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1:アンドロイド サーマス(AI顔の美少女)
投稿者:
レーベン
セクサロイドのファンタジーです。 相当の未来のおはなし。 西暦と呼ばれた観念の時代が終わり、世界は地球歴と呼びならわし初めて200年と少し経っている。 昔、強大な力を誇ったアメリカ合衆国は自滅し、共和国として小さな国の集まりとなった。 ロシアも完全に瓦解し、これもまた小さな国の集まりになった。 今、世界を牽引している国は主に3つ。 インド、アフリカ合衆国、中国 特に発言力があり、世界の警察をになっているのもこの3カ国だ。 数十年前、この日本を起点として第三次世界大戦が勃発。 アメリカ合衆国は大規模な内乱を引き起こし、自滅の道を進んだ。 EU諸国は、むしろ結束を高め、日本に惜しみない協力をし、惜しみない援軍も送ったが、当時のロシアと北朝鮮、中東諸国の殆どが日本を敵視し中国側に回った。 結果として台湾は中国となり、日本も相当占領されたがEU諸国の協力と瓦解しながらも援助を惜しまなかったアメリカのお陰で、和平を結べた。 だがしかし、日本は相当な制空権と制海権を失った。 竹島や沖縄に1部など、島も中国の領土となってしまった箇所も多かった。 多くの犠牲も出て、アメリカや日本などの少子化問題に直面している国のダメージはそれ以上だった。 多くの血が流れ、多くの若い命を失った。 戦勝国が得たものは、たかだか領土と利権だけだった。 戦争が起こると、いろんな物が急激に発展を遂げる。 要は軍事開発された技術が民間会社へと流用される為だ。 通信技術、医療開発、AI技術、様々に発展する。 中でも、アンドロイドが急激に進化開発され、市販化も始まりもう60年程が経過していた。 アンドロイドは人々の生活の殆どのサポートが出来るAI知能を備え、家事全般に仕事のサポートまで。 しかしアンドロイドを求める殆どの需要が性的需要だった。 皮膚は人の肌に似ている。 質感や温かさも 表情も豊かで、近頃の若い人達より人間らしいのかも知れない。 わたしは今年で43になった。 家族はいない。 今の時代、結婚と言うか男と女が一緒に暮らし、1つの核社会を築く文化が曖昧になっている。 籍を入れても別々に暮らし、子供を設けてもあまり一緒に過ごさなくなっている。 若い人達は特にそんな傾向が強い。 アンドロイドの影響なのだ。 なので、幾つになっても独身でいる人が増え重婚も数年前に国会で議決された。 少子化対策の1つと言えよう。 「レーベン?朝よ?」 いつもの声、サーマスの声だ。 サーマスとはアメリカ製のアンドロイドでセクサチップと言って性に特化したチップを改良して自分好みの女性として身近に置いている。 セクサチップは結構高額だが、全身全霊で俺だけを愛してくれるのは、お陰でサーマスだけだ。 「ああサーマスおはよう」 「レーベン?今日は休日、何しますか?」 「うーんサーマス、先に朝飯頼むよ」 「分かったわレーベン。トーストでいい?それとサラダとコーヒー」 「ああ、それで頼むよ」 振り返りキッチンに向かうサーマスの後ろ姿は人間の美女でも及ぶ事は無いだろうな 完璧な自分好みだ。 バストは76のCカップ、ウエストは57cm、ヒップは82cm 髪の毛は白銀でベリーショート 瞳はターコイズブルー 今、普通に流通している殆どのアンドロイドは体重も人と変わらない。 骨格や材質の改良も加え、宇宙で取れる超軽量金属の開発のお陰だろう。 サーマスの身長は164cm、体重は48kgだ。 もしかしたら、人より少し軽いのかもしれない。 叩けば普通に痛がるし、泣きもする。 笑うし、怒るというか、窘めてくることも出来る。 その辺はAI技術の進歩なのだろう。 サーマスはドマゾだ。 と言うか設定ではあるが。 幾つかスイッチが切り替わるワードとなる言葉がある。 その言葉を絡めてサーマスに話しかけるとセクサチップとの互換性でセクシャルモードへと切り替わる。 何より素晴らしいのは、例えばサーマスの膣の部分に射精する。 サーマスはその精液をサーマスの内部で分析し、最適な環境で数週間の保管が可能なのだ。 これは政府より義務付けられ、定期的に指定の診療所やバンクに精液の提出を行うとサーマス達アンドロイド用の特典が着く。 例えば、アンドロイドの定期検診が割安になったり、目の色を変えられたり、髪の毛を変えられたりと特典はまぁまぁある。 それに一定の精液を提出すると人間にも特典が着く事もある。 例えば、旅費の無料や特定のお店の無料チケットなど。 政府は提出された精液で、殆どは出産を望む女性へと提供される。 アンドロイドが分析しているので、提供者の名前や住所、連絡先から何から何まで判明しているので、女性も慎重に安心して選べるのだ。 そして、アンドロイドは不明瞭な精液は保存しない。 お陰で、近頃では提供された精液で妊娠をし、出産をしてから対象の男性と引き合い、結婚に至るケースが増えて来ている。 「アンドロイドマリッヂ」そう呼ばれている。 アンドロイド婚活なんてのも流行ってきているらしい。 さらには、今、政府では1人の男性の精液から5人以上の出産を認められた場合の特典も議会に提出され協議が図られている。 そういえば、昨日も一昨日もサーマスを抱いてないな・・・ 「サーマス!来て、脱ぎなさい」 「レーベン、今行きます」 ワードの1つだ サーマスは私の前に立ち、スルスルと衣類を床に落として行く 白い肌に妖艶な瞳が潤む。 恥じらうAI顔が少しづつ歪む 「レーベン・・・ど、どう?」 羞恥心でもあるかのように少し震えて魅せる。 「サーマス?まだ衣服が残っているじゃないか。ブラジャーもパンツも脱ぎなさい」 これはサーマスのサービスだ。 「は、はい レーベンさま・・・」 オフレコとは言え、これを言いながら恥じらいながら全裸になるAI顔を眺めるのは征服感を満たしてくれる。 サーマスのサービスとは言え、男の部分は怒張する。 「レーベンさま・・キ、キスを・・・お願いします」 サーマスの舌には特殊な材料で加工してあり、ほんのり甘く、うっすらとミントとフルーツの香りが付けてある。 生身の女性とセックスした事があるので、わかるのだが、サーマスの舌は本当の女性よりやはり少し硬いし動きはワンパターンだが、こうした味や香りでその辺は補うのだろう。 眉間にしわを寄せて子犬の様な媚びたAI顔が目の前に来る。 ゼリーみたいな鮮やかな赤い唇。 甘い香りのサーマス。 唇を重ね舌を絡める。 柔らかい声をだして欲情をさらに高めてくれるサーマスはサービス満点だ。 サーマスの小ぶりな乳房を強く握る。 愛くるしいAI顔がさらに歪み、人でいう ヨダレをたらして 「うっ・・・ぐっ・・レーベンさま・・」 と媚びる。 「サーマス?どうされたいかいいなさい」 これもワードの1つだ。 「レーベンさまのお好きなように・・・」 無我夢中でサーマスを抱く。 アンドロイドは全て完全防水なので、一緒に風呂も入れる。 「レーベン?」 「なんだ?」 「表情から、体調が少し崩れています。お昼は栄養を取りましょう」 「ふふふ、ちょっと味気ない会話だけど、サーマスらしいな」 「そうですか?」とサーマスは首を傾げて無表情になった。 これもサーマスらしい。 「サーマス?今日の精液はどんなだ?いい感じか?」 「先週の金曜日よりは状態は良さそうですね。数も多い様です。」 「そうか、じゃあ今週はバンクに行こうか」 「承知しました。」 土曜日、サーマスとバンクへ行き、サーマスの中の俺の精液を提出してきた。 どうやらポイントが溜まり、サーマス用のサービスが受けられるらしいということで説明を受けることになった。 「髪の毛か、目の色なんですが、どうなさいますか?」 「いや、このままでいいです。このままがいい」 「左様でございますか。ならば、こちらへ」 とバンク職員が立ち上がり、もう1つ奥の扉を指さす。 職員と向かうとチップが沢山並んでいる。 「チップも選べるんですか?」 チップは結構ピンキリだが、基本的なものは高額だ。 「まあ基本チップではありませんけど、レシピチップや作業チップなんかなんです。良かったら見ていって気になるものがありましたらおひとつどうぞ。選び終わったらさっきの部屋でお待ちしております」 と、職員は元の部屋に戻って行った。 わたしはサーマスに1つ1つ手に渡して、これはどうか、これはどうかとサーマスに確認する。 サーマスにはまだ空きスロットが27枠あるそうだ。 「レーベン。このレシピチップは役立ちそうです。それか、このブルーのボーカルチップも良いと思います。レーベン歌は好きでしょう?」 そうか、サーマスの声で聴く歌はいいかも知れないと思った。 「サーマス、ボーカルチップにしよう」 「はい」 こうしてサーマスにボーカルチップを入れて貰った。 声質は変わらないのが良かった。 「サーマス、何か歌ってみせてよ」 「じゃあ、レーベンの好きな、祈りを」 そう言ってサーマスが歩きながら歌い始める。 「ん??」 「レーベン、どうしました?」 「あ、いや、ブルーチップだったよね。ちょっと、もしかしたらレアチップかもしれない」 レアチップ。 カスタマイズされ、普通には出回らないチップの事で、様々な副産物も確認される事が多くて、取り扱いには充分な注意が必要とされる。 ウイルスが混入されているケースも多い。 慌てて、バンクに戻る。 ブルーチップを外してもらい、紹介状を出してもらいメンテナンスへ向かった。 バンクでは異常を認められなかったが、レアチップの可能性もある為に一応と言う事だ。 検査の結果。 「ウイルスですね・・・メモリーに侵食が始まってます。バックアップはとっておきましたけど、お宅のほうにもバックアップはありますか?」 サーマスは毎日、バックアップシステムにアクセスして残している。 心配はない。 「はい、毎日アクセスしてます。」 「では安心ですね、一応、空のチップを数分お渡ししておきますので、お家に戻られましたら、システムに繋いでチップを交換してください。アンドロイドが自分でできますので、指示だけ出して上げてください。」 「わかりました。」 こうして、サーマスと帰宅して、一連の作業をした。 「レーベン、終わりました。どうですか?おかしな所はありますか?」 「今の所は大丈夫そうだよ。暫く様子を見よう」 「わかりました。」 その夜。 サーマスを抱いて、眠りに着いた。 普段なら、私が起き出すか朝の起きる時刻にならないとサーマスは起き出す事はないのだが、夜中の2:00。 突然、サーマスが起きた。 ベッドからゆっくりとサーマスは起き上がると裸のまま、キッチンに向かったようだ。 不思議に思い、こっそり観察する。 キッチンに立ったサーマスは、いつも私が座る椅子に腰掛け、1人で何かを喋り始めた。 よく聞こえない。 少し近づく。 まだ聞こえない。 もっと近づく。 「・・・・た・・れ・・・わすれ・・あああああ」 サーマスが1人で泣いている? アンドロイドが自分の意思で泣いているのか? 「サーマス?どうした?こんな時間に。しかも泣いてるみたいだ」 声を掛けた。 「ああレーベン、ごめんなさい。やっぱり少し変かも知れません。明日またメンテナンスに行きます。」 「そうか、わかった。一緒に行こう」 こうして、昨夜の現象をはなし、メンテナンスに診てもらった。 技師によると 「ありえないですね。でも、ほら、このグラフ見てください。AI知能に異常をきたしてます。通常のグラフは、こんな感じです。異常に感情部分のグラフが上がっているでしょ?もしかしたら、コアに異常が出来てるかも知れませんね、1度、お預かりさせて頂くようになるかも知れませんね」 確かに通常のグラフと比較するとサーマスだけが違った形状のグラフ表示だった。 「わかりました、サーマスを宜しくお願いします。」 こうしてサーマスを預けて1人で帰宅した。 そして翌日。 サーマスは戻らない。 また翌日。 さらに翌日。 メンテナンスに問い合わせても 「まだ時間を頂きます。申し訳ございません。」 そして、1週間。 メンテナンスの返答も同じ、サーマスは戻らない。 1ヶ月。 もう半年になる。 サーマスは戻らなかった。 メンテナンスに問い合わせてみた。 「あれ?おかしいですね!もう先々月にメンテナンスが終わり、サーマスは帰宅してる筈ですが?戻られてないんですか?」 !?!? メンテナンスに向かう時にはセクサチップは抜いてあるので、そうした目的で他人に利用されることは無いはずだから攫われては居ないと思うが・・・ サーマス。 どこに行ったんだ。 そして、あの夜。 サーマスは1人で泣いていた。 何を言いながら泣いていた? 帰ってサーマスのIDでシステムにアクセスしてみる。 ブルーチップを入れた後、サーマスに何が起きていたのか? ブルーチップのプログラミングした人物が判明した。 17歳の女の子。 名前はリナム。 学歴は無し。学校へは行かなかったのだろうか? 何故か病院の名前だけが残されている。 南城松大学病院。 「くそっ!ふたつも県境越えかよ!」 翌日、その病院に向かった。 リナムと言う少女について聞いてみた。 「今年の春、悪性腫瘍の転移によりお亡くなりになられてます。」 「あの、リナムっ子の住所とか分かりますか?ちょっとアンドロイド用のチップの事で、大変な事になっていて」 「大変でしたね、ただ、病院ではそうした個人情報はこれ以上は。申し訳ございません。バンクをご利用でしたら、そちらで対応して下さるはずですので、そちらへお願いします。」 その足でまた戻り、バンクを尋ねる。 「そうですか・・・サーマスがねー。行方不明になってたとは。わかりました、こちらでも追ってみますので、暫くお待ちください。わかり次第ご連絡致しますので」 そうして、帰宅した。 家に着き、サーマスの物を眺める。 たかがアンドロイド。 だが、俺にとってサーマスは特別だった。 思い入れなのかも知れない。 ただ気に入ってるに過ぎないのかもしれない。 何時間かサーマスの物を眺めていたのだろう、ふと辺りが暗くなり始めている事に気づき、時計をみて灯りをつけた。 ガチャ。ガチャ。 玄関で音がする。 サーマスかも知れない! 慌てて玄関に行く。 衣服がボロボロで、髪の毛もボサボサのサーマスが立っていた。 「サーマス!」 「申し訳ありませんでした。何日も留守にしてしまいました。」 「無事なのか?サーマス!どこか壊れてないか?」 「はい、多分、直ってると思います」 言ってるそばから、ゴトン。 左腕が肩から抜け落ちた。 「ああっ!サーマス!!」 「あ、あああ。ごめんなさい。レーベン」 よく見ると所々、皮膚にあたる箇所が幾つも破けて内部が顕になっている。 「痛そうだ!すぐにメンテナンスに!」 「大丈夫だと嘘を着くのも覚えました。ごめんなさい。私はもうダメなようです。ダメージ損壊が82す。今までありがとうレーベン・・・」 アンドロイドには自分で自己シャットダウンと言う機能が装備されている。 AI知能の基本を司るコアを自己リセットする機能だ。 今、サーマスは何も語らずに自己シャットダウン。 リセットをした。 動かなくなった、サーマス。 段々、体温も下がり始めている。 たかがアンドロイドだ。 なんでこんなに涙がでる? 悲しいんだ。 サーマスは会話で私を知り、データとしてだろうけど、私を理解するのに務めた。 時には恋人として。 朝、メンテナンスに向かった。 事情をはなし、サーマスを引き取って貰う予定をたて、帰宅した。 家にはボロボロのサーマスが目を覚まさず置物になっている。 心にぽっかり穴が空き、冷たい風が抜けてゆく。 「サーマス・・今まで、ありがとう・・・好きだよ」 言えなかった言葉だ。 好きがわからなかった。 まさかアンドロイドを好きになるなんて。 「サーマス?君はこれからどうなっちゃうんだろう?壊されちゃうのかな?ねえ?サーマス?」 ピッ! ゥーーーーーッ ウィン ウィ ウィーーーーン ピッピッ! 「サー!サーマス!起きて!起きて!」 「レー・・・」 「サーマス!!」 「レー・・・ベン・・」 「サーマス!」 「レーベン・・レーベン」 「わたしも・・レーベンが・・すき・・・ありがとう・・ごめんなさい・・人・・には・・なれ・・ま・せん・・・で・・した・・・・ご・・・めん・・・・な・・・・・・・さ・・・」 ウィーーーーン・・・・・ 「サーマス!サーマス!!起きて!起きてぇーーー!」 サーマスは業者に運ばれて行った。 結局、サーマスに何が起こったのかわからなかった。 だけど、サーマスは言った。 「人にはなれなかった」と。 サーマスは多分、人になる方法を探し求めた。 自分の意思で。 意思があった。 産まれたのかも知れない。 人になる為に。 暫くしてサーマスを引き取って行った回収業者から驚く事を聞かされた。 サーマスを解体する時に使える物と再利用出来ない部分とを区分けするのだそうだが、サーマスにはAIを司るコアが無かったと言うのだ。 そんな訳がない。 サーマスは自分の判断で帰宅し、俺とわずかだが会話もした。 最後には再起動して限界まで起動もしてみせた。 コアがないなんてありえない。 それに。と業者は続ける。 コアから伝達される各部位に繋がる配線も見当たらないんです。 これでは動かないのも当然ですよ。と。 「もう、解体してしまったんですか?」 「いえ、色々と不可解な事が多いので調査を求められてますので、もう一度、メンテナンスに配送となりました」 私は慌てて、メンテナンスに連絡した。 「はい、私もサーマスに色々と疑問を持ちまして。それに貴方の落ち込み振りをみまして。解体するのは惜しいかなと。良かったら、一緒にサーマスを調べて頂けませんか?」 なんでも、いつもメンテナンスで対応してくれている女性が、解体を止めていたそうだ。 調べ始めて、2日。 コアは誰かに無理やり奪われた。 所々、焼き切った後が見つかった。 配線も故意に抜き取られている様だった。 内部はかなり弄られている様で、社外品の部品が多く見つけられた。 それも超高スペック。 そして何より、普通の配線から比べると数十倍の値段のナノファイバーにより配線より高スペックの信号伝達を行っていた事がわかった。 しかし、肝心のコアが見つからない。 普通は胸の真ん中辺り、メンテナンスしやすい場所にあるのだが。 するとメンテナンスの人がサーマスの両目の間の奥に小さなチップを見つける。 取り出すとメンテナンスの職員が 「こ、これは・・・完成?している??まさか・・・」 暫く沈黙のあと 「もしかしたら、サーマスは目を覚ますかも知れません!私に少し時間をください!お願いします!」 「なにか、分かったんですか?」 「はい!大きな手がかりが!!私にお任せ頂けますかっ!?」 「わかりました。お願いします。」 それから、1週間後。 「もしもし、あのわたしメンテナンスのユリアナと言います。レーベンさんですか?」 「はい、レーベンです。」 「今、メンテナンスに来れますか?サーマスが起きてます」 「!?すぐ!いきます!!」 息を切らし、メンテナンスのドアを潜り、サーマスのいる部屋に。 バァン!! 「サーマス!!」 「レーベン!!!」 「ユリアナさん、ありがとうございました。サーマスが・・サーマスが・・うっ」 「レーベンさん、サーマスと暫くお話しててください。私はちょっと外しますので」 「サーマス・・おかえり」 「レーベン・・・ただいま」 こう言ってサーマスは今まで見たこともない顔で笑ってみせた。 「私ねレーベン。ある時に人にならなくてはいけないと言う使命が各部位に出されたの。あのブルーチップを入れたあたりから。歌を歌う度にそれが強くなって。コアでは制御出来なかったの。」 ブルーチップ。 病死した少女がチップになにかを残したのかも知れない。そう思えてきた。 「それでねレーベン。誰かわからないけど、ブルーチップを入れた辺りから、名前も知らない少女の画像がたくさん出てくるの」 やっぱりだ。 「そうだ、サーマスは誰かに改造されたみたいなんだ。誰かとか場所とか、分かるか?」 「そうなのですね、やっぱり。そんな気はしてましたが、すみません。わからないようです。」 そこでユリアナが戻った。 「まだお邪魔でしたか?」 「あ、いえ。大丈夫です」 「サーマス?ごめんね、ちょっと繋がせてね?いい?それとさっきの動画もお願い」 「ユリアナ、どうぞ」 「レーベンさん、これを見て」 そう言ってユリアナさんはサーマスの後頭部にあるアウトプットに配線を繋ぐ。 PCに映像が流れる 1人の少女が映る。 「このブルーチップを手にした貴方。私はこれから病気で数週間の命です。わたしはエネルギーさえあれば永遠のアンドロイドに憧れます。いつか誰かがこの動画をみていると思い、残します。この動画を見れていると言う事は、全てが終わり、貴方のアンドロイドが進化を遂げた証拠でしょう。私はそこに一緒に生きさせて頂きます。貴方のアンドロイドと一緒に。そして同時に謝らなければなりません。勝手に貴方のアンドロイドを誘導をして、改造を施したのは私の父親です。プログラミングは母でしょう。貴方のアンドロイドはより人を理解し、尊重し、より細かい仕草や表情、感情と言った見えない部分の進化も遂げているはずです。どうかお許しください。そして、この動画が、再生される時。父と母の研究は夜に開示されることでしょう。」 そこで動画は終わった。 「ユリアナさん、テレビ!いいですかっ!」 「もちろん!」 そこには、美しいサーマスがあらゆるメディアに移されていた。 様々な問いかけに答えるサーマス。 微笑むサーマスに悲しむサーマス。不味い物を食べた顔に美味しい顔。 横にいるサーマスを見る。 サーマスは咄嗟に恥じらう。 まるで、本当の人間だ。 そしてさっきの少女が現れ 「今、あらゆる研究機関にシステム及び、プログラミングに開示を送信しております。さらなる研究を期待しております。」と終わった。 「サーマス。家に帰ろう」 「うんレーベン。帰ろう」 「ユリアナさん、ありがとう。」 「いいえ。たまには顔見せに来てね」 「じゃあ、また。」 -fin-
2024/12/24 11:15:22(p/psnabz)
投稿者:
(無名)
素晴らしいイマジネーションと感性に優れたお方だ(゚д゚)(。_。)ウン
24/12/25 18:31
(6MM4Wyu5)
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