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1:見せる女。②
投稿者:
カフカ
◆52.FsIEe7o
早智子がコーヒーチェーン店を出た時、時刻は17時を過ぎていた。
相変わらず夏の日差しが強く蒸し暑い。 身体が火照っているのはもちろん気温のせいだけではない。 写真の男、勃起した陰茎を握り締め自撮りする男と会う、その非日常が彼女の身体を火照らせていた。 彼が指定した「〇〇駅」は早智子がいた街から3駅離れていた。早智子は暑い街を抜け最寄り駅に着くと女子トイレにかけ込んだ。 メイクを直し鏡に映る自分を見つめる。鼓動が早い。緊張ではない興奮が彼女の心臓を動かしていた。 グリーンのシャツに、くるぶしまでの白いパンツ、それにグレーのパンプス。早智子は(この服装で、写真の彼は興奮するのだろうか…)と考えていた。好みはあるだろうが、ミニスカートや胸元がはだけた服装のほうが興奮するではないか、そう考える自分。女としてみてもらえる、自分を見て興奮してもらえるかも知れない喜びを早智子少し感じはじめている。と、早智子は個室トイレに入りグリーンのシャツのボタンを外し、ブラジャーを掴むと、それを身体からはずした。ブラジャーをカバンにしまうと、またシャツののボタンを閉めた。 主人には小さな胸だと揶揄された事がある。確かに大きくはない。彼女はシャツの上からノーブラの胸を掴むと、少し考えてからボタンをいつもより一つ外した。 鏡の前に立つとまた髪を整える。グリーンのシャツのボタンがいつもより一つ開き、胸元の肌が見える。周りからすれば暑さで少し解放したシャツにしか見られない程度。それでも早智子には淫らにみえた。ブラジャーを外している。間近で凝視すれば胸、チクビが見られてしまうかも知れない。彼女は駅のトイレをでると恥ずかしそうに駆け足でホームへ向かった。 電車を待つ間、周囲の男達の目が気になった。胸元が見えそうと言っても露出をしているわけではない。それでも早智子には「見られている」そんな羞恥が襲う。 興奮していた。 女として生きている、その気持ちが嬉しかった。 電車がホームに到着すると彼女は乗車し少し気持ちを落ち着かせ、スマホを開く。男からメッセージが届いていた。 「〇〇駅、〇〇百貨店11Fレストランフロアの多目的トイレ」 早智子も良く買い物に行く大きな百貨店だった。 (あんな場所で…) 娘と利用した事のあるレストランフロア。フロアは広く、少し高級なお店が多く、トイレは綺麗だっと覚えている。 17時台。夕飯前でフロアには人がまばらだからかも知れない。早智子は「わかりました」とだけ返信した。 〇〇百貨店は駅から歩いて2分もかからなかった。電車車内もそうだったが、駅構内も人が多かった。大きな駅だからだろう、百貨店も人が多い。エレベーターの前に立つと心臓の鼓動がより早まった。 「何階ですか?」 品のある老婆に聞かれた彼女は一緒驚いてしまった。まるで自分が悪いことをしているかも知れない、そう感じたからかもしれない。 「11階をお願いします。ありがとうございます。」 品のある老婆にそう返事する。 11階のレストランでママ友とお茶の待ち合わせをした人妻ではない。11階の多目的トイレに待つ勃起した陰茎をいじる男に会うために、ブラジャーを外した人妻だと誰が思うだろうか。 早智子の興奮が高まる。彼女の日常と非日常が交わっていく。 11階で降りたのは早智子だけだった。 17時半前。広いレストランフロアに人はまばらだった。エレベーター前のフロアガイドに目を向ける。トイレは2箇所あったが、多目的トイレは1箇所だけだった。 (ここか…) 早智子はスマホを開くとアプリを起動させ、男にメッセージを送る。 「レストランフロアに着きました。いまからそちらへ行きます。」 すぐに既読になった。間髪いれずに返信がある。 「ドアを5回ノックしてください。」 周囲にバレないため、本人であることの合図であろう。早智子はスマホをカバンにしまうとフロアを歩き出した。 大きな生け花を囲うようにベンチがあり、暑さから逃げてきた人達、または待ち合わせだろうか、人が何人か座っている。人に会う度に鼓動が高まった。 トイレはレストランフロアの奥深くに設置されていた。食事とトイレ、引き離したいのであろうか、周囲を気にする早智子には好都合だった。 男子トイレ、女子トイレのマーク、その奥に多目的トイレがある。 彼女は一旦女子トイレに入り、鏡に映る自分を確かめた。髪を整える。グリーンのシャツの胸元を少し広げるともう一度鏡を見た。 身体が火照っていた。心臓の鼓動が早く落ち着かない。ふぅ、と息を吐きカバンいれていたペットボトルからお茶を一口口に入れるとカバンにそれをしまい、女子トイレをでた。 多目的トイレはかろうじて監視カメラが向けられていなかったが、死角にあるわけではない。 多目的トイレのドアは施錠中だった。押しやすいボタン。「開」と「閉」のボタンの下には利用中の文字が光っていた。 周囲を確認してから彼女は多目的トイレのドアをノックした。 トンットンットンットンットンッ。人差し指を曲げて5回叩いた。 ガチャっという音とともに「開」のボタンが光り、ドアが自動でゆっくりと開いた。 少し怖い気持ちがあったが、多目的トイレのドアが自動で開くとそこにはアプリのプロフィールでみたままの40代後半の男、スーツの上着は脱ぎ、ネクタイとシャツ、ズボンのチャックは上がっていた。 彼は小声で何か言ったが早智子には聞き取れなかった。早智子は自ら多目的トイレ内に入った。 ドアが閉まっていく。髪を耳にかけながら上目遣いで男を伺う彼女。呼吸が荒かった。 「はじめまして」と早智子が言ったが、男は人差し指を自身の口元に添えて、小声で「静かに」と言った。思わず口を手で抑える早智子。顔が赤い。 男はネクタイを締め、上着を壁のフックにかけている。この猛暑の中でネクタイに上着を羽織っているのは彼が営業回りをしているからだろうか、早智子は少し彼の日常を考えていた。 「カバンはここに。」 小声で男が言うから、早智子はカバンをオムツ替えの台に置いた。 男が小声で言う。 「お綺麗ですね。」 早智子は口元を手で覆い、首を振る。 お世辞だろうが嬉しかった。 男は自ら自身のズボン、その股間に手をあて、さすりだす。 卑猥な目で早智子の開いた胸元を見つめていた。 「みてください。」 男が小声でそう言い、チャックを下ろしていく。 チャックの中に手をいれて勃起した陰茎を掴みそれを引っ張り出す。晒される陰茎。 早智子は口元から手を離し目を男の股間に向けていた。 「アァ」早智子が思わず声を出した。その声自体、火照っているかのように、生暖かさがある。 陰茎を手でこする男。男の目には彼女のグリーンのシャツからうっすらとみえる胸元。その奥に、興奮して赤黒く立った早智子のチクビがみえた。 …続く。
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2018/08/08 15:57:04(weQaa07O)
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