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犬の惑星
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:空想・幻想小説
ルール: あなたの中で描いた空想、幻想小説を投稿してください
  
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1:犬の惑星
投稿者: (無名)
ただの旅行だった。月を一周して帰ってくるだけの些細な旅行、そのはずだった…。

大気圏に突入したのはいいが、そこは僕たちの知っている『地球』ではなかったようだ。タイムスリップでもしたかのように荒れ果てた大地。
滑走路などどこにもなく、キャプテンは強硬着陸を試みる。激しい振動が伝わり、僕の目から見える世界は激しく回っていました。
自分が上を向いているのか、下を向いているのかも分からず、ただ心の中で呟いていました。『死にたくない…。』と。

どのくらい気を失っていたのだろうか…。目を開くと、そこには眩しく光る太陽が見えた。強硬着陸を試みたのは、午前6時。
真上に太陽があるとすると、6時間近く気を失っていたのだろう。僕は、恐る恐る身体を動かし始める。自分の手足がちゃんとついているのか、心配なのだ。
足は大地を掴み、身体を起こそうと地面に手をつけた。なんとか五体満足なようである。
遥か彼方にシャトルがあるのを確認をする。しかし、翼が真上を向いていなければ、シャトルと確認が出来ないほどに原型を保ってはいない。

シャトルに戻ったが、もう何から手をつけていいのやら。とにかく、砕けた旅行客の遺体だけは見ないようにだけ心懸け、探索を行う。
残念ながら、僕以外は生存者はいないようだ。探索を諦め、飲料水と僅かな食料をリュックに詰め、この場を後にすることを決めます。
その時でした。開いたアタッシュケースから、ある物を発見をします。『よくもまあ。』と思いながら、その銃を手にし、僕は北へと歩き始めるのです。

大事故である。『間違いなく、救助隊が来るはず。』、心ではそう思ってはいたが、ここにとどまることはしません。
大量の鳥が遺体をあさり始めた光景が、僕には耐えきれなかったのだ。

荒れた大地を『北へ北へ。』と歩いていく。アテがあるわけではない。遠くに僅かに見えている『緑』、それを目指したのでした。
その『緑』は歩く度に大きくなり、それが大きな木であることが目視でもわかるようになる。更にその奥には木が繁っており、ジャングルが広がっていた。
しかし、あまりに無防備であるため、そのジャングルに入るのを躊躇っていまいます。僕はただの宇宙旅行客なのだ。

そこで丸一日を過ごした僕だった。ここからかすかに見えているシャトルに変化はなく、救助隊は現れてはいない。
僅かな飲料水はそこをつき、僕は覚悟を決めるのでした。ジャングルのどこかにあるであろう、水源。それを求めて、足を踏み入れるのです。

ジャングルを歩くこと、3時間。もう帰り道など分かりません。ただ、生きるための水を求めてさ迷っていたのだ。
その時だった。どこからか水の流れる音を聞いたのは。その音のする方向へと歩を進め、僕はついに目の前に池を見つけるのだ。
乾いた喉へ、池の水を流し込んだ。不味いとか汚ない言ってはいられない。生きるために、ただがむしゃらに飲み続けるのだ。

『誰だっ!?』

丸一日ぶりに聞く人の声でした。背後から聞く人間の声。どこの誰かは分からないが、ただ『助かったぁ~。』と安心したのか、涙が溢れそうになる。
僕は振り返りながら、『助けてくださいっ!』とその人の顔を見ました。

『えっ?』、頭の整理がつかなかった。『誰だっ!』と人間の言葉でいわれてなければ、逃げ出していたところです。
その人の顔はケモノ。犬そのものである。ちゃんと四本足で立ってはいるが、不自然そのもの。人間が無理をして、犬のように屈んでいるようにも見える。
そう、全身は毛で覆われてはいるが、身体の作りはまるで人間のようなのだ。

『お前は、テンか?』

男はそう聞いて来た。『テンって、なに?』と聞き返すと、その男は変貌をする。『ウガァ~!』と叫ぶと、僕に飛び掛かって来たのだ。
それは、まさにケモノ。犬か狼かは分からないが、その口で僕の首を狙って来るのだ。『こいつ、殺しなれている。』、とっさに僕は判断をしていました。
けい動脈をひたすら狙ってくる男に、恐怖すら感じるのだ。

『ボコっ!』、鈍い音がなりました。僕が手に持った銃で、男の頭を殴り付けたからだ。銃の正しい使い方ではないが、はね除けようと必死だったのです。
それにより、男と僕の間に僅かな間合いが生まれました。直後に男が再び飛び掛かって来ましたが、2度目はありませんでした。
僕の持っていた銃が、正当な使われ方をしたからです。

銃声がジャングルに響き渡りました。すぐにケモノ達の声と足音が聞こえ始め、それは一匹ではないようです。
そして、現れたのは射殺した男と同じケモノ人間。彼等は5~6匹で群れをなし、いつの間にか僕は囲われていました。

『お前はテンか?』

再び謎の言葉が僕に掛けられました。しかし、さっきと違うのは、その言葉に女性を感じたことだった。その声の主に目をやると、その犬は僕を見ています。

『テンです…。』

訳も分からず、僕はそう答えていました。もう、襲われたら助からないのを悟ったからです。

それを聞くと、その犬がゆっくりと前足を浮かし始め、不器用ながらも人間のように2足で立ち上ります。
その身体を見て、僕は驚くのでした。背中ほど毛はなく、胸には人間の女性の乳房があり、足の付け根には人間の女性器のような物が付いていたからです。
僕と目線の高さを合わせた女は、『なら、ついて来るか?』と言い、僕は再び四足歩行を始めた彼等に付いていくことになるのです。

僕は男達に囲まれていました。誘導されていたのではなく、監視をされていたのです。しかし、あの女の身体が気になっていて、男達の身体に目を向けました。
そこには、まるで人間のような男性器がついていて、『こいつら、ケモノなのか?人間なのか?』と頭が混乱をするのです。

15分くらい歩いたでしょうか。ジャングルが開け、そこには『村』が開けていました。多くのケモノ人間がいて、現れた僕を見ているのです。
ケモノ女に連れられ、僕は村の奥へと連れられて行きます。他のケモノ達から、挨拶でもされているように感じ、ボス的な女性なのでしょうか?
『ここに入れっ!』、そう言われある部屋の扉を開きます。そこに見えたのは女性。全裸の人間の女性でした。
『助かったぁ~!』と思わず声を掛けてしまいます。ケモノ族の中で見つけた人間、とにかく話が出来る喜びでした。
しかし、その女性にこう言われるのです。

『お前、死ぬよ?』
 
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2019/01/11 16:08:36(/qdz5h9R)
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