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流寓温泉
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:空想・幻想小説
ルール: あなたの中で描いた空想、幻想小説を投稿してください
  
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1:流寓温泉
投稿者: ◆5aBleW04x.
実家に帰省するため、大学三年の嶋祐一は、海沿いの道を車を走らせていた。前方を見ると黒くて丸い物がモソモソ動いている。
(あれなんだ?)慌てて車のブレーキを踏み、車を停めた。(ふう~あぶない。なんだろう?)車を降りて見てみると、亀である。
(なんでこんな所を亀が歩いてるんだ?しかもコッチは、海の方じゃないのに。)
亀は、不安げで疲れきった顔で祐一を見ていた。
「お前、陸に上がって迷子にでもなったのか?」亀は、すがるような顔をして祐一の目を見ている。
「 もう、しょうがねえな~、海に連れて行ってやるよ。ここからそんなに離れてないし。」亀を助手席に乗せると、
「少しの辛抱だから。」そう言って亀の甲羅を撫でると、海の方に車を走らせた。亀は、まだ不安げに、祐一を見ていた。

「よいしょっと、ほらついたぞ」波打ち際で亀を運んで降ろしてやると亀は、嬉しそうに海の中に泳いで行った。
「もう、間違えるなよ。」そう亀の背中に言うと、地平線の上に夕日が鮮やかに輝いていた。

「よし、行くか。」しばらく車を走らせていると、渋滞が起こっている。
(もしかして事故か?)調べてみると、やっぱり事故だった。しかも渋滞は、とても解消しそうにない。
(しょうがないな。迂回ルートを探すか。お、山の中をと通る、峠道があるぞ。コッチから行ってみよう。)元々ドライブ好きである。こう言う道を行くのも楽しい。車を峠道 に進ませた。巧みにハンドルを切りながら、急カーブや坂道を進んででいると、霧が出てきた。
(ん、霧が 出てきたか、慎重に運転しないと。)スピードを落としゆっくり車を進めたが、フロントガラスに水滴が付き始めた。
(霧雨になったか~。山の中をだと天気が崩れやすいからな。ただこの霧雨直ぐに晴れるかどうか…。)バンパーを動かしてライトを点灯し車を進めた。しかし霧雨は峠ごと車を覆っていく。
(これじゃ、視界が悪すぎる。引き返した方がいいのかな~?)カーナビを見てみると、進むも引き返すも半々くらいである。
(もう少し進んでみるか、)車をゆっくり、走らせると霧の中に灯りが見えた。
(こんな所になんの灯りだろう。とりあえず行ってみよう。)ゆっくり走らせると、古風な、旅館が霧の中からボンヤリと現れてきた。
前に車を停めて見てみると
 
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2020/02/07 03:31:46(5v7ZHcPi)
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