第一章:再会と違和感
春の陽光が校庭を照らし、風が新緑の香りを運ぶ。俺、綾城怜(あやしろ れい)は、二年ぶりに転校したこの学園で、一人の少年を見つめていた。
真崎 遼(まさき りょう)——整った顔立ち、鋭い目つき、しなやかな肢体。無駄のない動きのひとつひとつに、静かな色気が漂う。その姿を見た瞬間、頭の中で何かが弾けた。
——皇太子……
俺が命を捧げた主君。永遠の誓いを交わしながらも、裏切りの汚名を着せられ、処刑されたあの夜の記憶が脳裏を駆け巡る。
だが、彼は俺を見つめることなく、氷のような視線を向けてきた。その冷たさに心が軋む。
なぜだ。俺はただ——お前を守りたかっただけなのに。