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〜まえがき〜
⚠書いた人はオタクです⚠某刀ゲームの二次創作夢小説です⚠暴力などこじらせ性癖の描写多々⚠自分オナニ用自己満作品です⚠ゲームやキャラご存知のかたは解釈違いご容赦ください⚠誤字脱字ご容赦ください⚠たぶんめちゃくちゃ長くなります⚠未完ですが応援もらえたらがんばります優しいレス歓迎⚠エロじゃないストーリー部分もがっつりあります⚠似た癖かかえてるかた絡みにきてください⚠ ------------------------- 女は手の甲でぐいと口をぬぐう。 「これなんかまずい感じですね?」 「えっ?あっ、そう?さすがに分かってくれる?」 征羽矢はまだ額に手をやっている。 ホールの客たちは遠巻きに女を見ている。 スタッフが健気に閉店を知らせ退店を促すアナウンスを繰り返しているが、ざわめきは収まらないし、ほとんどの人間がそこから立ち退かない。 征羽矢が女に目配せして耳打ちした。 「そこ、裏から出たらすぐ階段。これ、」 大きな手のひらで隠しつつ、キーホルダーもなにもついていない鍵を女に渡す。 それをこっそりと受け取り、ジョッキに残った黄金色の液体を飲み干して、めんどくさいな、と険しい顔で席を立って、女は針のような視線を背中に受けながら、裏口から出ていった。 むしろこの状況ではそうする以外に選択肢がないではないか。 「はいはーい!おさわがせおさわがせ!ごめんけどみんなぁ、今のこと忘れちゃってクレメンス?」 おどけて征羽矢が叫ぶのが女のところまで聞こえた。 数々の喧嘩を仲裁してきたし、大抵のトラブルは持ち前の機転と勢いで丸め込んできたけれど、このパターンは初めてだ。 腰に手をやり、足を開いて仁王立ちになり、なんとなくミラーボールを睨む。 奔放ではあるがそれなりに常識人であったはずの兄が、たかだか女にうつつをぬかすなどありえないと思っていた。 かくいう自分も、なぜか振り回される。 脳裏にこびりついて離れない、主人の面影が、重なる、姿かたちも、声も、丁寧なようで距離を感じる話し方や、かと思えば急に見せる毒のある笑顔、ふとまぶたをふせるその角度、指や爪先の末端の少し低い体温、短い癖毛の硬さ、夜になったとたんに甘く艶を増す空気感。 征羽矢は、まったくの他人事のハプニングににやけそうになっている濱崎を呼ぶ。 「わりぃ、任せてい?テキトーにライトとBGM落として、むりくり掃除始めちゃって?」 「おっけーっす。たいへんすね、ソハヤさん。」 本来のまじめな顔をしてみせるが、目の奥底では、寡黙なはずの兄貴が急に暴走するのを止める弟の図を面白がっているようだった。 バックヤードの扉をノックする。 「おーい、生きてる?」 どうせ返事はないだろうと、待たずにガチャリ、と開けると、光世はツギハギだらけの合皮のソファに、溶けたように寝そべっていた。 「分かってるともーけど、やっちまったな?」 おそらく光世の手から落ちて転がったのであろう空のミネラルウォーターのペットボトルを拾い上げながら、征羽矢が笑った。 「兄弟はさぁ、別にアイドルじゃねーし、芸能人でも政治家でもないけどさぁ、界隈ではけっこー有名人なの。あんだすたん?」 スラックスの後ろポケットからスマホを取り出してSNSを開く。 タイムラインを流れていく写真の中に、たった今のスキャンダラスなキスシーンが数枚見うけられた。 薄暗い店内で遠くから撮影したものをかなり拡大して引き伸ばしたものであり、相当なピンボケではあったし、いちおうは女の目の部分に黒い線が入っていたり、目がハートになっている顔文字のスタンプで隠されたりはしていたが。 「ほぉらな、いわんこっちゃねぇ。」 『人気クラブthunder box DJ兼経営者熱愛発覚?人目も憚らず熱烈キス現場騒然』 「…どうした?」 光世は寝転がったまま、主語も目的語もない疑問文をぽつりと発した。 「あ?ん?あー、裏から出した。部屋上がってるともーよ?」 4文字だけで意図を正確に汲んでやるのは、さすが兄弟の思考回路である。 どうかしたのか?、ではなく、あの女をどこへやったのか?、の、どうした?であった。 光世が、がばりと体を起こす。 「部屋に?いるのか?」 「いるよ、たぶん。今朝ゆってただろ?」 女の台詞を思い出して、口角が上がる。 「はやく片付けちまおーぜ?済んだことは後で考えればいくね?」 撤収に普段の倍の時間を要したホールのスタッフたちと濱崎を労い、チップを握らせた。 光世は無言で頭を下げ、謝罪の意を示す。 「あんなミツヨさん初めて見たっす。逆に眼福っす!」 濱崎は励ましたつもりだったが、やや追い打ちをかけることになった。 「ま、じんせー一度きりじゃないっすか!後悔しないよーにやりゃいいんすよぉ。」 若さに任せて無責任に笑う。 部屋へ戻ると、女は勝手に冷蔵庫から缶ビールとジャーキーを出してくつろいでいた。 「おかえりなさい。」 今夜は、往年の女児向けマンガの魔法少女のステッキをモチーフに、ナチュラルな色みで地味にデザインしたTシャツを着ている。 アニメやマンガが好きなのかもしれない。 ボトムは明るいターコイズブルーのロングスカート。 「SNS見た?」 征羽矢が尋ねると、 「見ましたよ、」 と、軽く答えて、缶を咥える。 「あんなん出て、しごと?とか?だいじょぶそ?」 「別に…どうにでもなります。」 それは強気を装っているわけではなく、本当にそう思っているトーンで、征羽矢はほっと胸を撫で下ろした。 これを機にもうこれっきり、と突き付けられても仕方がないと、そもそもポストに鍵が返されているだけの展開も覚悟していたから。 人さし指と親指で油っぽいジャーキーをつまんで口の中に放り込み、その指をペロリと舐めて、女は上目づかいで光世をねめつけた。 「そんなに我慢できなかったんですか?」 光世は顔色を変えず、ジャケットとシャツを脱ぎ捨てて、薄いが筋肉質な上半身をさらけ出す。 有無を言わさぬ圧を放って、 「あんたも脱げよ、」 と低い声ですごんだ。 だが女はわずかも怯まず、いたずらっぽく口を一文字に結んで、それから言う。 「せっかく犯してもらいやすいようにスカートにしたのに、ですか?」 光世に対して答えたのだということは知ってはいても、征羽矢の身体の真ん中が疼いて硬くなった。 「今日は先、譲れよ。兄弟、やらかしたんだから反省してろよな。」 征羽矢は女の手から中身の残った缶を取り上げ、ゆっくりと床へと押し倒す。 「じゃあ、やめてって言いながら軽く抵抗してよ。」 「今のなにと対になる『じゃあ』ですか?それ。」 征羽矢はその意味が分からないようで、不思議そうに口を尖らせた。 光世は弟に先ほどの愚行を咎められて、気まずそうに、部屋の角のデスクに納められた椅子を引いて腰掛けた。 「軽くじゃリアリティなくないですか?」 「いやリアリティ求めんのかーい!イメクラかよ?」 テンポよくツッコミを入れる。 「本気で抵抗されたら怪我させちまいそうじゃん。」 「?」 女は理解できないとでもいうような絶妙な表情で征羽矢を見上げた。 「怪我、させてくださいよ?」 事も無げに女が語尾を上げて言うから、征羽矢は目を丸くした。 「はぁ?ガチで言ってる?」 答えを待たず、女の胸元に顔をうずめる。 ゆっくりと大きく息を吸い込むと、アルコールと汗の匂いがした。 「や、やめ…やめて、くださいっ…」 さっそく、そうやってすがられて、ぞくぞくと鳥肌が立つ。 「…やば…俺あたらしいヘキ目覚めちゃったかも…」 女の甘ったるい声に理性がかじり取られていく。 昨夜より身体は大きく膨張する。 押さえつけた腕は、征羽矢の手を振り払おうと力が込められてぶるぶると震えている。 ずしりと男の体重をかけられ身動きの取れない下半身も、足をバタバタと鳴らして逃れようともがく。 むりやりに落とされるキスを回避しようと顔を横に逸らすが、征羽矢はむき出しになる首筋にむしゃぶりついた。 「やだっ…は、はなしてくださいっ…」 ただの演技だと分かっていても、ついた火が消せない。 ぴったりと身体を重ねてしまうと、腕を解放してやっても、そこから逃げ出すことはできず、必死に征羽矢の肩を押し戻そうとする。 「だめっ、やめて…」 鎖骨の上の柔らかい肌をきつく吸いながら、スカートをまくり上げて手を突っ込み、すでに濡れた下着の上から、ふくらんだ蕾を乱暴に愛撫する。 「…んぁ…やぁ…やめ…くださ…」 女の目に涙がにじんでいる。 あれ、これ、大丈夫か? ほんとに嫌がってんのか? 自信がなくなっていく傍らで、それ以上に加虐心が育っていった。 下着の横から指を差し入れ、その部分に直接触れると、女が震えてのけぞるように床を蹴る。 「ぁぅ…!」 さらりとした半透明の体液が、征羽矢の指を伝って滴った。 体重をのせたまま、窮屈になったその部分をファスナーを下ろしてくつろげ、湿った下着は脱がさずにクロッチをずらして、そこから手探りで挿入する。 「や、いやぁっ…っ!…やめてぇ…」 精いっぱい腰をよじって足掻く女の迫真のパフォーマンスに、征羽矢は髪を掻きむしって悶えた。 こんな…こんなの! 耐えれるはずねぇよ! 抑えが効かなくなった欲望で激しく絶え間なく杭打つ。 「やめるっ、わけっ、ねぇだろっ!?」 何度も、収縮して痙攣する最奥を穿つ。 「ぁ…ぁぁ…も、やめ、ゆ…ゆ、ゆる、してぇ…」 女は舌を突き出して惚けた顔で喘ぐ。 壊れたからくり人形のように同じ言葉を繰り返す。 「ゆ…ゆるして、くだ、さ…」 女こそ、もはや、自身でもどの感情が本物なのか、境目があいまいになっていっているようだった。 ただ快感だけが、爪先からせり上がってきて背骨を通って脳幹を揺さぶる。 光世は、それを、目をそらさずに、じっと見ていた。 その剛直はすでにパンパンに腫れ上がり、先端からはぬるぬるとした先走りがこぼれて、肌着に染みを作っていた。 瞬間、女の視線と、光世の視線とが、ねっとりと絡み合った。 女が征羽矢の揺れる身体の下から腕を、光世の方へと伸ばした。 「…た、たす、けて…」 それは確かに、パフォーマンスではあったのだ。 十二分に承知している。 それなのに女の瞳には絶望が映っているではないか。 本当に強姦されているのではないか? そう疑わずにはいられないほどの、どす黒く濁った絶望が。 ゴポ、と卑猥な水音を鳴らして、2人の繋がった箇所から白濁した体液が溢れた。 征羽矢が、ふぅーっと長く息を吐き出した。 「…マジやっばい…よすぎた…はまりそー…」 汗で額に張り付いた征羽矢の前髪をかき分けて、女は乾いた唇を舐める。 「わたしも。めちゃくちゃ気持ちかったです。」 それを聞いて、征羽矢は思わず安堵する。 途中で、この行為が本当は合意でなかったのではと不安になるほどにサディズムを刺激されたからだ。 ゆっくりと身体を引き抜き、女を抱き起こす。 数秒を見つめ合い、触れるだけのキスをする。 「…あいしてる…あるじ…」 乱心した精神で、無意識について出た告白は、征羽矢の言葉ではなくおそらくそはやのつるきの言葉で。 動揺して手で口を押さえた。 「…ちがうな、ごめん。」 消え入りそうな声で謝り、女の飲みかけの缶ビールを手に取って、中身を一気に喉に流し込む。 喉仏が色っぽく上下する。 光世が立ち上がって、とうとう全ての衣服を脱ぎ去った。 征羽矢がその完成された肉体に感嘆して、兄の裸体の頭のてっぺんから足の先までをじろじろと観察する。 「ちょっと休憩させてくださいよ、」 女はそう言って、また冷蔵庫の扉を開けようと四つん這いになり手を伸ばした。 着衣のまま床で抱き合っていたので、Tシャツもスカートもしわくちゃになってしまっていた。 その脇腹あたりを、おもむろに、光世は蹴り飛ばした。 女の身体は壁まで吹っ飛び、並んで立っていた酒瓶をことごとく薙ぎ倒した。 女は体をくの字に曲げて、唾液を撒き散らす。 征羽矢は息をのんだ。 「…休息など、必要ないだろ…?」 魔王のように、吠える。 爪先を女の顎の下にあてがい、しばし目を合わせてから、それを口の中に突っ込んだ。 「ぁが……」 苦しげに呻く。 が、よだれを垂らしながら、舌を伸ばし、足の指に絡める。 指の股を順番に、じゅるじゅると音を立てて舐め上げ、うつけた表情で熱っぽく光世を見上げた。 征羽矢の陰茎がまた、むくむくと反り返っていく。 レベルがちげーよ… 声にならず、ははっ、と引きつった乾いた笑いだけが転がり出る。 まだそこに触れられてもいないのに、女の表情は絶頂を越える直前のごとくとろけていた。 本来口をつけるような場所ではない部分を、ひとしきり丁寧に奉仕させ、おおよその満足がいくと、しゃがんでその顔を覗き込んだ。 「…脱げ…」 女の、ごくり、と唾を飲み下す音が聞こえた。 それも演技なのか? まるで恐怖に捕らわれているように震えながら、Tシャツを脱ぐ。 びくびくと怯え、たどたどしくスカートから足を順番に抜く。 くすんだ水色のレースのブラジャーと揃いのパンティは、征羽矢との情事ですでに粗相をしてしまったかのように濡れている。 「…立て…全部脱げ…」 冷酷に命令されて、壁に寄りかかり立ち上がり、おのずから全てを取り去る。 涙目で頬を赤く染め、両腕で身体をかき抱き裸体を隠そうと足掻く。 その姿を、しゃがんだ姿勢のまま下から刺すように視姦する。 「…さっき俺にしたみたいに、兄弟に言ってみろよ…?」 女は、悲壮に引きつった顔で、遠慮がちに、征羽矢の目を、見て、掠れた声を喉から絞り出した。 「…た、たすけて、」 どくん。 征羽矢の心臓が跳ね上がった。 無意識に、兄の肩を後ろから掴む。 「…ん?どうした?兄弟…?」 振り向きざまに、にっこりと柔らかく口元を緩め、光世は首を傾げた。 「…こういうプレイじゃないか…分かってるだろ…?」 光世の視界の外で、女は征羽矢に向かってぷるぷるとかぶりを振って見せる。 必死に抑えた荒ぶる呼吸が、食いしばった歯の隙間から苦しげにこぼれ出している。 征羽矢は混乱している。 え、これ、ほんとに大丈夫なやつ? 助けてって、ゆったけど? 征羽矢は、混乱、している。 光世は征羽矢の手を払い除け立ち上がり、女の方へと向き直る。 乱暴に顎を下から掴み、壁に押し付け、顔を近付けると、耳の中をぐるりと舐め回した。 「…抵抗するなよ…?」 さきの征羽矢と真逆のことを言う。 外耳道を尖った舌で蹂躙しながら、声色をワントーン下げて残酷に囁く。 「…抵抗したら、殺す…」 女のこめかみから汗が、目尻から、涙が、つぅっと流れ落ちていく。 前戯もなく、ゆっくりと、猛り狂った男根を女の股の間にねじ込む。 はっ、はっ、と短く途切れ途切れの息が、光世の鎖骨に吹きかかかる。 心の消えかけた瞳はどろりとして、ただ銷魂が漂っていた。 ひび割れた唇が動いて、征羽矢に向かって文字の形を紡ぐ。 た、す、け、て… 征羽矢は火がついたように立ち上がり、再び光世の肩を揺すった。 「おい!兄弟!やめろよ!」 征羽矢は、まだ混乱しているのだ。 「…兄弟…」 腰を突き上げる動作を止めずに、光世が呆れたように笑う。 「…だいじょうぶだ…おれたちのすきにしていいんだよ…そういう、契約で、これはただの、儀式じゃないか…なぁ?」 女の涙がとめどなく滴り落ちていく。 光世もおおかたの理性を失っている様子だ。 なにかの記憶とリアルが交錯して混ざり合う。 身体全体は壁に押し付けられて自由がきかないが、腕を拘束されているわけではない。 片足を大きく持ち上げられ、結合部分をより強く圧迫されて、女は思わず光世の胸を押した。 「…抵抗するなと言ったはずだが…?」 間髪入れず、光世が女の頬を平手で殴りつけた。 パァン、と乾いた音が部屋でこだまする。 「ぁ…」 迫りくる被虐心に悶える。 秘所はぷしゅぷしゅと体液を吹き上げ、それがぼたぼたと床に垂れて水たまりを作った。 「…うん?こんなやり方でイったのか…?」 光世は愉しげに、くつくつと喉を震わせる。 「…変態だな?」 ずるり、と自身を女の中から抜き取り、腕を引いて頭を押さえて四つん這いにさせる。 「…きれいにしておけ…」 女は獣のように舌を出し、床に溢れた自分のものを舐め始めた。 光世はうっとりとそれを眺め、それからその後頭部を足で踏みつける。 「おれたちのすきにしていいんだ…」 狂ったように、さきの言葉を繰り返す。 「…おれたちは、いのちをかけてる…あんたは、たいかを、はらって、る、だけ、だろう?」 バグったゲーム機のごとく、感情の起伏のない声で、肩を掴んだまま固まっている征羽矢に、そう聞かせる。 徐々に鮮明になる、ない記憶。 誰かが主人を犯している間、ほかの数人は酒を飲み談笑しながらにやにやとそれを鑑賞している。 その中のひとり、おおでんたみつよは、自分の順が回ってくると、ゆるりと腰紐を解く。 すでに疲れ果ててぐったりとうなだれる主人の細い首に、それをぐるりと巻きつけて、強く引き上げる。 外野から歓声が上がる。 主人の指の爪が、喉へと食い込む黒い腰紐をなんとか緩めようとして、肌を引っ掻いて傷を作っていく。 みぞおちを蹴り上げる。 飛び散る唾液。 取り巻く男たちの笑い声。 その輪には入らず、部屋の隅で、そはやのつるきは膝を抱いて座り、頭をうずめていた。 嫌悪感とは裏腹に怒張する自身の身体、だんだんと明るくなっていく障子戸の外、セミの鳴き声、倒れた徳利からこぼれた酒の匂い、男たちに許しを求めて懇願する主人の醜態。 それなのに、繰り返される、日常。 に、辟易している。 敵と戦い、食事をとり、畑を耕し、稽古をし、風呂に入り、冗談を言い合って、ときには町へ出かけ、親愛なる主人へと、贈り物を探す、喜んでくれるだろうか、と柔らかな表情で。 そして夜になればまた狂ったようにその身体を凌辱することしかできない。 絶叫したいが声にはならない。 崩れ落ちていく心は、誰の心? ぴん、と糸を張り詰めたように、光世と征羽矢の意識が繋がった。 共鳴する。 白昼夢を見ていた。 気がつくと、光世はとっくに征羽矢の手を振り払っていて、泣きながら這いつくばって床に舌を添わせる女を後背位で犯していた。 「…あ…いま…」 征羽矢は両手で顔を覆った。 「また…」 光世が目をつぶって、そこに言葉を重ねてくる。 「…俺も、今、見た…」 立ち眩みのように、閉じたまぶたの向こう側がさんざめく。 目を開く。 夢と連動してブラインドの外が仄明るくなっていく。 手の届く所に落ちていたスマホの充電ケーブルを拾い上げ、それを女の首に巻きつけて力まかせに引く、たった今、見てきた光景と同じように。 「…ぐ…ぁ…」 女の口の端から泡が垂れる。 狭い膣はこれまで以上に縮み上がり、光世のものを締めて生命を搾り取らんと蠢いた。 加減がいまいち分からず、細く硬い樹脂の縄は、容赦なく喉に食い込んでいく。 肉壁がうぞうぞとうねり、光世はたまらず、一層深くを突き刺し、そして濃い精液を放った。 手の力を緩める。 「がほっ…げほっ……げ…げぇぇ…」 女はむせ返り、胃液を嘔吐する。 汗でびしょびしょに濡れた身体を離し、女を抱き寄せた。 「…すまん…大丈夫か?」 女は落ち窪んだ目で光世を見つめた。 「へいきです…すご…きもちかった、です…」 征羽矢はへなへなとその場にしゃがみ込む。 兄弟が女を殺してしまうのではないかと気が気ではなかった。 女は征羽矢へと視線を投げかける。 「もっかい、しますか?」 征羽矢は力なく首を振った。 剛直はいまだ興奮してそそり立っていたが、このままでは自分も女を殺してしまうかもそれないという恐ろしい予感がした。 「はぁー、びびった…」 わしわしと汗まみれの金髪をかき混ぜる。 「これって、そういうプレイなんだよな?」 のろのろと立ち上がり、部屋着に着替え始める。 「兄弟がどーかしちまったかと思ったぜ…」 そう呟き、はた、と、いや、どーかしてることはどーかしてるな、と思い至る。 「ミツヨさんはどうかしてると思いますよ?こんなこと、ふつうは理性が働きますからね、できませんよ、」 とろんとしていた女の瞳は、さっそく色を取り戻しかけていた。 甘ったるかった声はやや引き締まり、いつも通りのクールな物言いに戻っていた。 光世の輪郭を撫でて起き上がり、一糸まとわぬ姿のままでテーブルの上のティッシュを取り、床と身体を拭う。 ベッドに放置していた麻のトートバッグからタオルと下着の替えを出す。 「ビール買ってきてあるんで。とりま冷えたのくださいよ、」 キッチンの流し台の横に置かれたビニールに、6缶パックが2つ入っていた。 征羽矢が冷蔵庫からキンキンに冷えた缶を取り出して女に手渡す。 「てんちゃん、すげー飲むよな。あるじと同じだ。」 「あるじ本人なんじゃないんですか?」 「ほんとにそーなのかもなぁ。」 自身もプルタブを上げ、光世にも1本を放り投げる。 「あっ、そーいえば…」 征羽矢がスマホを手に取った。 「…めちゃめちゃDMきてるわ…」 スキャンダルをやらかした兄を睨む。 「スポンサー怖ぇよぉ、」 光世はポリポリと頭を掻いた。 その仕草は子どものようだ。 「…けっこんするか?」 ぶはっ。 征羽矢がビールを噴き出した。 ゲホゲホとむせて、光世をげんこつで殴る。 「バカ言ってねーで、仮眠したらやることいーっぱいあるかんな!?」 弟に怒られて、光世は、しゅん、とうつむいた。 店の経営者は光世ではあったが、どうやらブレーンは征羽矢のほうのようだ。 征羽矢こそ、頭を使うことは苦手だというムーブをかましているくせに、妙に常識人で、その言うことはいちいちまともである。 「自分で蒔いた種でしょう?せいぜいがんばってください。」 女は空き缶を流しに置いて、シャワールームへと入っていった。 「どーも他人事なんだよなぁ…」 征羽矢がぼやく。 「キモチワルくね?あのムカンジョー。ほんとにあるじみたいだぜ…」 「…なぁ、兄弟、」 光世が缶を傾けながら問いかけた。 「…あのほんまるの最期を覚えているか…?」 「いや…俺、本格的に思い出したの昨日からだし…」 しどろもどろな征羽矢の答えを聞き、光世はかぶりを振った。 「…ファンタジーが、過ぎるな…」 ブラインドの隙間から転がり落ちる光の束に、部屋に舞う埃が反射して、見た目だけはダイヤモンドダストのように美しくきらめいていた。 「あんたさぁ!なにフツーの顔して来てんの!?頭わるくね!?」 甲高い怒声が路地裏に響く。 征羽矢の手伝いをするのに、生ゴミを出すために裏口から出てきたところの光世は、声のする方角を見やった。 案の定、女が光世の熱心なファンのひとりに立ちはだかられていた。 あいかわらず、怯えも恐れもない渋い顔をしている。 テロップは間違いなく『めんどくさいな』で決定だ。 自分がしゃしゃり出ては余計こじれる事態になるだろうか、と征羽矢を呼びに戻ろうとするが、女がどうやって答えるのか少し興味があって息を潜めた。 「帰れよ!迷惑なんだけど!?」 派手なオレンジ色の髪の若い女が、胸ぐらを掴んだ。 光世は壁の陰からそっと様子を覗き見る。 女は、おもむろに、その女に口づけた。 女同士である。 ジェンダーにかかわる偏見が良くないことは重々承知だが、女同士では、ある。 時が止まったようだった。 顔を傾けて、舌を差し入れ、歯をなぞり、口内を舐め回して蹂躙する。 周りの野次馬たちも絶句して動けずにいる。 たっぷりと10秒ほど、官能的なキスを味わい尽くし、ぷはっ、と顔を離す。 掴まれた胸ぐらはとっくに解放されていた。 「こんな感じでしたよ。」 とんでもない煽り方をして、立ち尽くす胸を押しのけた。 「…な、な、な…」 その女は、顔を羞恥と怒りで真っ赤にして、なにか叫ぼうと喉を震わせているが、憎き恋敵の後ろ姿は振り向きもせずに階段を下りていく。 もぎりのスタッフにチケットを渡すが、そのスタッフは受け取らず、泣きそうな顔で扉の中へとかけていく。 ため息。 すぐに征羽矢が顔を出した。 「さっすが、いー度胸してんね?」 くしゃり、と懐っこく相好を崩す。 「あ?またチケット買ったの?話聞けよな…」 仕方なくそれを受け取り、 「入れよ、別に断る理由ねぇよ。」 とカウンターの指定席へと案内する。 数百の視線が突き刺さる。 スマホのカメラを向けられている。 「撮影はご遠慮願いまーす、」 征羽矢が棒読みで声を張り上げた。 もはや注文も聞かず、勝手に生ビールを注ぐ。 「いいかげん来ねーかと思ったぜ?」 ミックスナッツを小皿に移し替える。 女は、ありがとうございます、ときちんと礼を言ってから、ジョッキに口を寄せた。 「…責任を、感じていないことも、ない、と言いますか…」 「はは、そーなの?おかげで大変だったんだぜ?あっちこっち謝りに行ったりさぁ…」 ホールでは雇われのDJが華麗に音を奏でているが、客のほとんどが上の空で、ちらちらとカウンターバーの様子を伺っていた。 「兄弟はステージは謹慎中でーす。」 カウンターの中、女が座っている奥とは反対側の端のほうで、大人しく突っ立っている光世を指さした。 パーティーグッズでよくある『反省中!』と書かれた紅白のタスキを斜めにかけられて、品の良いほうの常連客になにやらいじられている。 その客が、片手を上げて征羽矢を呼ぶ。 「はいよー。」 征羽矢が女に片目をつぶり、その場を離れた。 すぐに代わりに濱崎が側についた。 「申し訳なかったですね、飲んで下さい、」 手を伸ばして、カウンターの内側に掛かっているはずの伝票を探るが、どうも見当たらない。 「あは、ソハヤさんつけてないですよ、おねーさん。」 濱崎が笑う。 「でも、じゃ、ごちそーになろっかなー。」 ソムリエエプロンのポケットから伝票を取り出して、ピリピリと千切って、ペンでGBと書き込む。 「そこ、これもつけといてくださいね?」 自分のぶんを少し持ち上げて見せる。 「えー?別にいーんじゃないっすかぁ?」 サーバーから中グラスに生ビールを注いで、飲みかけの女のジョッキと乾杯する。 「なんか言われてるんですか?」 「はい!ソハヤさんが。変なやつが絡んでくるかもしれないから、自分がいないときはひっついとけって。」 あいかわらずなかなか気の回るバーテンダーである、小さなクラブを取り仕切るだけでは正直もったいない人材かもしれない。 「お客さん減ってないです?」 「ぜんっぜん!むしろ多いくらいっす!」 濱崎は女の前に置かれた皿から勝手にカシューナッツをつまんで言った。 「宣伝になったんじゃないっすか?」 次はマカデミアナッツをつまむ。 「でも、おねーさんで良かったなって思ってるっす!」 「?」 「なんか、チャラくないし、あっ、悪口じゃないっすよ?いい意味でフツーな感じで。」 次はピーナッツをつまむ。 子犬のようで愛らしいな、と女は思っているようだった。 カウンターに肘をついてにこにこしている青年とたわいない話をしていると、自然と表情がほぐれた。 その状況を、光世は離れたところからもやもやとしながら気にしている。 近づこうとすると、征羽矢がその鼻先に人さし指をつきつけた。 「はい!こっからこっちは侵入禁止でーす!」 常連客の中年男性がけたけたと声を上げて笑った。 「うちの!大切な!お客さまの!ひとりなの!プライベートは好きにやってくれて結構だぜ?」 ぐいぐいと、その高く整った鼻を押す。 光世は気圧されて黙るしかない。 濱崎が女にスマホの画面を見せながら、2人で無邪気に顔を寄せ合って話し込んでいる。 「見て、ミツヨさん紹介されてるのめっちゃおもしろいっすよ。」 どれどれ、と眩しい液晶を覗き込む。 『話題のクラブthunder box 人気DJ兼経営者mitsuyo謎の素顔に迫る』 『端正な顔立ちだがいつも表情は硬い』 『作曲アレンジ共に才能の塊ではあるが致命的に無愛想』 『いわゆる残念なイケメン』 そこまで読んで、口に含んでいたビールを吹き出すところだった。 あまり普段から素で笑ったり怒ったりしないように注意を払っているのに、たいへんな失態である。 珍しく肩を震わせて、せり上がってくる笑いを堪えるのに必死だ。 「残念なイケメンて、まさしくってカンジっすよねー。」 濱崎の額が女の額にぶつかりそうになる距離感。 「しかもあんなやり手感出しときながら、まぁまぁポンコツっすからね。」 何を話しているのかまでは、光世のところまでは聞こえない。 ただ、光世には見せたことのない、普通に楽しそうに目を細めている、その姿が、なぜか無性に腹立たしく。 「その服、去年かその前にあのブランドとコラボしたアニメのやつじゃないすか!」 「あ、分かってもらえてうれしいですね、アニメとか好きですか?」 「ものによるけど、あの週刊誌で連載してたやつはだいたい分かります!そのやつは劇場版も観に行ったっすよ。」 思わず些末な子どもじみた話題が尽きず、盛り上がってしまう。 光世の苛ついた気配を感じ、征羽矢は慌てて2人の間に割って入った。 俺ってば気苦労が絶えねぇなぁ、と、心の中で盛大にぼやいた。 部屋に辿り着いた途端、 「…疲れた…」 光世がらしくなく弱音を吐く。 ベッドに倒れ込むようにうつ伏せて、陰鬱な視線で女を見て、まるで子どもがぬいぐるみを求めるようにその手首を引き、シーツの中に引きずり込んで腕の中に抱きしめる。 「俺だって疲れたよ?元はと言えば兄弟のせいだかんな?」 征羽矢がカッターシャツを脱ぐ。 日に焼けた美しい筋肉が蛍光灯の下に艶めかしく晒される。 「スポンサーさんとかに怒られましたか?」 「怒られては、多分ねーけど…ちょっと注意されたくらいで済んだかな。」 脱ぎ去った衣服を洗濯機に入れるために脱衣所へと姿を消す。 「ミツヨさんも、ほら、着替えないんですか?」 光世はかたく目をつむって微動だにしないから、女は身動きがとれない。 すぐに征羽矢が戻ってきて、話を続ける。 「大人なんだから健全な色恋沙汰で文句を言う筋合いはねーってさ。」 ベッドにもたれかかるように床に座り、振り向きざまに、寝転がった姿勢でがんじがらめにされている女に口づけた。 兄が背後から抱きすくめている女の唇を舌で割り、それで女の舌を絡め取って吸う背徳感。 ねちゃ、と唾液が混ざり合ったところで、顔を離す。 「でも、今のところ割と不健全じゃないです?」 「…そー言われてみればそーだな…」 征羽矢が、ふむ、と口元に指をやって考え込む素振りをしてみせた。 光世が腰を女の臀部に押し付けて擦り付けてくる。 「今日は健全なセックスにしておきましょうか。」 女がなだめるように光世の髪を撫でるが、ようやくその目を開いて核心をつく台詞で現実を突きつけた。 「…兄弟サンド3Pは健全なセックスではないのでは…?」 徐々に光世のものが大きく固くなる。 「…濱崎と俺の陰口をたたいていただろ…?」 寂しそうな声で女の背中にすがる。 「どういう思考回路でその結論になるんですか?」 女はため息をついたが、ポンコツと言われて笑ったことは黙っておこうと思った。 「…あいつと楽しそうに笑っていたじゃないか…」 「ハマサキさん、すごくいい子ですもん。」 光世は、顔をぐりぐりと女の背中になすりつける。 「…兄弟も、意地の悪いことを言って、俺をハブるんだ…」 征羽矢は急な流れ弾に、 「はぁ?」 と声を荒げた。 女に兄に関する注意事項を教える。 「疲れてるとたまに陰気モードに入るんだよ。」 光世は片手で女のデニムと下着をずり下げて、自身をそこへ優しく突き刺した。 ゆっくりと前後にストロークさせる。 「…ん…」 女は小さく吐息を漏らした。 「…背面測位はスローなかんじで健全でいいですね…」 「なにその突然の感想文、」 征羽矢は笑って、部屋着のハーフパンツを腿まで下げ、ベッド脇に膝立ちになり、血の巡り始めた部分を女の顔に叩きつけた。 「ルッキズム言及すんの良くねーのは分かってっけどさ、てんちゃんが見た目こーゆータイプで良かったよな、」 それを無遠慮に頬に擦り付けていると、だんだんと硬く大きく勃起していく。 「真面目そうでさ、」 「そんなようなこと、ハマサキさんにも言われましたね。」 「まさかこんな不健全な女だとはね、誰も思わねーわな。」 すっかり質量を増したものを、女の唇へと押し当てた。 女はそれを、あえて上下の口唇で若干の抵抗を作りながら、ぐぷぐぷと咥え込んでいく。 「…ほんっと…さいこうすぎる…」 敏感な箇所を器用になめ回され、あっさりと射精させられてしまう。 先端からほとばしる種液を舌で絡め取って、征羽矢本人に見せつけるようにごくんと喉を鳴らしてそれを飲み込む。 「なぁ、兄弟とさ、マジで付き合ったりしたらさ、俺とはもうしねーの?」 女の服の裾から手を入れて、下着と肌との間をまさぐりながら征羽矢が尋ねた。 「付き合ったりしないんですよ、そもそも。」 背中に手を回して、ブラジャーのホックを外す。 「なんで?」 けっして豊かではないが温かく柔らかな乳房を手のひらで包んで揉みしだく。 後ろからは光世が女の首筋に吸い付いている。 「なんででもです。」 突き放すような言い方は冷たく感じるが、それが嫌悪感からきているものでないことは、この、出会ってからまだ短い期間と、いつかは知らないが、衣食をともにしていたあのほんまるでの長い長い付き合いで、十分に分かっていた。 チカっ。 征羽矢の頭の奥のほうで、なにかの欠片が光を反射した。 女の服を大胆にまくり上げ、硬く尖った胸の先を丁寧にしゃぶる。 女は細い腕で征羽矢の頭をかかえ込み、腰を反らせて快楽に身を任せた。 今夜はゆったりと時間が過ぎていく。 性的な悦と疲労感と眠気とがないまぜになって、3人がもつれ合うベッドを包み込む。 現実と夢の狭間が実際に存在するとしたら、それは、コンクリートの打ちっぱなしの、空気がひんやりとした、この狭い部屋だろう。 現実と、過去か未来かパラレルワールドか知らない、夢とが、交錯する、ミラーボールの放つ光のように、この部屋で。 「…あるじ…」 胸に舌を這わせながら征羽矢が囁く。 音が振動になり、女にさらなる刺激を与えた。 「…すごくすきだ…」 舌先を器用に使って、強く弱く、そしてときおりきつく吸って赤く跡をつけた。 「…わかってる…しってる…おれはあんたのものなのに、あんたはそうおもってないこと…」 今度は手が下半身に伸びる。 兄のものに貫かれている箇所の外側を、触れるか触れないかの残酷な加減で愛撫する。 切なげな吐息が女の唇を震わせる。 膣がぎゅうぎゅうと締まり、光世に絡みついた。 「…あんたをおれのものにしたいのに、それがぜったいにかなわないこと…」 征羽矢の色素の薄い瞳がとろんととろけて、不思議と紅い輝きを帯びた。 「…ほかのやつらにわたしたくない…おれならだいじにするのに…」 とめどなく流れ出す、征羽矢ではなくそはやのつるきのことば。 それに感応して、光世の精神も混線する。 「…さにわは契約いがいのやくそくはけっしてしない…だからつがいもしない…しかたないことだ…」 左手の指を、女の半開きになった口に突っ込む。 指の腹で歯をなぞり、内頬の壁をなぞり、舌をなぞっていった。 女はそれを啜るように必死に吸う。 首筋で紡がれるおおでんたみつよのことばが、汗で湿った女の肌をくすぐった。 あらゆる性感帯を二組の指と舌で撫で回されて、ぴく、と女の身体が跳ねる。 「…あるじ…おれにさわられるのきもちい?」 征羽矢の、寝起きのような濁った瞳が、女の熱っぽく潤んだ瞳を見つめる。 「…ひもひぃ…」 女は恍惚として光世の指を咥えたまま答える。 「…おれもね、あるじとしたらすげーきもちー。」 にじみ出る愛液を、陰核に塗り込むようにこすってやると、女は、迫りくるエクスタシーの予感をいなそうとしてもじもじと脚をすり合わせた。 「…兄弟、かわってよ?」 「…まてよ、いいところなんだ…もうすこし、しめさせろよ…?」 光世が、女の耳たぶに噛みつきながら唸り、腰の動きを大きくする。 「…よし、じゃあ…」 征羽矢は、ベッドの下の物入れを引っ張り出し、中をごそごそと探った。 「ひみつへいき、とーじょー。」 手には、シンプルなピンクローター。 「…おれがいかせたげる。」 それが女に向けられた言葉なのか、光世に対して言ったものなのか、判別は難しい。 丸いフォルムを、さきほどまで自身の指でいじり倒していた部分へとあてがう。 それに女の水気をしっかりとまとわせると、スイッチを入れた。 ブーン、と昆虫の羽ばたきのような音を立てて、規則的な微振動が佚楽をいざなって女を打ちのめす。 「…がぅ…」 女が喜悦の声を上げようとして光世の指に歯を立てた。 「…いいぞ…」 光世が忘我に耽って、自身の下腹で女の肉体の奥を殴りつけ続ける。 征羽矢は、強く弱くローターのパワーを調節しながら女の顔をじっと観察していた。 どこをどんなふうに挑発して、どうやって動かすのがいちばん好みなのかを探る。 「…はぐぅ…う!…うぅ!…ぅぅぅ!」 女はまともに喘ぐこともかなわず、ふるふると首を振った。 ここだ、征羽矢は確信をもって、一点をせめる。 押し付けては緩め、振動のスピードを上げては落とし、円を描くように執拗に快感を注ぎ込む。 「…うぅ!」 女は足先をピンと緊張させて伸ばして、それでは足りないと言わんばかりに爪先を丸めて打ち震えた。 それに合わせて、光世もわずかにうめき、女の腹の中をどろどろに汚した。 「…いけたね?いいこ…」 征羽矢が女を柔らかく抱きしめる。 それから、背後から女を捕らえて離さない兄を、問答無用で押し退けた。 「つぎ、おれね。」 断ち切られた接合部から、ゴポリと水音を立て、粘度の高い白い体液が溢れてシーツを汚すが、厭わない。 光世をベッドの上から追い出し、女をごろりと仰向けに転がして、デニムと下着を一気に脱がしてから、その膝を割る。 「ここ、よかったね?」 手に持ったままのローターを、女が絶頂を超える瞬間に触れさせていた箇所に再び押し当ててスイッチを入れる。 「…あっ…!」 女は小さく悲鳴を上げ、膝を閉じようとして下半身を力ませる。 「…まだ…まだ、いや…」 手で自身の恥ずかしい部分を覆い隠そうと、指を広げた。 「だめだよ?あるじ…てはおひざだろ…?」 幼い子どもを諭すようなトーンで、征羽矢が囁く。 目は焦点があっておらず、なんとも優しげな笑みを顔面に貼り付けて、女の手でその膝を開かせるように促した。 征羽矢に突き落とされて床にへたり込んでいた光世が、ひとつかぶりを振る。 眉をひそめ、拳でこめかみをトントンと軽く叩く。 徐々におおでんたみつよの心の色が薄くなり、光世の心の色が濃くなっていく。 自分に代わってベッドに上がり、楽しそうに女の身体をもてあそんでいる弟の姿をしたなにかを見る。 「きもちーな。ああ…あいしてる…あるじ…すきだよ…もっとみせて?もっと…いってよ?」 小刻みに震える楕円形の機器を、ずぶり、と濡れそぼった洞の中へとねじ込む。 果てたばかりで敏感になっている全身は耐えられずに、女はまたすぐに波に飲まれる。 「…ぁっ!…ま、また…イっちゃうっ…!」 女の腰が浮き上がる。 ローターを中に仕込んだまま、征羽矢の膨らんで反り返った陰茎も挿入される。 優しくコツコツと、子宮の外壁を叩くのだが、間に挟まったローターが、必要以上に本能を昂らせた。 「…そんなあまいきじゃたりないだろ…?もっときもちくなろーぜ…?」 耳の中を舌で犯し、片手で胸の先端を、もう片方で陰核を転がすようにして慶びを施す。 腹の中はすでに物理的に満ち足りていて、迫りくる享楽から逃れられずに女は腰を捻った。 「ゆっただろ…?おれがいちばんだいじにするって…あんなひどいこと、おれならしない…」 ぎし、ぎし、ぎし、と、リズミカルにベッドが軋む。 「だから…よんでくれよ…なまえ…いま、おれとしてるんだよ…?」 征羽矢の顔が悲しげに歪んだ。 光世の頭の中にまた新しい情景が浮かんで、消えていく。 彼らの主人は、行為の最中に男たちの名を呼ぶことはなかった。 名前というのは、あの世界では一種の呪いだったのだ。 想いをのせて名を口にすることで、その名のものを縛ったり、隠したり、最悪、滅ぼす場合があった。 だが、そんなルールは、この現実には関係ない。 欲に浮かされた女は、征羽矢の望むままに、その名を呼んだ。 「…そ、ソハヤさん…ソハヤ…きもち…ソハヤ…きもちいよぉ…ソハヤぁ…」 それを聞いて、女の体内で征羽矢のものがいっそう大きく猛り立った。 「…そう…おれはあんたのもんだ…あるじ…おれは…おれは、おれは!あんたのそはやのつるきだ!」 雷に撃たれたように、征羽矢は一気に凶暴な獣へと豹変した。 狂ったように最奥を穿ち、なぶる。 女が、意味をなさない文字の羅列を叫び、のけぞって、征羽矢のものを咥えた場所から、噴水のようにぷしゅっと体液を迸らせた。 征羽矢も、歯を食いしばって、腹の底から濃厚な種液を絞り出して、たっぷりと放つ。 部屋は唐突に静まり返った。 自分だけ冷蔵庫から出した缶ビールを片手に、もんもんと自慰をしながら弟の性交渉を鑑賞していた光世が、ぐったりと女にかぶさったまま放心している征羽矢の後頭部を殴った。 それも、拳で、けっこうな力加減で。 「…兄弟…そろそろ戻ってこいよ…?」 征羽矢ははっとして、光世を見上げた。気だるげな動作で女の上から自身の体をどかして、あぐらをかいて目頭をつまんだ。 「…あ…俺、今…だいぶ、なんか…なんか…乗っ取られてた?…ってゆーか…」 「…そうだな…俺も途中まあまあやばかった…」 苦虫を噛み潰したような顔で、光世が呼応する。 ほとんど空になった缶を座卓に置いて、女を抱き起こして、今夜は未使用の征羽矢のベッドへと運び横たえてやる。 光世が視線を戻すと、征羽矢は、手のひらでにやける口を押さえている。 「…おれ、いま、なまえ…あるじに…」 光世が、もう一発、今度は頬を殴った。 「…戻ってきたか…?」 征羽矢は、兄に殴られて切れた口の端から滲む血を、手の甲で拭った。 拳で殴られるのなんて高校生のときに喧嘩したとき以来である。 「…あー…さんきゅー…戻ってきたきたきた…」 渋い顔で数度うなずく。 乱れ脱ぎかけた部屋着を整えて立ち上がる。 作られた振動による強制的な連続イキは経験になかったのか、疲れ果てて半裸のまま眠りに落ちてしまった女にタオルケットをかけてやり、ふう、と息を吐いた。 「これ最終的にのっとられるパターンじゃね?」 半分は冗談のつもりだが、もう半分は妙な説得力があった。 「…また殴ってやるよ、安心しろ…」 光世はシーツを外して、大判のバスタオルをそこに敷いて、寝転がった。 「…俺は今日は疲れているんだ…明かりを消してくれ…」 そうつっけんどんに言い放ち、壁の方を向いてしまった。 ほんの数刻で、くうくうと寝息を立て始める。 「…あいっかわらず、自由にもほどがあるぜ!」 征羽矢がその背中へとブーイングを浴びせた。 朝方、まだ情事から1時間ほどしか経っていないが、女が目を覚まして起き上がった。 床に放りだしたままのトートバッグから替えの下着とショートパンツを取り出して着込む。 征羽矢は、さきのオカルティックな現象についてぼんやりと考えていて、目が冴えてしまっていた。 完全昼夜逆転族にとっては、まだ朝食には早すぎる。 「ほい、」 お決まりとなっている缶ビールを差し出すが、女は首を振る。 「こないだノンアル買ってきて冷やしてるんですよ。」 もう一度冷蔵庫の中を見ると、確かに見慣れない缶が数本並んでいた。 持っていたものと交換して手渡す。 「ありがとうございます。」 「店でバカスカ飲んでたじゃん?」 「バカスカは飲んでないです。午後から運転なんですよ。」 あまり美味しくなさそうにノンアルコールビールを喉へと流し込む。 「仕事?」 「そんなところです。」 「なんの仕事してるの?」 光世が起きていれば、止めるところまでが本来のルーティンである。 止める者が眠っているので、女は征羽矢の質問を当たり前に無視して、逆に征羽矢に問いかけた。 「ね、さっきの、名前呼ぶのって、なにか特別な意味があるんですか?」 「…うーん…」 征羽矢が腕組みをする。 分かんねーけど、と前置きをしてから、女と交わりながら見た白昼夢のような、記憶について話す。 ほんまるがあるその世界線で、名前が強固な力を持っていること、だからさにわは、業務連絡等以外のシーンで迂闊に男たちの名前を呼んだりしないし、自身の名前を知らせることもしない、と。 「では、ソハヤさんもミツヨさんもあるじの名前を知らないんですね。」 「…おれたちだけじゃねーよ、しょきとうのかせんもはつたんとうのあいぜんも、えいきゅうきんじのみだれでもしらねーんだ。」 ゆらり、と征羽矢の視線が揺らいだ。 その言葉の意味が女にはぜんぜん理解できなくて、ノンアルコールビールの缶を持った手が空中で固まった。 「俺たちみてーだな。」 征羽矢が悪びれなく歯を見せて笑った。 一瞬のぞいた誰かの気配にも、自分が、なにを口走ったかも、征羽矢は酔っているからか気付いていなかった。 自分が目を覚ます前に、女はシャワーを済ませ、熱いコーヒーを少し冷まして飲み、部屋を後にしてしまったというから、光世はとても機嫌が悪かった。 今日も『反省中!』のタスキをかけられて、ステージに上がることを禁じられ、分かりやすくふてくされていた。 ホームページに公開されているセットリストから光世の名前が消えていることもあってか、平日のど真ん中だからか、客の入りは少なめだ。 「今日は来ねーんだなぁ。」 征羽矢がつまらなそうに口を尖らせた。 「…約束してるわけじゃない…」 光世は、苛つきを隠そうともせずに吐き捨てる。 「淋しい?」 征羽矢が、少し面白がっている風に尋ねる。 「…どうだろうな…」 それを、なんの工夫もないごまかしでやり過ごす。 そこへ、扉から入ってきた派手なオレンジ色の髪の女が、カウンターの中に立っている光世を見つけて、嬉しそうに駆け寄ってきた。 「ミツヨ!」 甘えた声で呼び、光世の正面の席に座った。 「若菜ちゃん、いらっしゃいませー。」 征羽矢が愛想よく挨拶する。 「ソハくん、こんばんわ。カシオレちょーだい!」 「かしこまりー。」 若菜、と呼ばれた若い女は、カウンターに肘をついて、きゅるきゅると潤んだ目で光世を見つめた。 「ミツヨのステージ見れないのちょー悲しいけど、バーテンダーのミツヨもかっこいーね!」 「兄弟はなんの酒も作れねーよ?ビールつぐだけー。」 ふざけたトーンで征羽矢が兄をからかう。 「はい、若菜ちゃん。ゆっくりペースで飲んでね?おつまみなに食べる?」 「んー、りんごチーズ!はちみつ多め!」 手入れの行き届いた長いネイルの指で、さらさらのストレートヘアを耳にかけながら若菜が注文すると、征羽矢は恭しくお辞儀をしてみせる。 「しばしお待ちをー。」 征羽矢がその場を離れると、若菜はカウンターから身を乗り出して光世に食ってかかった。 「ねぇ、こないだの、あの地味メガネ!あんなのやめてよぉ。」 「…」 光世は答えない。 精一杯、無表情とか無愛想とか、スポンサーにくどくどと説教される顔つきになりそうにひくつくのをこらえ、微笑もうと努力はしている。 若菜は構わず一人で喋り続ける。 「ちょっと変だよ、あの人。こないだね、若菜、もうお店に迷惑かけないでってゆったのよ。」 隠れて見ていたから知っている、とは言えない。 ましてや、もっと口悪かっただろ、などとは。 「そしたらね、そしたら!若菜にね!急に!キス!キスするのよ?それもディープなやつ!おかしくない?」 あの女はおかしい女なんだよ… そう言ってやろうか、と思案するが、思いとどまり、また黙り込む。 「きっとすごい性格悪いしぜったい変態だよ?もう、若菜ずーっとミツヨのこと好きなのに、なんで若菜じゃダメなの?」 あの女はちょっと頭おかしいしまあまあ性格悪いだろうしとんでもない変態なんだよ、という言葉をまた飲み込む。 「…あんたは、かわいすぎるから…」 征羽矢に教えてもらった常套句を、血を吐く気分で口から捻り出す。 自分で言いながら、気味が悪くて鳥肌が立つ。 リップサービスなど性分ではない。 その返事に気を良くしてか、若菜はカクテルグラスを口元で傾けた。 「ミツヨだってかっこよすぎるからぁ、ぜったいお似合いだと思うんだけどなぁ。」 ------------------------- 〜③に続く〜
2025/09/10 01:29:38(6xAT/mMg)
投稿者:
(無名)
惹き込まれました。
続編お待ちしております。
25/09/11 16:06
(yu3hnYly)
こんなオナニ二次創作に優しいレスをありがとうございます♪
きょうもはりきって妄想していきまーす◎
25/09/11 21:21
(o1iXL/ql)
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