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hollyhocks occulted 21
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:空想・幻想小説
ルール: あなたの中で描いた空想、幻想小説を投稿してください
  
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1:hollyhocks occulted 21
投稿者:
ID:jitten
〜まえがき〜
⚠書いた人はオタクです⚠某刀ゲームの二次創作夢小説です⚠暴力などこじらせ性癖の描写多々⚠自分オナニ用自己満作品です⚠ゲームやキャラご存知のかたは解釈違いご容赦ください⚠誤字脱字ご容赦ください⚠たぶんめちゃくちゃ長くなります⚠未完ですが応援もらえたらがんばります優しいレス歓迎⚠エロじゃないストーリー部分もがっつりあります⚠似た癖かかえてるかた絡みにきてください⚠
—----------------------
城本が光世の代わりに森下に盛大に絡まれていて、濱崎は客の引き始めたテーブル席のバッシングのため忙しそうに動き回っていた。
どちらからともなくカウンターチェアに並んで座り、BGMを聴いている。
光世が女の耳元で甘く囁いた。
「…それで?…なぜ?こんなことに、なっているのか、説明は、できるか…?」
「え…?」
女は、ぱっと顔を上げて光世を見つめた。
なんの話をしているのか、心当たりがありすぎる。
冷や汗が背筋を流れ落ちていった。
まるで愛の言葉を紡ぐようなしっとりとした響きで、治安の悪い文節を並べていく。
「…あまり、なめるなよ…素知らぬ顔で、やり過ごせるとでも…?」
奥行きのないテーブルの下、女の脚を、ふくらはぎからザラリと撫で上げた。
スカートの裾から、骨ばった手が無遠慮に侵入してくる。
「…や、そ、それは…ご、ごめんなさい…?」
その手を押さえようとして前かがみになるが、これでは周囲の注目を集めてしまうかもしれないと思い至り、迷う。
あまりここでバタバタと攻防戦を繰り広げるのは得策じゃない、そしてそれが光世の思惑通りだという予感もありはするが。
「その、謝れば、済むと、思っているところが、気に!食わない…!」
小さく舌打ちして、内ももに手のひらを這わせていく。
こんな、誰が見ているかも、分からないのに、どうして、興奮する…!
「だ、だって、そんな、いまさら、変われない…わたし、もう、」
脚は鳥肌にまみれて小刻みに震えていた。
ふたりきりのベッドで同じことをしたとて、同じ快感は得られないだろう。
「…変われない?…男に手を引かれれば、それが誰でも、簡単に身体を明け渡すのか…?」
光世の指が、茂みの奥を弄る。
下着を身につけていないなんて外見からでは知り得ないはずだが、そわそわとでもしていただろうか、焦りと後ろめたさで思考がまとまらない。
「…いったい誰を、唆したんだ?ん…?」
ぱっと聞き機嫌よさげにも感じる声のトーンだが、両の目は闇夜のミミズクのような鋭い光を放っている。
他者を狩るもののそれだ。
「…森下氏は、ゲイだと言ったな、あんたは対象外か?…ならば、伊藤氏か?それで気に入られれば、レースのサポートは安泰か…?」
探り当てられた最も敏感な箇所を悩ましい圧で擦られて、思わず歯を食いしばる。
「…濱崎と話すときには、緊張感なく笑う、よな、当てつけだろ?…それに、城本は同い年だったな…あいつ、結婚しているくせに、あんたに色目を…」
くるくると親指を動かし、滲み出る粘液をのばすようにして執拗に愛撫を続ける。
「…堀江は、どうだ?大人しいが、ああいう聡明なタイプは、あんた、好みそうだよな…そうだ、ふだん男ばかりの現場にいるんだ、木庭氏や星野氏とも、そういう、ことがかつてあったとしても…まあ、俺には、関係ない、か…?」
光世ではない男の名前が呼ばれるたびに、脳裏に彼らの姿がよぎる。
妄想癖のある自分を恨むしかない、その人物ならどんなふうに犯してくれるか、つい想像が膨らんでしまう。
「…いま、誰との情事を、思い出している…?」
つぷ、と、指先が花弁を割り開いていく。
ついさきに征羽矢にほぐされたばかりの身体は、容易にそれを受け入れた。
光世のこめかみに青筋が浮かび上がっている。
固唾を飲み込んだ。
なにも言葉を発することができない。
感度がバグり散らかして、浅い部分を適当にくすぐられているだけなのに、すでに甘イキで意識は焼き切れかけていた。
「…俺でない奴で、満足できたかどうか、言えよ…」
口元はほんのりと笑みをたたえているのに、電流のように憤怒の激情が伝わってきて肌がビリビリと痺れてくる。
「…こんなふうで…感じるんだな?…けっこうな趣味だな、おい、返事を、しろよ…俺以外の、誰に、満足させられたんだ…?」
ぎゅっとまぶたをつぶった。
白と黒のモジャモジャした模様が見える向こう側に、1時間前の征羽矢の恍惚とした顔を思い描いてしまった。
びくん、と、下半身が跳ねた。
「…ぁぁ…ゃ…も…む、むり…やめて…」
テーブルにつっ伏して身悶える。
胎の、奥が、疼いて、抑えられない…
すぐにでも乱暴に突っ込んでぐちゃぐちゃに掻き回して欲しい…!
いやらしい声を上げて存分に鳴きたい…!
「…ここで!このまま!犯し殺してやろうか…!」

女の頭の中は光のようなミルク色にけぶり、らしくなく周りが見えていなかった。
「おいたが過ぎるよ、ミツヨさん、」
城本に声をかけられて我に返る。
とてもピリついた音をしていた。
ひどく汗をかいている。
光世は、ふたりを隠すように壁になって仁王立ちになっている城本を見上げた。
その瞳の底が、熟れた林檎に似たてらてらとした鈍い輝きを放っている。
こっちも人間じゃねぇのよな、城本は心のうちだけで毒づいた。
「…なんだ、あんた…あんたも少なからずこれに興味あるんだろ…?見せてやるよ、」
年上の部下に見つかって忠告されたというのに、止めるどころか、より深くへと中指を差し入れる。
女は思わず腰を浮かせた。
「ちょ、ま、みつ、よ、さ…だ、め、」
その拒む動作が余計に光世の加虐心を刺激してしまう。
ギラリと野性的な征服欲が燃え立つ気配に、城本が光世の肩を掴んだ。
「ミツヨさん!」
「…見せて、やれよ、」
長い中指が、女の良いところまで届いてしまうのだ、へそ側の壁の、ざらついた窪みを容赦なく抉る。
「ッ!…っ、だめ、こんな、し、ろもとさ、み、みないで…っ」
BGMはさいわいにもポップよりのロックだ、意味ありげにがさついたメインボーカルと混じり合い、女の声は遠くまでは届かない。
火照った顔がぎゅうっとしかめられ、くぐもった息が歯の間から漏れ出る。
なにかの果実の腐った香りを感じて、城本の足元がぐらりとふらついた。
「…っ!」
これだよ、この、かんじ、これがぜんぶをだめにする…!
光世のジャケットの肩を握りしめて耐える。
テーブルに寄りかかった身体は、はたから見れば酔いが回って脱力しているかのようだろう。
深夜の飲み屋にはよくある景色だ。
顔を横向きにして頬をカウンターに押しつける姿勢のまま、うつろな視線で、悪戯をやめない恋人に縋る。
「…んぁ、あた、ま、溶け、る…おかしくな…やめ、てよ…」
みっともなく涎が唇の端から流れ出て、小さな水たまりを作っていた。
「…俺は、別に、あんたが、どうなろうと…知ったことじゃあ、ない…」
追い打ちをかけるがごとく、人さし指と薬指をも肉の中へと押し込んだ。
それぞれをバラバラに動かしながら、親指は器用に陰核を的確に苛め抜く。
「…っ!だめだっ、て、ば!…ぁ、もぅ、く…っ!」
一瞬、ガバっと上半身を起こしかけて小さく痙攣し、力なく天井を仰ぎ見て、それからとろりとした眼差しはゆっくりと宙をさまよった。
見るなと言われたって、目が、離せない、離せるはずがない、女の一挙一動を子細に網膜に焼き付ける…
城本の内臓がぐるりとひっくり返るように昂揚した。
光世は女が軽く達した様子に気分を良くしたのか、ようやく手を止めて引き抜いた。
几帳面に切りそろえられた爪が間接照明に照らされて、ぬらぬらと光っている。
そしてそれを、まるで城本へ見せつけるように、尖らせた舌で舐め取る。
色気の濃い流し目でじっくりと煽られて、城本は浅く短い呼吸を繰り返すことしかできずにいた。
光世が低くがなる。
「…これは、俺のものだ…間違っても、勝手に、触れるなよ…?」
何事もなかったかのように立ち上がり、さて仕事だというつんとした表情でカウンターの中へ入ると、手を洗って新しいグラスにロックアイスを詰め込んでテーブル席へと戻っていく。
森下はこんどは濱崎をつかまえて、がっしりと腕を絡みつかせてなにやら盛り上がっているし、征羽矢が面白がってスマホで写真を撮りまくっている。
残っている他の客たちも、なんとなくダラダラと飲みながら、BGMが退店を促す定番曲に変わるのを待っているのだろう。
カウンター席でのとんでもない濡れ場を目撃していた者はいないようだった。
女は背中を上下させる荒い気息をこらえてうずくまっている。
甘酸っぱい独特の体臭がまだ立ち上っていて、城本の目眩は止まらないし、勃起した陰茎は反り返りスラックスをパンパンに押し上げてくる。
光世の体温が残るチェアにどうにか浅く腰掛けて、ふー、と長く息を吐いた。
「…ミツヨさん怖ぇ…」
触れるな、と釘を刺すその声色は冷え冷えとしていて、心臓を貫く太刀を彷彿とさせた。
鈍色にひらめく、美しく強靭な、鋼のイメージが脳裏から離れない。
昨日、市立図書館でとある公益法人の所有する文化財の図録を見た。
その魔性の魅力は、印刷された写真であっても、城本の胸を熱くたぎらせた。
オカルト過ぎるんだよ…!
目を閉じ咀嚼する、さきの警めを反故にすれば、おそらく、冗談でなく殺される気がした、あの秀麗な刃で、容易く首をはねられる、想像ができてしまうのだ。
恐ろしいはずなのに、不思議と、高揚の抑えられぬ欣喜が同時に存在する…
「くだんの、ミツヨさんにはバレてないぽいから良かったですけど、」
女はおおかたの意識を取り戻しつつあった。
あいかわらず情交のあとに冷静になるのが早い。
男にとってはそれは賢者タイムなんて造語でひとくくりにされるくらいに馴染みの感情の急降下なのだが、一般に女性は性的快感の余韻が長い傾向があるし、なんなら雰囲気を重視してピロートークや腕枕に期待を抱くことが多いはずなのに。
少し疲れてはいるが、妙に艶めかしい面持ちで、頬を濡らす唾液を拭った。
その仕草がとてつもなくエロティックで、城本の膨らんだままの性器はうずうずと震えた。
「墓まで持っていくわ…!」
「そうしてください。」
前髪を雑にかき上げながら身を起こし、乾いた唇をぺろりと舐める。
これを本当にすべて無意識でしているのなら、なんとも業の深い女である。
「…ああいうのが、いいの…?」
「んん?」
テーブルに肘をついて、あごの下で手を組んだ。
白い指が重なるのが、祈りを捧げる際の形に似ていて、また、喉の奥がひゅっと鳴る。
「こう、さ、誰かに見せつけながら、とかさ、ちょっと無理やりっぽい感じ、とかさ、」
口の中がカラカラでうまくしゃべれない。
ペッティングするさまを見ていたとはいえだ、恥部を直接凝視していたわけじゃない、強引にいじられて悶絶する女を外から眺めていただけなのに、どんなAVよりも野卑な観後感に脳が悲鳴をあげている。
「…まぁ…そうです、ね、」
くす、と女は小さく口角を上げた。
ちらりと覗いた歯でさえ、こうなってくるといかがわしく感じた。
「…どうしてくれるんだよ、おれ、これ…」
自虐的に言って下半身のいきどおりに視線を落とす。
「あっははは、ふふ、」
こんどは、女は盛大に吹き出した。
城本が情けなく眉を下げたのが可笑しかったのだ。
「ふふふ、早く片付けて帰りましょう、奥さまとセックスしたらいいじゃないですか。」
「奥さんは俺が帰るころにはさ、もうボチボチ起きてチビの弁当作って朝食作って洗濯してくれるんだぜ?そんな雰囲気に持ってけねーよ…」
大仰に肩をすくめて見せる。
女が意地の悪い顔で目を細めた。
「じゃ、わたしに、さ、言ったらどう?抜いてくれって。」
…は?
なにいってんの?
ごくり、と喉仏が上下する、そんなこと、言ってみろ…
湿度の高い女の瞳の力が、城本の胸を射抜く。
これ以上発破をかけるのはやめてくれ…
「処されるわ!」
しかし女は人さし指を立てて下唇に当てる。
完全に面白がってわざとやっている…!
「ミツヨさんはちゃんと言いましたよ?『勝手に』触れるなって。」
「?」
「許可取ればいいんじゃない?」
その発想に至る思考の過程が知りてぇよ…!
「サイコパスが過ぎる!」
言葉遊び半分にじゃれ合っていると、不機嫌な様相で光世が戻って来る。
「…城本、仕事を、しろよ、遊んでいるな…」
「す、すみません、」
そうだ、勤務時間内である。
だが正直、身体は言うことをききそうにない、怒張した芯はまだまだ当分の間ずくずくと痛みをもって全身を苛むだろう。
窮した挙動で慌てて立ち上がろうとする城本を見て、女が誂うようにコロコロと笑った。
「ミツヨさん、ね、シロモトさんがね、」
その見切り発進も甚だしい発言を狼狽しつつ遮る、冗談じゃない。
「待てよ、待て待て待て待て!」
「いいじゃないですか、ダメ元で聞いてみたら。シロモトさんがさ、今ので興奮しちゃってきっついんですって、ふふ。楽にして欲しいんですって。『勝手に』したらブチ怒られるから、聞いてみよって、ふ、ふふふ、」
言いながら、こらえきれずにまた笑い出す。
どうかしてる!
「待てって!ミツヨさん、これジョークっつーか、軽口っつーか言葉の綾っつーか…」
じろり、と、凍りついた金属に似た視線が、城本の窮屈な箇所へと突き刺さった。
気まずいムードに吐き気さえ感じる。
「…良くは…良くはない、が、それで、あんた…あんたは良くなるのか…?」
「わたし?あー…まぁ、そういうプレイなら、ちょっと楽しそう?ですかね?」
女が女なら光世も光世である、やや不満げに、まるで下賤の民を見下ろすような目で城本を睨みつけた。
「…ならば、試してみろよ…城本、俺のボトルを出せ…」
「?…はい、えっと、み、水割り?炭酸?」
…なぜ今?
このタイミングで?
疑問が浮かびはしたが、業務命令だ。
いろいろな意味で重たい腰を上げ、少し前かがみの姿勢でどうにかカウンターの中へ入った。
「そうだな…両方、用意しとけ…」
くるりと背を向けて、行ってしまう。
なん…?
なんなんだ、飲むんじゃないのか?
…分かんねぇ…!
苛つきつつ、命じられた通りにテーブルをセットしていく。
高い棚にあるボトルを取るとき、ぐっと伸びをすると、反り返った陰茎がスラックスとこすれてザリザリと痺れて身震いしそうになる。
「ふふふ、わたし分かっちゃいました、ミツヨさんって、最低で、変態。」
女が周囲をそっと見渡し、静かに立ち上がった。
「…え?」
気配を殺して、女もスイングドアを揺らし入ってきて、城本の足元へと座り込む。
…まさか…!?
光世は今夜のゲストたちをエスコートしてこちらへ向かってくる…!?
いくらなんでも!
「え?ど、ええ?いや、待て!ちょ、まだ、覚悟が…!」
「うるさいですよ、黙って。」
女はたいそうご機嫌で城本の腰のベルトのバックルを緩めていく。
まさかまさかまさか!!
狂ってる!!
「話聞けよ…!さすがに!まずいだろ!これ、ほんと!お前ら…!ふざけんなよ…!」
小声でわめいてみるが、当然聞く耳は持っていない。
「やあ、お疲れ様。」
「おっつー!シロきゅん!」
伊藤と森下が正面に腰掛け、その隣のイスを光世が引く。
陰鬱に赤黒く濁った瞳は事態が意に沿わないことに腹を立てているようにも見えたし、だが唇はゆるりと弧を描き薄く微笑んでいるようでもあった。
慌ててグラスを2つ追加で並べる。
「お疲れ様です!す、すみません、バタバタしてなかなかお席に伺えず…!」
自分がどんな顔をしているのか分からない、粘ついた冷や汗で背中はぐっしょりと濡れて、シャツが肌に貼り付いている。
女のぬるい体温をまとった手が、スラックスのジッパーを下げて、下着の中で最高潮に達したそれを取り出してしまう。
青緑の血管が浮き出て、今にも破裂しそうにどくどくと脈打っている。
女こそ、城本のことを、別に恋愛的な意味で好きではない、もってのほかである。
ただ、スポンサー企業の社長や関係先のゼネラルマネジャーにぎりぎりバレない程度に隠れて、勤め先の代表の恋人に口淫させるゲスの極みみたいな行為、滑稽でエキサイティングで、わくわくすると思っているだけだ。
「いやいや、おかげでゆっくり三池兄弟や空知さんと話せて、楽しい時間を過ごさせてもらったよ。」
光世は黙って2人分の濃いめの水割りを作っている。
かわりに城本が光世のグラスを手に取った。
が、突如、下半身がぬるりとした法悦に包まれる。
目をやることもできない、作り笑いはうまくできているだろうか、視線は泳ぐ。
奥歯を噛み締めることもできなければ、眉間にしわを寄せることもできない。
青虫が這うような微細なじれったさに、かすかに手が震える。
「ユキちゃんの姿が見えないわね…あの子だいじょうぶかしら?」
「…また便所にでも、立てこもっているんだろ…しようのない女、ですよ…」
森下の言葉にドキッとした城本を意に介さず、案外と白々しいことを言う。
しかし、それは光世ではないことを、今となっては、城本は、知っているような気がした。
あれは、大典太光世、神であり、美しく残酷な刀の化身…
城本のよく知る、強面だが根の柔らかい、やや小心者だが音楽のこととなると貪欲な、尊敬してやまない憧れの上司ではない…
思考が途切れ途切れにフラッシュする。
迫りくるこそばゆさをいなそうと関係のないことを思い出そうとするのだが、眼底の奥に、鉄を打つ鍛冶場の炎が、青銀の鋼が、鈍くぎらつく妖艶な波紋が、その筋を伝い流れ落ちる鮮血が、一瞬ずつ、順に、映っては、消える。
細切れのビジョンのすき間に、快感が土石流のように意識を巻き込みながら、道理とか常識とかを破壊していく。
それが過ぎ去ったあとは何も残らないに決まっている。
3人は、今月から始まったストリーミングアプリとDJソフトの月額制連携サービスについての議論が白熱している。
内容自体はたいへんに興味深く、城本も混じって文句も期待も語りたいところではあるのだが、なんにしろそれどころじゃないのだ。
まっすぐ立っているだけで限界だ。
気を緩めたら変な声が出てしまいそうだし、不自然に腰が揺れてしまいそうだった。
なんならカウンターテーブルの上で握りしめ固まった両手を解放して、すぐにでも女の頭を掴んで、その喉奥へ自身を押し付けてしまいそうだ。
制御のできない先ばしりがあふれている自覚はある。
女は強く吸うでもなく、柔らかく平たく脱力させた舌で、ひどく焦らすように城本のものを舐める。
とてつもなくイきそうだが、決定打に欠ける…
蹴っ飛ばしてやろうかともよぎるが、女がうめき声でも上げたら、そんなところでなにしているんだとなって大事件だ。
やり込められて抵抗する術もない、なされるがままに屠られるしかない。
これも一種のレイプじゃないか?
不穏な疑問がカットインするが、熟考する余裕などない。
「シロきゅんもお飲みなさいな、空いたら次を下ろすわよ?」
森下に声をかけられて肩が跳ねた。
今なにを考えていた?
どんな顔をしていた?
…クソッ!
冷静でいられるわけねぇだろうがよ…!
そもそも原付で通勤してきていることを失念して反射で反応してしまう。
「あ、りがとうございます、いただきます、」
ギクシャクと身体を動かす。
背側の壁の棚からグラスを取るために半身をひねると、女は、ぱっと口を離した。
空調のよく効いたひんやりとした外気にさらされ、そそり立ったままのそれは湯気を上げんばかりである。
急に放り出され、ゾクゾクと鳥肌が立っていく。
頭の中がチカチカと点滅する。
白濁したひとしずくが、ぽたりと床に落ち、思わず目で追ってしまった。
ぱち。
女とも、目が合う。
にまっ。
女が気味悪く笑った。
外国の猫の妖怪であんな笑い方をするやつがいたな、支離滅裂な思念が割り込んでくる。
早く目をそらさなければと躍起になればなるほどに、気は遠くなりのぼせていく。
女が、床、床に落ちた城本の体液を、床を、舐めた。
床を!
城本の中で、何かが破裂して死んだ。
熱が芯棒をせり上がってきて、城本の精神と決意をぶち破って、暴走して打ち上げられる。
今、触れられてさえいないのに、唐突に射精してしまったのだ。
勢いよくほとばしった精液が女の頭に、そして見上げられて、その顔にかかった。
城本の頬はカッと赤くなり、手にしたグラスを取り落としてしまった。
盛大な音が響き渡り、ガラスは粉々に砕けて、城本の視界はキラキラとさんざめく。
もうだめだ、これ、もう、だめだ…
右手で額を押さえた。
伊藤と森下が惨状を覗き込もうとしたら、即刻アウトである。
「…城本、飲みすぎたか…?」
さすがに光世がいち早く立ち上がり、ゲスト2人の前に長い腕を出して制した。
バレたらどうなるか、そのあたりの想像力と危機感はあるのだから、こんな節操のないプレイもほどほどにしてほしい。
「も、申し訳ないです、ふだん、飲まないから…」
それこそ真っ赤な嘘だ、今夜だってアルコールは1ミリも摂取していない。
「…出ろよ、俺がやる…」
「い、いえ、自分が、」
光世がカウンターの中へ入ってきて、城本を押しのけた。
ほうきとちりとりを手にしてはいるが、まずは、女の頭を足蹴にする。
「…!」
息を呑む。
「…座れよ、もう、締めよう、少し、休め…」
まるで従業員を気遣うような台詞を吐きながら、恋人の頭を、靴を履いた足で、ガラスの破片の散らばった床へと踏みつけた。
数秒ののちに足をどけると、女は上半身を起こして、うるんだ目をして光世を見上げる。
意志のない人形のような、忠実なメイドのような、拒否権のない奴隷のような動作で。
額、鼻先、頬や顎が、ガラスの星屑に濡れて光り、じんわりと血がにじんでいる部分もある。
「シロきゅん、お隣座ってよ、これ飲んだらちゃんと帰るからぁ、」
森下が甘ったるく言うから、オカルティックな魔力にあてられてクラクラする頭を奮い立たせて、素早く衣服を直し外へ出た。
征羽矢は音響設備のそばでBGMを切り替える作業をしていて、濱崎はエントランスで帰りかけている客と談笑していて、伊藤と森下のグラスの中身はわずかになっている。
あと10分だ、どうにかやりすごせ!
素早く掃除を終えた光世が、用具をそのへんにおいたままに、飲みかけのグラスに手を伸ばした。
あいもかわらず表情筋はかたく、なにを考えているか汲みにくい、が、分かっている、今まさに、女に咥えさせている。
顔面を血だらけにして必死に奉仕する女を夢想して、城本は眉をひそめた。
実際に立って見てみると、あえて覗き込まない限りは女の姿は見えない。
少しだけ安堵する。
だからといってなにも解決はしないが。

森下がクレジットカードを差し出し、それを伊藤が止めた。
よくある押し問答が始まり、結局森下が折れた。
かの女がオースクルターレリアにもたらした益を鑑みてくれというのが伊藤の主張だった。
益?
こんな倫理観も道徳観念も腐り落ちているろくでなし女が?
酔ってなどいないはずなのに、城本の思索がぐるぐると巡る。
立ち上がり挨拶をする2人に改めて頭を垂れ、ありきたりの礼を述べはしたが、心の中では、早く帰ってくれ!早く帰らせてくれ!と叫んでいた。
平和な我が家へ帰りたい…
しゃべった内容はほとんど記憶にない。
エントランスで濱崎とも言葉を交わし、そこへ征羽矢が合流する。
「久しぶりに、まあ半分は仕事なんだが、友人と飲んだような気分だよ、とても楽しかった。こまめに覗くかな、これからは。」
「わたしも通っちゃうわぁ!もうひとりの子にも会いたいし!」
「ぜったいまた来てくださいよ!サービスするし、俺もちょー楽しかったっす!」
征羽矢が、ニカッとさわやかに笑って、ぺこ、とお辞儀をすると、ようやくドアノブへと手をかけた。
森下が城本へ向かって投げキッスをして、伊藤は手をひらひらと振った。
そのとき、ぱっと女が走り出てきて、濡れた髪を、そう、城本の体液で濡れた髪をざっとかき上げ、ゲストたちのあとを追った。
うつむき気味なのはうっすら流血し、男の残滓で汚れた顔を隠すためだろうか。
足を止めた2人は振り向いてまたひとことふたこと会話をして、それから帰っていった。
なんとか終わった、のか?
城本の疲労はとうに限界を突破している。
「どうだった…?」
光世が問うた。
「どーも、こーも、ねーよ、なんなんだよ…」
「…だが、良かったんだな…あんな、あんな顔を、して…」
ふ、と口元をほころばせられて、悪寒が走った。
どんな?
まずったか?
「…だが、調子に、乗るなよ…?もういちど忠告する…あれに、許可なく、触れるなよ…?」
城本は力なく首を振った。
こちらから願い下げである。

スマホのインカメラとにらめっこで、ガラス片が皮膚に残っていないか確認している。
「てんちゃんさん、まーたケガしてんじゃないっすか!」
表のドアを施錠して、濱崎が呆れて肩をすくめた。
軽薄そうなのに、意外と、よほど女や光世よりも常識人である。
「顔面からコケました、飲みすぎましたね、さすがに。」
汚れた髪と顔はトイレの洗面所で軽く拭いたが、どうにも頬骨のあたりがピリピリと痛むので気になるのだ。
「濱崎はあがってくれよ、今日は早くからさんきゅーな!」
征羽矢がレジの締め作業を進めながら言った。
普段ならオープンから入るスタッフは早めに終業なのだが、今夜は森下を適当に転がすために最後まで残ってもらっていたのだ。
ただでさえ最近は想定より来客が多い日がほとんどで、無理を言って残業してもらうことがよくあった。
堀江のように通学しているとか、城本のように家族がいるとか、そういうわけではないが、20代前半の貴重な日々を労働ですり減らせるのはいたたまれない。
「すんません!じゃ、お先に失礼しまっす!」
朝方とは思えぬハキハキとした挨拶で敬礼のようにポーズをとり、弾むような小走りで退勤していく、その後ろ姿は、まさに青春そのもの。
つっこんだ話題はのらりくらりと躱されるが、恋人でもいるのかもしれない。
「…んで、ずいぶん、楽しそうじゃん?兄弟…んん?城本サンも、か…?」
征羽矢が、カウンターテーブルのバッシングをしている光世をきつく睨んだ。
城本はステージ周辺を片付けているから、それは光世に投げかけられた質問だった。
光世は、首を傾げて、ごきり、と鳴らしてみせる。
「その言葉…そっくりそのまま、返すぞ、兄弟…あまり俺を怒らせるな…」
好き放題に女をいたぶり、それなりに憂さ晴らしはできていたけれど、忘れたわけじゃない、自分の業務中にどこかで誰かと、下着を脱がざるを得なくなるほどに汚すようななにかをしていた事実を。
「ねぇ、髪べったべたなんです、顔も洗いたいし、パンツないのも落ち着かないし、部屋上がってシャワー借りてもいいですか?」
当の本人はテーブル席のソファに溶けたように寄りかかり、素知らぬ様子である。
光世が手を止めて振り向いた。
「…正気か…?このまま、終われるとでも…?」
グラスを乗せたトレイを押しやり、聞こえよがしに舌打ちをする。
「ええ?まだ足りないんです?…どんだけ…」
さきほどたっぷりと口内を蹂躙されたばかりである。
なんともスリリングで興ののる出来事ではあった。
顔色ひとつ変えず、眼輪筋も笑筋も1ミリも動かさず、片手で女の後頭部を押さえ込み、喉の奥を抉る、そんな乱暴で一方的な情交に心は躍った。
城本との行為がいい具合に光世を盛り上げたのはたいへんに有意義であった。
「なあなあ、これ4Pの流れ?」
ウキウキとした声色で征羽矢が言った。
それは音盤ケースやマイクなどの備品を抱えて通りすがった城本にも十分に聞こえた。
「ほんとに、こんなこと…!世間様に知れたら、裁判とか!なったとき心象悪くて不利になるって、前も言ったよな?」
征羽矢は、さきの気の触れるような情交に興じているとき、そばにはいなかったが、どうせ知っているか勘づいている、諦めにも似た衝動で思いの丈を吐き出した。
女はわざとらしくふてくされて文句を垂れる。
「えー?そんなまともなこと言うんですか?あんなギンギンにフル勃起してガンガン腰振ってたくせに?偉そうに説教するわけ?わたし、シロモトさんて嫌いだわぁ、」
嘲笑をたたえ、おそらく本物の本音をこぼす。
それをこの兄弟に聞かせるなよな…!
「嫌いで結構だよ、そもそも俺をお前らの特殊プレイのダシにするなよ、あと腰は振ってねーわ!テキトー言うな!俺は帰る!」
バックヤードへとずんずんと歩いていく背中に、光世がため息混じりに呼びかけた。
「…メンテまでがシフトだろ…?」
「うっせーな!分かってるわ!」
光世に対しては割といつもぶりっ子気味のリアクションをしがちな城本が、この日は散々に振り回されて苛立ちがピークを超えていた。
珍しく慇懃無礼な物言いに、3人は顔を見合わせた。

洗い物がシンクに溜まっているが、そんなことは知らない。
オンラインゲームのログインボーナスめぐりのためにスマホに視線を落としたままなのが腹立たしく、ひょいと取り上げた。
「あっ、待ってくださいよ、まだ途中なのに、」
それには返事をせず、光世は女の鼻の先端に噛みついた。
「…えっ?ここでです?」
スマホを取り返そうと必死に手を伸ばしたけれど、光世の長い腕にはとてもかなわない。
推しである黒い長髪の剣士がなにかしゃべっている画面を伏せて、テーブルの上に投げ出した。
もう、と呟いたが、満更でもないふうに首に二の腕を絡める。
「…どこでも、どうでも、いいだろ…」
前開きのブラウスのボタンを上から順に外しながら、はだけた胸元に顔を埋めた。
今日も今日とて酒臭い。
その奥に、消せないガソリンとオイルのスモーキーな香り。
「めちゃくちゃですね、」
くっくっ、と、ドライに笑い、女も光世の髪の匂いを嗅ぐ。
こちらは清涼感の強い男物のシャンプーと、整髪剤か。
温度の低い手のひらが、スカートの中、太ももから、下着を身につけていない臀部をするりと撫でていった。
「…4人でするなら、もうひとつ、躾が、必要、だよな…?」
割れ目を指でなぞり上げる。
女ははっとして身じろいだ。
「!…待って、そ、っち、わたし…」
絡みつかせていた腕をほどき、光世の両の肩を押し戻す。
ちょっと性欲も掻き立てられて、このまま情事に突入してもいいかな、と思っていたのに、開きかけていた身体がぎゅうっとこわばった。
「……ん?あれだけあいつに鬼畜に調教されて…ここは、処女、なのか…?」
人さし指が、菊座を弄る。
たまらず腰を浮かせて逃げるように全身を捻った。
「だって!なんか!汚そうだし!やめましょ!?わたしそれいやかも!」
しかし、その翻った背中にのしかかられて、床へと引きずり下ろされる。
「…へぇ…では、光栄だな…初めてを、もらうぞ…!」
ずっしりと体重をかけつつ、布越しに、昂ったものをこすりつけた。
寝バックの体位に組み伏せられているが、やたら体幹は強く関節は柔らかい、アスリートとしての日々のトレーニングの成果だろう。
肩をぐるりと回して、後ろ向きで光世の体躯を拒む。
だがそれでは思うように力が入らないのは仕方がない。
「やだって!それやなんですってば!やめて!ほんとに!嘘じゃないんです!お願い、それだけはしないで!」
「…そういう、言い方も、パフォーマンス、なんだろ…?」
「ちがっ、違う!やめて!」
光世はチノパンのジッパーを下げてくつろげ、息苦しく疼くものを取り出した。
本来挿入する個所とは別の穴の入り口にあてがってはみるが、そこはかたく閉じてひくついている。
これは本当に雄を迎え入れたことがないのだなとうかがい知れ、光世は、ふわりと微笑んだ。
こんなにうれしい気持ちは久方ぶりだ…
小指をねぶり、唾液をまとわせて、そこへ差し入れた。
膣よりもかなり狭く、緊張して震えている。
熱く、ザラザラとしていて、もし性器を嵌め込んだらさぞかし夢見心地になれるだろうと、想像したら涎が溢れてきた。
「いや…やだ…あ、うそ、ほ、ほんとに、やなの、やめ…うそ!やめてよ!いやぁッ…」
「おい!これ!本当に『そういうプレイ』か!?どう見てもヤバいんだけど!?」
渋い顔で音響設備のデイリーメンテを進めていた城本が叫んだ。
急におっぱじめられて、どうかとは思いはしていたが、いい加減に、女の節操のなさにも、光世と征羽矢の女に対する異常な色欲も、見慣れてきていた。
だから、しばらくは無視していたのだが。
明らかにレイプの現場のような悲鳴が響き渡り、いてもたってもいられなくなったのだ。
「気にすんなよ、どーせ済んだらケロっとしてるんだぜ?こっちさっさとかたして参加しよーぜ?」
征羽矢が、光世が放っていったグラスを洗いながら答えた。
城本は唇を噛み締め、拳の中に強指を握り込んだ。
「…きついな…入りそうにないぞ…力を、抜けよ…」
光世は城本の諭す言葉など聞いてもいない。
ぶつぶつと不満を漏らしながら、小指を薬指に、そして、中指に、と変え、少しずつ穴を押し広げていく。
「やめ、やめてぇッ!は、はいっ、入ってこな、いでぇ…」
とうとう女は泣き出し、大粒の涙をポロポロと流し、かすれた声で繰り返し懇願した。
『そういうプレイ』にしては、あまりにも、リアル過ぎて、征羽矢はにやにやしていて、城本はドン引きしている。
ほぼ無理やりに指を2本ねじ込んでほぐし、引き抜き際に陰茎の先で押し入ろうとした。
「く…!ふぅッ、は…力を、抜け、と、言っている…!」
準備はまだ整っていない。
おのずからは濡れないのだから道理である。
ただ光世の身体はもう我慢ができない様子で憤っている。
「ああッ…やだぁ…」
女は足をバタバタと鳴らして、腰をひねって逃れようと抵抗し続けている。
やはりたいした体力だし、たいしたメンタルではある。
いつもながら、これの心を折るのは容易ではない、と光世は息をついた。
「…だめだな…兄弟、なにか、ないか…?」
亀頭の先ほども侵入を許されず、それは辛抱たまらずにガチガチに固まって苛ついている。
「ん?んんー?あ、そゆこと?えー、なんだろ?ハンドソープか食器用洗剤か…あっ、油あるぜ?サラダ油かオリーブオイルは?」
「…なんでもいい、寄越せ…」
征羽矢がそばまでやってきて、泡のついた手のまま、ペットボトルのオリーブオイルを光世に渡した。
「ほいこれ。なぁ、でも本気でいやがってね?だいじょぶそ?」
女は泣きわめき暴れている。
光世の巨躯だから馬乗りになって抑え込めているが、ちょっと華奢なイマドキ男子であれば返り討ちにあっているかもしれない。
「…かまわんだろ…これまでも、こんなだったじゃないか…」
光世はなんでもないように言って、オイルを自分の身体と女の繋ぎ目へと垂らした。
「ま、たしかに、それな!しっかしアナル処女喪失がこんなんって、滾っちまうなぁ!」
征羽矢がしゃがんで女の顔を覗き込んだ。
「ふ…ぅ、いいな、だいぶ…」
光世はマイペースに、ゆっくりと、通常時の倍に膨れたものを、女の肉の中へと突き刺していく。
女の拳が床を何度も殴りつけた。
「やだ!やめて、やめて、やめて…」
「…そうか?俺は、具合が、いいが…?」
「わ、わたしは、よ、よくない…へんな、かんじ、する…ぅぅ、」
床を殴る手を止め、ぐしゃぐしゃに乱れた頭を抱えて仰け反った。
いつにもまして、本格的な、レイプ風の、演技、に、どす黒い欲望が、湧き上がる。
「…ふ…ぅ…少し、いい…あんた、気持ちいいだろう…?」
光世が低い声で、女の耳元で囁いた、どろ甘い、毒を含んだ声だ。
女はいやいやと首を横に振る。
涙が頬を伝って落ちた。
「ちがう…よく、ないの…く、ぁ、ゃ…」
苦痛に顔を歪めて、歯を食いしばり、荒ぶる息根で必死に酸素を貪る。
「…よくないようには、見えない、が…?」
耳たぶにかじりつき、それから固く尖らせた舌先で耳の中を舐めると、女は幼い子どもが駄々をこねるように嬌声を上げた。
「なんっ、なんか、へ、へんな、おなかの中が、へんっ…!」
懲りずにまた激しくもがき、足掻く。
「おい、こっちはまだ、半分も、入っていない…もう少し、おとなしくしろよ…!」
動き回りあちこきを叩きまくる女の両手首を、光世は無造作に掴んで床へと縫い付けた。
征羽矢が愉快そうに尋ねる。
「なんか縛るもん持ってくっか?」
「…そう、するか…そのほうが、あんたも、いいかも、な…」
そろそろ諦めて脱力してきてもいい頃合いなのに、まだ力は有り余っているようだ。
よほどアナルセックスが嫌なのだな、ということはよく理解した。
だが思い返してみれば、嫌だと泣きわめくほどに、甘美に、酔えた、それは、事実。
「やだっ!放せ…やめろ!放せよっ…!」
縛る、の文言に、女の語気はひときわ強くなった。
だが、だ、思い返してみれば、だ、縛れば、喜んだのは、どいつだ?
「騒がしい女だ…少し黙れないのか…?」
ぐ、と腰を押し出す。
みち、と入口は引きつったが、またわずかに中が圧迫され、経験したことのない感覚が下腹部に充満した。
「…!ぁ、ぁ…ひ、ぃぃ、ゃ、やだぁ…き、きもち、わるいよぉ…おなかが、きもちわる…ぃ…」
「じきによくなるさ…ふ、ぅ…動かすぞ?」
手首を拘束したままだと、光世の方も動作が制限されていまいち動きにくい。
そこへ征羽矢が戻ってきた。
手には、古新聞なんかをまとめるときに使う、安っぽいビニール紐の束が握られていた。
「ビニ紐しかないー、」
探すとなるとなかなかちょうど良いものが見つからない現象はなんだろうか。
「いいだろ、べつに。とりあえず、手が邪魔だ…」
征羽矢が、光世の手のひらから女の手首を攫い、ぎゅ、と、包みこんだ。
「てんちゃん、ごめんね、縛るよ?ビニ紐だから、あんま暴れたら痛くなっちゃうよ?」
気味悪いほどに優しげな響きで、嘘偽りなく愛と慈悲を含んだ物言いで、猟奇的な内容で。
女は涙で濡れた真っ赤な目で征羽矢に縋った。
「そはっ、そはやさ、そはや、たすけて、わたし、これ、やなの、たす、たすけて、おねがい、おねがい…」
震えた声、恐怖と嫌悪のにじむ瞳、彷徨う視線…
ほんっと今日の演技は気合い入ってんね…
征羽矢は柔らかく微笑んだ。
「助けたげてーけど、んー、強行突破が正解なんだろ?あー、泣き顔かわいーなぁ、俺も犯してぇ…」
とろんとした表情で、まるで、テレビで旅番組を見ていて、行ってみたいなぁ、と言うくらいのなにげなさで、残酷な願望を口にする。
引っ越しの荷造りばかりしていたこの頃である、女の腕を縛り上げることなど、造作もない。
ただ極限まで可動領域を狭めたくて、括った手首を、女の首へと繋いだ。
いつか見た、あの、狂気の、実録動画を思い出している。
「…足も邪魔なんだが、どうするべきだ…?」
「ええー?むつかしーな…SMのAVみてーに、こう…足首と腿を括るか?」
「…そんなAV、俺は、見ないから、知らん…」
「あっ、こんにゃろ、裏切り者め…」
足の力は手の力よりもずっと強い。
光世が膝を折りたたませて押さえ、こそを征羽矢が縛り上げていく。
細くかたいビニール紐は、ふっくらと豊満な女の太腿にひどく食い込んで、とてつもなく淫猥に見えた。
「た、すけて…し、しろもとさん…」
少し離れて、呆然として兄弟たちの凶行を見て立ち尽くしていた城本は、名前を呼ばれて我に返った。
だが、どう、どうしたら、どうしろと?
これは合意の性交なのか?
たとえ恋人同士であっても、デートレイプなんていう呼び名があるくらいだ、誰がどのようにして、見極めるんだ?
『そういうプレイ』か、否か…
「あはは!だめだよ、てんちゃん、巻き込んじゃ、」
征羽矢は、屈託なく笑い声を上げた。
「こっちは、おおかた、入ったぞ…すさまじく、きついが、こういう、ものか…?」
光世が眉間にしわを寄せている。
巨大な剛直は、いつの間にかそのほとんどを女の中に埋められていた。
「それは俺も知らねーな、」
会話から察するに、光世も征羽矢もアナルセックスの経験はないようだ、まあ、当然といえば当然、あまり無難な性癖とは言い難いのだから。
女は身動きのできなくなった身体を震わせている。
「い、いたいよ、いたいよぉ、やめて…とってぇ…」
手足のないだるまのように、うつ伏せに地面に転がされ、腹臥後背位で、あろうことか肛門を犯されて、惨めで、哀れで、いやらしくて、たまらない…!
城本は、ふらり、と立ち眩んで座り込んだ。
それを注視するものはいない。
光世は冷酷に女の腰を掴んで、自身の下半身をグラインドさせた。
女の悲鳴が、音環境の良いナイトクラブのホールにリフレインする。
頭がおかしくなりそうだ…!
「…俺は、痛くない…」
「兄弟…そういうとこだぜ?…よし、おっけー!これで動けねーかな?」
征羽矢が、もう片方の足も縛り終えて、ハサミでパチンと紐を切った。
光世が女を羽交い締めにして抱き上げる。
「いいだろう…そっち、使えよ…」
征羽矢がぱあっと顔を輝かせた。
「えっ、いーの?よっしゃ、じゃ、失礼しまーす…」
ごそごそとパンツを下ろし、こちらもパンパンに腫れ上がった陰茎を取り出した。
かたいフローリングにごろりと仰向けに寝転がり、下から女の腰を抱えて自身のものの上に運ぶ。
光世が上から体重をかけて、女の凹へ征羽矢の凸を押し込んだ。
「…っ!ああっ…!な、なん、なに、これぇ…!」
女の目の前は、無数のスパンコールをばらまいたような虹色の光に満ち、また涙がとめどなく溢れ出した。
「っん…は、きっ、もっ、ちぃーっ!ギッチギチでビッショビショだぜ?けっきょく、いーんじゃねーかよ、変態女っ…!」
ブリッジをするときくらいに腰を反らして、激しく突き上げると、女は白目を剥いて呻いた。
「…城本、済んだのなら、上がれよ、それか…それとも、あんたも、興味が、あるか…?」
光世が、わざわざに城本と目を合わせて、それから問う。
「…っ!」
城本の身体もまた弾ける寸前であった。
これは!
合意の上の行為なのかどうかを!
明らかにしてくれ!
叫びたいが、声が、出ない…
「上のおくちが余ってるぜ?てんちゃんのフェラはまーじ極上だよな?」
征羽矢は騎乗位で、光世は光背位で、女を甚振っている。
完全に自由を奪われてされるがままに犯されて、涙に濡れて、ほとんどの意識を飛ばして、されど快楽に溺れている様相で、女は叫喚とも喘ぎとも判断のつかぬ音で鳴いている。
「…誰にも、言ったり、しないさ…そうだ、あんた、言ったじゃないか、俺たちのプレイの、ダシに、されているだけ、さ…」
光世の、赤い瞳に、吸い寄せられるようにして、城本は、1歩、また1歩、と、歩み寄る…
理性から欲望が分かれて、手は意思を跳ね飛ばし、ベルトを緩め、スラックスのファスナーを引く…
「しろ…もとさ…だめ…やめ…たすけて…」
女は血が滲む頬をひくつかせて、顔を背けるが、光世の右手がその頭頂部の髪を鷲掴んだ。
城本は、夢遊病を患っているような緩慢な動作で、女の白い肌の首の付け根に片手を添えて、そこから少し日に焼けた上方へと滑らせていき、小さな顎を、掬いあげる。
唾液をだらだらとこぼす下唇を親指でなぞると、女は、条件反射でか?はくはくと口を開いて舌を突き出した。
殴られるよりひどいショックに、脳幹が揺れ、許されない本能が城本を責め立てる。
遠慮も躊躇いも忘れ、欲の塊を、喉奥へと、叩きつけた。
頭の中に、ああ、これ、もう、だめなやつだろ?と、憔悴した自分が項垂れているのが見えた気がした。

やめろだとか助けてくれだとか言うくせに、柔らかい舌が円を描くようにして、城本のものを刺激した。
小さめの口だが、歯が当たらぬよう健気にめいっぱいに開いて、苦しげにえづきながらも吸い付いてくる。
コンテンツとして消費されるのに慣れすぎている…!
あの男に、調教、と光世が言ったけれど、前に店にやってきた、あのガラの悪い中年男のことだ、あいつが、この女を、こんなふうにしたのだろうか…
「なんか、腹の中、かてーのに当たるんだけど…これって、もしかしなくても兄弟のナニ?」
「…そうだろうよ…」
「うげ!きもちわりぃ…」
「こんな薄い腹に、こんなものが2本も入ってるんだ…」
「うへぇ、グロいな…」
兄弟たちはそれぞれに勝手に下半身を揺らしながら、さもなんてことないふうに会話を繰り広げている。
こいつら…
これまで普段からこんなことを…
首を絞めてくれと強請った女の、粘っこい声を、思い出す。
それは、いったい、だれが、のぞんでいることなんだ…?
征羽矢と飲み明かした夜にした話を反芻する。
兄弟は刀の付喪神で、主である女に追陪していて、政府の統率のもと、歴史を変えようとする敵と戦い、ライフゲージと体力ゲージを擦り減らし、それを補うために、主とまぐわう、儀式をする…
主たる資質として、この、男の形をしたものたちを誘惑する、計算し尽くされたコケットリーがあるのだろう、凶器を従えるために、なくてはならぬ能力…
つまるところ、自分はそのとばっちりを受けているわけだ!
たまったものではない…
だが、
では、
もう、
金輪際、
えにしを断つ、
など、
勇気は、
なく、
それは、
ほら、
仕事だから、
とか、
ありきたりな、
言い訳を、
まとって、
きっと、
明日も、
あさっても、
足は、
ここへ、
CLUB thunder boxへ、
向かう、
だろう、
そして、
また、
麻薬を、
与えられ、
思考力を、
奪われ、
同じことを、
繰り返す、
予感しか、
ない、
家族を、
裏切っても、
良心を、
殺しても、
たとえ、
愛など、
ではなくても、
愛などではなくても!!
メビウスの輪のように思索は終わらず裏と表を行ったり来たりして、徐々に正気は失われて、虎はバターになって、城本は囚われてもう二度と元には戻れない。
夢現で精を放ち、ずるりと身体を離すけれど、目の焦点は合わぬまま、屈んで女に口づける。
「終わったならどけよ!視界が最悪なんだよ!」
股の間で征羽矢が怒声を上げた。
ムードがないと言おうか、おかげさまで命拾いしたと言おうか。
-------------------------
〜22に続く〜
 
レスを見る(2)
2025/10/19 20:32:22(DKXxpNXu)
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