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1:翼をください
投稿者:
短編野郎
「なあ、まんこ使わせろよ」
「やです!」 「いいからいいから、使わせろって」 「警察呼びますよっ!」 「警察?おれらまだ、なーんもしてねーけど?喧嘩売ってんの?やっちゃうよ?」 「本当にやめて!」 バタンッ! 「ただいまぁー」 「お邪魔しまーす」 ストップを押す。 (いいとこだったのになぁ) 「おかえりー」 俺は33の童貞。 やってみたくて仕方ないオナニスト。 もっぱらオカズはAVだ。 母と妹と俺の3人暮らし。 妹は、まあ他所の女と比べれば顔とスタイルはいいんじゃないか? 流石に妹なんかには欲情しない。 むしろ、若干、苦手。 だけど、妹はめちゃくちゃ可愛い友達を連れてくる。 俺はキモがられているがw まあ童貞オナニストだが、一応、人畜無害ではあると思う。 その妹が今日も友達を連れてきた見たいだ。 楽しみだ。 膝まで降ろしていた、パンツとズボンを履き直して、自分の部屋を出る。 「瑠衣、お友達?いらっしゃい」 「お兄さんですか?お邪魔します」 「初めまして、よろしくね。瑠衣?なんか欲しいものあれば買ってくるぞ?ある?」 「兄ぃ、ありがと。ジュース!愛は?ジュースでいい?」 「あ、うん。じゃあわたしもジュースでお願いします」 「あいよ。じゃ、なんか適当に見繕って買ってくるわ」 こうして、妹の友達と仲良くなるため、少ない金を握りしめてコンビニへ向かう。 妹は、炭酸が好きだ。 愛ちゃんと言ったか?同じものでいいだろう。 後はポテチと、チョコっぽいものでも買っていこう。 でも、未だかつて、妹の友達と個人的に仲良くなれた試しはない笑 「瑠衣ぃー。帰ったぞー」 「あーおかえり。お菓子も買ってきてくれたの?いつも悪いねー」 「こんなもんで良かったか?」 「ジュースだけでも良かったのに、ありがとう」 「じゃ、2人仲良くな。愛ちゃん、ゆっくりしてってね」 「はぁーい」 「はぁーい」 こうして俺は自分の部屋に戻っていく。 あまり出しゃばらない。 というか、妹以外の女の子と何を喋ったらいいのか分からない笑 楽しそうな女の子同士のキャッキャッを聴きながら、スマホゲームを始める。 その内に母が帰宅して、夕飯の匂いがしてくる。 "トントン" 「兄ぃー。愛、帰るって」 ガチャ。 「そうか。送っていくのか?」 「うん、そこまでね。」 「そうか。気をつけてな。愛ちゃん、またおいでね」 「お邪魔しました。」 こうして、またもや愛ちゃんと言う可愛い子と知り合えた。 こう言う所は妹を持って良かったと思う。 妹はとにかく社交的でコミュ力高い。 誰とでも仲良く出来るし、学校でも係とか率先してやるタイプだ。 瑠衣の友達曰く 「瑠衣はモテますよ」らしい。 まあ兄から見ても、顔もスタイルもいいと思う。 社交的だし。 そこそこ優しい所があるし。 あくまでも外ではのはなし。 「ただいまぁ・・・」 「ああ、おかえり。」 「ちょっとさー兄ちゃんさ、毎回毎回、なんなの?ヘラヘラして出てきてさ。キモイんだけど?やめてくんない?」 「あ、ごめん・・・」 家ではこんな妹だったりもする笑 結構、こわい笑 でも誕生日とかには、ちゃんとプレゼントをくれたり、たまにお菓子を焼いてくれたりもする。 嫌いなのか、よく分からない。 だが、我が家にはもっと最強がいる。 母だ。 妹も敵わない。 でも、優しいのも家族最強だ。 なんだかんだ、幸せな家族だと思う。 父親は、ずっと昔に外に女を作って出ていったらしい。 記憶にはない。 母は、決してブスの類ではない。 むしろ、美人の方だとは思う。 だけど、母にいわせると 「もう結婚は二度としない」のだそうだ。 きっと父親で懲りたのだろう。 夕飯を食べ終えて。 妹と母がテレビを見ながらお茶を飲んでいる。 俺は部屋に戻って本を読む。 やがて、母が 「瑠衣もお風呂入ったから、あんたも入りなさい」 風呂から出ると、母が後片付けをしている。 瑠衣は自分の部屋に行ったらしい。 「母さん」 「なぁに?」 「母さん、まだ若いし再婚しないの?」 「またその話?しないわよ。あのねえ、結婚って色々と大変なのよ。面倒くさいしね。それに、あんた達ふたりがいてくれたら寂しくないし。」 「そっか。何度も同じ事言ってごめん。もう寝るね。おやすみ」 「うん、おやすみ」 瑠衣の部屋の前で 「瑠衣、おやすみ」 するとドアは開けないが、中から 「さっきはごめん。ジュースとお菓子ありがとう。おやすみ」 可愛い所もある。 こうして、平和な日々が続く。 日曜日、母は会社の女友達と出かけてくると言って、朝早くに出かけた。 昼は、好きな物食べな。と1人3000円づつ置いて行った。 割と豪華じゃん。 「あたしも出かけてくるね」と妹が支度を始める。 「俺、こんなにいらないから」と母が置いて行った3000円から、妹に1000円渡した。 「ラッキー!いいの?」 「ああ、もってけ。友達と飲むジュース代くらいにはなるだろ?」 「サンキュー!行ってくんねー」 「気をつけるんだぞー」 「はぁーい」 だが、俺が妹の姿を見たのは、これが最後だった。 夜の23:00 母はずっと泣き崩れて、警察の人達に慰められている。 近くに住んでる親戚も来て、家の世話を焼いてくれていて。 俺も、母と妹が心配で会社には事情を話してある分の有給を全てつぎ込んだ。 1週間 1ヶ月 しかし、妹は見つからなかった。 妹の友達も何人もお見舞いに来てくれたりした。 学校でも大騒ぎらしく、ひっきりなしに先生達も何度も来たりしていた。 母も少しは落ち着いてきたが、以前のような元気も覇気ももう見えなかった。 俺も、もう有給も残り少ない。 ただ家にいて母を励ましているだけでは、食べていけなくなる。 「母さん?大丈夫?おれ、今日から仕事にいくよ。母さんの分まで働いてくるから、心配しないで休んでて」 「ごめん・・・ありがとう。」 以前の母ではない。 か弱く、か細く、力なかった。 しかし、半年が過ぎ、1年が過ぎた。 母もなんとか日常を取り戻したが、以前のように幸せとは言い難い、難しい顔で無口になった。 1年も経つともう、誰も瑠衣を慕ってくる人は居なくなった。 (薄情だな) 警察もだんだん、宛にならなくなってきた。 瑠衣が居なくなって、家にはデカい穴が空いた。 母は完全にノイローゼで 毎日のように 「あんな美人に育てなきゃ良かった」なんて言い始める。 「馬鹿な事いうなよ母さん!」 「ごめん・・・うっううう」 たまにこうして母は泣く。 そんなある日の事。 "ドンドンドンッ!" けたたましく、ドアをノックされた。 「どちら様ですか?」 「いいからっ!俺だ!早く開けろ!早く!!」 覗き穴から外を見る。 見知らぬ男が若い女の子を担いでたっている。 それも血だらけだ。 慌てて施錠を外し 「凄い怪我!どうしたんですかっ!救急車!」 すると男の人は担いでた女の子を 「それより、ゆっくり!静かに!気を失ってるだけだっ!とにかく、救急車だ!」 「はいっ!」と言って、よく見ると担ぎ込まれた女の子 「お、おいっ!瑠衣!!!しっかりしろっ!!瑠衣!!」 「ちっ!しかたねー!電話あるだろ!貸せ!」 スマホをむしり取るようにして男の人は俺のスマホを取り上げた。 「もしもし?相田団地の305号だ。大至急救急車を頼む!ああ?俺は笠井だ!んな事は後でいい!娘だよ!ああ?そうだ!兎に角、早く!頼む」 ???娘と言ったな、この人。 「おい、しょうた!もういいだろ!早くタオル濡らして来い!瑠衣が可哀想だろ!顔くらい拭いてやれ!急げ!」 「あ!うん、わかった!」 とりあえずは、味方みたいだ。 今は瑠衣が最優先だ! 従っておこう。 「しょうた!また電話借りるぞ!この母さんって番号が頼子か?」 「はい!そうです!」 「頼子は病院か?」 「そうです!」 「もしもし!おれだ!サトシだ!話は後だ!病院終わったらすぐに帰ってこい!瑠衣を見つけて来たっ!」 10分もすると救急車が来た。 同時に母も帰ってきた。 母は涙をポロポロと零して、力なく泣いた。 それをサトシと名乗った男がギュッと抱きしめる。 「頼子、頑張ったな。もう大丈夫だ。もう大丈夫。」 「あなた・・・」 やっぱり父さんだ。 「お父さんもだいぶ、怪我をされている。一緒に救急車に乗ってください。」 「わかった。頼子?しょうたと家にいろ。一緒に行ってくる。警察にも連絡してくれ。」 何が何だか。 とりあえず、俺は母を連れて部屋に入る。 警察に電話して、事情を話す。 女性刑事がふたり来て、母を励ます。 父の様子を聞かれる。 俺は、顔も見覚えがなかった。 母は少しずつ答えていた。 1時間もすると俺のスマホに警察から電話がきて 「とりあえず、お父さんも妹さんもご無事です。ただ、妹さんはもしかしたら、妊娠の可能性があります。詳しくは、ご両親と妹さんが落ち着いてからでお願いします。」 1週間後。 妹も喋れるようになって、母もだいぶ元気を取り戻した。 妹はやはり妊娠していた。 妹と母で降ろす決断をした。 何がどうしたのか? そんなの俺が聞けるわけが無い。 俺は妹のやせ細った手を握りしめ、いつしか泣いていた。 「瑠衣・・・良かった・・・おかえり瑠衣・・」 「おにいちゃん・・・ただいま・・・」 あの瑠衣が。 よっぽど怖かっただろう。 よっぽど酷い目に合ったんだろう。 可哀想だ! 瑠衣が! 母さんが! 可哀想で、可哀想で。 俺は、今までの人生でこんなに怒りを覚えたのは初めてだ。 「・・・ロシテヤル・・・!」 「コロシテヤルッ!!」 「瑠衣を!瑠衣を!こんな目にあわせたヤツら・・全員!ぶっ殺してやるっ!!」もうとまらなかった! 気持ちが、感情が! だが、あのか細くやせ細った瑠衣の細い腕が俺の腕を掴んだ。 それもとても強い力で 「お兄ちゃん・・・やめて・・・行ったらダメ・・・やめて・・・」 くっ!! 「頼子!しょうた!瑠衣!!」 サトシと名乗った、父らしき男が入ってくる。 母が「あなたっ!」と抱きついた。 「大丈夫か?」 瑠衣が目をまん丸に開いて、サトシと言う男を見る 「・・・だれ!?だれ!?やだ!来ないでっ!こないでっ!!」 慌てたサトシと名乗る男と母は、急いで病室を出た。 「大丈夫だよ瑠衣。あの人が助け出してくれたみたいなんだ。瑠衣をね」 「はぁっ!はぁっ、はぁ、はぁ・・・」 そっと瑠衣の頭を撫でる。 「大丈夫だよ。大丈夫」 「お兄ちゃん・・・」 外で何か話し声が聞こえて、母が顔を出して 「しょうた?ちょっと。瑠衣?ごめんね?ちょっとだけ、1人だけど大丈夫?」 「うん、お兄ちゃん行ってきて」 「わかった。ちょっとだけ、辛抱してて」 「うん。」 サトシ。 やはり父だった。 母を捨て、俺をすて、瑠衣を捨てた。 だけど、物心付いた時にはもう居ない人だったから、正直、恨みとかなんにもなかった。 瑠衣の事件はニュースにもなった。 それを見た父は、行方不明になった瑠衣のニュースをテレビで見ていた。 慌てて、母に電話をしていたそうだ。 だが、母もパニックになっていて、要領を掴めないでいた。 父は独自に1人で捜査をして、当時の瑠衣の服装、攫われる前に会っていた瑠衣の友達らと会って話を聞いたりしていたそうだ。 警察とも連携して連絡を取り合ってもいたそうだ。 そこで、瑠衣と友人とが別れた近くのコンビニ、パーキング、あらゆる監視カメラをチェックした。 そこで、1台、不審なワンボックスカーが浮上した。 ナンバーは黒く塗りつぶされ、中の人間は覆面をしている所まではわかった。 そこで、警察も捜査に当たり、父も独自で動いていたそうだ。 たまたま、父が早く、不審なワンボックスカーに行き着いた。 警察を待たずに父は隠れ家に飛び込んだ。大暴れして父は瑠衣を助け出した。タクシーを拾い、家まで瑠衣を担いできた。 無我夢中だったらしい。 頭も回らなかったそうだ。 兎に角、必死だったらしい。 よく解る。 見ると父も身体中包帯だらけだ。 父と母さんと俺で瑠衣の元に戻る。 まだ瑠衣は父に怯える。 瑠衣は「ここ、なんか嫌だ おうちに帰りたい 帰りたいよ」 母は「ちょっと先生の所に行ってくる」と病室を出た。 瑠衣は父をまじまじと、見つめ 「お父さん?ですか?」 「ああ、何年も済まなかった。お父さんだよ」 「助けてくれたの?」 「ああ、なんとかな」 「ありがとう」 「いやいいんだ。少しは罪滅ぼしができたよ」 こうして母の説得もあり、瑠衣は自宅療養となった。 父は、瑠衣が少し落ち着いたのを見図り、今の家へと戻った。 「かあさん。良かったね瑠衣が戻ってきたよ」 「うん。帰ってきた・・・うっううう」 「瑠衣?おかえりなさい」 「お母さん、お兄ちゃん、ただいま」 それ以来、あの明るくてちょっと生意気だったけど優しい瑠衣は変わった。 学校も中退して、通信制に入り直した。 在校中の友達もかなり縁が切れたらしい。 家族以外の男とは目も合わせられなくなったと言う。 担当医と父、俺、後は親戚のオジサンや甥っ子くらいは平気だと言うが、元同級生や先輩男子はもう、こわくなるんだと言っていた。 母も変わった。 近所の人達が2、3人で話をしている光景を見ると、瑠衣の悪口を言われてるように見えてしかたないのだと言う。 そして、父が帰ってきた。 父は母と俺たち兄妹を捨てて出ていった先で1度結婚をしたらしい。 だが、一緒になった女性が根っからの男好きだったらしく、あっさり捨てられて、最近では1人だったと話した。 だが、戻りたくても戻れなかったのだとか。 それを母が戻って来て欲しいと打ち明けたそうだ。 父と相談する。 「お父さん。母さんも妹もこのままここに居たら、ダメになる。引っ越さないか?俺は仕事なんか変わっても平気だ」 「ああわかった。引っ越そう。誰も知り合いの居ない所に行こう。」 「それには、瑠衣がさっと引っ越せて、部屋に閉じこもれる環境を先に整えよう」 「それは賛成だ。父さんも同じことを思った。まずは、母さんにも瑠衣にも打ち明けよう。まずはそれからだ。」 母さんも瑠衣も賛成だった。 こうして、俺は退職届を出して、少ないが退職金を得た。 父はもともとフリーランスでインテリアコーディネーターとか言う、自由業なのだそうだ。 父いわく 「俺の仕事はどこに居てもできる。」のだそうだ。 こうして、俺と父さんはまず 行き先を決めた。 瑠衣も母さんも都会じゃなくて、自然豊かな所でゆっくり暮らしたい。 そう言った。 俺はけんがいなんてほとんど出たことがないから、父任せだ。 「そうだなー。自然豊かなら。山なら長野だし、海なら瀬戸内やあっちだな。沖縄とかもいいぞ。あーでも、あれだ。俺の仕事に支障がでるな。やっぱり本州だ。本州にしたい」 それなら、長野はどうだろう? 地図で見る限り、本州のほぼ真ん中だし、調べると空港もあるみたいだし、JRが2本伸びている。 観光名所も多い。 「なぁ瑠衣?ちょっといい?」 「なに?お兄ちゃん?」 「瑠衣は、海と山とどっちに住みたい?」 「わたし、泳げないから山がいいな」 「わかった。」 「母さんは?」 「あたしはどっちでもいい。瑠衣が笑えばどこでも」 決まりだ! 「母さん?父さんとちょっと長野に行ってくる。アパートじゃなくて一軒家を借りる」 「うん。お願いね。瑠衣の事は心配しないでね」 長野に向かう車の中、俺に電話がはいる。 「警察からだ。もしもし?」 犯人が捕まった。 4人居たらしい。 瑠衣が残忍な拷問を受けているDVDも押収できたと話してくれた。 細かい裁判の予定やこれから忙しくなると言われた。 そして、瑠衣の様子や母さんの様子改善の為に引っ越す旨を伝えた。 「なるほど、それがよろしいでしょう。連絡だけは取れるようにお願いします。」と電話を切った。 ふと父の横顔を見る。 やはりな。 この話題だけで父も俺も怒りを覚える。 「なあしょうた?ちょっと休もう。コーヒーでも飲もう」 「うん」 高速のサービスエリアに入り、コーヒーを買う。 スゥーッ ハァアー 「なんだしょうた?タバコ吸うのか?」 「うん。瑠衣の事件で本数増えた。」 「そうか。俺にも1本くれ」 「とうさも吸うの?」 「いや。辞めてた」 「はい。」 「ん。」 シュボッ スゥゥーーッ ハァアーー 「なぁ?しょうた?」 「ん?なに?」 「わすれられるか?」 「無理だね」 「ああ、無理だ」 「瑠衣・・・」 「しょうた?いま、何考えてる」 「ん?なんにも」 「そっか。俺はな、犯人をぶっ殺してやりたい」 「父さん・・・?それは俺も一緒だよ」 「だよな・・・」 「でも出来ない。やったら瑠衣と母さんが悲しむ」 「ああ、だなしょうた。」 「うん」 「さて、行くか?」 「うん。行こう」 瑠衣も母さんも そして父さんも、俺も。 何となく、少し綻んだ部分が悲しみの中でひとつになった気がした。 長野に越して、瑠衣は暫くは家から出られなかったが、目の前に広がる屏風の様な山に心を奪われた。 母さんは、家にいると腐ると言って、パートを始めた。 俺は父さんの仕事を手伝う事にした。 瑠衣のスマホが鳴る。 「誰から?」俺が聞くと 「愛ちゃんだよ」 「そうか。愛ちゃんは心配してくれてるのか?」 「うん。いつも励ましてくれてる。」 「良かったな。いい友達だ」 「うん。」 瑠衣は愛ちゃんに電話をした。 少しだけど、瑠衣が笑った。 瑠衣は電話を切ると 「お兄ちゃん?愛ちゃんがね、遊びに来たいって。いい?」 「悪いことなんかない。呼んであげなさい。」 「うん。ありがとう」 母さんと父さんに話した。 ふたり、喜んでいた。 愛ちゃんは、とてもいい子だ。 1泊して、瑠衣もたくさん笑ってた。 帰りは父さんが愛ちゃんを送って行った。 「瑠衣?どうだった?愛ちゃんと楽しかったか?」 「うん。」 「なら、良かった。」 とある朝。日曜日。 借家だが、庭がある。 暖かい春。 3日前から父さんと俺で庭の草刈りをして、石も拾った。 そこへ、ビニールシートをひいて家族で目の前のアルプスを眺めて庭でピクニックをした。 サンドイッチや卵焼きに焼いた肉に、色々と母さんが作った。 瑠衣も少し手伝ったと母さんが言った。 父さんは、お酒を飲まない。俺も飲まなかった。 「なあ瑠衣?長野。気に入ったか?」 「うん。山が好き」 「でっかいよな」 「うん。でっかい」 母さんもうっとりとアルプスを眺める。 「ねえお兄ちゃん?」 「なんだ?」 「お兄ちゃん、変わったね」 「そうか?」 「うん。男らしくなった。かっこよくなった。」 母さんも頷いた。 「そうかな?自分じゃわかんないよ」 「お兄ちゃん?お母さん?お父さん?ありがとう。あたし、頑張る」 「瑠衣・・・」 瑠衣は、ありえない苦痛を乗り切った。 母さんも苦しかっただろう。 父さんが居なかったら。 父さんがあの時に現れなかったら。 考えるだけで恐ろしかった。 だけど、いま、こうして4人揃った。 そしてなにより。 家族のきずなは、より強く。 より固く。 「お兄ちゃん!早くっ!置いてくよ!」 「ちょっとまて・・・はぁ!はぁ!」 「頼子も、瑠衣!もっとゆっくりー!」 「早く!早くっ!凄く綺麗なんだからーっ!早く!」 「はぁ・・はぁ・・父さん・・」 「はぁ・・はぁ・・しょうた、お前、若いんだから、先に行けよ・・はぁ・・」 「どっこいしょっと!父さん。ほら、見えて来た」 「はぁ・・はぁ・・キッツ!」 「ほら、もう瑠衣達はテッペンついてる。行こう」 「ああ、ホントだ。よし、行こう」 アルプスの一角 頂上の眺めは最高だった。 瑠衣も母さんも父さんも俺も。 圧巻な景色に思わず笑みを零して泣いていた。 「今ぁ~わーたしのー。ねーがーい事がぁーかなーうーなーらばぁー・・・」 「つばさーがぁ、ほしいぃ」 翼をください。 翼をください。 瑠衣?お前は手に入れたよ? 羽ばたけよ、瑠衣! 家族がいるよ! さあ、いけ!瑠衣!
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2025/01/10 01:36:02(MNTswpqf)
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