結婚もする気のない、アラフォーの女です。
夢物語だと思ってお読みいただければ、それでいいと思ってます。

一人旅が好きなので日帰り旅はもちろんのこと、週末を利用しての温泉だとか年に一度は纏まった休みを取って、ふらっとお出掛けをします。

ペットと暮らすにも忙しさでお世話も難しいし、お酒も弱い私。
人付き合いも嫌いではないけど本当にリラックスするには、やっぱり一人が楽なのです。
パートナーはもちろんいたこともありましたけれど、浮気やら何やら色々なことがあって、もういいやって………。
そんなわけで、気ままに一人で生きてます。


話は数年前に遡ります。
今度はどこに行こうか探してあまり有名な場所ではない所を選び、このときは電車を乗り継いであるお宿に泊まりました。
古めかしいけれど良く言えば風情があって、その土地の美味しいご飯も頂けて、個人的には素敵なお宿だったのです。

何をするでもなくゆっくり時間を消費する贅沢を味わい、田園風景を横目にお散歩したりして。
小さな神社を見つけて、お参りをさせていた頂いてお宿の温泉に浸かって、このときも最高の週末旅行だったのです。
ただひとつのことを除けば、です………。

週末旅行なので一泊だけの宿泊で、ご飯のあとに温泉に浸かってその晩はふかふかのお布団に入りました。
寝付きはわりと良いほうなので、すぐに眠りに落ちました。
どれくらいの時間が経ったのか、体の重苦しさで目が覚めたのです。
あっと思った時には金縛りというものなのか手足はおろか、まったく体が動かないことのに気付きます。
いわゆる霊感などまったく無いと自覚してきたのに、ちょっと焦りつつ唯一動かすことの出来る目をキョロキョロさせる私。
今だから話せますけどお布団の中で、足元から何かが這い上がってくる感覚にを覚えて全身に鳥肌が立ちました。

それがはっきりと誰かの手だとの感触はないものの、下半身から上半身へと移動してくる人の所作だというのは分かります。
だって浴衣の合わせ目から手らしきものが入ってきて、胸を掴まれましたから………。
あまりの恐怖で気を失ったのか、次に目覚めたときにはもう朝だったのです。

現金なもので出された朝ご飯は、綺麗に完食。
食べながら昨夜のあれは何だったのかと、お口をもしゃもしゃ咀嚼させちゃうんだから現金なものです。
夢にしてはリアルだったとか、色々と考えてお宿を後にする頃にはもう忘れていたたのですよ。
その後もしばらくは何事も起こらなかったから、忙しい日常の中で思い出すこともありませんでした。

一週間が過ぎ去ってその日も疲れていたからお風呂を済ませ、目覚ましをセットして１０時過ぎにはベッドに入ったのです。
はい、あの体の重苦しさで目が覚めてしまいました。
寝苦しいのにまた金縛りにあって手すらも動かせず、記憶が確かならあのお宿以来の人生で２度目の金縛り………。
これまでもこの部屋で体験したことはなく、子供の頃からも金縛りの経験はないのです。
目覚まし時計に目を向けたらまだ夜中の３時前、嫌な予感は当たるものです。

お宿の時と同じように掛け布団の上に誰かが乗っているかのように体が重たくて、足元から手らしきものが這い上がってくるのを感じました。
声を出したいのに掠れるだけでろくに声にならなくて、着ているロングTシャツの裾を潜って入ってくる気持ち悪さに目を閉じるだけ。
下着の上から触れてくる気持ち悪さと恐怖、どうしてお宿のときのように気を失わないのでしょうね……。


普通は恐ろしい顔をした幽霊が見えるとか、首を絞められるとか、恐怖を味わうものではないのではないでしょうか。
まぁ得体の知らない存在に弄られるのですから、これはこれで十分怖かったですけど………。

そのうちに首筋にあれはやっぱり人ですよね、息の当たる感じがしましたし、しっかり胸も揉まれましたし………。
薄目を開けて見ても何も見えないのに、お布団の中で好き勝手にされる恐怖。
幽霊だと認めたくないのに、頭ではもう殆どそう認めるしない矛盾。
理屈ではなく直感で、男性だと思いました。

この手の体験や話だと下着を脱がされた、目覚めたら身に着けてなかったというまことしやかな話を見聞きすることがあります。
事実は小説より………というように、私だけかもしれないけど、私は身に着けたままでした。
おかしいのですよ、ブラを着けているのにどうして直接バストトップに触れられる感触があるのでしょう……。
先程まで下着の上から触れられていたのに、身に着けたままのショーツの中で、局部に触れられているのです。
そのことに気付いたのはだいぶ後のことで、その最中はそれどころではなく気付ける余裕もありません。
恐怖、嫌悪、不快感、拒否感、現実逃避したい気持ちが頭の中をぐるぐるするだけ。


首筋といい胸元といい、身体中を柔らかい感触が這い回るまるで愛撫のような気持ち悪さの先に、いきなり乳首が柔らかい感触を感じるのです。　
先程から身体中を這い回る柔らかい感触は人の唇や舌先で、あのヌメヌメした感触が乳首を舐め回すものだからわけが分からない……。

考えるより先に気持ち悪さ、その感触に反応をし始める体。
まるで実体のある体で触れられてるように乳首を舐め回される感触、局部に触れられる確かな感触が動かせない体を起こされる感じ、というのでしょうか………。
はっきりと白状すれば私は、感じさせられていました。

気持ちよかったのです、はっきりと。
その場に第三者がいたら状況は違ったのかもしれませんが、一人住まいですからね。
体が動かせない、声も出ないでは抵抗らしい抵抗はもちろん出来ないのです。
冷や汗を全身に掻きながら恐怖が同居する快感なんて、ゾッとしません。
でも、感じさせられては成す術はないのです。

冷静に考えればいわゆる連れてきてしまったということなのだと、その手の事象を信じない人でもありませんから理解出来るけど、その時はもうもう必死だから堪えるのみ………。
まさか自分があんな目に遭うなんて、分からないものです……。


そんな事象は毎日あった訳ではありませんけど、さすがに1ヶ月近くも頻繁に起こると困ります。
私に執着しているわけではないはずなのでお風呂に塩を入れたり、神社に通っだりしたら離れたのか何も起こらなくなりましたけど……。

それにしても、ねちっこかったです。

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