プロローグ
俺はノドが乾いている。
一般の人間は『水』という液体を体に流すことで生命を保っているが、俺の場合はそうはいかない。俺は女の汁が欲しい。それ以外は飲まない。いや、飲めない体になってしまったのだ。
先週、ずっと付き合っていた彼女と別れてしまい、途方に暮れていた。大好きな女の汁を失ってしまい、ここ1週間何も飲んでいない。
そして俺は今・・・水分不足のため瀕死の重傷を負っている。〔もう死ぬな〕と意識が朦朧としていく中で、俺は幻覚を見た。一人の老人が俺に何かを差し出している。それは小さな玉が入っているビンだった。
老人は言った。「その薬を飲めば願いは叶う。街へ出て試しなされ」と言い残して消えていった。どうせ夢だと疑いかけて諦めていたが、見てるうちに、それはあった。俺の右手にはビンが握り締められていたのだ。そして、夢の老人に誘惑されるかのように、俺はあの言葉を信じて、限界の体を押し切りながら街へ出た。