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再会
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:再会
投稿者: (無名)
 深田洋美と再会したのは、別れてから四年後のことだった。
 彼女とは三年間付き合った。
 一年目は、会うたびにドキドキした。彼女は、手をつないだり、抱きしめ
たりするだけで、無口になって、顔を紅くしてくれた。そしてそんな時に目
が合うと、にこっと微笑みかけてくれた。その顔がとても綺麗だった。ちょ
うど一年目の記念日に、エッチしたいと打ち明けると、やはり紅い顔をし
て、しかし頷いてくれた。僕も童貞だったから、つながるまでは困難を極め
たけれど、二人、一つになった、あの興奮と幸せは忘れられない。
 二年目はある程度落ち着いたが、愛の深さは相変わらずだった。自惚れか
もしれないが、彼女も僕を愛してくれていた。僕と会うとき、彼女はいつも
笑顔だった。その眩しい笑顔を見ると、僕の顔の筋肉も自然と緩んだ。一年
目よりは少し大胆になったかもしれない。二人で上野に行った日の夜、上野
公園の噴水の前でキスをしたり、横浜に行ったときは、山下公園の眺めのい
いところでキスをしたりした。そうすることで、恋人同士としての気分を満
喫していた。
 三年目になると、僕は僕のやりたいことのために、彼女と離れなければな
らなかった。僕は、離れていてもずっと大好きだよと言って、それまで居た
東京を出た。僕の方は、それでも愛情は何一つ変化しなかった。それどころ
か、頻繁に会えなくなった分、以前よりも増幅した。毎日、電話やメールを
した。当初、彼女はそれに快い調子で応えてくれた。ひとつきに一度くらい
会いにいくと、しんから喜んでくれた。
 しかし、そうなってから半年くらい経つと、だんだん彼女は素気なくなり
はじめた。けれども、僕は、離れればある程度そうなるのは仕方ないと、あ
まり気に留めなかった。いや、気に留めている余裕がなかった。僕も僕で、
地元を離れて一人でいれば、色々と不平や不満があり、他人を思いやる余裕
が、以前よりはなくなっていた。
 別れることになる一カ月前、彼女から別れを告げられた。他に好きな男が
出来てしまったらしかった。やはり、東京にいる年頃の女の子が、遠くにい
る彼氏のことを思い続けるというのは難しいことなのだろう……今ではそう
思えるが、当時、僕にはそんな風に考えるゆとりはなかった。当然、僕は拒
否した。しかし彼女は頑固だった。別れを告げた以上、自分や相手の気持ち
がどうであれ、ずるずる関係を続けるのは申し訳ないというように考えてい
るらしかった。今でなら、そういう彼女の気持ちにも感謝できるが、当時の
僕は、好きなのに別れなければならない不条理に、どうしても納得できなか
った。
 別れを告げられてから、僕は毎週、休みのたびに彼女に会いに行った。メ
ールをたくさん送り、長電話もよくした。彼女を引き止めるのに必死だっ
た。しかし、僕のそれらの行為全ては、彼女にとって苦痛でしかなかった。
彼女ははじめ、僕をどうにか納得させようと考えているようだったが、どう
やら、しつこい僕の相手をするのに疲れ、諦めてしまったらしい。ついに彼
女は、僕からの電話やメールを拒否した。それでも、強引に会おうと思え
ば、会いに行かれた。しかし、そこまで拒絶されながら、そこまで図々しい
ことをする勇気はさすがになかった。心は全く諦められていなかったけれ
ど、諦めざるを得なかった。
 その後僕は、軽く二年は引き摺った。毎日彼女を思い出し、愛おしく思っ
たり、勝手に別れたのを恨んだりした。全く身勝手な感情だった。
 二年と少し経ったある日、彼女のことを思い出して、無意味に感情を動か
されることがなくなったなと気付き、やっとふっきることができたと実感し
た。
 それからしばらくは、一人で仕事と趣味を楽しんで過ごした。近くに好き
になる女もいなかったし、彼女が欲しいという欲求もほとんどなかった。
 そして、別れてからもう四年が経とうというある日、ふと彼女のことを思
い出し、今頃どうしているだろうかと気になったので、電話をしてみたくな
った。今の僕なら、彼女を苦しませるようなことを言ったりしたりせずに済
むだろうと思った。彼女に謝りたい気持ちもあった。携帯電話は、半ば予想
通り、番号が変わっていた。時間が経っているので、彼女も家を出ているか
もしれなかったが、実家にかけてみるしかなかった。居なければ居ないでし
かたないと思った。
 数回コールすると、つながった。彼女の母親だった。
「こんばんは。佐藤ですけど…」
「あら! お久しぶりね。元気ですか?」
 何と彼女の母親は、僕の声を覚えていたらしい。ありふれた苗字を言った
だけで僕と判別してしまった。
「お久しぶりです。元気です。あの…」
「ええ。洋美ね。いますよ。ちょっと待っててね」
 話が早い。何の警戒もしていないようだ。彼女は、僕と別れた詳しいいき
さつを母親には話していないのだろうか?
 すぐに彼女が電話に出た。
「お久しぶり! 元気?」
 予想をはるかに上回る明るさなので、僕は面食らった。出てもすぐに切ら
れるか、声すら聞かせてくれないかと思っていたから、彼女の口調は意外だ
ったし、嬉しかった。ついつられて、こっちの調子もあがった。
「おお。元気元気。そっちは?」
「元気だよ。本当に久しぶりね」
「だな。ええと、あのさ」
「なに?」
「その……色々とごめんな」
 少し間を空けて、彼女は、
「何が?」
 と言った。わかってて言っている。僕も敢えて、真面目に答える。
「傷つけるようなこと、すごいいっぱい言っちゃって」
「ううん。もういいよ。私もね、本当は、和也がちゃんと納得できるよう
に、最後まで話し合いしなきゃいけなかったのに、突き放したままにしちゃ
って、ずっと悪いと思ってたの。元気にしてるか、落ち込んでないか、ずっ
と心配だったんだけど、こっちから連絡する勇気も出なくて」
「そりゃ、落ち込んださ」
「うん……ごめんね」
 断然、悪いのはこっちの方なのに、自分が悪いと思っている部分は素直に
謝る。昔とちっとも変わっていなくて、大好きだった彼女のことを思い出
し、嬉しくなった。
「あ、いや、悪いのは俺なんだから、謝らないでよ。落ち込んだのは事実だ
けど、その落ち込みのおかげで、落ち込ませてくれたおかげで見えてきたの
もあるし、今では感謝してるよ」
 彼女は黙っている。僕は続けた。
「今思うと、別れる直前の俺は、自分でも駄目な奴だったと思うよ。愚痴っ
てばかりだったし、自分のことで精一杯になって、お前のことちっとも気に
かけてやれなかったし」
「それは私も同じだよ。和也が大変なの全然考えないで、自分がさみしいか
らって、そのことばかりで」

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2007/05/12 22:24:12(Waktk4cG)
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