが出た時、、、』ちゃかすように、久美さんがクスッと笑った。『でもほとんどあり得ないから、健一さんが、いらっしゃる機会はないわね』久美さんの話す意味が、来てほしいと取れたのと、山内君から健一さんに変化したことが、私の体を熱くさせたが、そろそろ帰る潮時だとも感じていた。
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2011/12/16 23:51:49(PME9z09j)
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