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寄生虫・前編
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:超能力・超常現象等体験告白
ルール: 私は超能力者、そんな私の空想H体験告白
  
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1:寄生虫・前編
投稿者: (無名)
皆さんは寄生虫を知っているだろうか?
別に詳しい寄生虫の生態は知らなくても構わない。
『宿主』がいてそれから養分を掠め取る存在、それくらいは知っていると思
う。
そして中にはそれだけでは飽き足らず、宿主を食い潰してしまうタイプがい
ることも覚えていておいて損はないだろう。
なぜこんな話をするかというと、俺の職業がそれだからだ。
俺は「寄生」することを生業として生きている。
 
そして俺は今、新たな『宿主』を作ろうとしていた。
言っておくが俺は人間だ。はじめに寄生虫を話しに出したのは、そのほうが
分かりやすいと思ったからに過ぎない。
そして俺が寄生するのは宿主とは『家』のことを示す。
・・・・・・厳密にいえば『家庭』『家族』といったほうが近いのだろうか。
すでに次の『宿主』の見当はつけてあった。
よくある集合住宅、団地の一室に部屋を借りている若い夫婦のところだ。
少し前から情報を収集し、俺の目に適ったのがここだったのだ。
先ほど言ったとおり俺は人間で、相手も人間が中心の家族という集団である
ため、闇雲に宿主のもとに飛び込むわけにも行かない。
さまざまな下準備と心構えが必要だ。
今回は俺の『寄生』についての一部始終をこの『宿主』で説明していこう。
 
若夫婦の家族構成は夫・南野陽平(みなみの ようへい)、妻・南野菜緒子
(みなみの なおこ)に生後一年未満の赤ん坊が一人。
夫婦は共に27,8歳といったところで、最近この団地に引っ越してきたら
しい。
妻であり母でもある菜緒子は知性を感じさせる中々の美人で、出産を終えた
割にはスタイルも崩れていない。
よく見かけるのが動きやすそうなスッキリとしたパンツルックだが、きゅっ
としまったヒップや形のよさそうな胸部など、まだまだ独身で通じる若さが
ある。
目が悪いのかふち無しの眼鏡をかけているが野暮ったさは感じられず、涼し
げな表情と愛想のいい薄い唇にその眼鏡姿が良く似合っていて、OLのよう
な知性を演出している。
女の説明ばかりしてしまったが、寄生するにおいてそこに住む女性陣の容姿・
スタイルは俺にとって重要な意味を持つ。
 
さてこの当たりで『寄生』の段取りを言っておこう。
簡単に言えば『侵入』『潜伏』『掌握』の三段階に分けられる。
まずはじめに宿主である屋内に入る『侵入』。
そして宿主内で自分の安全を得るため準備と過程の『潜伏』。
最後に自分に益を回せるよう宿主内を弄繰り回すための『掌握』。
どれも気を抜くわけにはいかない。
 
今から取り掛かるのが『侵入』だ。
俺は両手両足顔面にまじないの紋様を描く。
着用する服も上下とも白の生地の上に同じように紋様を描いて、それを着
た。
俺には幾つかの特殊な能力が備わっているが、そのうちの一つがこれだ。
この格好になると俺は他人に「気付かれにくくなる」。
もっともこの能力は過信できるものではない。
息を潜めてじっとしていないと効き目がないし、常に集中していないとやっ
ぱり効き目がない。
その上、あくまで「気付かれにくくなる」だけなので、気づかれるときは気
づかれてしまう。
この能力は初めの段階の屋内に忍び込むときだけに使うのだ。
 
真昼間の平日の午後、鍵の開いているドアを開いて俺はそっと中に忍び込ん
だ。
部屋のなかは玄関を開けると廊下が続いていて、入ってすぐの左のドアにキ
ッチン、その奥の二つ目のドアに和室があり、その和室の奥の洋室がベラン
ダに続いている。
壁やドアで死角が多く、やりやすいタイプだ。
幸い、菜緒子は赤ん坊とともに日当たりのいい洋室にいるらしく、こちらの
姿も見られていない。
先ほど説明したように、今の状態でも動いていれば一発で気づかれてしま
う。
 
『侵入』に成功した次に性急に取り掛からなくてはいけないのが『潜伏』。
このまじないをかけた紋様を今度は部屋の中に数箇所にわたって描いていか
なくてはならない。
これが終われば、俺は少しは楽にこの空間に居座ることができる。
ただこの紋様は絶対に見つかるわけには行かない。
見つかれば怪しまれて消されてしまうだろうし、疑心暗鬼の人には今の状態
の俺は見つかりやすくなってしまう。
そうなればいくら侵入した『宿主』が好条件の場所でもすぐさま見切りをつ
けて逃げなくてはならなくなるだろう。
使うインクは極力色の薄い状態にしているが、それでも混ぜる材料を考える
と限界がある。
めんどうな手間だと思うだろうがとても大事なことなのだ、我慢して付き合
っていただきたい。
 
とりあえずは順調だった。
玄関、廊下にはじまりキッチンにも紋様を敷き終わり、洋室につながってい
る和室も、菜緒子がベランダで洗濯物を干している間に終わらせることがで
きた。
ここまでくれば残りの部屋も隙を見てすぐに制圧できるだろう。
今はこれで十分だ。
俺はこの家のなかでほどほどのレベルの安全を手に入れた。
触られれたり、大きな音でも出せば気づかれるが、ただいる分には問題な
い。
第二段階の『潜伏』の準備までは成功したといっていい。
だが第三段階の『掌握』には短時間で移行できるものではない。
いまはまだ潜伏の時期・・・・・・。
俺は部屋の隅に腰を下ろし、ひとまずの休憩をとることにした。
 
南野菜緒子はまだ若いが良い妻であり良い母でもある。
赤ん坊がぐずると家事をおいて飛んできてあやす。
「よしよし、どうしたのかなぁ?」
家事に育児にと大変そうだが、いやな顔せずに子供の相手をしている姿はす
ばらしい。
くしを通しただけの黒髪が顔にかかって汗で張り付いているが、ちゃんと化
粧すれば相当の美人だろう。
俺がいるとも知らず幸せそうな面をみせる楽観ぶりに苦笑しつつ、その横顔
を眺めた。
次の行動に移せるのは夜だ。
夜になり、全員寝静まってからが好機となる。
 
それまで俺はじっと部屋の隅に隠れ続けた。
10時ごろ夫が帰宅する。
「どう?辰実はいい子にしてたか?」
背広を脱ぎながら子供の頭を撫でている。
「今日は一日よく寝ていたわ、天気も良かったし日向ぼっこしてたんだよね
ぇ」
「そうか、なあ、今度の日曜にでも隣町の公園に連れて行かないか?」
「いいわね!きっとこの子も喜ぶわ」
次の日曜は3日後、そのころには寄生もだいぶ進んでいるはずだ。
「あ、お風呂たいておいたからは入れるわよ」
「おう、ありがとー」
見たところ夫婦仲は円満、標準的な家庭といっていいだろう。
 
実は俺の能力は男には効きづらい。
無意識レベルならどうにか介入できるけれど、それ以上踏み込むことができ
ない。
だから男性の前では今まで以上に慎重になる必要がある。
もちろん男のいない家ならばそんな心配はないし、掌握までの過程もすんな
り行くのだが、それだとまた別の問題がでてきてしまうのだ。
 
「明日も朝早いんだ、風呂はいったら寝るよ」
「そう、大変ねぇ」
夫が子供を連れて一緒に風呂に行き、リビングには俺と菜緒子の二人だけと
なった。
(はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・)
俺の能力は使うと三大欲求すべてに負担がかかる。
さっきから腹は減っているし、早く眠りたくて眩暈がしていた。
しかしそれも匂いたつ食べ頃の女と一対一になると途端に性欲にねじ伏せら
れた。
女から3,4メートル離れているのに体臭までも嗅ぎとれてしまう。
食卓の食器を片付けている後姿を見ているだけで俺の性器が蠢動していた。
―――あの尻に飛びついてコイツをぶち込んでやりたい
欲求がどんどん膨らんでいくが、今はまだダメだ。
準備期間に過ぎない。
そうだ、あとせめて3日は待たなくては・・・・・・。
 
この特殊な能力を維持していくためにはどの欲望も十分に満たしてやらない
といけない。
性欲も子孫繁栄のための意味をこえ、相手から『養分』を得るための大事な
手段になる。
はやく存分にこの『宿主』を食い散らかせるようになりたい。
 
12時には夫婦ともに床についた。
ようやく次の行動に移せる。
俺は持ってきたインクを水で薄め、体液を混ぜ、特殊な液体を作った。
これにもう一度まじないをかける。
「・・・・・・ふう」
思わず息が漏れた。
もし物音におきてきた夫婦に気づかれないとも限らない。
いままで何度となくやってきた作業だが、やはり緊張する。
 
作った液体をどうするかというと、これをできるだけ多く住民に摂取させる
のだ。
冷蔵庫の中にある飲料物のなかにこれを混入させた。
余った分は風呂の水の中に入れる。
洗濯に使うだろうからだ。
衣服から漂う分だけでも常に嗅いでいれば効果は高い。
 
終えると冷蔵庫の中の夕食の残り物を拝借し、少しも満たされない小腹に流
し込んで眠りについた。
今の状態で存分に得られるのはこの睡眠くらいだ。

 
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2006/08/27 17:19:56(s7nmFKSr)
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