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リョウコは処女だった。29歳と11ヶ月と2日。三十路を目前にしても彼氏すら出来た事が無い。親の希望もあり中学、高校、大学と、10年間女子校だった。仕事は、女性誌の編集をしており、職場に男は1人もいない。そんな境遇のせいで、彼氏はおろか男とまともに話す事すら出来ない。そんな事では、男を好きになる事すらない。だが、リョウコにも初恋はあった。それは、唯一共学だった小学生時代まで遡る。
初恋相手のツネオとは、小学三年生のクラス替えで初めて会った。苗字が同じま行だったので隣の席だった。最初に話しかけたのは、なんとリョウコからだった。隣の席で教科書も見ずに、ひたすら絵を描いているツネオを不思議に思い、声をかけた。 「どうして絵を描いているの?」 リョウコがそう聞くと、 「絵が好きだから。」 と、当たり前のように言われ呆気に取られた。しかし、ツネオの絵は「好きだから。」で片付けられないほど、芸術的で官能的だった。ツネオの描く絵は、どれも裸の人間ばかりだった。まだ、保健の授業さえ受けて無い8歳の少年が、細かい部分までリアルに描き込んでいる。男体は、腹筋の筋から臀部の窪みまで描いてあり、女体は、乳房はもちろん膣まで描いてある。リョウコは初めて見る大人の体に、恥ずかしさと好奇心を感じていた。 「どうして裸なの?」 リョウコがそう聞くと、 「人間は、恥ずかしいから服を着るのかなぁ?それとも、服を着てるから裸が恥ずかしいのかなぁ?」 そう答えられた。 「恥ずかしいから服を着るんでしょ?」 リョウコは何も考えず即答した。何故そんな話をするのか、リョウコにはさっぱりわからなかったが、その言葉がずっと頭に残っていた。 それから、ツネオに絵の描き方を教わったり、リョウコのリクエストで絵を描いてもらったり。二人は親密になっていった。しかしリョウコの頭の中には、ずっとあの質問が残っていた。毎日、聞いてみようと思うのだが、なかなか聞く事が出来ない。その事を考えてるうちに、リョウコはツネオに特別な感情を抱くようになった。大人になった今は、それが恋であったと分かるが、その時は何も分からなかった。 そうこうしている間に、思いもよらない事が起こった。ツネオが転校したのだ。夏休みが終わり、学校に行くとツネオの姿は無かった。転校したのだと、後から聞かされた。結局、質問の意味を聞く事が出来なかった。何をしていても、ふとあの質問が頭をよぎる。それは、ツネオが転校しても同じだった。 誕生日の二週間前のこと。リョウコはいつも通り仕事を終え、普段なら真っ直ぐ家に帰るのだが、その日は給料日だったので、少し寄り道をした。毎月、給料日には有名パティスリーでケーキを買って帰るのだ。少し値が張るので、頻繁に買う事は出来ないが、月に一回、給料日だけケーキを買って帰っていた。 リョウコが、いつものようにケーキを選んでいると、 「リョウコちゃん?」 そう呼ばれ振り返ると、見覚えのない男が立っていた。歳は同じくらいか、少し上か、顎くらいの長さの長髪に、汚れたTシャツとジーパン、靴はサンダルを履いていた。 「やっぱりリョウコちゃんだ!」 男が一人で盛り上がっている。 「あのぅ…どちら様ですか…。」 リョウコがそう尋ねると、 「そうか、覚えてないよね。小学校で、少し一緒だったツネオって言うんだけど、半年くらいしか、同じクラスじゃ無かったからなぁ…覚えてないか…。」 男の発言にリョウコは驚いた。ツネオ、その名前は片時も忘れた事が無い。名前と言うよりも、あの質問がずっと頭にあった。 「ツネオくん!?覚えてるよ!でも、どうして気付いたの?」 たった半年、小学校で同じクラスだった人間に、大人になってから気付くものだろうか。当たり前の疑問だった。 「僕は絵を描くからね。一度見た人なら、それなりに覚えてるよ。それに、リョウコちゃんは特徴的だからね。」 ツネオの言う特徴とは、ほくろの事だろう。リョウコはすぐに分かった。リョウコの顔には、左目を囲む三角形のように、3つのほくろがある。小さい時から、大人になった今でも、初対面の人にすぐ覚えてもらえる特徴だ。 「あぁ。これの事ね。ずっと会って無くても、分かるんだね。」 リョウコは少し恥ずかしくなった。ケーキ屋で、いつまでも話す訳にはいかないので、近くのカフェに行く事にした。 コーヒーを飲みながら、お互いの今までの話をした。初恋相手との再開に、会話が弾んだ。ツネオは現在画家をやっているようで、それなりに売れているという話だった。そんな話をしている間も、リョウコはあの質問が気になっていた。 「あの…」 リョウコは意を決して聞いてみる事にした。 「昔、どうして裸の絵を描くのか聞いたの覚えてる?」 恐る恐る尋ねる。 「あー、覚えてるよ。それがどうかしたの?」 「いやその後の、恥ずかしいから服を着るのかってどういう意味かなって…」 「そのままの意味だよ。裸が恥ずかしいから服を着てるのか、服を着てるから裸が恥ずかしいのかって。僕は後者だと思ってるから。」 「服を着るから恥ずかしいって事?」 「そう。裸でいれば裸も恥ずかしくなくなるよ。」 「そうなのかな?」 「試してみる?」 「え…?」 リョウコは突然の話についていけず、言葉を飲んだ。 「僕の絵のモデルになってよ!」 ツネオは少年のような目でリョウコを見つめてきた。男の目を見る機会の無いリョウコは、咄嗟に目をそらした。 「え…?でも…恥ずかしい…」 「だから裸になるんでしょ?服を着てるから裸が恥ずかしいんだから。」 「あ…え…」 「来週、一緒にホテルに行こ!」 リョウコが何も言えないまま話が進んでいき、処女である事も伝えられなかった。 「これ、連絡先。細かい事はまた連絡するね!」 こうして、ツネオに裸を見られる事が決まってしまった。 9日後。リョウコはラブホテルにいた。一生縁が無いと思ったいたラブホテルに、人生で初めて足を踏み入れていた。見る物全てが初めてで、まるで注射を待つ子供のように、目が泳ぎ落ち着きが無かった。 「どうしたの?」 「こういう所初めてで…」 「そうなんだ。今までの彼氏とは家でしてたの?」 「あっ…いや…」 リョウコは言葉を飲み込んだ。もうすぐ三十路になろうかという女が、一度も男を味わった事が無いなど、引かれてしまう。付き合う訳でも無いのに、初恋の記憶から、そう心配していた。 「もしかして、処女?」 ツネオにそう聞かれ、心臓が激しく脈を打つ。挙動不審なリョウコは、誰がどう見ても処女であったが、ツネオは今さら聞いてきた。 「ぅん…」 リョウコは小さく頷いた。 「そっか、それは悪いことしたね。」 「いや…あの…べつに…」 クーラーが効いてるはずの部屋が、やけに暑く感じ、額に汗を滲ませていた。 「じゃあ今日する?」 「えっ?」 リョウコの頭が真っ白になった。絵のモデルになるだけでも恥ずかしいのに、その上セックスまで。驚きで声が出せなかった。 「処女の時と、経験した後の絵を描いて、どんな違いがあるのか見たい。」 言ってる事は、まるで変質者なのに、ツネオの目は子供のように純粋に光輝いていた。 「ねっ!そうしよ!」 「…ぅ…うん…」 ツネオのペースに飲まれ、首を縦に振ってしまった。そうか、私はこれからセックスをするのか。直後に言葉に表せない不安が襲って来た。 「そうと決まれば、早くしないとね!」 そう言うとツネオは、服を脱がし始めた。 「ここ座って。」 ツネオに言われるがままに座る。 「そこで脚開いて。」 「えっ…。」 戸惑いながら少し脚を開くと、ツネオが脚を持ち 「こんな感じ。」 と言って、リョウコにM字開脚をさせた。生まれて初めてM字開脚をし、生まれて初めて男に見られている。リョウコの心臓は音が聞こえるほど、強く脈打っている。 「よし…じゃあ、描くからじっとしててね。」 そう言うと、ツネオは大きなスケッチブックに鉛筆を走らせ始めた。 ザッ…ザザッ…ザーザッザッ…。と鉛筆の音だけが鳴り響く。ツネオの目はリョウコをじっと見つめている。見られている場所がカーッと熱くなり、まるで触られているかのように視線を感じる。頭、顔、髪、胸、腹。視線が降りていくにつれ、リョウコの股間は燃え上がり、同時に、それを鎮めるかの如く、つゆが滴る。 「っ…。」 ツネオの視線は、ついにリョウコの股間にたどり着いた。すでに膣は光を反射するほど濡れ、赤く充血し、男を迎え入れる為にぱっくり開いている。そんなマンコに、ツネオの真剣な視線が突き刺さり、いっそう熱くなる。 「んっ…あっ……。」 どこも触れられていないのに、股間から刺激が全身を駆け巡る。小刻みに体は震え、快感を増幅させる。普段するオナニーからは、考えられないほどの快感がリョウコを襲う。しかし、ツネオは気付いていないのか、そんなことお構い無しに鉛筆を走らせる。 「…ん…ぃ………くっ……。」 快感は頂点に達し、全身を痙攣させ、股間で感じていた快感が全身に広がり、目の前が真っ白になる。 逝ってしまった。男に触れられる事もなく、逝かされてしまった。快感が収まるにつれ、そんな姿を見られたという恥ずかしさが湧き上がってきた。 「よし…。どうかな…。」 ツネオが鉛筆を置くと同時に、リョウコは体を手で隠した。 「ジャン!」 と絵を見せてきた。そこには、先程快感に悶えていた自分が描かれている。 「どうかな?」 「は…はず…かしい…。」 先程の姿を見せられ、また体ソワソワとしてくる。 「まあ、最初はね。恥ずかしいよね。」 そういうとツネオは、おもむろにシャツを脱いだ。 続く…
2022/10/01 07:34:39(DUw43seH)
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