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1:魔法珠2
投稿者:
非モテ
突然自分の身に刻み込まれた強烈な快楽から平常心を取り戻すまでどのくらいの時が経ったのだろう。
誰も訪れる事の無い空きテナントの雑居ビル最上階のエレベーターホール前の踊り場に文字通り力尽きたまま座り込んでいた俺 が我に帰ったのは、階下のメイド喫茶に出入りする客を元気に送り迎えする萌え系の女の子たちの声を認識した時だった。 ほんの数十分ほど前までは、そのうちの一人、しかも俺好みの激カワな娘が強烈なフェラでゴックンしてくれる事など想像もで きなかったし、数時間前まではそんな劇的な幸運が舞い込む事など、考えた事すら無かったのに。 でも、俺は今、本当に魔法とでも呼べる力を手にした事を実感していた。 自分の肉体の疲れもその一つだし、鞄の中にあるジョディちゃんのプレミアムフィキュアが、それが夢ではない事を物語ってい る。 廻りの喧噪を意識しだして現実を取り戻し始めていた俺は、改めてポケットの中からマジカルビーズを取り出してみてしげしげ と眺めて見た。 相変わらずの玩具っぽさの造形物の真ん中にはめ込まれた妖しく輝くガラス玉の中には、8という数字がまるで生きているかの ようにゆっくりとうごめいている。 「願い事を叶えてくれる代償に数字が一つずつ減る…ってか。まあ、アラジンの魔法のランプよりは多いって事か」 誰に言う訳でもなく独り言をつぶやきながら、人間としての欲望が次々と芽生えてくる。 恐らくこいつに願えば、想像もできない金持ちになる事も簡単だろうし、美人をはべらせてハーレムを作り、ゴージャスな人生 を送る事も出来るだろう。 ただし、それもこのビーズの中に表示されている数字の回数分だけということになると、大切に使わないと無駄に魔法を消費す ることになるなどと考えを巡らせていた俺は、ふとした妙案に行き着いて両手でそいつを優しく包み込み、目を閉じて精神を集 中させてから願い事を口に出してみた。 「俺を魔法が使えるようにしてくれ!」 すると、手の中のマジカルビーズが熱を帯びだしたのがはっきり解った。 限りない欲望が現実となる喜びに自然を笑みを浮かべたで有ろう俺は、ゆっくりと手を開いて熱くなり始めているビーズを眺め て驚いた。 今までのような何色とにも例えられない妖しい光は陰を潜め、まるで小さな太陽のように眩しく光るビーズが両手のひらの中で 輝いているではないか。 「おおーっ」と思わず喚声を上げてしまった俺は、眩く光るそのビーズを覗き込む。 「ジョディのマジカルビーズは魔法使いにとっては魔法を増幅してくれる頼もしいアイテムだけど、人間にとっては魔法の源そ のものであって、人間は魔法使いにはなれないの。魔法を使う時はビーズを握りしめて精神を同調させてから願い事を口に出し てみてね。でも、魔法には制限があるから数字には気をつけて。良い事をすれば数字が変化するかもしれないから、頑張って。 ジョディ」 まるで街中の電光掲示板のような状態で文字が流れ、俺がそれを認識するのと同時にビ–ズは輝きを失い、見慣れた色に戻ると 同時に数字の「8」が再び浮かび上がって来た。 「やっぱり、そこまでのウマい話しはナシ……か」 多少落胆した俺は、そう呟きながらやっとの事で立ち上がると家路に付く事にした。 エレベーターを呼ぶのももどかしく感じた俺は、もの凄いフェラでイカせてくれたユキちゃんが働く店を見たいと言う好奇心も 手伝って、階段を下りて行く事にした。 一つ下の6階はユキちゃんの店とは別のタイプの萌え系カフェ・レストランが入居していた。 昔の砦風の入り口から中を覗くとくノ一風のコスプレをした女の子たちが飲み物をサーブしている。 入り口付近に待機していた女の子たちと目が合ったが、僕の趣味ではないので足早にさらに階下へと階段を下る。 5階にあるロボット工作専門店、4階にある鉄道模型専門店を一瞥しながら、世の中には様々なオタクが生息しているのだと改 めて実感する。 ユキちゃんが働いている3階の店の前では、お客様を出迎えるメイド風の女の子が二人で入り口前に待機していたのだが、階上 から階段で降りてくる人は珍しいらしく一瞬きょとんとした表情を浮かべた後、俺に向かって営業トークを仕掛けてきた。 「ご主人様、おいしい食べ物、飲み物がたくさん有りますから、是非お休みになって行って下さいませ」 眩しい笑顔で店へと誘う二人のメイド姿に一瞬誘われそうになったが、さっきあんな事が有ったばかりで恥ずかしさも手伝い、 振り切る事にした。 「今日はもうユキちゃんとデートしたから、また今度寄らせてもらうよ」 そう答えた俺に、彼女たちは意外な反応を示した。 「ユキちゃんは午後2時までなので、今日はもう帰ってしまいましたけど、またご主人様が来て頂ければ喜ぶと思いますよ」 「え、2時までなの? で、今は何時?」 「もう4時半になります」 その答えに俺はぶっ飛んだ。 ユキちゃんに誘われてここに足を運んだのは、どう考えても昼の12時前だったはず。 すると俺は彼女の与えてくれた快楽に気絶状態になり、4時間ほど7階で倒れていたことになる。 「ご主人様ぁ、どうなさいました?」 多分俺が驚いた顔をして考え込んでしまっていたから、心配した彼女たちがさらに近づいて来て、一人が俺のおでこに手をあて て熱を測るような仕草を始めた。 「いや、大丈夫。ちょっと仕事の事を思い出してさ。とにかく、彼女には又来ると伝えておいて下さい」 そう言い残した俺は、ユキちゃんの働いている店の前から立ち去り、勢いを付けて階段を駆け下りて行った。 そのまま2階のメイド喫茶をやり過ごして表へ出ると、確かに既に日が傾き始めていた。 俺はポケットから携帯を取り出して急いで今の時刻を確認する。 4時46分だった。 会社には休みを告げていたし、別段重要な着歴もメールも無かったが、やはりマジカルビーズの事が気になって家に帰ってネッ トをクグってみたくなった。 駅へと向かう道すがら、嬉しそうに真新しいパソコンやデジカメを持った人々や、お決まりの様にコスプレで様々な宣伝ビラを 配りながら声をかけてくる女の子たちとすれ違う度に、この街は人々の様々な欲望を満たしてくれる場所なんだと改めて感じ た。 今の俺は、マジカルビーズを手に入れた事により、おそらくほとんどのその手の欲望は自分の思う通りに満たす事ができるのだ という妙な自信により、第三者的な目で物事を見る事が出来るようになっていたのだと思う。 とりたてて急ぐ事も無く、様々な人間模様を観察しながら秋葉原の駅から総武線に乗り、同時に自分にとってどんな魔法が一番 良いのかを考えながら電車に乗っていると、すぐにいつも自分が少し郊外の家へと帰る私鉄が乗り入れているターミナル駅へと 着いた。 ちょうど帰宅時間の始まり時だったので、いつも帰りなれている時間よりは早かったが、家路へと急ぐ人々がホームに列を作っ て並び、次の電車が入って来るのを待つ間に一斉に携帯をいじっているというある種異様な光景を尻目に、恐らく座れないだろ うがすぐに発車しそうな特急電車の待つホームに駆け下りた俺は、発車ベルが鳴り終わるタイミングとほぼ同時に車内に滑り込 んだ。 間に合ったと言う安堵感が訪れたのは一瞬で、すぐに車内のいつもと違う雰囲気に気がついた。 廻りに居るのは女性たちばかりで、そのうちの大勢と目が合ってしまったのである。 どうやら慌てていて、この時間から下り方面に設定されている女性専用車両に駆け込んでしまった事を悟るのと同時に、すぐ隣 で携帯をいじっていたいかにもエリート然とした女が少し強い口調で話しかけて来た。 「この車両、女性専用車なんですよ!」 「すいません、慌てていたもので」 解ってるよと言い返したい所だったが、廻りの雰囲気に負けて素直に謝り、隣の車両に移動を始めたのと同時に滑るように電車 が発車した。 イイ女である事は間違いない。 女優の松内結子さん似の顔立ち、すらりとした体型、立ち姿の凛々しさなど、自分の好みで言えば理想の女性なのだが、あの物 の言い様では上司になったらストレスがたまりそうなプライドの高い女である事もほぼ間違いない。 見回してみると、この時間それほど込んでない車両に居る女性たちはほぼ同じ様な印象を受けた。 移動している途中にも何度も訝しげな目線を投げかけられたし、吾関せずと言った様子で席に座って難しそうな本を読んでいる 子も多い。 でも、俺に言わせれば私は気安く話しかけてもらっても困ります的な、自意識過剰系の女が集まっているようにしか見えない。 態度もそうだし、ファッションでも自己主張しまくりの女性の集合体と言った所なのだが、この時間帯の女性専用車両の乗客 は、下世話な言い方をすればどの女性とでも一度は体を合わせてみたいと思えるほど外見的には魅力的な女が多い事には少々驚 いたが、そいつらの発する雰囲気と俺の様な男に対する無言の敵対心は、正直俺の趣味ではない。 極めつけは、俺が隣の車両への扉を開けた時に、最初に口をきいて来た松内結子似の女が放った一言だった。 「わざとらしいし、キモイし、全く何考えてるのだか」 それがはっきり聞こえるほど空いていた女性車両に比べ、隣の車両は立錐の余地もない。 連結面の扉を閉めて振り向いた俺の目に、あの女が薄ら笑いを浮かべてこっちを見ているだけでは無く、他にも何人かの女が見 下した様な目線を俺に合わせていた。 自分の中の血中アドレナリンが上昇するのが解ったが、悪態をつく事も無く、俺はポケットの中のマジカルビーズを握りしめて 心の中で叫んでいた。 (お前らだって好きな人には甘い顔して股を開いたり、1人でオナニーぐらいする時はあるだろ!) とひと通り怒ったあと、最後の文句を周りの人に聞こえないぐらいの小声に出してみた。 「隣の女性専用車に乗っている様な女は、みんな自分の淫乱部分が我慢出来なくなってしまえ!」 そして俺はすぐにマジカルビーズをポケットからだして中を覗き込んでみた。 すると、8という数字が銀色に輝きだして形を崩すと、ボヤーッとした感じで7と言う数字が浮き出した。 俺はあわてて目線を隣の車両に移す。 すると、さっきまで立っていて片手でつり革を持ち、もう一方の手で携帯を操作していたあの女がゆらりと床に沈んでしまった ではないか。 彼女だけではない、立っていた女のほとんどが次々と床に崩れ落ち始め、席に座っていた女でスカート系を身につけていた者は 既にその中に自分の利き腕を滑り込ませて顔を上気させている者もいる。 中には服を脱ぎ出す者や、パンツを下まで降ろしてまでうつろな顔でオナニーを始めてしまう者まで現れた。 多少年齢の行っているであろうお局様系の女性は、最初は服こそ脱がなかったものの、自分の局部を手すりに押し付けてよがっ ている。 女性専用車両は、最初の通過駅を迎える頃には既に女性だけのオルギー会場と化していた。 「毎度、当鉄道をご利用頂き、ありがとうございます、この電車はー」 そこまで車内放送を始めていた最後尾の車掌が、目の前で起きている異常な光景に放送を中断し、状況を確認する為に客室との 仕切りドアを開けて入った途端、2、3人の女性に絡まれ、ズボンのチャックを降ろされたかと思うと、激しいフェラの洗礼を 受けてしまう。 「み、みなさん、どうしたのですか、ああっ」 使命感と快楽の板挟みに会った車掌だったが、余りの出来事に付いて行けず必死に振り払おうと抵抗はしていた様子だったが、 その一物は既に強制的に勃起させられていた。 ざっと見て100人もの秀麗な女性が一斉にオナニーや相互愛撫を始め、ヨガリ声が電車の走行音より大きくなって来て、それに 気づいた他の乗客が俺の居る車両の連結部に集まってきていた。 「なんかの毒ガスじゃないのか?」 「もしかしてAVのゲリラ撮影か?」 だが、目の前であまりにも理解出来ない出来事が展開されている為か、誰1人として女性専用車両に行こうとする人は居なかっ た。 ここでも俺は妙に客観的になっていて、都会の人間の繋がりってなんと浅い物なのだろうと思うばかり。 2つ目の通過駅を超える頃には、既に絶頂を迎える者も何人かいた。 「ああーん、ああっ」 「いくぅー、止めないで!」 「あーっ、感じるーっ」 阿鼻叫喚とも思える快楽地獄と化した客室から、やっとの思いで車掌室に復帰した車掌が、仕切りドアの鍵をかけて急いで身支 度を整えた後、収まりきれない様子で息を荒げながら放送を再会する。 「はあはあ、お客様に申し上げます、はぁはぁ、この電車は、次の停車駅で車両点検を行います、はぁ、お急ぎの所、申し訳あ りません」 必死の思いで車内放送を終わらせた車掌は、次に列車無線で現状を中央司令室に伝えているようだった。 その車掌室のガラス窓をチンコが欲しくてたまらない様子の女が2人がはげしく叩きながら悶える様子は、ほとんどゾンビ映画 の1シーンみたいな事になっている。 3つ目の通過駅を超えてすぐ、俺の居る車両にも男を求めてなのか1人の女が上気した顔で胸元を開けたじょうたいのまま転が り込んで来た。 だが、こちらの車両に移ったとたんに、その女は冷静さを取り戻し、自らのあられもない姿に「キャー、イヤー」と一声上げる と、その場にしゃがみ込んで泣き出してしまった。 「隣では、何があったの?」 こちらの車両に乗り合わせていた女性が優しく女の肩を抱いて訪ねるが、女は泣きながら「わからない」を連発するだけだっ た。 俺の念じたとおり、魔法は隣の女性専用車のみにかかっているようだ。 凄まじい光景を乗せたまま次の駅へ快走し続ける特急列車だったが、自分のかけた魔法の効果に驚きつつも、俺は今の所この魔 法を解く気にはならなかった。 最初の女に対する怒りが収まっていなかったのも有るが、この後どうなるかも見て見てみたかったし、何よりっこの魔法を解く 為にはマジカルビーズの数字がまた一つ減ってしまうのがイヤだったからだ。 ジョディちゃん曰く、人間は魔法使いにはなれないということだったが、確かに人間が魔法を自由に使えるようになったら、世 の中もっと秩序が無くなってしまうだろう。 魔法の使える人間と言う存在は、どちらかと言うと悪魔に近いのではないかと実感していた俺だった。
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2010/11/21 11:57:50(Sg.lLjHu)
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