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〜まえがき〜
⚠書いた人はオタクです⚠某刀ゲームの二次創作夢小説です⚠暴力などこじらせ性癖の描写多々⚠自分オナニ用自己満作品です⚠ゲームやキャラご存知のかたは解釈違いご容赦ください⚠誤字脱字ご容赦ください⚠たぶんめちゃくちゃ長くなります⚠未完ですが応援もらえたらがんばります優しいレス歓迎⚠エロじゃないストーリー部分もがっつりあります⚠似た癖かかえてるかた絡みにきてください⚠ —---------------------- 情けなくも一抜けして、後悔と罪悪感に打ちひしがれている。 若い兄弟はまだまだ精力旺盛で、獣が玩具にじゃれつくように何度も体位を変えて、何度も射精して、女の中も外も隙間なく汚し尽くしていく。 別に見ている必要はない、さっさと帰ればいいのに、全身は気だるく鉛よりも重く、ソファに沈んだまま、ただそれを鑑賞していた。 3カ所の穴をかわるがわる攻め立て、こと光世にいたっては、ときに頬を平手打ち、ときに喉を締め上げて、皮膚に食らいつき食いちぎり、血を舐めて啜るなど、その行為は常軌をいつしていた。 オーバーキルに陥りかけるところで、征羽矢が律する、を、繰り返す。 ピンク映画を観ているのではないかと錯覚するほどに、現実味のない、目の前で繰り広げられる光景。 どれだけ時間が経ったのか、認識していなかった。 スマホのバイブが鳴って、ハッとした。 『もしもし?わたしもう出るよ?遅くなるのはいいけど、メッセは入れてくれると助かるよね、』 「…ごめん、お得意様に呼ばれて飲んじゃって、酔っ払っちゃって、」 『珍し!ねぇ、悪いけどDVD返しといてくれる?あと夕方、お迎え、』 「分かった、ほんと、ごめん、反省してます…」 『よろしい!帰り、気をつけてね、じゃ。』 ツー、ツー、と、しばらく、ビジートーンを聞いていた。 とうに始発が走っている。 俯いて息をついた。 「…っん、はぁ、そろ、そろ…俺、ダメだ、引っ越し、あるんだっ、った…っ、」 征羽矢が、とうに気絶している女の臍の上に体液をぶちまけて首を振った。 「…あー…もう、疲れたぁ…もう、むり、なんも出ねぇ…」 のそり、と立ち上がりカウンターの中へ入ると、適当なグラスに生ビールを注いだ。 ゴッ、ゴッ、と喉を鳴らしてそれを飲み干し、手の甲で口元を拭う。 「ぷはっ、はぁ、きっちぃー!…兄弟は、元気だなぁ…」 光世は、仰向けの腹の上に女を乗せて執拗にアナルを犯していたが、征羽矢が退けたのでそのまま起き上がり覆いかぶさるようにして、バックへと体位を変えた。 「ほっといたらいつまででもヤッてるぜ、こりゃ、」 城本にジンジャーエールの瓶を手渡し、征羽矢は肩をすくめた。 「…俺は、帰る…」 「ははっ、それ、だいぶ前にも言ったぜ?覚えてっか?」 覚えている。 あのとき帰るべきだった。 瓶の飲み口を咥える。 「…これはさ、もう、こんなことはやめろよって、怒っていいかどうか、分かんないんだけど、てんちゃん、泣いてたよ?」 「そーだな、俺に、助けてって、言ってさ、かーわいいの。助けたげるわけねーのにな。」 目を細くして、心底楽しそうに、笑う。 こんなの、ホラーだ… ぞっとする… 「…それだけ?」 「どゆ意味?それだけだべ?泣いてさ、やめてくれって暴れてさぁ、あんな弱っちいくせにな。主は基本なにされても抵抗しないからさ、リアクション少ないし、だからてんちゃんだと新鮮だよな!」 「…」 また、征羽矢ではないやつが話している…? だが、てんちゃん、と、呼ぶ。 混じり合っている? 「って、城本サンに言っても知らねーか、」 いや、征羽矢だ、だが… 以前よりも、だんだんと、刀の、なんだったか、そうだ、付喪神っていうやつの濃度が高くなっていっている? 「…てんちゃん、目、覚めて、あれは合意じゃなかったって言われたら、どーすんの?」 きょとん。 そんな効果音が、本当に聞こえてきそうなほどに、素で城本の発言が理解できないという顔をした。 「…?、言うわけねーじゃん、そんなこと。」 女が、かの非人道的で非生産的なやりかたを望んでいると、疑ってもいないのだ。 「あんな…あんなに、嫌がってたのに、無理やり、ふたりがかりで…」 「おっ、自分はやってねぇってか?」 にやりと唇を歪め、挑発してくる。 「そうじゃ、そうじゃない、けど…」 同罪、か。 床がバラバラと崩れて虚空に放り出されるような感覚。 ゲームオーバーのときに見る景色だ。 「てんちゃん、喜んでチンポ食ってただろ?だいじょぶだって!いつものこと!」 「…とにかく、帰るわ…あれ…止めろよ、いいかげん…」 苦々しく吐き捨て、光世を見る。 意識を失った女はもはやただのダッチワイフかオナホである。 それでも光世は汗を弾かせながら激しい抽送を繰り返している。 長い前髪が表情を隠しているから、どんな顔をしているのかは分からない。 血走った目をした性犯罪者のようであるのか、薄く笑みをたたえた支配者のようであるのか、はたまた苦痛に歪んだ賢者のようであるのか、無機質で無感動な哲学者のようであるのか。 征羽矢もつられて、視線を投げる。 兄はいつからあんなふうな、主人の尊厳を破壊するような儀式を好んでいただろうか。 初めて手入れを受け入れたあとに、他の刀たちに誘われるがままに主の寝所を訪ねた夜、その翌朝、兄は、ひどく怯えていた気がする。 なにがあったのかと問う弟に、ゆるりと首を振り、なにも語らず、蔵に引きこもってなかなか出てこなかったのだ。 あれも、夏だった、郷愁、風に揺れる立葵。 水桶の中のラムネの瓶がぶつかり合う音。 蝉の声。 濃い影が土の地面に落ちて伸びている。 重い蔵の扉は、引くと、ぎぎぃ、と渋く鳴いた。 『兄弟、』 『兄弟、だめだ、俺は、きっと、』 『なんだよ、ぜんぜん分かんねーよ、それじゃ、』 『…許せない、俺は、あいつら…』 『あいつらって…鶴丸や明石のことか?』 『…正気じゃない…兄弟、俺も…俺も、ああ、なるのか…?…恐ろしい、よ…人の身というのは、ままならぬ、もの、だな…』 ピピピ… アラームが鳴る。 征羽矢はスマホの画面を見た。 「やべ、寝る暇なくなるわ、俺も帰ろ。」 あくびをして、後ろ頭をボリボリと掻く。 「あー、まぁ、そーね、あれは…どーすっかな…邪魔してぶっ飛ばされるの、やだしなぁ…」 そういう呟きが漏れ聞こえるということは、かつて諍ってぶっ飛ばされたことがあるのだろう。 そもそも、これ以上は危ない、という場面で征羽矢がストッパー役になっている様子である。 そうなるとぶっ飛ばされる頻度も伺い知れ、少しかわいそうだなとも思いはする。 城本は意を決して光世の肩を叩いた。 「…ミツヨさん、そのくらいに…」 光世は一瞥もくれない。 呼吸を荒げるでもなく、淡々と、女を犯し続ける… 「ミツヨさん!」 語気を強めるが、完全無視だ。 が、低く小さく囁いた。 「…ああ、あいらしいな、あんた…とても…あいしている…あいしているよ、なぁ、あいしている…」 光世でもそんな甘い台詞を言うのかという驚きと、いや、それ愛じゃないだろというツッコミが同時に浮かんで、相殺された。 征羽矢が大げさなため息をついたのが聞こえた。 城本の声がまったく届いていない兄に呆れているのだ。 「ソハヤくん、これ、」 振り向きながら言いかけて、はた、と止まる。 瞬間、征羽矢がコップの水を光世の顔面にぶっかけた。 なんなら城本もまあまあ濡れた。 前髪からポタポタと雫を滴らせ、光世がゆっくりと顔を上げる。 「おはよう、兄弟、朝だぜ?」 こんな手段を取るからぶっ飛ばされるんじゃないか? そう教えてやろうかと思ったが、もう付き合いきれない。 リュックを背負って裏口のドアを開けた。 世界はずいぶん前から目覚めている。 手足のビニール紐を切って2人がけのソファに寝かせてやったが、縛られていた跡がくっきりとついているし、鬱血して痣になっている箇所もある。 あちこち噛みちぎられて肌は裂け、顔も全身も衣服もありとあらゆる体液でドロドロに汚れている。 「おい、」 光世が呼びかけると、短いまつげが震えて、それから顔をしかめた。 「…ん、ぅ…」 なにかうめいてわずかにまぶたを上げる。 「…いっ、てぇな…」 薄目であたりを見渡して、ゆっくりと、体を起こした。 「…首バッキバキ…足、ガッチガチ…」 肩をぐるぐると回してストレッチをし、手首についた擦り傷に滲む血をべろりと舐め取って、光世を睨みつける。 「…ちょっと度が過ぎるんじゃないです?」 「…それは、すまなかったな…」 「ぜんっぜん気持ちこもってない…」 ソファの上で長座前屈をしようとするが、膝がかたくこわばって筋肉をうまく伸ばせない。 「…いてて…もう、マジで、これ、ほとんどレイプじゃないですか…」 「…レイプされた女は、そんなふうな言い方は、しない…」 光世はカウンターの中でミルを挽いていた。 香ばしく華やかな香りが舞い上がる。 傍らの小さな電気コンロでは湯を沸かしている。 まるで平和な休日の朝のような、穏やかなカチャカチャという生活音。 に、そぐわない、低レベルな会話。 「やだって、言ったのに!あー!もう!おしり痛いし!おなかの中がなんかうにょうにょするし!最悪…」 「…だが…何度も、気をやっていたようだが…?」 少し困ったように眉を下げ、なぜそんなに不機嫌にされるのか分からない、といった様子で、手元は着々とコーヒーを淹れる。 ついさきまで女の体内のさまざまな箇所を蹂躙し尽くしていた、彫刻ほどに造形の整った手である。 「さいあく!いっぺんしね!」 ギシギシと骨と筋を軋ませて立ち上がり、ブラウスのボタンを留め直そうとするが、そのうちのいくつかは失われていて、服としての機能を果たしそうにない。 せめてとスカートのしわを伸ばした。 のろのろと光世の正面に歩いてきて、カウンターチェアに腰かける。 肘を付いてだらしない姿勢で、静かな怒りと興奮の混ざった目で、俯いて陰になっている暗い顔を見上げた。 「…やめろと、うったえられたときに、やめたほうが、よかったのか…?」 光世の視界に、はだけた胸が飛び込んでくる。 薄紫色のブラジャーが丸見えだが、本人は微塵も気にしてはいないようだ。 「あのですねぇ、ふつう、女性がやめてって言ったらやめるんですよ?」 「あんたは、自分が、普通枠である、つもりか?」 「…その返事は、非常に難しいですが、この場合の『ふつう』は、『やめる』にかかってるんですよね。」 差し出されるコーヒーカップを受け取るけれど、猫舌なので当分は飲めない。 「…知るかよ…着替えを取ってきてやるから、コーヒー、飲んで待ってろ…」 光世がそのあたりにくしゃくしゃに置きっ放していたジャケットを羽織って言った。 「ええ?シャワー借りたいですけど、」 「兄弟が、先に上がったからな、便所で顔でも洗っておけ…」 言い終わる前に裏口のサムターンを回す。 几帳面な弟はわざわざ外から鍵をかけて帰宅したのだ。 どうだろうか、気狂いの兄とその恋人、こちらもまた気狂いだ、を、ふたりきりにして立ち去ったら、施錠する間もなくまたなにかやらかすと思われているのかもしれない、いまさら信用はない。 「さいあく!」 女は光世の背中に向かってふたたび怒鳴った。 「あとで、家まで送ってやる、から、少し辛抱しろよ…」 光世は考えている。 やめろと、うったえられたとき、本当に、やめるべきだったのか、を。 しかし、どうせそれでは、物足りないと罵られる未来が見える… どちらにせよなじられる運命なのだ、それならば自身の欲に従うまでだ。 この家にシャワーなど存在しない。 湯船に沸かした湯を手桶で掬ってかけるしか手段はない。 「手がものすっごく痛いんですよ、髪、洗ってくださいよ?」 女が頬を膨らませて言うので、応えてやることにした。 風呂椅子に座って背を向けた女の裸体をまじまじと見る。 傷、痣、跡… 意味もなく、首から順に下へとそれらをなぞっていくと、くすぐったいのだろう、ぴく、と脇腹を震えさせて、また文句を言った。 「やりすぎですよ、半袖着れないじゃないですか…」 最後に帆船の帆のてっぺんに翻る真っ赤な旗をつついて、桶を手にした。 「…かけるぞ…」 湯をかけてやりながら、ごわごわした髪を梳く。 シャンプーを手のひらに泡立てて、それを丸い頭へと撫でつけた。 「ソハヤさん引っ越しじゃないですか、手伝わなくていいんですか?」 ファミリー向けの安物のシャンプーだ、作り物めいた大仰なフルーツフローラルが匂い立つ。 無造作なショートヘアなのはここのあたりに金をかけたくない心理もあるのかもしれない。 ちなみに毛量の多いロングヘアを携えた光世の愛用品は、少々値が嵩張る代物だ。 「…さしたる荷はない…」 頭皮をマッサージするように丁寧に洗髪してやる。 「車は?」 「友人に頼んだと、聞いた…あんたは、関わるな…」 関わるな。 そもそも、征羽矢が光世の見ていないところで悪さをするのがいけないのだ。 そうでなければ、昨夜あんなことをする必要もなかった… そもそも… どうせ、この女が… 「…あんた…兄弟を、唆すなと、何度言えば、分かる…?」 「昨日は!唆してないですよ、人聞きの悪い…」 「昨日は、か…」 泡だらけの手で、背後から顔を撫で、首筋から胸へと滑らせていく。 柔らかな膨らみを両手でじっくりと揉みほぐし、その先端をつまみ上げた。 「っ、やめてくださいよ、もう、さすがに、しんどいですって。」 「…」 光世は無言で固く尖り始めた部分を愛撫し続ける。 女は傷だらけの手で、脇の下から差し入れられた光世の腕を掴んだ。 ぬるぬるとした泡の感触が、疲労と疼痛の溜まっている身体をまた蝕んでいく。 若い頃から乱暴なセックスばかりしてきたからか、優しく触れられる前戯には本能が反応しにくいはずだったのに、脳裏にカットインする、征羽矢の顔が… たしかに言った、誰に触られても、思い出すように教え込ませてやると、そう苦しげに呟いた、憔悴した笑み。 ぞわ、と、寒気が走った。 恋人に全身を弄られながら、他の男、あろうことか恋人の弟との交わりを回顧して女陰を濡らしているなど、勘付かれては困る… 光世の手の一方が、胸から腹へと下りていき、さらにその下をさする。 「だめですってば、今日は、もう、おしまいですよ。」 膝をぴったりと閉じてその指の侵入を拒んだが、光世は眦を吊り上げて、低い声で凄んだ。 「…であれば!男を、風呂場に、誘ったり!してはいけないのに、あんたは…!なにも、分かっていない…!」 いつも、そうだ、飄々とした態度で、平気で肌を晒し、猫でも撫でるような無頓着さで触れ、顔を寄せ、息を吹きかけ、相手を狂わせる…! 昨夜は言葉責めのひとつとして言ったのではあるが、きっとこれまでに関わってきた男たちを、知らぬうちに誘っているだろう…! 仲がある程度深くなれば、理性ゆえに、事後の関係など面倒事が増えるのが分かりきっているから、そういう事態に陥っていないだけだ…! いや、考えてみれば、本当にそういう事態に陥っていないかどうか、証明することもできない… 想像するだけではらわたが煮えくり返る。 嫉妬、独占欲、そんなものとは長らく無縁だったのに、冷静ではいられなくなる内界にあてられて下半身はまた怒張した。 「むりむりむりむり!マジむり!誰かさんのせいで全身バッキバキなんですってば!今日これ以上ヤったら仕事に支障出る!」 「…嫌なら殴れよ…と、言ったら、あんた、本当に殴るからな…情緒も容赦も、ない女だ…」 光世は渋々に女を解放して、手桶に湯を汲んだ。 「…あんた、断るということを、知らないわけでは、ないんだな……流すぞ…」 ザバザバと音を立て、濃厚な生クリームのような泡の塊が排水口へと流れていく。 「ミツヨさんがこんなにソクバッキーとは存じ上げませんでしたよ、そんな他人に興味ないみたいな顔しといて。」 「束縛とか、そういうレベルの、話では、ないように思うが…」 こんどはトリートメントを手のひらに出した。 どろりとしたペーストは、なんとも卑猥なもののように感じて、雑念を振り払って女の髪へと梳き込んだ。 白く濁った糊状のそれが、髪の表面に残っているのを見ると、思い出していてもたってもいられなくなる。 「…城本、なんで、あんた、口で受けなかったんだよ…」 顔射プレイも、まあ、この女なら好みそうではあるのだが、上司やスポンサーに挨拶しなければならないあの場面では、証拠隠滅を兼ねて飲み込むと想定していた。 「あー、ね、そのつもりだったんですけど、」 女はくすくすと笑った。 「後ろのグラス取ろうとしたんですかね、身体ねじったから、いったん休憩、って思って、」 ボディソープのボトルに手を伸ばしながら、楽しそうに話す。 自ら聞いておきながらどうにも腹立たしい。 唇はへの字を描いている。 「そしたら、我慢汁が垂れちゃって、ふふ、めっちゃ焦ってましたよ、見ました?あの顔…ふふふ、」 スポンジに染み込ませて、ぎゅぎゅっと数度握り込み、泡立てたそれで腕を洗い始めた。 「だからね、ふふ、床に、ポタって落ちたのをね、舐めたんです。もうね、ものすっごい形相で、見てて、ふふ、おもしろかったですよ、それで、急にイクからびっくりですよ。」 順に、胴体を洗い、足を洗う。 腰のくびれのところを滑り落ちていく泡を、じっと、目で追う。 「…変な扉、開かせちゃいましたかねぇ?奥さまに申し訳ないですね。」 城本の嫁とは会ったことがないが、写真を見せてもらったことはある。 快活そうで真面目そうな、たとえば学生時代はクラス委員なんかを引き受けていそうなタイプの女性だった。 幼い子どもを寝かしつけたあとに、あんな陽のオーラ全開の嫁に、だ、これまで感じさせたこともなかった歪んだ性嗜好を押し付けて、嫌われてしまわないか心配になってきた。 あとは、自分とは違って純粋な弟になにをさせていたのか、気にならないではないが、尋ねたところでまたイライラさせられるだけかもしれない、と思い直し、問おうと開きかけた口を結んだ。 また情事のさなかにでも、燃料として投入することにしよう、と、もやもやする心を抑え込む。 「…そろそろ、流す…」 粘度の高い水気が流れていく。 なにげなく背骨に触れるとぬるぬるとしていたので、身体にもあらためて湯をかけてやる。 髪を洗ってもらうなど、お姫様のような扱いに多少は満足したのか、ひょいと縁をまたいで湯船に身を沈めた。 光世の黒ぐろとして大きく反り返ったものをジロジロと観察するように見てくるから、光世は気まずくて横を向いた。 「…かわいそう…」 そうだろうよ! 光世は無言で舌打ちをした。 その心緒など知らぬ素振りで、女は風呂の縁に両肘をついて、くたりとゆるく前かがみになって意地悪く言った。 「ねぇねぇ、ちょっと見ててあげますから、オナニーしてくださいよ。」 「!?」 またどうしようもないことを言い出したぞ…!? 光世は口の端を横に引く。 呆れとは裏腹に、滾った身体はどくんどくんと疼いてますます膨張した。 「どうせ抜かなきゃきっついんでしょう?」 それは、そのとおりではあるのだが。 「…ど、どうしたら、その思考に至るんだ…」 頭の奥を、何かがゆるゆると締め付けてくるのを感じている。 口ではなんでもないように会話を続けていても、限界はいつも近いところにあって、思い描くのは、ミックスジュースが表面張力でギリギリのところまで満たされたコップとか、巨大な棚にみっちりと隙間なく詰め込まれた大量の書籍とか、ラヴェルの『夜のガスパール』の音符が密集した楽譜とか。 それらを消し去ろうと首を振る。 女は律儀に光世の問いにどう答えようか考えていた。 「えーと、脱マンネリ化…?」 ただしその回答が正しいかどうかは別問題である。 「…また、最も縁のなさそうな…いつ、マンネリ化したんだよ、こんな、こんなやりかたで…」 女の要求をはぐらかそうと、いつになく意味もない言葉のキャッチボールの相手をしてやる。 が、女はおもむろに腕を伸ばして、光世のかたく聳え立ったものに手のひらを添えた。 「往生際悪いですね、さっさとしてくださいよ、」 唇を尖らせ、不満げに、されど楽しげに、きゅ、と軽く握り込む。 その手を光世は思わず払い除けて声を上げた。 「…っ!やめろ…っ、さ…触るなっ!」 先端からじわりと体液が滲み出始めているのが分かって、それを察されたくなかったのだ。 女は少し驚いて、ふてくされて光世の顔を覗き上げる。 「え?なんでですか?」 そして、ふはっ、と相好を崩して、笑い声を立てた。 自然に、笑う、こんな場面で、とてもそんなシチュエーションじゃないのに、本来の、あるべき、表情で。 「顔真っ赤…っ、かっわいーっ!」 けたけたと、鈴のような明るい声を転がす。 いろいろあったが、心を、多少は、許してくれているんだろ?と、淡い期待を捨てられなくなる。 「か、かわいくは、ないっ!分かったからっ!そこでじっとしていろ…!」 好きだと言質を取ったけれど、それを信じていないわけではないけれど、女の背後に常にのしかかっている鬱悶とした気配に、いつまで、いつまで、怯えて接さなければならない…? 右手で、自身をするりと無で上げる。 繰り返し刺激し続けるうちに、だんだんと視野が狭くなる。 リーズナブルな快感に目の奥が熱くなり、堪えきれない息が食いしばった歯の隙間から溢れてきて止まらない。 「…っ、ふぅっ…ぁ、」 出会ってからこれまでに、どうかしていると、いったい何度、叫びそうになるのを押し殺しただろうか。 「ね、どんなこと考えながらしてるんですか?」 「…うる、さいっ、黙れッ…!」 唾を飛ばしてがなる。 腹の中がうねり、痺れて、煽ってくる女の声は極彩色で音階になり不快なほどに掻き鳴らされて連なって響いて、消える前にまた新たな音を引き連れてきてかわるがわる踊る。 「セックス想像してますか?それってどんなプレイですか?相手、誰ですか?わたしですか?」 なにを考えているかと問われれば、初めて女を抱いた夜を忘れない。 今となっては、あれはまだ序の口だった。 濃厚なアブノーマルなセックスじゃなかった… というほどでもない兄弟サンド3Pではあるのだが、最近の傾向に比べれば。 それでも、忘れない。 忘れられない。 腕をつかんだときに見せた、欲にまみれた濁った目、前戯もそこそこに後ろから犯す興奮。 「…だ、まれとっ!言っているんだっ…」 ねっとりと絡みついてくる胎の圧、痙攣している足の爪先。 「呼んでくださいよ、あのときみたいに、ね、目、瞑って、」 「うるさいうるさいうるさい!…クソッ!…は…ぁ…ん、ぐッ…」 記憶が爆発しそうだ。 自らを上下に扱く手の動きは激しさを増して、本能のままに腰をも揺らす。 色気のないアニメイラストのTシャツにボロボロのダメージジーンズを着ていたくせに、その中身は淫乱極まりなく、精神を絡み取られていく。 あのとき、あのときは、知らなかった、知り得なかった、名前、名前を、呼べと…? 呼べと、言ったのか? 望んでいた、名を、口に出して呼ぶことを。 あのときの、もっと前から、血と火薬と土ぼこりの匂いのする本丸で、温度を失っていく女を腕に抱いて涙を流した日から、ずっと、長い間、望んでいたんだ…! 線香花火の、先が、ぽとりと、落ちたときのような、儚く心地よい絶望感が、脳を焼いた。 ミックスジュースはあふれてこぼれたし、本はドサドサと音を立てて崩落してきたし、ラヴェルは絞首台に反響する不気味な葬送の鐘の音を狂ったまま鍵盤に叩きつけ続ける。 もう、飛ぶ。 「…ぁ、ぁぁッ、出るっ…!出すッ…!ゆ、由希…ゆ、き、由希…由希ぃッ…!」 光世は、吠えた。 同時に、放った。 今朝がた、あんなに何度も打ったのに、そうとは思えないくらいには濃く、大量に、白く吹き上がり、ボダボダと音を立てて、ピンク色の浴室マットへ落ちる。 呼吸は荒ぶり息苦しく、頭がグラグラと揺さぶられた。 なかば呆然と、垂れた自分の体液を眺め、喉の奥から、掠れた声を絞り出した。 「…ど、ういう、つもりだ…っ!こんな…これ、以上…っ、触れさせる、つもりも、ない、くせにッ…!」 羞恥と、怒り、だった。 抑えられなくなる、この女を前にすると、当たり前に働くべき善心が、死んでいく。 半笑いでなにか言おうとする女の髪を掴んだ。 「ッ…いたっ…な、に、やめて…ッ…!」 乱暴に湯船から引きずり出し、床へと押し付ける。 女に蹴られたシャンプーとリンスのボトルが転がり、非音楽的なかん高い音が何重にもリフレインする。 「…舐めろ!全部だ!許さない!一生許さない!あんたを!殺してやる!俺が!殺す!殺す!俺が…っ!」 後頭部を床へと叩きつけ、絶叫する。 急に人が変わったように激昂した光世の様子に、女は分かりやすくたじろいで身体をこわばらせた。 筋肉がぎゅうっと収縮したのが見えた気がして、光世は、そのみぞおちを蹴り飛ばした。 狭い浴室内である。 女の胴体は浴槽にぶつかり、衝撃はいなせない。 爪先がめりめりと食い込んで胃液を逆流させた。 「っ、ゴ、が…っ」 黄色い体液が撒き散らされ、眼球が裏返る。 「…舐めろと、言っている…!舌を、出せよ…!それとも!もう一発!蹴られたいのか…!?」 女の喉が、ひゅうっと、鳴った。 これは、そういう、プレイ。 いつもの、こと。 命じられるがままに、舌を長く伸ばして、マットに滴った光世のものを舐め取っていく。 どうせ城本に対抗心を燃やしているだけだろうと思っている。 こんなの、なんでもない。 腹は痛むが、しかたない。 ぴちゃぴちゃと水音をさせて床に舌を這わせる女を、汚物でも見るかのような蔑んだ目で見下ろして、光世は肩を震わせていた。 「…殺してやるよ、殺す、俺が、今すぐでも…!」 ゴリッ。 さきと同じ箇所を、ふたたび蹴り上げた。 せっかく口に含んでいた光世の精液をまた吐き出したが、それはどうでもいいようだった。 そんなことは、どうでも、いい、ようで、女の、手首を、強く掴み、引く。 「…来い!殺してやるよ!死にたいんだろう!?」 濡れた裸のまま、女を引きずって土間を通り抜け、部屋へと投げ込んだ。 ローソファの背もたれに激突し、ソファは勢いで座卓へと玉突く。 座卓の上のビールの空き缶が派手に騒いで倒れ、女は体をダンゴムシのように丸めてうめいた。 間髪入れずそこへ馬乗りになる。 胃液に汚れた顔面が、光世を睨み上げてくる。 この顔…! 光世の内臓が沸騰する。 セックスのさなかに見せる快楽に溺れる表情よりも、そういうプレイでわざと観せる嫌がっているふうの表情よりも、おそらく、素に近く、嫌悪感を纏わせた、本気の、この、顔だ…! 平手で頬を殴りつけた。 繰り返し、何度も腕を振り上げ、殴り続けた。 インパクトのたびに、「あァっ…!」「うッ…!」と、くぐもった悲鳴が響く。 掲げた開いた手のひらを、ゆっくりと握る。 女が、それを、見ている。 股の下で、女の腹筋が、かたくなるのが分かった。 にやり、と、かすかな笑みが、光世の唇の端に浮かんだ。 「…お利口だな…!」 振り下ろされた拳固が、女の下腹を打つ。 「…ッが、は…っ…」 投げ出された両の脚が、びくんと跳ね上がる。 「もう一度だ!」 バゴッ。 本当にそんな音がするだろうかと疑わしいほどの打撃音が、ふたりの鼓膜を震わせた。 光世の左手が、女の首に触れる。 徐々に力が加えられていくので、女の両手は腕に縋り付いてきた。 だが、右手は拳のまま、3度目、臍の下を抉る。 「愛している!殺す!許さない!愛しているんだ!逃がさない!離さない!俺のものだ!殺す!殺す…っ!」 4回、5回、と、殴打は止まない。 酸素を奪われ、意識はすでに朦朧としている。 腹はすっかり弛緩して、ただ終わりの見えない暴力を受け入れるだけ。 ここはどこだっけ。 女は考えていた。 そうだ、光世さんの、大典太さんの、お庭だ、しんいき、れいいき、たしかそんな名前だった、終わったら元に戻るんだ、殴られた痣もきれいになくなるし、死んでも、死なないんだった、じゃあ、安心だよね、なんかいでも、リプレイできる、こんな、茶番を。 とんだ、茶番だ。 ピクリとも動かなくなった女の肢体を、じっと見つめる。 胸がかすかに上下している。 生きている。 頬も腹も赤く腫れ、首筋には青黒い痣が浮かんでいる。 光世は涙を流しながら、スマホの奥のコール音を数えている。 ひどい頭痛に、めまいに、苛まれている。 通話が繋がった。 柔らかく落ち着く声が、ささくれた心を優しく撫でた。 『んん?どした?こっちはだいたい済んだぜ?』 征羽矢の声を聞いて、光世はその場に崩れ落ちて、畳に突っ伏して、わんわんと泣き出した。 『だ、ど?どーしたんだよ?え?なに?』 征羽矢は面食らって、質問を繰り返した。 光世は咽び、言葉を絞り出す。 「…俺は…こ、これを…殺してしまう…!」 『はぁ?なんの話だ?え?なに、もっかい言ってくれよ、なんて?』 「…もう、だめなんだよ!…殺したくてたまらなかったっ…死んだかもしれないと思ったとき…!ゆ、愉快で、わ、笑いが、止まらな、かったっ…!」 『待て待て、落ち着けよ、てんちゃんだろ?まさかほんとに殺したんじゃねーだろ、どうせまたそういうプレイでお楽しみだったんだろ?』 「…こ、こらえた、わけじゃない…たまたま、運よく…殺さなくて、済んだ…」 征羽矢が、ゴクリ、と固唾を飲んだのが聞こえた。 『…本気で待てよ、兄弟、今どこだ?』 「…これの…じ、自宅…」 『…てんちゃんは?』 「…ここに、いる…し、心臓は、う、動いている…」 『冗談きついぜ?てんちゃんにかわれよ、話になんねーよ、』 「…い、意識が、も、戻らない…」 『…!』 「も、もう、触れるのが、おそ、恐ろしい…ど、どうしたら…」 『恐ろしいじゃねーよ!猫かぶってんなよ!?肩叩いて呼びかけろ!すぐ行く!頭はあんま動かさねーほーがいーのか?分かんねーけど!聞いてっか!?それか水でもぶっかけろ!俺が兄弟にしたみてーに!』 「…きゅ、救急車…?」 『ほざけよ!どー説明すんだよ!?良すぎて気絶してるだけだろ!?ことをデカくすんな!』 「…」 『おい!切るなよ!?このまま繋げとけよ!なんか言えよ!なんでもいーからなんかしゃべれよ!』 「…あい、しているんだ、これを、ほ、ほんとうに、うそじゃ、ない…あいして、いるのに、こ、ころしたくて、とめられ、なかった…」 『知ってるよ!重量級だぜ?うっとーしーくれーのな!』 「…な、なぜ…なぜ、こんなに…こんな、こんな、きもちに、なるのか、こ、こわい…おれは、あたまが、ど、どうか、して、しまった、のか…?」 『だいぶ前からな!大丈夫だ!だいぶ前からどーかしてるぜ!?通常運転だ!』 「き、兄弟…たすけてくれ、こ、これを…」 『わぁってる!とにかく落ち着け!』 聞き慣れないエンジン音。 バタン、ドアを閉める音。 ガラガラガラ、ガラスの引戸を開ける音。 みし、部屋に上がる足音。 「…兄弟!」 征羽矢の声。 「…きょうだい…」 光世はへたり込んだまま、濡れた目で弟を見上げた。 「てんちゃん!おい!おーい!聞けよ!」 光世を無視して、女へと呼びかけるが、反応はない。 ただ呼吸はある。 ソファの上に転がっているクッションを取り、女の足の下に敷いた。 光世を怒鳴りつける。 「水!」 光世はようやくはっとして、立ち上がり土間の台所の冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを出して、征羽矢へと手渡した。 「マジかよ、何分?何時間?経ってる?」 「わ、わからない、なにも…」 「ポンコツクソ野郎だな!」 光世を罵り、ペットボトルのキャップを捻る。 だらしなく開きっぱなしの唇にあてがい、少しずつ流し込む。 飲み込む気配はなく、口の端からだらだらとこぼれるが、わずかに、唇が動いた、そのとき。 「…!ゲボっ、がほっ、は…ぁ…」 女はむせて咳き込んだ。 「てんちゃん!おーい!生きてっか!?」 耳元で征羽矢が叫んだ。 「けほっ…は、は…」 まつ毛が震える。 「どーだ!?目とか開けなくていーけど、なんか、合図…」 ふわ、と右手が上がり、征羽矢の顔に触れた。 肌が繋がった箇所から、女の思念が流れ込んでくるのを感じ、征羽矢は目を見開いた。 『へーきへーき、ちょっとつかれただけですよ、みつよさんもおーばーだなぁ。』 聴力が仕事をしたわけじゃなく、脳、というより、胸に、直接、送り込まれてくる、感覚。 一昔前に流行った骨伝導で音楽が聴けるポータブルオーディオ機器を彷彿とさせた。 一糸まとわぬ姿は、だらりと脱力しきっていて、下腹部は赤黒く内出血していて、左の頬はパンパンに腫れている。 かすかに、まぶたが開く。 「…分かった、しゃべんな、水、飲むか?」 『うん、のどかわいたー。』 ん、と、短く返事をして、また水を注ぐと、今度はすぐには飲み込まずにしばらく口の中に含んでいた。 『のどきんしんだな、えんげできねぇ。』 「それは…なんか、ごめん、兄弟が…」 辺りを見渡し、隣の四畳半のベッドの上にぐちゃぐちゃに丸まっている大判のバスタオルを見つけ、光世に取ってくるように目配せした。 光世はのろのろと移動する。 女の口角が、ほんの、1ミクロン、微笑むように、あがった。 『わたしこんなにしあわせなことはじめてだよっていっといて。ねる。』 指先が、征羽矢の頬から離れて、パタリと床へ落ちた。 「…?」 征羽矢には、意味が、分からない。 光世はバスタオルを握りしめて佇んでいる。 それを奪うようにむしり取り、女の身体にかけてやった。 が、頭の中に無数の疑問符が乱舞している。 しあわせ? なにを言っているんだ? 被虐趣味については重々承知だが、こんなふうに単なる暴力にさらされて、なにを寝ぼけたことを言っているんだろうか。 意識が混濁しているに違いない。 兄に伝える必要はない… 「…兄弟、店に戻れ…俺が、残る…なにが言いてーか、分かるよな…?」 光世はかぶりを振った。 泣き腫らした目はぽってりとして、顔面は蒼白に近い。 店に戻ったとて業務をこなせるかどうかは、定かではない。 「…ああ…そうだな…すまない…」 緩慢な動作で、衣服を着込む。 ジャケットのポケットに入っていたカリーナの鍵を、机の上に置いた。 目つきの悪い黒い長髪の剣士のラバーキーホルダーが、かちゃり、と音を立てる。 目は虚ろで、シャツはヨレヨレで、足はフラフラで、髪はボサボサだ。 「…今夜は!誰かといろよ!…城本サンに電話しといてやるよ!」 「…」 「ちゃんとしごとしろよ!?頼むぜ!?まかせたぜ!?」 「…」 光世は、一言も発さず、足音さえ立てず、部屋を、出ていく。 夕方だ、バスの本数は最も多い時間帯である。 女に覆いかぶさるようにして、額をこつんと合わせた。 「俺には、分っかんねーよ、もう…」 迷うが、そっと唇を、重ねる。 濡れていて、冷たい。 スマホを取り出し、年長の部下へ助けを求めるために電話をかける。 『お疲れさまです、城本です。』 キビキビとした、几帳面そうな声に、少しほっとした。 「おつかれっす、ちょ、すみませんが、俺、こんや、ちょっと、休むんで、あの、兄弟のこと、頼めませんか…?」 『そうなの。休むのは、ぜんぜん。働き過ぎだからね、ソハヤくんは。で、ミツヨさんのこと、頼むって、何事?』 「…たぶん、ボロボロだから、喝入れてやってくださいってのと、メンタル、死んでるかもだから、その…めんどくせーこと言って申し訳ないんすけど…」 なんと説明したらいいのかと、言い淀む、その語尾を優しく拾い上げてくれる。 『…見張ってたほうがいい?』 「…んー、まぁ、そんな、かんじっす…」 女の髪を、梳くようにして撫でている。 こんなに無防備に、着せ替え人形のごとく眠っている。 『…わかったよ、ミツヨさんのことは、任せて。ホリくんは、出れるか聞いてみたほうがいい?』 「…にゃ、課題が終わるまではシフト少なめっつってたし、兄弟が、ダメそうなら、城本サンに頼れます…?」 『…そうだね、承知したよ。』 いくつか申し送りを済ませて、頼んます、と、通話を終えた。 何も聞かれなくて安堵している自分がいた。 ため息をついて、女をそっと抱き上げた。 あらわになった喉元が、鬱血して、まるで蛇が巻きついているように見えた。 目を、そらす。 寝所へと、運ぶ。 雑念を、振り払えない。 定時から遅れて出社した代表は、いつもの雄々しさは見る影もない。 みすぼらしく、項垂れて、心ここにあらずで、挙動不審で。 「ミツヨさん、1部、やれる?」 「…しごとは、する…」 死んだ魚よりも腐った色の目をしている。 パフォーマンスなんてできそうにもない。 「…ほんと?代われるよ?」 「…いや、兄弟との、やくそく…」 ふらり、とバックヤードへと入っていくのに、城本は付いていく。 「…ダメだと思ったら、強制的に止めるよ?」 「…それで、いい…」 デスクチェアに座り、パソコンを立ち上げた。 用意していた数枚のCDを見比べて、ヘッドホンを着ける。 微塵も大丈夫ではなさそうだが、本人が言うのだ、本人の店だ、勝手にしろ、とも思うし、客が入る以上は生半可なことでは困るとも思う。 いざとなったら力ずくでステージから引きずり下ろす覚悟を固めた。 空気の読めない、いや、この場合は読めないふりをしている濱崎の声が響き渡る。 「ミツヨさん、とりま、着替え!そんなグダグダのカッコで出たらファンが減っちゃいますよ?」 そんなことはなかろう、城本は毒づいた。 ふだんカッチリバッチリキメている男がたまにだらしなければ、だいたいの女性はときめくのだ、その男の顔面さえ良ければ。 ------------------------ 〜23に続く〜
2025/11/01 21:18:39(zWxAXjSg)
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