お盆の休みを利用して、私は妻と６才の息子を連れ、山梨県へ旅行に来ている。清里村の新鮮な空気の山中に車を走らせる。このあたりは牧場が多く、まだ牛を見たことがない息子に、牛の乳しぼりでも体験させようと、目的の牧場を探していた。走っていると、道路の脇に「マザー牧場」という看板を見掛けた。マザー牧場は千葉のはずだ。私は通り過ぎようとしたが、思わず車を止めた。牧場へ延びる一本道の路肩に十数台の車が駐車していたからだ。こんな人里離れた目立たない牧場にこんなに人が来るなんてよっぽど面白いことをやっているはずだと思った。
「ここにしよう。」目的の場所とは違うが、ここに決めて、牧場入り口付近まで車で行った。駐車場がない。路肩に止めるしかなさそうだ。私も路肩に車を止めた。車の中から様子を見ると、牛舎の横に小さなプレハブがあり、その中に向かって行列ができている。凄い繁盛ぶりだと思ったが、列を作っているのは全員男で家族連れは愚か、女子供が一人も見当たらない。
「少し中の様子を見てくるよ」
妻と息子を車に残し、私は牧場の中に入った。行列には並ばずにプレハブに近付く。列を作る男たちは、作業着姿のおやじや茶髪の４～５人のグループ、サラリーマン姿の中年もいる。不審に思った私はプレハブの窓から中を覗いた。中はどうやら入場券売り場らしい。しかし、値段を見てギョッとした。「乳しぼり体験１２０００円～」あまりにも高すぎる値段だ。だが男たちはどんどん金を払っている。一体ここはなんなんだ。私は牛舎の中が見たくなり、裏から牛舎に近付こうとしたが、高いフェンスに遮られる。すると私の肩を誰かがたたく。振り替えると、年老いた作業着姿の老人がいる。
「あんた、金ないのか。覗きたいんだろ。ヒヒ…」私は訳が分からなかったが、頷いてその老人に案内されていた。
裏の深い茂みを抜けると丁度牛舎の裏手に出たようだ。姿勢を低くして老人が言う。
「草の間から見てみな。見つからん様に。」私は草を分けて牛舎の方を見た。するとそこには、牛ではなく、裸の女性が四つん這いになり、男に乳房を揉まれていた。牛用の仕切りに４人の女性が横一列に並び、一人づつ男がついている。女性の鼻には小さな鼻輪が付けられ、首輪に紐が繋がれていた。私は、つい見入った。一番右の女性は２０代前半の乳房はふつうの真面目な女子大生風。その次は体が細くて日焼けした肌。乳房は小さく、茶髪の男に絞るように揉まれている。その隣は黒髪のポニーテールで、顔は優しそうな保母さんタイプ。年は３５位だろうか。大きい乳房を両手で絞られ、うつ向いている。一番左は、どう見ても顔が幼い中学生だろうか。しかし乳房は丸く白い。狂った様にスーツ姿の男に揉まれ、とがったピンクの乳首を吸われていた。私は興奮した。するとブザーが鳴り、男らはたちまち下がった。すぐにタオルを持ったおばさんが入って来て女性の体を拭きだした。再びブザーが鳴り、違う男らが入場してきて、乳絞りを始める。男らは夢中だ。
「ヒヒ、たまんねえだろ」笑いながら老人が言った。
「金出せば、乳絞りだけじゃなくていろんなことができるんだぜ。ヒヒ。」
私はふと家族のことを思い出し、老人を置いて急いで車に戻った。車に近付くと、息子が一人外で遊んでいる。車内に妻の姿はない。近くを見渡してもいない。すると息子が「ママ、オシッコだって」「ど、どっちにいったんだ？」と、息子は牧場の牛舎を指差した。私は不安になり、息子を車に乗せてから牛舎に向かった。プレハブの中の男に
「じょ、女性が来ませんでしたか！」
「女性？」
「トイレを借りに！」「ああ、牛舎にいったよ…」
私は急いで牛舎に入ろうとしたが、ごつい男に邪魔され、入れない。
「妻がこの中にいるんです！」
「知らねえな！近寄るんじゃねえ！」
突き飛ばされ、地面に倒された。ここからは入れない。裏に回ろう。私は、あの老人に案内された道を辿った。「…妻だってよ」「さっきのいい尻した女か」「後でたっぷり可愛がってやろうや…」

私は茂みを抜けた。牛舎の裏に回り、隠れながら別の入り口を探す。牛舎内部から聞いたことのある声が耳に入ってきた。…まさかと思い、草のあいだから中を覗いた。
私は自分の目を疑う、信じられない光景が見えた…。 ～続く～

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