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逢瀬
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:逢瀬
投稿者:
約束の待ち合わせ場所。腕時計はちょうど2時半。
駅前のコンビニの前に、メールで知らされた通りの白い車が停まっていました。
小走りに走り寄る私に気づいて、○○さんは車から出て私に手を振りました。私も小さく手を振り、車の横に近づくと、彼は素早く助手席側に向かい、ドアを開けて私をエスコートしてくれました。

「綾さん、意外と早かったんだね、無理したんじゃないかい?」

「そんなことないわ、ゼミ会は終わったし、みんなは2次会へって行ったけど、私は家があるからって抜け出したの。それに・・」

「それに、・・なに?」

「1分でも早く○○さんに会いたかったから・・・」

「綾さん、ありがとう、うれしいよそう言ってもらえて」
私の右手を優しく握りしめてくれました。

「それより、○○さんこそずいぶん待ったでしょう?」

「いや、僕もちょうど今着いたところだよ」
彼の穏やかな笑顔が、私にも伝染して思わず微笑んでしまいました。

「さぁ、行こう」「綾さん、今日は何時頃までに家に帰ればいいの?」

「主人にはなるべく早く帰りますって言ったけど、せっかくだからゆっくりしてくればって言ってくれてたから、最終に間に合えばいいかしら。義母も今夜はお泊りケアにしてもらったから・・」

「わかった、それじゃ△△駅を7時頃に出ればいいんだね?」
小さくうなずいた私を確かめると、車を静かに発進させました。

義父の葬儀やら法事や身辺の後片づけも、あらかた落ち着いた11月のある日のことでした。
ダイレクトメールが大半を占める郵便物の束の中から、1枚の往復ハガキを、主人が筋ジスの病気で不自由な指でつまみだしました。
それは友人から私宛のゼミ会へのお誘いの手紙でした。
私の短大時代のゼミの担当教授が、文化勲章を受賞されたとかで、先生の喜寿の祝いを兼ねてお正月明けの日曜日、ゼミ会を開催するとの事。その出欠案内の内容でした。

私は短大時代を中部地方の小都市で過ごしました。
卒業を待っての主人との結婚でしたので、ゼミ仲間ともついつい疎遠になり、何度か集まりの催しのお誘いを受けたのに、最近では主人の病気や認知症の義母の世話と、家庭の事情もありしばらく参加できずにいたのです。

「綾、折角だから行ってきたら・・・、親父のことも一段落したし、お前も随分頑張ったんだから、ご褒美と言っては何だが、骨休めと気分転換にどうだい?!」

私が何も言わずため息をつきながら、ダイレクトメールの束の上に投げ出すように置いた、往復はがきを見て主人が言いました。

「でもぅ・・・」
ためらう私に主人が続けます。

「あぁ、俺やおふくろの事だったら気にしなくっていいよ、ケアサービスに頼めば何とかなるからさ」

「でも、私だけ悪いわ」

私は少し考えて、ひとり言のようにつぶやきました。
「そうね、久しぶりだから行ってみようかな。みんなにも、先生にも会いたいし。それに日帰りならお義母さんにも1日だけ我慢してもらえば・・・あなた、本当に行っていいの?」

「いいとも、そうだよ、そうすればいい」
主人は自分ごとのように、目を輝かせてうなずいています。
家のすべての取り仕切りを私に任せていることへの負い目からか、私のゼミ会への参加を心から賛成しています。

「本当にいいの?」
もう一度念を押します。

「もちろんだよ」
主人はなんどもうなずき賛意を身体で表してくれました。

私は踊るような気持ちで参加の欄に○をつけ、返信用ハガキを切り外しました。
二次会への参加の欄には×をつけて。

『これで○○さんに会える・・・』

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2012/03/07 17:34:36(JXigRja9)
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