『遅くなるわ。待ってないで良いから。』
身体に貼り付く様な薄いベージュのスーツを纏った妻は書類の詰まったバッグを抱えると足早に部屋を出て行く。
玄関の開閉される音が聞こえた後、主を失った様に家中が静寂に包まれいつもの様に孤独を感じた…
離婚歴のある妻と私が籍を同じくしたのは今から5年前だった。
性格も考え方も正反対の妻がなぜ自分を選んだのか当初は疑問に感じていた。
社交的で派手な印象を与える妻の周りには常に私以外の男の陰を感じていた。
外泊が重なり、倒れ込む様に帰宅した妻の身体から漂う男の匂い…
脱ぎ捨てられたショーツの汚れを確認しながら裏切られている喪失感を感じずにはいられなかった。
そして、妻の目を盗み妄想を重ねながら一人で慰める暗い愉しみ方を覚えたのだった。
『フフ…いつもそうやって、遊んでたのね。』
まだ温もりが残るショーツに付着した体液を硬くなったペニスに塗り付けながら夢中でショーツの汚れを舐めまわしていた時、妻の声が冷ややかに響いたのだった。