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〜まえがき〜
⚠書いた人はオタクです⚠某刀ゲームの二次創作夢小説です⚠暴力などこじらせ性癖の描写多々⚠自分オナニ用自己満作品です⚠ゲームやキャラご存知のかたは解釈違いご容赦ください⚠誤字脱字ご容赦ください⚠たぶんめちゃくちゃ長くなります⚠未完ですが応援もらえたらがんばります優しいレス歓迎⚠エロじゃないストーリー部分もがっつりあります⚠似た癖かかえてるかた絡みにきてください⚠ —---------------------- どちらのベッドで眠るか特にこだわりがあるわけではない。 今夜は征羽矢が先に女の手を引っ張った。 「…も、眠い…早く、来て…?」 もぞもぞと布団に潜り込むと、ぎゅっと抱き締められた。 シャワーを浴びたままの濡れた髪が、ぺしゃんと潰れている。 不思議と、木のような、なんというか建築材のような体臭がある。 すうっと胸元の空気を吸い込むと、なぜか気分が落ち着いた。 「…城本サンと、番号交換した?」 とろとろと眠気がまとわりつく。 「してないですよ、けっきょく。」 「うん…わかった…」 なにが分かったのか、さっぱり分からない。 すでに寝ぼけているのだ。 「だいすきだよ、あいしてる…」 軽く寝息を立てながら、征羽矢なのかソハヤノツルキなのかはっきりとしない言葉を口走る。 女は浅くため息をついた。 「…バカみたいじゃないですか…こんな、オバサンに、なんてことを…」 さきに店で城本とした、年齢と生き方の話に、やわやわとダメージを与えられているのだ。 光世が部屋の明かりを消した。 「…歳は、関係ないとは、思う…」 眠ってしまった征羽矢を起こさぬよう、そっと、女の顎を掬ってキスを落とす。 「そうは、言っても、10違いますからね…」 ついばむように、数度、首をかしげて、唇を重ねる。 「…俺も、あんたが、何歳でも、構わない…」 「ミツヨさんのは、また、違いますし…」 知っている。 光世は好きだとか愛してるだとかいう感情で女を縛っているわけではない。 「…俺たちにとっては、数年、数十年の感覚などほんの数日…」 「ね、それは、刀剣の大典太光世の話でしょう?」 女は、征羽矢のしっとりとした髪を撫でた。 「…ああ、そうだったな…すまない…」 光世が自分のベッドに入る。 「…ねぇ?…あなたたちは、本当に、どこから来たんですか…?」 連日の夜伽の絡む睡眠不足と、日付の変わった昨日の肉体的疲労があいまって、2人とももうまぶたは閉じんばかりであった。 「…なにと戦っているんですか…?…なにを、待って、るんですか…?」 ふわふわと浮いているような気持ちよさ。 「…あるじに、なにを、もとめてるん、です…?」 女の目の前が白黒の市松模様になる。 夢に、もう、落ちる。 「…どこ、へ…いくん、です…?…わたし…わたしも…」 頭の奥で、スキール音が鳴り渡る。 そのもっと奥で、鉄を打つ音が聞こえた気がした。 「…忘、れて…?」 余計なことを言ったかもしれないと思ったのだけれど、弁明する気力もなく、たった4文字をどうにか絞り出し、崖を転がり落ちていく。 光世がまだ起きているのかもう眠っているのかこそ分からないのだから、もういいや、と思考を放棄した。 何時に床に就いたとしても、アラームがなくとも、同じ時間に目が覚めるのだ。 光世はベッドから這い出た。 デジャヴのような、征羽矢と女の寝姿を見つめる。 ただ、あの朝より、本丸の記憶は鮮明に強固に脳裏に焼き付いている。 本丸の誰もが認める審神者の寵児、乱藤四郎が練度マックスとなり、次点の物吉貞宗も能力値がカンストして、そのあと、大典太光世はずいぶん長期間に渡って第一部隊の隊員を務めていた。 第一部隊常連のメンツはある程度は決まっていて、同等のレベルの刀とたびたび夜の霊力供給の儀をともにした。 ソハヤノツルキもその内の1振りであり、まさに、仲間たちとこんな不道徳な日々を過ごしていた。 ソハヤノツルキこそ審神者を真面目に慕っていたのか、手荒なことはしないと、頑なに強姦のような性交を拒絶していた。 本当は、他の刀と同じ戦場に出陣して同じように数値を失い、全身が震えるほどに求めているはずなのに。 逆に、先陣きって他の刀の音頭を取り、行為をエスカレートさせていった奴もいる。 夜ごと、突き飛ばされ、あるいは引き倒され、あんな、あんなにひどいことを、されるのに、審神者の身体は慶びを隠しきれずにわななく。 大典太光世は、この気持ちはなんだ、と浮かぶ疑問を、握りつぶした。 俺が。 俺が? 俺の。 俺の? 触れるな、審神者に。 叫び出してしまいそうになり腹を押さえる。 独占欲? 嫉妬? そんなはずはない。 作り笑いで微笑んで、刀たちの機嫌を取ることしかできない、憐れな、弱い、生き物。 を搾取しようとする、あいつ、あいつら… いや仕方のないことだ、それがこの本丸の審神者の仕事であり定めである。 あいつらだって、戦場に出さえしなければ気の良いおだやかな刀である。 諸悪の根源は歴史修正主義者と時間遡行軍だ。 あれと邂逅するがために、すり減らされ、心を失う。 ざわりとささくれだった精神を、どうにか鎮めようと、なにかに責任をなすりつけようと思索を巡らせて深呼吸をする。 それに… 「…俺も、同じ、ことを…?」 眺めていただけなのだが、女がパチリと目を開いた。 「…あー…これですか、分かりましたよ…分かっちゃった…」 女も、征羽矢を起こさぬようにそっとその腕の中から抜け出す。 また勝手に冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを取り出して飲む。 「おはようございます、」 「…おはよう…」 手櫛で長い髪を梳き、輪ゴムでハーフアップに括りながら、光世も挨拶を返した。 「…昨夜、シロモトさんが、あなたたちから、刃物のような殺気を感じると言っていました。」 ペットボトルの飲み口の部分で、光世の胸を小突いた。 「…パフォーマンス中はもう少し集中したらどうですか?」 「…あんたが…城本に、媚びるのが、悪いんだろ…?」 不満げに口を尖らせる。 「…ちょっと、目を離したら、すぐによその男と、乳繰り合いやがって…」 女が、再び飲みかけていた水を吹き出した。 「乳繰り!合うとか!バカ過ぎる…!」 水道水を電気ポットに入れてスイッチを入れる。 「トースターいっしょに使ってブレーカー落ちないです?」 冷蔵庫からマーガリンとケチャップ、ウインナーとスライスチーズを出す。 食パンにマーガリンとケチャップを塗り、ウインナーを手早く刻んでスライスチーズも乗せた。 光世が頷いたのを確認してから、 「あ、」 思い出してベランダを覗いた。 ミニトマトがしっかりと赤く色づいている。 「いいですね、」 プチプチっと数個を収穫して、ささっと水洗いして半分にカットして、それも乗せた。 トースターのタイマーのつまみをぐるりと回す。 「シロモトさんは、少しオカルト耐性ありで、」 インスタントコーヒーの粉をカップに入れながら、さっきの会話の続きを急に再開する。 「あなたたちは人間離れしてるって、わざとわたしにくっついて見せて、」 「…わざと…」 光世がしてやられた、というように額に手を当てた。 「でも、そうしたら、ライトが、バチってなったんですよ、LEDなのに。」 湯が沸いて、パチンとスイッチが切れた。 順番に熱湯を注いでいく。 「ね、もっかい、ゆっくり、話しませんか?…なにかが、あると思うんです、この、なんてゆーか、メタい言い方になるけど、この、出会いには…」 光世は考えている。 女が審神者であることは間違いないのだ。 それが、本丸のことを忘れているのか忘れさせられているのか、のどちらかだと踏んでいる。 どちらにしろ、なんのために忘れたのか、あるいは忘れさせられたのか、それか、なんのために、未来から過去へ戻ったのか、あるいは戻されたのか。 自分たちは、刀なのか、人間として生まれ変わったのか、まったくの別の個体で記憶だけを有しているのか。 そして、それを、自分たちが探って良いのか。 「…今は、まだ…このままで、このままが…いい…」 本丸の狂った日常や、最期の悲惨な光景を、審神者本人である女に伝えることが恐ろしい。 光世は静かに首を振り、征羽矢の布団をバサリと剥ぎ取った。 征羽矢が、寝起きの掠れた声を絞り出した。 「さて、たいへんなことでございまする。」 スマホに来ているショートメッセージを、光世と女に見せる。 「森下サンとメル友になりまして。」 『次のレースまでには、わたし、(社長、)伊藤チャン、ユキちゃん、ミツヨくん、(ソハヤきゅん、)で食事でも♡』 「俺はカッコなので、べつにいーんです!が!」 熱いコーヒーを一口飲む。 「兄弟1人に任せるのは危険がいっぱいなので!」 分かる、と思わず女が頷く。 征羽矢が不在では楽しい食事会になりそうにもない。 スポンサー契約を結ぶのだ、そのくらいの社交性は、ないけれども、ないなりに覚悟はできている。 広告を出すに値する選手でなければならない。 優れた成績を残すべきだし、話題性があらねばならない。 マイナーなスポーツであろうと、より長くメディアに映り、サブリミナルな効果を発揮するべく、努力を惜しんではいけない。 「仕事としてスケジュール調整します。」 ピザトーストに、はむ、と、かぶりつく。 「うまっ、なにこれ、うまっ。」 とろけるチーズがびよーんと伸びた。 咳払いをする。 「そして、来月の全畑モーターランドにて開催の、ドリチャレライト西大会ですが!」 その仰々しいものいいを、女は冷めた目で見ている。 「観戦はしますが、兼PRと対関係者挨拶のため、こちらも業務とします!」 光世は面倒くさそうにもさもさと口を動かしている。 「食事会は日程決まり次第、それとレース当日はリスケします!スタッフの応援可能なら店舗は休業せずに通常通りで…って、聞いてる?」 征羽矢が光世を睨んだ。 「…聞いてる…やるべきことを、言ってくれれば…そのとおりにする…」 無表情ではあるが、ピザトーストが美味いとは思っている。 「兄弟は、とりあえず、ボロが出ねーよーに話す内容を詰めとこーな?まちがってもセフレ感出すなよ?」 たしかに、万が一馴れ初めなど尋ねられようものなら、作り話が噛み合わず即刻退場である。 お互いのためにも、ある程度はシナリオが必要だ。 「えー、では。おふたりはどこで知り合ったんですか?」 征羽矢が、両手を顔の下で組み、面接官のように質問した。 どちらかというと尋問か詰問といった風で、可笑しい。 「えっと…たまたまお店に行きまして?…飲みながら話してるうちに意気投合?しちゃいまして…?」 女が、しどろもどろに答える。 「…うーん、そのくれーの方が嘘満載じゃなくていーか?」 「…俺たちが、いったいなんの話で、意気投合するんだよ…」 光世がコーヒーをすすりながら苦い顔をしている。 「たしかに!共通点皆無!」 征羽矢がわざとらしく、おでこをパチンと手のひらで叩いた。 「今さらなんだけど、ご趣味は?」 「車、アニメ漫画ゲーム、酒…」 指を折るアクションをしてみるが、そこに光世と意気投合しそうな話題の種はない。 助けを求めるように、光世の顔を見上げる。 「…音楽、映画鑑賞、読書…」 斜め上に視線をそらしつつ、光世も指を折って見せる。 「…さっそくなかなか壁にぶち当たってんぞ?」 征羽矢はむくれて頬杖をついた。 女がフォローしようと言葉を続けた。 「わたし映画全般雑食です、本命はアニメ作品だけど、なんでも見ますよ。」 「…B級C級はどうだ…?」 光世がそれに食いつく。 「あっ、好きです。最近のはあんまり分かんないですけど…」 「よし!じゃ、そこらへんをちょっと盛ろーぜ!あとで鑑賞会しよーぜ!」 征羽矢はほっと胸を撫で下ろした。 女が、意を決したように表情を強張らせて問う。 「…ミツヨさんって、何歳ですか?…や、ほんとはこーゆーの、聞きたくないタイプなんですよ?でも齟齬が生じたら困るので…」 喋り終わる前に自ら言い訳を被せる。 「…29…」 光世がぼそり、と答えた。 「ですよねー、20代…なんか罪悪感がすごい、です…」 気まずくて、コーヒーカップを両手で包む。 「あとさー、俺、てんちゃん呼び出ちゃうそうでさ、慣れとかなきゃだな、なぁ、ユキちゃん?」 征羽矢があぐらをかいた身体を揺すりつつ首を傾げた。 「…テキトーなあだ名使ってたら定着しちゃった、で乗り切れそうではありますけどね、夜の店なんですし。」 なるほど、と指を顎に当てて頷いた。 「しかし兄弟はさすがに名前呼ぶ練習しとかないとだな!」 「頑なに、呼びませんよね、あんた、とかしか。」 茶化しはしてみてみるが、ふと、思い起こされる、ソハヤノツルキが耳元で呼ぼうとしたときに見た幻覚。 鉄の門に閉じ込められそうになって、息を切らして走った、夢寐。 くらり、と軽い目眩を感じてうつむいたが、征羽矢は気付いていないようだ。 「ほら、ユキちゃんってゆってみ?」 「…」 光世は、くだらない、とでも言いたげな冷ややかで卑屈な目線で弟をねめつけた。 「…ソハヤさん…ミツヨさんって営業、役に立ちます?」 女が素朴な疑問を口にした。 ただでさえ口数が少なく、気の利いたことなど言えそうもない、逆に誤解されそうなことはすぐに言いそうではある。 「…黙っててくれたら、相手によっては勝手にろーらくされてるカンジはあるかな?ミステリアス美人は無敵。」 征羽矢が困ったように笑った。 「…けっきょく顔面が正義、ですか…」 女は残りのピザトーストを口に詰め込んだ。 「もう引っ越してこれば?」 征羽矢が食器を洗ってくれている。 「嫌ですよ、あそこ、あと5台は停めれますよ?」 「…無生物にジェラる日が来るとは思わなかったぜ…」 光世は映画のサブスクアプリを立ち上げて、プロジェクターの用意をしていて、女はフローリングワイパーで床を掃除している。 「あいつ、なんか嫌がらせ的なことしてこないか?」 「殴り込みに来るとか、そういう度胸あるタイプじゃないんで、大丈夫かなとは思うんですけどね…」 しかし光世の胸ぐらを掴んで凄むくらいには肝が座っていた。 「なにつながりなんだよ?」 「もともとは、車…わたし学生時代、ごりごりの体育会系の自動車競技部で、そのOBというか、コーチというか。」 自分から聞いたくせに、さほど関心なさそうに、ふーん、と鼻を鳴らして拭いた食器を片付けていく。 「…なんでさ、そーゆーカンケイになっちゃったん?なんか…」 ゴニョゴニョと口ごもりながら言葉を探す。 「悪いけど…フツーのおっさんじゃん?」 「…あのですねぇ…」 女は呆れて、掃除の手を止めた。 「わたしもフツーのオバサンなんですけど?」 「ちげーよ…」 納得いっていない顔で、タオルで手を拭き、ストックシェルフの奥を覗き込んだ。 左右の手に1本ずつワインボトルを取る。 ラベルを見比べて、わずかにアルコール度数の少ない方を選んだ。 光世が自身のベッドをずるずると引きずって部屋の中央に移動させる。 この部屋にはソファがないので、その代わりにするつもりなのだろう。 征羽矢がローテーブルを据えて、ワインを置き、またキッチンへ戻ってパントリーをごそごそと行ったりきたりする。 つまみになるものを探しているのだ。 どんどんと準備が整っていく。 ワイングラス、スナック菓子の袋、キャンディチーズ、水のペットボトル。 「そんなん、なにきっかけでセックスすんの?てか、学生時代って?何歳?大学生なら18とか19とか!?え!?いつから、あいつとヤッてんの?」 急にいろいろ気になり出してしまい、征羽矢が怒涛の勢いで女を問いただした。 「…それ聞いて、なんか楽しいです?」 部屋のセッティングにぬかりのない光世に邪魔者扱いされて、女はフローリングワイパーをクローゼットに片付けて、移動されたベッドを背もたれにして座り込んだ。 「…楽しい…か?は、分かんねー…けど、興奮は、する、かも…」 征羽矢も女の隣に腰掛け、プロジェクターの電源を入れ、リモコンで目ぼしい作品を検索する。 光世が部屋の明かりを消して、ブラインドをぴったりと閉めてくれる。 案外といい雰囲気で暗くなり、女は少しわくわくとした。 「今から映画見ようって言ってるのに、興奮したらダメじゃないですか。」 「…いーよ、見ながら、しよーぜ…?」 キスしようとする征羽矢の顔を、光世がぐいっと押し退けた。 女を挟んで反対側に座る。 征羽矢の手からリモコンを奪ったが、2人に意見を求めたりはしない。 光世の好みの映画が見つかるまで、手持ちぶさたに会話を続ける。 「…18になってすぐ免許とって車にハマって、大学入学して速攻で部活入ったんですよ。」 あの頃のおよそ倍の歳になってしまった事実に改めて驚愕する。 「新歓コンパで、ベロベロに酔っ払って、さっくり持ち帰られちゃったんですけど。」 「さっくりいきすぎ!」 征羽矢が声を荒げてツッコんだ。 「いきなりめちゃくちゃなとんでもないプレイでイカされまくっちゃって。」 思い出すと、背筋がぞくりと粟立った。 あのときあの猟奇的な空間から生きたまま解放されたのは奇跡に近い…? 「ペース飛ばしすぎじゃんね?」 ワインオープナーを拾い上げ、ボトルを掴み、そのコルクに針先をねじ込む。 光世は聞いているのか、いないのか。 「そのときはそれっきりだったんですけど、もーね、彼氏とセックスしても全然イケなくなっちゃって。」 「そりゃ、そーか…?も、しれねーなぁ…」 3つのグラスに、少しずつ赤い液体を注ぐ。 昼間からなんと背徳的なことか。 思わず唇が緩んで笑みがこぼれてしまう。 「たまに指導で部活来てたから、会ってはいたんですけど、なんかのときに2人になったときに、こう、なんてゆーか、なしくずし的に?ね?」 光世が再生ボタンを押す。 一昔前のサスペンスホラーだが、SF味が強く、展開があまりにも極端でB級もといコメディ扱いされる名作だ。 「あ、これ、いい、すごい好きです。久しぶりに見ます。」 にこ、と薄く微笑んで、光世はワイングラスの脚を持ち上げた。 「なぁ、それさ、泥酔レイプなんじゃねーの?」 「今思えばそうかもですね。」 征羽矢の質量の重い問いかけに、女がたんたんと答えた。 「ミツヨさん、こだわりなければ字幕にしてくださいよ。」 「…分かった、実は俺も、字幕派だ…」 スクリーンを反射した光が光世の顔をほの青く照らしている。 征羽矢が女の腰を抱いた。 「…めちゃくちゃとんでもねープレイってどんなの?」 こめかみのあたりに口づけを落としてくる。 「ソハヤさん、映画、これ面白いですよ?わりと序盤からばんばん進みますよ?」 「…えー、じゃ、ちゃんと見るから、あとで教えて?」 甘えた声で、髪に頰ずりをする。 「はいはい、あとでですよ。」 女はそれをぞんざいにあしらって、映画の世界へと戻る。 この、始めの飛行機のシーンが肝で、伏線が張り巡らされているのだ。 十数年ぶりに見るのではあるが、なんとなくは覚えている。 グラスを取り、唇を寄せた。 ふわり、と濃厚な果実の香りが舞い上がる。 頭の半分で、次はあれが見たいかも、とうっすらと考えている。 ミツヨさんは見たことあるかな、楽しみだな、と思ってしまう自分に、もう驚かない。 まずいことに、この兄弟との生活が、かなり気に入ってしまっている。 キャンディチーズの包みを開く。 エンドロールを見ている。 「…最初の、配線図が、ちらっと映るじゃないか、あれが死ぬ順番に繋がるの、安っぽくて、いいよな…」 「分かります。洗練された謎解き感がなくて、この手のホラーはチープな方が怖いですよね。」 グラスにワインボトルを傾けるが、ぽたり、と1滴、赤い水滴が落ちてくるだけだ。 「見たことあるから知ってるのに、トラックに轢かれるとこビクってなっちゃいましたよ。」 「…あれは、音が、いいんだ…日常のかすかな、劇中のレストランのBGMだけで、音楽がかかっていないんだ。そこに、半瞬の無音と、衝撃音…」 女の手からグラスを取り上げ、立ち上がり流しへと持っていってしまう。 「…水でも飲んでおけ…」 「えっ、なぁ、なぁなぁ、最後のさ、看板降ってきて終わるのって、どーゆー意味?生き残ったんじゃねーの?」 征羽矢が女の肩を掴んで揺さぶった。 「2周目に突入したってことでしょう?1周目を生存で終えても、まだ続くんですよ。」 投げやりに女が解説してやる。 「続編ありますけど、繋がってはないし、こちらはちょっとハズレ味ありますよね。」 光世がこくりと首を縦に振る。 「あと、高校生が主人公なのも、王道でいいですよね、これ大人だったらあんまりきゅんきゅんこないかもですし。」 大袋の中に残っているポテトチップを摘んだ。 「…『そんなことあるわけないだろ』と大人たちから相手にされず…光を失っていく様が、たまらんな…」 女と光世が、顔を見合わせて、静かに、ふふ、と声を漏らした。 征羽矢は少し面白くない、女の体に絡みついたまま子どものように口を尖らせてふてくされる。 「おもしろかったけど!俺、あんま考察しない勢なの!難しいハナシしないでぇ!」 「次回これ見ましょう、おすすめです。」 リモコンを操作して、お気に入りのタイトルを表示させる。 スリルサスペンス物で、ダイナミックな展開こそ少ないながら、容疑者の頭の中を覗くように進んでいくストーリーが手に汗握る作品である。 「ミツヨさん好きそうだなって思って。だいぶ昔のだから見たことないでしょう?」 光世が優しく微笑んでいる。 女は無意識だろうが、自分の好みを想像して選んでくれたこと、そもそも、自分が思考の中に存在していることが、得も言われぬ悦を沸き立たせた。 いや、もったいぶった言い方に慣れすぎてしまった。 単純に、嬉しい。 心がぽかぽかとして、照れくさい、こんな気持ち、いつ以来だろう。 しかし、違う… 愛など、知らない… その胸の温かみを、光世は苦々しく握り潰した。 「映像作品の趣味は傾向似てるっぽいから、口裏合わせはこれで問題なさそうですね。いくつかいっしょに履修してから食事会に臨みましょうね。」 征羽矢の頭をなだめるようにポンポンと柔らかく叩く。 「意気込みが勇ましいんだよなぁ…」 ぼやきながら、背中に額をこすりつける。 「…出勤前に、いっかいだけ、しよ?」 女が光世を見上げた。 「ソハヤさん、性欲おばけですよね…」 ミツヨさんもか、と思い直すが言わない。 「…勝手にしろよ…」 光世はプロジェクターもスクリーン布も片付けぬまま、ギターを掴んで征羽矢のベッドに腰掛けた。 掻き鳴らされる音の帯がなにかの曲なのかオリジナルなのか、気まぐれなこれっきりの旋律なのか、女は知らない。 なおざりな前戯に、性急な挿入。 がっつくように腰を揺らす。 「…さっきの、ハナシ、続き、してよ?」 「んっ、ゃ、なに、むり…」 女は肘を高く上げて顔を隠すようにして息を荒げた。 「オッサンに、酔わされてっ、ムリヤリ、犯されたんだろ?…どんな風だったか、教えろよっ?」 ぱちゅん、ぱちゅん、と、肌と肌がぶつかり合うなまめかしい音が鼓膜を震わせる。 「ぁ、ぁ…なん、でっ、そんな…ことっ…ぁ、は…」 掲げた二の腕のふにゃりと柔らかい部分に口を押し付けて、声を殺した。 征羽矢は冷淡にその手首を攫い、シーツへと縫い付けた。 「見ちゃっ、た…写真っ…ガムテで、口、塞がれてるやつっ、すっげー…刺さっちゃ、って…」 手首を拘束していた手のひらをじわじわと移動させ、女の手のひらとを合わせて指を互い違いに絡ませる。 決して広くはないのだが、部屋の中央に置かれたベッドでまぐわうというのは、なぜか疚しさが感じられて高ぶった。 「…どんな風に、ちょーきょーされたら、こんなっ、ヘンタイに…なるのかなっ、て。」 ギターの音が止む。 部屋の隅で、光世がなにかごそごそと作業しているのが分かるが、征羽矢に雄々しく責められて注意をそちらに向けられない。 「はは…縛られた?目隠し?…ふふ、は、はは、首絞め、とかっ、強制イラマ…?」 普段の爽やかな笑い方とは双極の、闇の破顔。 「…ぜんぶ…ぜんぶっ、俺、おれ…」 光世が、プロジェクターの電源を、また入れた。 「…兄弟、おもしろいものを見せてやるよ…」 そう弟に語りかけた顔も、魔王のように綻んでいて、女は考えのまとまらない頭で最悪に近い予感を察知した。 プッ、間の抜けた電子音とともに開始された動画は、画質は粗く乱れ、手ブレも酷く、雑音も多い。 だが、そこに映されている、少女と女性のちょうど間ほどの姿は、間違いなく、この目の前の女であった。 光世との熱愛報道がなされたときに見たことがある、学生時代の、若かりし頃の女の姿。 「ゃ…やめて!…み、見ない、で…!やめて!やめて、お願い、お願い、します、やめて!」 女が叫んだ。 がくがくと震えるその身体を、征羽矢が捻じ伏せる。 「…まさか…これ…」 込み上げてくる半笑いを抑えきれない。 『よく寝てんな、ぜんぜん起きねーから、このままヤるわ。よいしょ。』 画面の外から男の腕が伸びてきて、女の服を脱がせていく。 『顔は、まあ、並。カラダはいいかも。もっちり系。』 下着だけを身に付けた全身を、舐めるようなカメラワークで撮影は続く。 『女子大生サイコーだね。』 荒い鼻息がマイクに拾われている。 小さなパンティをゆっくりと下ろしていく。 右足だけを抜いて、右膝に手をあてがい、ぐい、と広げると、黒ぐろとしげった箇所をアップにする。 『だめだな、脱力し過ぎで閉じちまうな、待てよ…』 画面が大きく揺れる。 そこでブツンと途切れた。 「やめ、て!…見ないで…!」 「うるせーな、」 征羽矢がキスで女の口を塞ぐ。 光世は女の部屋から回収してきたノートPCを操作している。 次のファイルをクリックする。 『どうだ?これで。』 女の右足首と、ベッド横の柵がおもちゃの手錠で繋がれているのが映し出される。 『中華街で買ったやつ。』 投げ出された左脚には自身の体重をずっしりとかけていて、あられもなく開脚させられているが、女はわずかにうめき声を上げただけで、眠ったままでいるようだ。 『まだ起きねー。急性アル中で死ぬか?』 ずんぐりとした醜い太い指が、女の秘所を暴いて広げる。 桜色の肉のひだが、ひくひくと痙攣している。 『処女かな?すげーきれー。』 一度カメラは遠ざかり、女の顔を映して、それから男の卑猥なものが女の身体の中へ突き刺さっていく様を記録していく。 『いいな、きつい。でも処女じゃないな、惜しいな。』 接合部が拡大され、ぬちぬちと音が聞こえてくる。 「ふっ!んんっ!んーっ!んぐ…」 征羽矢は唇を離して、片手で口を押さえている。 解放された側の女の手は征羽矢の胸を押し返そうとするが、びくともしない。 『無抵抗ってのも、つまんねーな。』 そう言いながら、律動を止めない。 汚らしい陰茎が、女の股の間を出たり入ったりするところを延々と捉え続け、また、突如として暗転する。 女が征羽矢の身体の下でなにか騒いでいるが、無視だ。 光世が、たんたんと次のファイルを開く。 『1回出た。女子大生マンコうますぎる。でも起こしてーなって。』 先ほどはだらりと弛緩していた腕が、映像が切れていた間に、なにかの紐状のもので女自身の首と、後ろ側で括られている。 バチン、女の頬を平手打つ。 『う…ん…?』 女が唸ってまぶたが震えた。 『…ん?…せん、ぱい…?』 今の女よりわずかに高い声。 酒に酔っているせいかもしれない。 『…!?せ、せんぱい…!?な、に…これ…やだ、やだ、離して…!?』 『おはよ。もう1発ヤったから。今から第2ラウンドな。』 『待って…!?な、んで…!?待っ、て!?やだ、やめて!』 画面はずっと揺れっぱなしで、何重もの意味で、気分が悪くなる。 素人仕様のハメ撮りなど所詮はこの精度。 肝心な部分を執拗に映すこともない。 薄暗がりの中、画素の悪い肌色が上下左右にブレるのに、申しわけ程度に女の泣き顔がカットインするくらいのことだ。 だが、それが、十分過ぎるほどに、征羽矢を掻き立てる。 口は半開きで、目はまばたきを忘れ、女の顔を押さえつけた手は力加減を見失っていた。 女は明らかに酸素が足りなくなり、抵抗する腕からは力が抜け落ち、瞳孔が開きかけていた。 『さっきより、やっぱ、いい。締まりが違う。』 上ずった男の声が、不快感を煽る。 『やめろっ!…やだっ!やめて!や、やめてっ、ぁ、ぁ、ぁ…』 悲壮な嬌声が反響する。 『やめるわけねーじゃん。朝までヤるよ?』 そこで、また映像は止まる。 こちら側の女は意識のほとんどを飛ばし、くったりと横たわっている。 征羽矢が慌てて顔の手を退けた。 「…どうする?まだまだあるぞ…?見るか…?」 「…決まってんだろ…!こんなの…」 繋がった部分を、より強く奥へと叩きつける。 「…こんなの!はやく、はやくしろよ!?」 光世が、柔らかく微笑んで次のファイルを開いた。 画面の中、女は床にうつ伏せに転がされていた。 左脚をベッド柵に固定されているので、まるで犬が小便をするときのような屈辱的な体勢にさせられて、後背位で突き上げられている。 臀部にはすでに帆船のタトゥーが刻まれている。 カメラがそれを大写しにする。 『顔とタトゥー撮った。もうこれで他人の空似にはできねーな。朝までと言わず、一生…!』 男が下品にがなった。 女の背中が仰け反る。 『こいつ、イってやがる…!ふは、ははは!』 女の声がしないと思っていたら、どうやら口をテープで留められているようだ。 薄緑色の、養生テープというやつだろう。 腕は首の後ろで縛られているので、顔を床にこすりつける姿勢になっている。 女は本能で身体を暴れさせようとするが、その度に自分の頸部がぎゅうぎゅうと圧迫されて、ぐるりと白目を向く。 「…鬼畜…!」 征羽矢が奥歯を噛み締めた。 『あー…何回でも出るわ。俺もまだ若いね。そらよっと。』 女を床に打ち捨てて、足蹴にする。 『はぁ…三脚買えばよかったな。』 ごとり、と物音がして、カメラがどこかに置かれた。 高さ的には机のような台だろう。 カメラの下方に身じろぐ女の一部分が写っている。 『んーっ!?んーっ!』 くぐもった悲鳴が鳴り渡る。 暗転。 もはや確認もなくまた始まる狂気のドキュメンタリー。 『なんも写ってなかった、失敗。今から、腹パンしまーす。』 今度は壁際に立たされている。 首と腕は未だ繋がれたままで、首にはさらにその上から帯状のロープのような物が巻きつけられている。 それは上の方へと延びているようだ。 梁かなにかに結びつけられているのだろうか。 女は絶望の表情で震えている。 『はい、腹に力入れててね。』 拳が、勢いよく女のみぞおちを抉る。 『んん゙っ…!』 身体をくの字に曲げようとすると、首が吊られる。 女の目からは涙がとめどなく流れ出る。 『泣いてもやめないよ。唆るだけだよ?』 再び拳を繰り出す。 『ん゙ん゙っ……』 どうすることもできず、圧倒的な暴力に屈服させられる。 『あ?あ、ションベンちびってんの?きったねーな。』 床を写す。 水たまりができている。 『ほら、もー1発。』 何度も繰り返される。 徐々にうめき声さえ聞こえなくなっていく。 『俺の手が痛くなってきたからやめる。もう、こいつ、終わりかも。』 女の裸の腹が映し出されると、そこは赤黒く痣になっていた。 足の力はほとんどなく、首を天井から引くロープはギリギリと軋んでいる。 『まだ死なないでくれよ。』 「…ちょ、ちょっと、いったん、待とう!」 征羽矢が頭を掻きむしって叫んだ。 ちょうど動画はそこで切れたところだった。 「いったん、待て!これ…これ、なんだ?」 「…なぁ、兄弟…こいつを、殺しに行かないか…?」 光世が、なんともいえない優しい顔で言う。 女は、気を失う、まではいっていないが、軽く放心状態で、自由な方の手で顔を覆っている。 「…かりに、これが17年前のこととして、このあと…ずっと?…17年…?こいつに、囚われて…いいようにされてきた、としたら…?」 「待てよ、待て待て待て…待ってくれ、よ…!」 顔を隠している女の手をぐいと除ける。 静かに、声を上げずに泣いていた。 ふるふると、弱々しく首を振り、掠れた音で悲しい望みを紡ぐ。 「……犯して…?」 征羽矢の全身の血が沸騰して逆流する。 「…ダメだ…!くっそ…!」 映像に夢中で見入っていて忘れていた律動を、より一層激しく再開する。 体中の熱が中心に集まって疼いて、そして破裂した。 この状況で果てて自己嫌悪に陥りかける征羽矢を、女はふんわりと抱き締めた。 すでに涙は乾いて左右の頰に一筋ずつの跡を残しているのみだ。 「…わたしは平気です。そんなに怒らないでください。」 光世が首に手を当てて、ゴキリと鳴らした。 「…だから、見ないでって、ちゃんと言ったでしょう?」 女は、いつもの淡白な話し方で、冗談めかして言う。 「またなんか、新しい性癖に目覚めちゃいそうですか?」 笑えねーよ、と怒鳴りつけてやりたかったが、言葉は出てこなかった。 狂ってる、といつか罵ったけれど、それはたぶん違った。 心臓の音がうるさく感じる。 時を戻したいと強く願ってしまう。 こんなことが起こる前に、女を攫ってしまえばよかったと。 あのときの記憶が吹き上がる。 あんなことが起こる前に、もし戻れたら、戻せたら、どんなにか。 征羽矢の精神と光世の精神が、じりじりと共鳴して、そうして感覚と景色を共有する。 まるで、白昼夢。 男の太い右腕が、女の白い首を締めている。 『あー、いい、すげ、吸い付いてくんの。』 女はまぶたを閉じて声も出さず、ただ身体を揺らされている。 『落ちんなって。なぁ、起きろよ。』 首から手を離し、頰を殴る。 うっすらと目が開かれるが、そこに光はない。 『これ、そろそろ取ってやっか。』 口を塞いで貼られていた養生テープを、ばりっと音を立てて一気に剥がす。 同時に唾液と吐瀉物が吐き出された。 『げ、きったね。さいあく。』 それをそこらへんに落ちていたなにかの布で乱雑に拭い、女の前髪を掻き上げた。 『…もぅ、やめ…お願い…せんぱい…』 女が消え入りそうな声でさえずった。 『まだだ、がんばれ。できるだろ、由希?』 名前を、呼ぶ。 首の紐を引き上げ、上半身を起こさせる。 『くわえろ。できるよな。』 ポロポロと涙がこぼれていくが、女はなすすべなく、男の剛直を口に含んだ。 女の頭が前後するのを、上からの画角で見せ付けられる。 征羽矢の顔が苦痛に歪む。 自らの体を、胸の前で腕をクロスさせて抱くように身悶えている。 指先が肩の後ろの肉に食い込んで、三日月型に傷を作った。 「そんなんなるなら見ないでくださいよ、ほんとに、恥ずかしいんですから。」 「…これはな、こういうプレイなんだ…」 半裸でベッドに座り込んでいる女を後ろから抱きしめながら、光世が耳元で囁いた。 『下手だな、それがいいけど。』 男の手が女の髪を撫でる。 『だいたいクラッチ蹴んの1秒早ぇし、カウンター戻すのも早ぇんだよ、おまえ。』 なにかの呪文を唱えている。 『でもまあ、センスは、あるだろ。ははっ、こっちの方も、たっぷり教えてやるから、うまくなれよ?』 手のひらを頭から顔の横へと移動させていき、耳に触れた。 『…ふ…』 女の身体がぴくりと跳ねた。 『へぇ、』 耳甲介に指を差し入れてぐるりと撫で回す。 女が酷い顔でカメラを見上げている。 レイプされているのいうのに、熱を孕んで、瞳を潤ませて、艶っぽい視線。 『もっと、舌使えって、吸えよ、いつまで経っても終われねーよ?』 パサついた黒髪を耳に掛けるような動作で、そのままうなじへと指を滑らせていく。 女が目を細めた。 『ま、フェラはまだこれからか、手も使わせてーしな、待てよ。』 男の手のひらが女の後頭部を押さえ込んだ。 『ん゙っ…!』 腰をぐりぐりと押し付けられ、文字にならない音が喉の奥から絞り出される。 『こぼさず飲めよっ!おらぁっ!』 『ん゙ぐ…あ、が…』 口の端から、精液が一筋つうっと垂れた。 『こぼすなっつってんだろ!?』 男は怒声を放って体を離したが、後頭部に添えた手をそのまま床に叩きつけた。 『がはっ…』 女の口からは男の体液と胃液のようなものが吐き出された。 『…舐めろ、全部だ。』 『ぁぅ…』 舌を伸ばして、床を這わせる。 『ははははっ、いい景色だ。』 「…これ、あとどんだけあんだよ…?」 征羽矢がスクリーンから目を逸らさずに苦悶した。 「…知らん、が、朝までの分が、あるんじゃないか?…俺も全部は見てない…」 「…兄弟、すげーぞ、霊力。バリバリ髪逆立ってんじゃん。」 霊力、と征羽矢かソハヤノツルキかどちらかが言った。 女を抱きすくめる光世の肌が触れる箇所が、痺れるような感覚が、確かにある。 「ふ…ふふっ、とてもじゃないが…まともではいられなくてな。」 怒りが限界突破しているのか、なぜか逆に普段よりも穏やかな空気に包まれている。 嵐の前に天候がやたらと晴れやかになるのに似ているのかもしれない。 「…兄弟が、なんと言おうと、いずれ、殺すだろうよ…」 「殺すなし…」 ため息混じりに女が口を挟む。 「それこそ17?年?も前のことじゃないですか。ぶっちゃけそんな覚えてもないし…」 「…じゃあ、見ろよ…思い出して、憎めよ…」 光世が背後から女の顔を掴んでスクリーンの方を向けさせる。 『だめ。マンコゆるくなってきた。』 手にしたなにかの錠剤とすでに開栓された缶ビールを接写する。 『ちゃんと飲み込めよー?』 その薬を指ごと女の口の中に突っ込んで、間髪入れずにビールを注ぎ込み、手のひらで口を塞いだ。 ごきゅん、と喉音が鳴った。 『こんなん1個くらいでほんとになんとかなんのかね。』 女はベッドに寝かされている。 腕は先までと同じだが、両足ははしたなく広げられ、左右のベッド柵に、片方はおもちゃの手錠で、もう片方は黒い紐のような物で固定されていた。 女の声はすっかり枯れ、ひび割れた悲鳴が力なく繰り返される。 カメラは股の間、散々放たれた男の体液の溢れてくる部分を写す。 女がそれなりには暴れるので、アルミのような質感の手錠がガシャガシャと耳障りな金属音で騒ぐ。 男の指が、その敏感な部分に触れる。 白い汚らしい汁で濡れた陰核を、ぐにぐにと刺激する。 『…っや、っめ、ろ…!やめろ…!やめて…!』 女が仰け反るが、男は不満げに呟いた。 『効いてんのかどーか分かんねーな。』 執拗で乱暴な愛撫が絶え間なく継続される。 しばらく荒々しい言葉遣いで男を罵っていた声が、突如、ふと甘くなる。 『やぁ…んぁ…ぁぅ、ふぁ…なん、なんで、なに…なんで?…な、ぁっ、こ、これ…』 困惑を隠しきれない。 『きたきた。』 男は指の動きをピタリと止めた。 ベッドの上に立ち上がり、真上から見下ろすように女の全身を撮影している。 『…なにっ、これっ…や、やだぁっ、なん、なんかっ…』 『どうして欲しいか言えよ?』 プツン、映像はそこで終わる。 「…ちょっと…今日は、やめとこーか…もう…保ちそうにねーよ…」 征羽矢が、プロジェクターの電源を切った。 「…なんでそんなにエロいの…?顔も…カラダもっ、声もっ!…あんな…途中で、止めれるわけ、ねーし…」 女の、タオルケットをマントのように巻いているのを捲り、裸の腹をそっと指で触れる。 「…痛かったっしょ…?見てるほーが、つれー…」 自分の目の前で俯いてつむじを見せる征羽矢に、ごつん、と頭突きをして、女はいたずらっぽく言った。 「ソハヤさん、同じことして、いいんですよ?」 「…同じ、って…殴っていいってこと?」 女が、斜め後ろを見上げた。 「ミツヨさんも。」 女には、光世の髪が逆立ってるかどうか判別がつかない。 わりと普段からぴょんぴょんと跳ねた硬い髪質だ。 ただ、肌を這いずり回る電気のような刺激は感じている。 「…いや、俺たちが、しているのは、そういう、プレイ…こいつが、やってるのは…根本が、違う…」 「やることはいっしょじゃないですか、あんま難しく考えないでくださいよ。」 すり寄る光世の腕を払い除けて立ち上がり、裸のままシャワールームへと行ってしまった。 「…どっちが、ほんとだ?…震えてた…でも、ケロッとしてて…」 征羽矢が俯いて拳を握りしめた。 「分かんねーよ…どーしてやりゃいーんだよ…」 女の体温の残ったタオルケットをぎゅうっと抱きしめて、光世が呟いた。 「…根は深い…やり直しはできない…過去は変えられない…今を…」 征羽矢がブラインドを上げる。 まだ陽は高い。 窓を開け放つ。 エアコンの乾燥した冷気が逃げていく。 「…未来を…」 光世も窓辺へとやって来て、揃って外を見下ろす。 定時で退勤できるホワイトな会社勤めのサラリーマンがポツリポツリと歩いている時間帯。 そうなると、この兄弟の出勤時間でもある。 「…今を、守り、未来を、変えよう…」 光世の言う未来がどこの世界線のものなのか、征羽矢は追求はしなかった。 「ここの、でかい黒いのと黄色いのに用があるんだけど。」 チケットもフライヤーも持たずにガラの悪い男が訪ねてきた。 「えーと、社長のお知り合いですか?アポありますか?」 「…チッ!めんどくせーな…女の件だって伝えろ。」 城本の背筋は嫌な予感に震えた。 この品のない中年男が経営者兄弟と揉めることに対してではない、あの研磨された鈍色の刃が血の味を覚えてしまうのではないか、という抽象的な不安である。 「少々お待ちいただけますか?」 男のすぐ後ろに並んだ2人組の女性のチケットを先に受け取り、扉の中へと案内しがてら、カウンターへと駆け寄った。 「ソハヤくん、ヤカラっぽい50代くらいの男来た、たぶんてんちゃん絡み。追い返す?」 征羽矢ははっとした顔をしたが、口元に指を当てて一瞬なにか思考する。 「いーっすよ、別に、『まだ』俺らがなんかされたわけじゃねーし。『まだ』オキャクサマじゃん。」 征羽矢が、抑揚のない声で言う。 城本は、その瞳が赤く揺らいでいるのを見た。 ヒトの気配が薄くなり、金属質な緊張感が増すのを嗅ぎ取っている。 「チケないけど。」 「…俺が呼んでるっつって通してください。」 征羽矢は頬をパチンと叩いた。 やってやろーじゃねーか、と息巻いてスイングドアを出て、扉の手前で頭を垂れる。 すぐに男が険しい顔で入ってくる。 「どーぞ?飲むならカウンターへ。」 男が舌打ちして征羽矢の肩を押す。 ドガっと椅子を軋ませて腰掛けた男が眉根を寄せて睨みつけてきた。 「…副社長兼専務の三池です、本日はお越しいただき…」 征羽矢の心にも無い口上を、男はぶっきらぼうに遮った。 「…スマホ返せよ?」 「…まいっか、」 肩をすくめて似合わないことは辞める。 「あーね、それは、ごめん。部屋にあるから、あとで…ピーク過ぎたら、返すわ。ゆっくりしてってくれる?ビールでいーの?」 返事を待たずにカウンターの中に入り、ジョッキに生ビールを注いだ。 「…あいつは?」 「あいつって?」 ジョッキを、どん、とわざと音を立ててカウンターへ置く。 「お前らが囲ってるんだろ?…あの売女がよ…!」 売女とは、なかなかの言いようではある。 「ユキちゃんのこと?残念だけど、知らねーよ?囲うて、監禁してるわけでもなし…」 いや、つい先日、およそ監禁に近しいところまではいっていたな、と思いはするが、余計なことは言わない。 「あんたこそ、ストーカーチックなこと辞めたら?恋人ってわけでもねーんだろ?」 城本は外の持ち場に戻っていったが、少し離れたところから濱崎がハラハラと見守っている。 男がタバコに火をつけた。 前に見たことのある、あの銘柄。 ざわざわっと心がさかむけてひりつくが、嫌悪感を歯を食いしばって堪えて灰皿を差し出した。 紬合された音楽がらしくなく乱れる。 持ち前のセンスで縒れた旋律をこじって合わせていくから、ホールで踊る客たちはそういう演出だと信じて疑わない。 光世も男が入店したことに気づいてはいるのだ。 征羽矢がぴったりと張り付いているので、とりあえずは様子見、というところか。 なにか不穏な動きがあれば、いつでも飛び出す準備はできている。 「お前、お前じゃねーな、兄貴か?お前の兄貴が由希を誑かしたんだろ?」 「たぶらかしてねーし!俺は、まぁ、惚れてねーってのもじゃっかんウソになるけど…」 自分も冷凍庫からグラスを出す。 「シラフであんたとしゃべれねーよ、1杯飲ませろよ?」 勝手にビールをついだ。 「ガキが…!礼儀がなってねーな?」 そろそろ胸ぐらくらい掴まれるかと思ったが、いかんせん客が多い。 周りの目がある程度あるうちのことかもしれないが、そう暴れるつもりはないようだ。 「ユキちゃんはうちの社長と付き合ってるんだってよ?ネットニュースで見て知ってんだろ?」 男が、ふうっと煙を征羽矢の顔へと吹きかけた。 「…あれは、並の男にゃ乗りこなせねぇよ、どうせ俺の所へ戻るだろ。」 征羽矢が、思わずくつくつと笑う。 「じしんかじょー。キモい。」 むしろ殴りかかってきてくれたら、大手を振ってやり返せるのにな、と考えている。 「あんなやり方で?ココロの四方固めて?逃げらんねーよーに?クソ光源氏かよ?」 グラスの中身を一気に飲み干す。 「…見たんだな?お前もたいがいだな…」 男がニヤリと唇の端を歪めた。 「居場所教えろよ?ヤラせてやってもいいぜ?」 征羽矢が横を向いて吹き出した。 前髪を乱雑に掻き上げる。 毎晩のように同衾していると言ってやろうかとも企むが、もうこれ以上スキャンダルのネタを増やす必要もないと思いとどまる。 「自分がゆってんじゃん、俺らにどーこーできる女じゃねーのよ、どこにいるかも知らねーな。」 わぁっ、と歓声が上がった。 光世のセットが終了したのだ。 ステージ横ですぐに堀江がスタンバイに入る。 ざわざわと人波がうねる。 ドリンクが混み合うのがわかっているから、征羽矢は男の前を離れた。 「またあとでじっくり話そーぜ?」 ソハくーん、と懐っこくよばれて、ぱっと表情を柔らかくしてそちらを向く。 「はいはい、キープのボトルね、あとちょっとしかないよ?入れてく?ありがとーな!おう、あー、ちょっ、カクテルあとまわしでい?ビールの人ぉ?はい、はいはい、4つね。濱崎ーっ!」 テキパキとカウンター周りにたむろする飲んべえたちを捌いていく。 「ゴハン系もあとでな、えーと、なんだっけ?芋でよかったっけ?ロック?おけー。お連れ様は…はじめましてー?なに飲む?あ、じゃ、デキャンタで出すから。濱崎ーっ!?」 コントのようなテンポのやりとりに常連たちが声を出して笑う。 男の横のカウンターチェアが音もなく引かれた。 「…待たせたか…?」 光世が汗を滴らせつつそこに座る。 ピリ、と空気が変わった。 男は、鈍感なのか豪胆なのか、構わず光世をじろりとねめつけた。 「いにゃ、弟くん?と楽しく話してたよ…」 灰皿にタバコを押し付ける。 光世もまた、空のビールジョッキの横に置かれたその箱に、露骨に敵意を剥き出しにする。 忙しそうにくるくると動き回る征羽矢と目が合う。 優秀なバーテンダーは濱崎の肩をぽんと叩き、その場をいったん任せると、グラスハンガーからテイスティンググラスを2つ手に取り、2人の前に置いた。 「兄弟のボトル出していーか?」 「…ああ、そうするか…」 光世が軽く頷くと、ネームプレートの付いたバーボンのボトル、空のロングタンブラー、水のピッチャーとアイスペールが並ぶ。 「…なんか食う?」 「…とても…喉を通りそうにない…」 ボトルを傾けて、顎でしゃくるように男にグラスを持たせる。 チョコレート色の液体がとろりと注がれていく。 自身のグラスにも手酌し、くい、と煽る。 「…それで?どういったご要件で…?」 口元にほんのりと不気味な笑みをたたえ、光世が問う。 「スマホを返してもらいに来たのと、あとは、由希がどこにいるか聞きに来たんだよ。」 男は、ちびり、と酒を舐めた。 「…そんなの、俺が知りたい…」 光世が首を左右に振った。 渇いた喉がやけるように熱い。 「…どうにも言うことを聞かなくてな…」 ふん、と男は鼻を鳴らした。 「…具合が、いいだろ?」 にちゃり、と舌なめずりして、卑猥な笑みを浮かべて光世を挑発する。 「若造には刺激が強いか?全部、俺が仕込んでやったんだぜ?」 みし、と木のカウンターテーブルが軋んだ。 斜め上、間接照明を見上げて、ふーっと長く息を吐き出した。 パチパチっと明かりが瞬く。 少し距離を置いて注文のカクテルを作るのにシェイカーを振っていた征羽矢が、こちらを向いた。 「兄弟、気持ちは分かるが、こらえろよ?」 深いマリンブルーの甘ったるい匂いのアルコールを、華奢なマティーニグラスへと注ぐ。 男が、隣の光世以外には聞こえそうもない小声で煽りに追い討ちをかける。 「なぁ?殴ってくれって、縋りつかれたことあるか?」 ピシッ、征羽矢が細い脚を持ち上げたグラスに、前触れなくヒビが入った。 つぅっと、中の青い液体が滲み出る。 「あっ、作り直しじゃん…兄弟!いーかげんにしろよ?」 その意味は光世にしか分かっていない。 「…お引き取り願おう…」 光世が、鋭利な刃のような視線で男を突き刺した。「…兄弟、返すものがあるだろ?…持って来い…」 征羽矢が裏口から出て行った。 「…胸糞悪いデータは消させてもらったが…すまんな…」 その言葉に、男がにやついて問う。 「その胸糞悪ぃデータで、何回ヌいたんだよ?なぁ、隠し持ってんだろ?分かるぜ?」 パシンッ、とうとう照明の電球が砕け散った。 光世の席と、ひとつ飛ばして隣に座っていた若い女が、きゃあ、と悲鳴を上げる。 濱崎がすっ飛んできた。 「ミツヨさん、へーきっすか?飲んじゃダメっすよ、片付けます。そちらさんも、ケガないっすか?えーと、とりあえずあっちのテーブル席どーぞ?」 ホールのスタッフに手を挙げて合図するのを遮って止める。 「…必要ない…こちらのお客様はもうお帰りになられる…」 征羽矢が、男のスマホを手に戻って来た。 粉々になったガラスの破片を見てぎょっとするが、神がかった謎のパワーを発揮する兄を無言で睨んで、スマホを手渡す。 「…念の為もういちど確認させてもらう…」 すいすいっとパスワードを入力する。 いや、違う。 デタラメに数字を打ち込み、誤り続けているのだ。 「…ってめっ!寄越せっ…!」 男がそれを奪い取ろうとするが、ひょいと長身をかわし、ふだんののっそりとした雰囲気からは想像もつかない機敏な指の動きで、ロック画面のまま再起不能にしてしまう。 PCに繋いで初期化する以外に解除する方法はない。 さらに、濱崎が片付けようと手をかけていた水のピッチャーの中にボチャンと落とした。 「…手が滑ったな…」 男がなにかわめきながら拾い上げたが、けらけらと愉快げに笑った征羽矢が、また横取りする。 「見せてみろよ、」 一寸のためらいもなく、アイスピックを突き立てた。 ガツン、と細かなプラスチックの欠片が飛び散った。 「あれ?壊す気ねーときすぐ壊れるくせに、けっこーかってーんだな…」 あっけにとられて言葉を失った男を横目に、2度、3度と強靭な針先を叩きつけた。 カウンターに座っている他の客たちも呆然とそれを見ている。 「…いや、申し訳ない、俺も兄弟も、少し飲み過ぎたようだ…」 光世が、薄く微笑みながら謝罪を述べるが、1ミリも心はこもっていない。 「…お詫びに、今夜のお代は結構…またのご来店を、お待ちしております…?」 これ見よがしに恭しくお辞儀をする。 男は顔を真っ赤にして怒りに打ち震えていたが、このまま粘ったところで2つ目の目的とて果たせそうにない。 「…タダで済むと…!思うなよ…!」 ドスドスと足音を響かせ、ドアを蹴破らんとする勢いで店を出て行った。 「…あーあ、兄弟のこと、ゆえねーなぁ、俺。」 征羽矢が頭を掻いた。 「はいはーい!まいどお騒がせ!火事と並んで街の花、我らがthunder boxご乱心だぜ!」 征羽矢の絶叫に、堀江が呆れながらも音楽と効果音を合わせてくれて、ホールの熱気は爆発する。 ------------------------- 〜⑧に続く〜
2025/09/15 20:36:11(QsYv0PY9)
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