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淫獣達の艶かしき戯れ7
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:淫獣達の艶かしき戯れ7
投稿者: 彩未 ◆sPqX4xP/g6
木枯らしの強い日だった。
午後、徹は出版社の編集部と打合せのため都内に出掛けていた。
リビングの暖炉で火が燃えている。
茜と加奈子は一緒に動物や昆虫の図鑑を見ていた。
茜が突然、加奈子に問うた。
「ママ、こうびって何?」
茜が広げたページには動物や昆虫の交尾中の写真があった。
娘から初の性教育を迫られた加奈子は動揺した。
が、誤魔化すのは適当ではないと思った。
性教育は一度に全部を施すのではなく、子供の興味関心に沿って情報を与えた方が効果的とも言われる。
「あのね、オスとメスがお互いを好きになると、躰を一つに重ねて交尾するの」
「ふぅん、それで?」
「するとメスから卵や赤ちゃんが産まれるの」
「躰を重ねるだけで赤ちゃんができるの?」
「……だけではなくって、オスがメスの躰に赤ちゃんのモトを送り込むの、精子っていうのよ」
「どうやって送り込むの?」
茜の質問は止まらない。
「オスはね、ペニスっていう管をメスの躰に入れるの、その管を通してメスの躰に精子を送り込むの」
「私もパパとママが交尾したから産まれたの?」
「……そう、でも人間の場合は交尾ではなくセックスっていうの」
「パパのペニスってどこにあるの?」
「一緒にお風呂に入ったとき見てるでしょ、足のつけ根の……」
「おちんちんのこと? おしっこが出る所じゃないの?」
「そう、でも、セックスする時は精子が出るの」
「だってフニャフニャしてるよ、ママのどこに入れるの?」
「セックスする時はおちんちんが硬くなるの、硬いおちんちんをママの足のつけ根の割れ目に入れるの」
「割れ目……?」
「茜ちゃんにもあるでしょ」
「おまんまんのこと? おしっこが出る所でしょ、入らないよ」
茜は不思議そうに尋ねた。
「おしっこが出る所の少し下に小さな穴があるの、そこに入れるのよ」
「私にもあるの?」
「あるわ、まだ小さすぎて分からないかもね、……でも、そこが赤ちゃんが産まれてくるところ、膣っていうのよ」
「赤ちゃんが産まれる時、痛いんでしょ? セックスの時も痛い?」
「セックスの時は痛くないわ、その反対でとっても気持ちいいの」
「え?」
茜が驚いたような声を上げた。
「気持ちいい」という意味が茜には理解できないようだった。

日本の性教育は欧米諸国に比して遅れていると言われる。
教科書でも副読本でも「男女が結ばれると」もしくは「男女が性交すると」、「精子が体外に出されて」、「卵子が受精する」などと記される。
意欲的に編纂したと思われる副読本でさえ「皆さんがオチンチンと呼ぶペニス」なる記述が見られる程度だ。
そして、妊娠過程、コンドームやピルを用いた避妊、性暴力や中絶、LGBT等々が教えられる。
これは、欧米諸国も含めて同じだ。
ユネスコの「国際セクシュアリティ教育」ではこのような「包括的性教育」が推奨されている。
その結果、4割近くの国で初体験年齢が上がり、逆に下がった国はなくなったと報告している。
このような性教育では性交に対する危険性のみが強調され、子供達に恐怖感や嫌悪感を植え付ける可能性が高い。
確かに性暴力や中絶や性病は人間を不幸にする。
注意を促す必要はある。
オランダの小学校では勃起ペニスの模型にコンドームを被せる実習もある。
が、そこまで必要かどうかはこの際おいておく。
性の先進国スウェーデンやアメリカの性教育と日本のそれの違いは何か。
それは、性交で得られる性的快感に関して一切触れない点だ。
避妊や性暴力の問題だけを扱うのは不自然だ。
なぜ男と女が性交をするのか。
教科書では、男と女は結婚して「子供を作りたいから性交する」かのように教えられる。
実際はそうではない。
男と女はたまらない快楽を味わえるから性交するのだ。
女の膣に射精する強烈な快感を味わえるから男は暴力をもってでも女を犯そうとするのだ。
性交する快感がどれほど気持ちいいか。
性交する男と女はどのような痴態を晒して快楽に溺れるのか。
そういったことには一切触れない。
敢えて回避する。
または隠す。
日本のそのような性教育の結果、「性交は子供と作るためだけにするもので、それ以外の性交は不潔」と考える中高生や学生が増加する。
現在ではネットが普及してかなり改善された。
が、少し前までは、子作りを目的としない「自慰行為は悪いこと」という認識があった。
北欧諸国の教科書には「クリトリスは特に刺激に敏感な部位で、男根の勃起組織と同じ」なる記述がある。
が、日本で「クリトリス」を記載した教科書はない。
日本人の教育界では、「膣で得られる性感が正しく、クリトリスによる性感は正しくない」らしい。
これは未開発諸国の民族にも見られる現象だ。
「割礼」がその例だろう。
また、現地民族と結婚した先進国の妻が夫にAVを見せると、「子作りと関係のない性交は不潔」として嫌悪感を示されたという報告もある。
一方、日本はポルノ大国として世界から揶揄される。
コンビニでは女子高生や人妻のエロ本が子供たちの目に晒されている。
それが日本の現状だ。
聖書によれば、神は、生命の繁殖を目的として交尾や性交を形作った。
単なる義務労働では交尾や性交は減少するため、快楽を付随させた。
神が偉大なる点はそこにあった。
文化文明を発展させ、智慧や知識をつけた人間は、繁殖を目的を目的としない性交の快楽を追究した。
アメリカのドラマや映画では、夫婦が寝室でセックスをする声が漏れていても、子供たちは平気でリビングでテレビを見たり遊んだりしている。
「仲がいいな」とか「楽しんでいるな」といった程度の感覚だ。
国によって文化や社会背景に差異がある。
日本がアメリカを真似る必要はない。
が、性交の快楽を性教育から除外することは改善が必要だ。
男女の恋の芽生えから性交の持続、快楽の絶頂に至るまでの過程を教えない性教育は、主人公のいない冒険小説のようなものだ。
古来から現今に至るまで男女の恋を描いた小説や絵画や彫刻は夥しい数に上る。
私的な感性を刺激し、魅惑的で神秘的でエロティシズムをもつものが、より推奨され後世に受け継がれていく。
人は、教育されずともこれらを読んだり見たり聞いたり経験したりすることで身につける。
が、これを性教育から意図的に外すとなると、そこにおける大人達の屈折した感覚や歪みを子供達は敏感に嗅ぎ取る。
品行方正な顔をして性教育する大人が裏でどんなに淫らでふしだらで破廉恥な性交や痴戯に耽っているか。
それを子供達は知っている。
その欺瞞を敏感に嗅ぎ取るのだ。
徹と加奈子は性交の悦楽を知り尽している。
男と女が躰を愛撫し合い、躰を重ねて性器を擦り合う快楽。
その魅惑的で神秘的な素晴らしい行為。
日夜、その素晴らしさを讃美し感謝しつつ交わっている。
茜がその発端となる交尾や性交に興味を持った今、誤魔化したり隠したりすることなく、茜の興味に沿って教えていくのが正しい性教育だと考えた。
 
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2021/03/14 19:51:26(uaTdnHuH)
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