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1:合身操機 シンクロイザー
投稿者:
有松真理亜
◆p503wDVxoE
「合身操機 シンクロイザー」(全6話、18禁)
作:有松真理亜 ■あらすじ 記憶喪失の時田滝斗は、普美という少女の導きで自分が「シンクロイザー」というロボットのテストパイロットであることを知る。だがシンクロイザーの操縦装置は合成人間……ブロト2:仁子、プロト3:普美という二人の少女の「身体」だった。 ■主要人物 滝斗:「大丈夫だ、僕も後からいくから!」 本名、時田滝斗(ときた・たきと)。シンクロイザーを開発した故・時田博士の弟で、テストパイロット。ただし訓練中の事故で記憶喪失になってしまった。年齢は高校生くらい? 普美(プミ):「直接に触られたのは今日が……初めてです。」 滝斗に好意を見せる、「プロト3」と呼ばれる合成人間で、従順な年下っぽい少女。滝斗が「普美」という愛称をつけたらしい。小柄で微乳であり、仁子からは「ロリ」とまで言われた。シンクロイザーの操縦には「プロト」の体を使うという。 仁子(ニコ):「早くしなさいよ、グズ滝斗!」 「プロト2」と呼ばれるもうひとりの合成人間。滝斗と同年代っぽく、普美より起伏のある肢体をしている。滝斗や普美に敵意を見せているが……? 物語中で、滝斗により「仁子」という愛称をつけられる。 狩畑二尉:「モテモテね滝斗くん……いい気になるんじゃないわよ!」 本名、狩畑遙(かるはた・はるか)。シンクロイザーの運用において重要な地位にいるらしい女性自衛官で、ベレー帽をかぶっている。私生活はちょっとだらしない。
2011/07/19 22:26:07(8022mRp8)
投稿者:
有松真理亜
◆p503wDVxoE
第一話 (約14枚)
「よかった! 滝斗(たきと)さん、意識が戻ったんですね!」 目の中に光がさすと同時に、耳に飛び込んできた声がそれだった。 そこは窓のない、医務室のようなところ。そのベッド上で、僕は目を覚ました。なんだかトマトにかじられたような感覚が残っていたが、夢だったのだろうか。 「……ここは、どこ?」 見回してみる。そこにいたのは、年下らしい、小柄な少女──ピッタリとAカップの微乳の線がわかる、レーシングスーツのようなものを着ている──だけだ。 「君は、誰?」 「普美(プミ)ですよ……わからないんですか?」 あれ……? 考えてみる。なんでここにいるんだ? 今まで何してたっけ? というか、僕はどこの誰? 記憶喪失── それが僕の症状らしかった。 僕の名は時田滝斗(ときた・たきと)……だそうだ。年齢は……諸般の事情により、高校生だけど18歳以上ということで。 僕は故・時田博士という人の弟で、シンクロイザーとかいうものの操縦訓練中に事故で失神したという。ぜんぜん記憶にないけれど……。 それは、普美に呼ばれて医務室にやってきた、狩畑(かるはた)二尉というベレーをかぶっている研究員の女性と、この医務室の担当医らしき男が教えてくれた。 「で、そのシンクロイザーって……」 肝心の質問をしようとしたその時だ。スピーカーから警告音と放送が流れる。 「警告、警告。魔機(マキ)、接近。」 「もうここが見つかったの!?」 狩畑二尉が叫んだ。さらに、緊張した顔で医師を問いただす。 「……滝斗君は出撃できる!?」 「検査の結果、脳や体には異常ありませんでしたが…」 「じゃあ、シンクロイザーを発進させて!」 「は、発進って、どうすれば……」 「もうっ!」 狩畑二尉がイラついてデスクをたたく。おどおどしながら、普美が口をはさんだ。 「私が誘導します。」 「……それしかないわね。」 普美につれられて僕は、廊下を走った。その間にも、何度か激しい振動が伝わってくる。魔機とやらの攻撃が始まってるらしい。 僕は、普美の後について「始動室」と書かれている部屋へ飛び込んだ。 そこには大きな座席があって、その先にシュートのような入り口が見えた。1人乗りのジェットコースターを連想した。 普美に促され、僕は座席に座る。と、普美が僕のひざの上に座った。 「ちょっ……なにやってんだ!」 「シンクロイザーはこうしないと動きませんから。」 「そもそも、シンクロイザーって、何!?」 言ってるうちに、座席が射出された。 それはまさにジェットコースターだった。しかも、安全ベルトはない。 座席はものすごい勢いでパイプラインの中を落下していく。 「うわああああああああっ!」 僕は恐怖に駆られて、普美にしがみついてしまった。 成熟途上の女の子らしい髪や肌の匂いと、華奢でやわらかい感触が膝からから手から頭から、全身に感じられた……ような気はしたが、喜んでる余裕はない。 「ああっ、それはまだ早っ……」 普美の声が聞こえているうちに、ドンと下からショックがあって、座席の下降が止まった。今飛び込んできた入り口が閉じていく。 そこは機械室……そういうイメージの場所だった。ランプだとかメーターだとかが、薄暗い中にあることがわかる。だがハンドルだとかスイッチだとかが見当たらない。 膝の上に乗ってる普美が言った。 「シンクロイザーのコクピットです。キーを解除して、始動してください。」 「ど、どうやって……」 「えっと……もう!」 普美は一瞬、躊躇したように見えた。が、意を決したように、顔を後ろに向けて、僕に……僕の唇に、触れるだけのキスをした。 その瞬間、周囲でランプがパパパパと点灯し、機械的な音声が聞こえた。 「ユニット、プロト3を確認。パイロット、時田滝斗を確認。シンクロイザー、始動。」 「で、シンクロイザーって、何!?」 エンジン音を尻下に感じつつ、唇を放して悲鳴のように怒鳴る。 「魔機と戦う合身操機です!」 「合身操機て!?」 「平たく言えば、巨大ロボット!」 そんな会話をしている間にも、 「カタパルト始動、シンクロイザー発進!」 という音声が聞こえ、前から激しいGがかかって、普美の背中が強く押し付けられてきた。前方にあるモニターに発射口の様子が写り、それが後方に流れていって空が見えた。 とたんに、自分が乗ってるシンクロイザーとやらが、空へと射出されたことを悟った。 「ちょっと! ハンドルもペダルもなしでどうやって操縦するんだよ! 落ちるーっ!」 「私が操縦装置です。シミュレータとおなじようにしてください!」 「だから、憶えてないんだってば!」 頭は憶えてなかった。が、体が憶えていたらしい。僕はその両手を、普美の、Aカップのふたつの胸の上に置いていた。普美の口から声が漏れる。 「あっ……もっとやさしく……ですぅっ!」 焦りと恐怖から、僕は力いっぱい、普美の小さな胸を握り締めてしまっていた。 そうすると、シンクロイザーは背中のロケットエンジンを激しく噴射していた。 「な、なんか憶えてるみたいだ……こうだっけ?」 「ああっ、お願いやさしくっ!」 左手で胸を軽く揉みしだき、右手は指で普美のお臍の下あたりをなぞった。 「はう、んあっ……」 普美の声とともにGがゆるくなり、シンクロイザーは地面に着地した。 モニターを見ると、ここはどこかの山の裾野らしい。森が見えるが、このあたりは広い草地だ。 いそいで周囲を見回す。見慣れないもの……角の生えた巨大な悪魔のような影が見えた。 「魔機です! 撃破しないと……」 「どうやって!?」 魔機と呼ばれたそれは、シンクロイザーと同じくらいの大きさのロボットだ。機械の尻尾を振り回してこちらに突進してくる。 僕はとっさに、普美の内ふとももを手の指でなぞった。 「ひぃっ!」 普美の体に力が入ると同時に、シンクロイザーは走り出す。なるほど、普美の体と何らかの形で「シンクロ」しているらしい……ならば。 わきの下に手を当て、指を動かす。 「やん、くすぐったい!」 まさに間合いに入ったばかりの魔機のボディに、シンクロイザーの拳が叩き込まれていた。 「よし、わかってきたぞ。」 だが魔機はシンクロイザーの足に尻尾を巻きつけ、転倒させた。 「うわぁっ!」 激しいショックを受けつつ、僕は普美を抱いてかばった。 「あ……」 普美がこっちを見たが、そんなことにかまっている場合じゃない。いそいで普美の足の付け根……女の子のもっとも敏感な場所だということは忘れていたけれど……に布の上から触れた。 「はひぃ! そこはっ、まだ……っ!」 普美が涙目になって叫ぶ。が、シンクロイザーは起き上がった。 「もう一発だ!」 少し湿ってきたやわらかいそこを、布の上から指で刺激する。 「はぁっ、はひぃんっ、だめぇ! こんなの、だめぇ!」 そして、右へくいっと指を食い込ませた。 「かひはっ!」 シンクロイザーが右の回し蹴りを魔機に叩き込む。魔機は衝撃で片膝をついたが、口をあけるとミサイルを撃ってきた。 あわてて普美の両手を掴んでクロスさせる。シンクロイザーの腕でミサイルが爆発し、後ろへ吹き飛ばされた。 「物理攻撃だけじゃだめだ……何か武器は無いのか!?」 普美は荒い呼吸を整えながら必死に言う。 「お、音波砲が……」 「どこに!?」 「お口の中……」 僕はとっさに、左手の人差し指と中指を普美の口の中に突っ込んだ。普美の唾液がまとわりつき、舌や頬の動きが手に伝わってくる。僕はそれを指でかき回した。痛めないようにやさしく。 「はっ、ふふひへっ!」 普美が、悲鳴ともつかない悲鳴を上げながら、僕の指をしゃぶりだした。くすぐったいような、甘いような、不思議な感覚が指先から脳に伝わってくる。 「まだか?」 そうだ、普美の体の中がまだ熱くなりきっていない。 僕はとっさに、普美のスーツの前にあるジッパーを下ろした。Aカップの胸が露出し、下半身も薄い茂みが顔を出した。 「い、いやはあっ! 恥るか……ひいっ!」 首を横に振る普美を無視して、右手をその隙間から下半身に突っ込む。じっとりとぬれた粘膜の感触が、右手の指に伝わってきた。それをやさしく、前後に動かす。 「もふ、もふ、もふぁぁぁっ!」 左手も、口の中を歯の裏から舌の横までなぞった。 もう少しだ! そして、右手がもっとも敏感な突起を探り出し、その皮をむいて、指ではさんだ瞬間……。 「いにゃはぁああああああああっ! ゆるひれぇぇぇぇ!」 普美の叫びとともにシンクロイザーは口から強烈な音波を照射した。それは魔機へと伸びていき、魔機を振動させ大分解させた。 「お、おわったのか……」 呆然とモニターを見る僕。その腕の中で、半裸の普美が、脱力して半開きの唇からしずくをたらし、肩で息をしている。二人とも汗まみれだ。 コクピットに、電子音声が流れた。 「ミッション、コンプリート!」 「普美って、もしかして僕の彼女?」 帰還して、シャワーを浴びながら、僕は尋ねてみた。すると、隣のシャワー室から普美のけらけらと笑う声が聞こえた。 普美……本名・プロト3は、シンクロイザーの操縦装置として作られた3体目の合成人間だという。ただ触った…いや、抱いた感触はまるで人間の女の子と変わらない……。 プロト3という呼び方が機械的なので、彼女に「普美(プミ)」という愛称をつけたのは僕らしい。 シンクロイザーの操縦は微妙な捌きが必要となるため、機械操作だけでは難しいのだとか。そこで、ファジー理論で作られてる人体型の操縦装置が使われるとのことだけど……。 「今までも、僕はこんなことを君に?」 「今まで、滝斗さんはシミュレータで訓練してました。直接に触られたのは今日が……初めてです。」 最後のほうは声が小さくなった。 でもそのシミュレータにバグがあり、爆発事故が起こって、そのために僕は記憶を失ったようだ。 とりあえず、頭は忘れていても体は憶えているものだ……ということを、僕は実感した。 僕は先にシャワー室を出たが、この施設内のことはほとんど憶えていない。普美に頼らないと、どうやら自分の部屋にも行けないようだ……しかたないので、更衣室の前の廊下で待つことにした。 しばらく待っていると……普美とは色違いのスーツを着た、でももっと起伏があって僕と同年代っぽい、キツい目つきの女の子が歩いてきた。 「グズ滝斗……初陣とはいえ、さっきはずいぶんブザマな戦いぶりだったわね。」 「えーと、君は……」 「ああそうか、記憶喪失ってるんだっけ。プロト2よ。」 「すると、君もシンクロイザーの?」 「うるさいわね!」 プロト2は急に不機嫌になった。 「アンタはプロト3の方がお気に入りなんでしょ。ああいうちんちくりんのないぺたをいじくるのが趣味なんでしょ、このロリコン!」 「はぁぁぁ?」 記憶喪失になる前の僕に、いったいこの娘と何があったんだ? かなり険悪な関係だったような気がする……。 そこへ、狩畑二尉がやってきた。 「プロト2、滝斗君を混乱させないで。今は微妙な状態なんだから。」 「ふん!」 プロト2は、軽蔑したような視線を僕に向けて、立ち去ってしまった。 「さて、今日はなんとかなったようだけど。」 狩畑二尉は、ため息をついて僕を見た。 「最後の訓練が、まだ終わってないのよね。」 「最後の、訓練ですか?」 「シミュレータは壊れちゃったし……上層部では、君にお金を渡して風俗にでも行かせようってことにしてるみたいだけど、それだと予算が……」 「風俗って……どういう訓練なんです!?」 「プロトを絶頂状態にする……ひらたく言えばイカせるための訓練よ。」 「はぁぁぁぁ!!!?」 ── つづく
11/07/19 22:29
(8022mRp8)
投稿者:
有松真理亜
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第二話 (約14枚)
狩畑二尉は続ける。 「シンクロイザーの操縦装置・プロトは、サイコエネルギー・タンクでもある……その辺は憶えている?」 「いえ、まったく。」 狩畑二尉はため息をついた。 「何で私が時田博士の弟にこんなことを教えなきゃならないのよ!」 「す、すみません。」 素直に謝ると、狩畑二尉はまたため息をついて続けた。 「プロトの体内で体液が激しく活動し興奮度が高まると、シンクロイザーは高エネルギーで活動できるわけ。ぶっちゃけ、イッちゃった瞬間にリミットいっぱいの力を出せるのよ。」 なんとなくわかってきた。僕はさっきの戦いを思い出した。 「なら……性的に、その……経験の多い男性にパイロットをやってもらった方が……」 「個人別に専用インターフェイスが必要なの。今使えるプロトは2つとも滝斗君専用なわけ。それにテストは人体実験だから、やたらな人にやらせられないの。」 「で、僕なんですか?」 「どういう基準で滝斗くんが選ばれたのかは聞いてないけど。」 そのとき、ふと狩畑二尉は何かに気がついた。 「さっき、音波砲を使ってたわね。スイッチはプロトの口のはず…指だけでイカせたの?」 「えっ、ちょっ……」 僕は思わず赤くなって答えに窮した。 「だとしたら、滝斗君やっぱり才能あるってこと? よし、私が訓練に付き合ってあげる。」 狩畑二尉は僕の腕を掴み、引っ張った。 そのとき更衣室の扉が開き、普美が顔を出した。 「滝斗さん?」 「滝斗君借りてくから。プロト3は休息してね。」 「あ……」 狩畑二尉に引きずられていきながら、僕のまぶたに、見送っている普美のさびしそうで、なぜかちょっとくやしそうにも見える顔が焼きついた。 連れて行かれたのは、狩畑二尉の私室……らしい。洋酒のビンがころがり、ところどころに洗濯物も落ちている。女性下着もある。けっこうだらしない感じだ。 「ま、落ちついて。」 こんな異常環境で落ちけるか! と心の中で叫びながら、すすめられるままにベッドに腰掛けた。 「何か飲む?」 そしてまたすすめられるままに、出された透明色の液体を口にする。 「ぶっ! アルコールじゃないですか!」 「当たり前でしょ。実家から持ってきた勝沼産の白ワイン辛口よ、ちゃんと味わいなさい。」 味わいなさいもなにも、アルコールに慣れてない青少年にワインなんて、ただ苦いだけだ。最初に腐ったぶどうの汁を飲んだ人間て、何を考えていたのか……などと思っているうちに、頭がガンガンしだして、体中が熱くなってきた。 「もう酔ったの? 早っ!」 そうかもしれない。でも「早っ!」とか言われたら傷つくだろ。僕は、そこがベッドであることをさいわい、すぐ横になって、壁のほうを向いてしまった。 「もう、気が早いわね。」 急に明かりが暗くなり、何かごそごそ音がしたが、数十秒後、僕の背中に、何か布越しのやわらかいものが当たった。 「え!? ちょっと、これはもしかしてブラ…」 言いかけた口に、狩畑二尉の人差し指が当てられた。 「これと逆の状態になるの。」 ゆっくりと後ろを向く。狩畑二尉もこちらに背を向けた。彼女は下着姿で、背中に見えるブラのワイヤーがまぶしかった。 「えっと、その……どうすれば?」 「プロト3と同じように…指で。」 僕は、肌の上をそっとなでるように指でたどり、下から胸のふくらみに手を伸ばした。 「あっ……けっこう上手じゃない? 童貞って言ってたくせに。」 狩畑二尉がつぶやく。 「そうですか? 記憶は無いんですが…」 「シミュレータで訓練した効果かしら?」 いったいどんな訓練だったんだ……っと、これも訓練の一環と考えれば、だいたい想像はつくけど。 「狩畑二尉の胸、普美よりずっと大きくてやわらかい…」 「こんなときに二尉とか言わないの! 下の名前で呼んでよ。」 「えっと……なんて言うんです?」 「遙。狩畑遙(かるはた・はるか)!」 一瞬、僕の頭の中になぜか、ベッドでトマトが二つ転がる姿が連想されたが、すぐに消えた。 「じゃあ遙さん……触りますよ?」 「言わなくていいってば……ふっ」 僕の手はブラの下へ入り込み、遙さんの「生乳」を覆った。ちょうど手にしっくりくる大きさで、手のひらの上のほうに乳首の感触がある。そこを転がすように、撫でてみた。 「んん……悪くないわ。さすが、テストパイロットね。」 こういう、上から物を言う相手だと萎えてくることもある。だがこのときの僕には、なんだかこの女(ひと)を屈服させたい気分が強くなっていた。 目の前に見える耳に、そっとキスをして、舌で触れた。リンスのにおいと女性の汗の匂いがまざって僕の鼻腔をついた。普美とは違う、成熟した香りだ。 「あっ……そこを……」 遙さんの呼吸がだんだん激しくなってくる。胸や耳を刺激するたびに、足もこすり合わせ、何か別の生き物みたいな動きを見せてて面白い。それにこの髪の匂い…鼻から脳の中に侵入されるような感じで、自分の体がだんだん自分で制御できなくなってくる。これが、成人小説に出てくる「牝の匂い」というやつなんだろうか? 遙さんがビクビクと動くのが面白くてつい夢中になってしまい、乳首と耳たぶばかり責めていた。 「ちょっと……いつまでおっぱい揉んでるのよ。もっと他のところがあるでしょう?」 額に汗を浮かべ、顔を上気させながらも、遙さんはあくまで上位を保とうとする。僕は、そんな遙さんを……年上のはずなのに……かわいいと思ってしまった。 だから指を移動させるのもわざとゆっくりと……クモがワサワサと移動するように指を使い、わき腹からおへそへ、そしてその下、茂みへ……そこに触れるとわざと進路を変えて脚の方へ。 「ちょ、ちょっとっ……」 遙さんが力を入れて目をつぶっている。 「他のところへ行ってみましたが……」 「そういう意味じゃなくてっ!」 遙さんの脚はこすり合わせ続けられている。どこを刺激したいのかはわかっているけれど。 「どこですか?」 「そ、それは……」 「どこです?」 「お……おま……」 「え? どこ?」 「もうっ! ここよ、ここ!」 遙さんは焦れてしまったようで、僕の手首を掴むと、自分の股に手のひらを当てさせた。 ま、しょうがないか……僕はすでにねっとりと液体に満たされている粘膜を指先で引っかく。軟らかくて暖かい感触が、びくびくと動く反応とともに指先で感じられた。 「…………っ」 耐える遙さんを見ていると、もっといじめたくなってくる……僕は、その割れ目を指で広げると、手探りでクリトリスとかいう突起を探り出して、指ではじいた。 「はうあっ!」 遙さんの背骨がびくんと伸縮する。面白いのですばやく何度もはじく。 「あっ……んあっ……んぁっ……かっ……」 その都度、遙さんの喉から、言葉にならない声が漏れてきた。 「も、もう、じらさないでよ。早く……」 「早く? なに?」 「い、入れ……」 そのときだった。いきなりスピーカーからブザー音が流れる。 「警告・警告。魔機、接近。」 「ンもう! また!?」 遙さんが激怒して毛布を跳ね除けた。 「シンクロイザー、出動よ!」 僕も慌てて服を整えようとする。 「服着てる暇なんか無いってば!」 自分はしっかり着てるくせに……僕は半裸のまま廊下へ突き出された。 「ど、どうすれば……」 「始動室へ行くのよ! 早く!」 始動室に行くと、そこには普美……ではなくプロト2がいた。 「遅いわよ、グズ滝斗!」 「え? 普美は?」 「前の出動からあまり時間が経ってないのに行けるわけないでしょう! プロトの消耗は激しいのよ!?」 パイロットはかまわないのか、と疑問を抱きつつ、促されるままにシートに座る。そして、プロト2が僕の膝の上に座った。 「すわり心地悪いわよ。てゆーか、真ん中に何か当たってるんだけど。」 「ごめん、でもこんな体勢は刺激的で……」 「何とかしなさいよ、気持ち悪い! このケダモノ!」 プロト2のやわらかいお尻が動いてズボンの上から刺激するため、収まるどころかどんどん硬くなってしまう。 「ごめん、無理……」 全部言う前に座席が射出された。 シンクロイザーのコクピットに入る。 「始動しなきゃ……」 「もう…! 本当はあんたなんかとこんなことしたくないんだから。しかたなくさせてあげるんだからね!」 プロト2が振り向いて、顔を赤らめながら唇を突き出す。 ……ツンデレ? そんな言葉が脳裏をよぎるが、考えてる暇は無い。その唇に触れた。普美よりも弾力の効いた感触が唇にきた。そして、鼻からの息も普美より濃い香りがした。 とたんに周囲のランプが灯る。 もうちょっと、この甘い息を味わっていたい気もしたけれど、プロト2はすぐに離れてしまった。 「ファーストキスだったんだから! 感謝してよね!?」 その声に重なって機械音が聞こえる。 「ユニット、プロト2を確認。パイロット、時田滝斗を確認。シンクロイザー、始動。」 続けてエンジン音も高まってきた。 「カタパルト始動、シンクロイザー発進!」 僕は慌ててプロト2の胸──これが操縦桿だ──を掴んだ。手のひらにちょうど収まる大きさだった。 「ちょっ……いきなり何すんのよ!」 「こうしないと操縦できないだろ!?」 「そうだけど、初めてなんだからもっと段階が……ああっ!」 しゃべってるうちにGがかかり、モニタに大空が映し出された。すでに空中に射出されていることが、背中の感触からもわかる。 「噴射は、たしか……」 普美より大きくて遙さんより張りのいいその胸に当てた手を、僕はやさしくゆっくりと開閉させた。 「あっ……揉、揉まっ、ないでよ!」 プロト2は身を捩じらせて抵抗するが、狭いコクピットの中で膝の上に乗ってる以上、逃げ場は無い。 「んっ…んっ…んんッ!」 手のひらをすぼめるたびにプロト2の鼻から声が漏れる。なんだか、僕まで妙な気分になってきた。 モニターに魔機が写る。今度は、球体にたくさんの触手が生えた、タコの逆立ちみたいなやつだ。 僕はプロト2のスーツのジッパーを一気に下ろした。 「きゃああっ! 変態!」 「僕にいじられるのが嫌なら、早く終わらせるから協力しろ!」 プロト2がびくっとして、目を見開く。振り返って、こちらを向いた。 「君のことを思いやってる余裕は無い。いくぞ!」 僕はスーツの中に手を入れ、先っちょに突起のあるそのふくらみを直接に触った。 「あんっ! はんっ!」 プロト2が目をつぶって声を漏らす。が、容赦なく、四本の指で乳首を転がすように刺激する。刺激する方向と強さによって左右のロケットの噴射角や速度が変わるのがわかった。 魔機の触手が伸びてくる。その間を飛びぬけようと、僕はプロト2の乳首を懸命に転がした。 「はひっ……んふっ……んはあぁっ!」 プロト2は体をよじるが、容赦してる暇は無い。右手を胸から離し下半身へと伸ばした。 「嫌ぁっ!」 プロト2がその手を振り払う。 とたんに背中に衝撃が走り、シンクロイザーが着地に失敗したことがわかった。 そこへ、魔機の触手が伸びてくる…! ── つづく
11/07/19 22:33
(8022mRp8)
投稿者:
有松真理亜
◆p503wDVxoE
第三話 (約14枚) 魔機の触手がシンクロイザーの脚に絡んだ。まずい! 僕はとっさにそう思い、プロト2の足の付け根、敏感なふくらみが割れ目を守っているところに指をつっこんだ。 「かっ!」 プロト2が喉からの悲鳴を上げる。連動してシンクロイザーの脚が触手に抵抗するが、どんどん引っ張られていく。 負けないように、割れ目の内側を人差し指でなぞった。 「んひぁぁぁっ!」 プロト2が僕の腕を掴み、涙とともに叫び声をあげて、脚をばたばたさせた。同時にシンクロイザーも脚を振り回す。が、触手のパワーに勝てない。 「腕だ!」 僕は気がついて、両手の指を立て、プロト2の胴からわきの下までをなぞった。 「んはあっ!」 プロト2はまたも鼻声を上げ、両腕をすぼめる。シンクロイザーの腕にエネルギーが行き、触手を掴んだ。そして引きちぎろうとするが、これは無理っぽい。 シンクロイザーのエネルギーを最強にするには……遙さんの声がよみがえる。 『ぶっちゃけ、イッちゃった瞬間にリミットいっぱいの力を出せるのよ。』 「よし、プロト2、イッちゃえ!」 僕は必死になって手探りでプロト2のクリトリスをみつけ、右手の指で激しくこねくり回した。同時に左手は右の胸に当て、指で乳の先を弾き続ける。かすかに香水の匂いのする髪を掻き分けて、舌もうなじを這わせた。 「ひっ……んあっ、んあっ…」 涙目になり、明らかに感じている。が、なかなか絶頂を迎えない。 「早くイけってば!」 「イくもんですか……指だけでイかされたりするもんですか!」 「そんな意地を張ってる場合じゃないだろ!」 プロト2が振り向き、涙目で僕をにらみつける。 「私をイカせたいんなら、せめて……せめてあなたも一緒にイキなさいよ!」 その言い方に、僕はカチンときた。僕のものは、遙さんとの未遂でずっと屹立しっぱなしだ。意を決すると、その熱く堅くなったものを取り出し、露出してるプロトの性器に当てた。 「ひっ! ちょっと! まさか私に入れる気じゃないでしょうね!?」 「……安心しろ。僕の童貞はお前なんかにやらない。」 その代わり、腰を前後させて、それをプロト2の割れ目にこすりつけた。トロトロの粘膜が上からそれを包む。温かい液を分泌しているその粘膜に、激しくこすりつける。 両手も忙しく、脇腹から胸、首筋から耳と、少しでも性感のありそうなところを愛撫し続ける。 「んっ…んぁっ…んぁっ…!」 プロト2の呼吸がだんだん激しくなる。僕のほうも限界が近づいてきた。割れ目だけでなく、豆にも当たるように擦りつけた。 「んぁっ、だめ……イッちゃう! 先にイッちゃう! ダメ、私が先はダメ!」 「大丈夫だ、僕も後からイくから!」 「いや! 私が先はイヤ! 早くイッて、早く!」 首を横に振るプロト2。でも、容赦なく僕は攻め続ける。僕にも、わけがわからなくなりそうな快感が下半身に走り続けた。 外では、シンクロイザーが魔機の触手に絡まれてもがいている。 「イッちゃえ!」 「いやあああああ!」 プロト2の頭に手を当て、こっちを向かせる。涙目で激しく息をしているその唇を、強引に奪った。すると、プロト2の方から舌を入れてきた。僕の舌とプロト2の舌が触れ、絡んだ。 次の瞬間、プロト2が背をえび反らせる。わずかに遅れて、僕の下半身にもなにか律動が走った。射精だ……思考を失いそうになる脳裏でそう思った。 ……素股で、一緒にイッてしまった。 その瞬間、シンクロイザーは胸から熱線を発射した。熱線は魔機を包み込むように伸び、本体を溶かしていった。 コクピットに、電子音声が流れた。 「ミッション、コンプリート!」 魔機は撃破できたけれど、なんだか嫌な気持ちが残った。 失神寸前で、胸を激しく動かしているプロト2を後ろから抱き支えるように、僕は、始動室の隣にあるシャワー室へ入った。 「ほら…自分で立てよ。」 脱力してるプロト2をシャワーブースの中に立たせ、ぬるま湯を浴びさせる。 「洗って。」 壁に寄りかかったままプロト2が命令口調で言った。 「自分で洗えよ」 「あんたが汚したのよ?」 たしかにプロト2の腹部には、僕から出た白い液体がこびりついている。 「ちゃんと、一緒にイッてやったんじゃないか。」 「……屈辱だわ。グズ滝斗にイかされるなんて。」 言い捨てたプロト2に僕は怒りを覚え、腕を掴んで壁に押し付けた。シャワーのお湯が僕とプロト2の髪にふりかかる。 でも、冷静に考えている自分もいた。 こいつは負けず嫌いなんだ。僕に負けたと思うのが嫌で、必死にがんばってるんだ。そう思うと、なんだかかばってやりたい気もしてきた。 そう考えた上で、僕はこう言った。 「僕だって屈辱だ。プロト2なんかにイカされたんだからな。でも気持ちよかったのは否定できない。だからお前の勝利だよ。」 「ふ、ふーん。負けを認めるの?」 「ああ認める。プロト2は僕がイかされたくらい気持ちいい女だった。それは認めざるをえない。」 プロト2は、満足げな笑みを見せた。が、僕は続ける。 「ただ、好きじゃない。それだけだ。」 「! 私だって、あんたみたいなテストパイロットは願いさげよ。」 「じゃ、そういうことで。」 話はついた。僕は背を向けて、隣のシャワーブースに入った。 「好きじゃない」はずのプロト2の汗が、僕の肌にもこびりついている。が、汚いという感じはしない。遙さんほどではないけれど、でも普美よりは成熟に近づいた、甘酸っぱい匂いがシャワーで落とされていくのが、なんだか惜しい気もした。 そんなことを考えていると、先に終わったらしいプロト2が、こちらのシャワーを覗き込んでいるのが見えた。 「わわっ! 覗くなよ! エッチ!」 反射的に男のものを隠す。 「あんなことまでしといて、いまさら……」 「あれとこれとは状況が違うだろ!」 不思議だ。座席で抱いてるときと、シャワーを覗かれてる時ではたしかに感覚が違う。 「あのさ……」 「なんだよ!」 「あんたのことは、私も好きじゃない。」 「もうわかったよ!」 「だけど、ああいうことくらい、またさせてあげてもいいから。」 「……………………は?」 ああいうことって……もしかして素股? 「またしたいの?」 僕が呆然とつぶやくと、プロト2は怒ったように顔を真っ赤にして怒鳴った。 「ちょっと思っただけよ! 別に深い意味は無いんだから、誤解しないでよね!」 そう言うと、体にタオルを巻きつけてさっさと出て行ってしまった。 僕は疲れた気持ちでぬるま湯を浴び続けた。 喫煙所……というらしい。この施設の廊下の一角に、自動販売機やソファ、そして灰皿が置いてあるところをみつけた。 そこで僕は、疲れきってタオルを顔に当てソファに寄りかかっていた。 と、前を誰かが通りかかる気配を感じた。 「……普美?」 声をかけてタオルを取る。立ち止まってこっちを見ている普美がいた。でも、さっきまでの笑顔はない。 「よかった……部屋に戻りたいんだ。教えてくれないか?」 「プロト2に聞けばいいじゃないですか。」 「!?」 なんだか、態度がよそよそしい。 「どうしたんだよ、普美?」 普美がこっちをにらむ。なんだか涙目になっている。 「滝斗さんは狩畑二尉やプロト2としちゃったんでしょ? 指だけの関係の私より、もう他人じゃないあの人たちと仲よくすればいいじゃないですか!」 僕は頭が混乱してわけがわからなかった。 「なんか誤解してないか、お前……」 「滝斗さんにお前呼ばわりされるいわれはありません!」 普美は、ぷいっと目をそらすと、廊下を走り去ってしまった。 呆然としていた僕は、頭の中を整理した。 「普美は、僕がプロト2と最後までしちゃったと思ってて、自分は指だけだったから、それを怒っている? …え、それって?」 いや、まさかね……と僕は首を振った。 紆余曲折の末、ここの職員という人に自分の部屋に連れて行ってもらうことができ、ようやく僕は休むことができた。 殺風景な部屋だ……窓も無く、ベッドとクローゼットがあるだけ。クローゼットの上には文庫本や雑誌が何冊かつんである。なぜか古典の本が多い。ぱらぱらめくってみると、日暮硯、徒然草、養生訓、などだ。記憶を失う前の僕にはこういうのを読む趣味があったのか? たしかにいくつかには読んだ記憶があった。 なのに相変わらず、今日、目覚めたとき以前の肝心な記憶が何も無い。シミュレータの事故で記憶を失ったらしいとはわかったものの……敵である魔機とはなんなのか? そして、プロトと呼ばれてる女の子たち……3と2ってことは、1もいるんだろうか? まさか、4とか5とかもいたりして……? だいたい、この施設はなんなんだろう? 遙さんが二尉ってことは、自衛隊関係? それと……僕って本当に童貞なんだろうか? などといろいろ考えているうちに、僕は眠りについてしまった。 顔に甘い息がかかったような気がした。この匂いは覚えがあるぞ……目をあけると、緊張した顔で目をつぶって顔を近づけている女の子がいた。 「プロト2? 僕の部屋で何やってんの?」 口を開くと、そのコは慌てたように身を離した。 「べ、別になんでもないわよ!」 「キスしそうに見えたけど……」 「そんなわけないでしょ! 狩畑二尉が、グズ滝斗を起こしてこいって言うから来てみただけよ!」 起こすのになんで、息がかかるほど唇を近づけるんだよ……そう心の中でつぶやきながら、身を起こして洗面所に向かう。 寝起きの口の中には、う▲こ10gに匹敵する細菌が繁殖しているという。うがい・歯磨きして、それを洗い落とした。時間は7:30……たぶん朝の。着替えようとすると、プロト2がまだそこにいた。 「もう起きたよ?」 「あんたをつれてく責任があるの。早く着替えなさいよ。」 「じゃ、あっち向いてて。」 「し、仕方ないわね。」 プロト2が背を向けた。僕は着替えはじめる。ちらちら盗み見ているのはわかるけれど、言ってもしょうがない。 「そういえば、僕は『プロト3の方がお気に入り』とか言ってたね。あれってどういう意味?」 「どういうも何も、あんたが好きなのはプロト3でしょってことよ。」 「そうなの?」 プロト2がこっちを向いて主張する。 「だってそうでしょ。プロト3には『プミ』なんていう名前まで付けてさ。」 僕はなんとなくピン、ときた。 「そうか、じゃあ君にも名前を付けよう。」 プロト2に一瞬だけ浮かんだ笑顔を、僕は見逃さなかった。 「プロト2だら、『プニコ』でいい?」 が、すぐ不機嫌になる。 「嫌よ、そんなロリプニみたいな名前!」 「じゃ、プを取って『ニコ』。漢字で書くと、『仁子』。かわいいと思うけど、どう?」 「かわいい?」 「うん。似合うと思うよ。」 「『仁子』!」 プロト2……『仁子』は満足げに大きく頷くと、はっと気がついたように笑顔をやめて、背を向けた。 「し、しかたがないわね。それで我慢してあげる。」 でも、なんだか耳が赤くなってるようにも見えた。 結局、着替え途中を見られてたことに気がついたけれど、それはもう問わないことにした。 そうして、狩畑二尉の待つ「作戦室」へと仁子の案内で僕はついていった。 ── つづく
11/07/19 22:35
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投稿者:
有松真理亜
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第四話 (約15枚)
作戦室で、僕は遙さん……狩畑二尉に質問してみた。 「魔機って何なんです? それにこの施設はなんなんですか? 遙さんが二尉ってことは、自衛隊ですか? プロトって人間なんですか? 2と3の他にもいるんですか?」 「またいろいろ聞くのね。いいわ、答えてあげる。まず、魔機は敵よ。」 「どんな敵なんです?」 「それ以上は長くなるから説明省略。で、この施設は、秘密兵器シンクロイザーの研究所。自衛隊も関係あるけれど、極秘の国家プロジェクトよ。」 「で、プロトとは……」 「合成人間よ。シンクロイザーの研究過程で、遺伝子を操作して作られた人間……クローンとは違うけれど、概念としては近いわね。」 「プロト1はいるんですか?」 「プロト1は自■したわ。」 「■殺!?」 「好きでもない男性のテストパイロットに体を弄られることに、耐えられなかったようね。テストパイロットも、それを気にしてたのが原因で事故死。そこでプロト2以降のテストパイロットは、彼女たちが好意をもてるようにと…」 「で、プロト2とプロト3は僕に……?」 「か、勘違いしないでよね!」 横で聞いていたプロト2……仁子が大声で口をはさんだ。 「プロト3はグズ滝斗に気があるみたいだけど、私は、べ、別になんとも思ってないんだから!」 「そういうことにしておく。」 遙さんは事務的に打ち切って話を続ける。 「プロトは、現在、26まで培養されているわ。いま完全に活動できるのはプロト2とプロト3だけだけど、他のプロトも、いずれ滝斗君にテストしてもらうことになるかもね。」 僕は、普美や仁子とのあの熱い感覚を思い出して、思わず真っ赤になってしまった。 「ちょっと!」 そこでまた仁子が口をはさむ。 「そんなのダメよ!」 「どうして?」 僕が尋ねると、仁子は言葉に詰まった。 「だって……えーと……そうそう、私を操作するだけで自分もイッちゃったような滝斗が、そんなに大勢を相手にできるわけ無いじゃない。」 僕が絶句して口をパクパクさせている間に遙さんが答える。 「つまり滝斗君はプロト2だけで手一杯と?」 「そうそう。」 仁子は満足そうに頷いた。 そこへ、普美がやってきた。 「遅れてすみません。」 「どうせ話は進んでないわ。」 遙さんが言い捨てた。すると、仁子が普美の方に歩み寄った。 「プロト3、私も滝斗に名前を付けてもらったわよ。『仁子』っていうの。いい名前でしょ?」 「『2子』、ですか。どうでもいい名前ですね。」 「何よ、自分だって『プ3』のくせに!」 「作戦室でケンカするなって!」 僕が二人の間に割って入る。 「プロト3の肩を持つ気? この■リコン滝斗!」 「どうせ滝斗さんは、プロト2みたいにおっぱいある女の子の方が好きなんでしょ?」 「あー、もう! 両方好きだよ!」 僕はヤケになった。 「普美は素直でかわいい! 仁子はツンデレでかわいい! どっちも、彼女にでも嫁さんにでもしたいくらいだよ! でも、シンクロイザーのテスト中の今、片方を選ぶことはできない。どうだ、嘘はついてないぞ?」 二人はこの結論になんとなく満足したようで、いさかいを止めた。僕も安心して、仁子と普美に交互に微笑みかけた。 すると今度は遙さんが、僕の耳をつまみ上げた。 「いててっ!」 「モテモテね滝斗くん。ええ、おい? いい気になるんじゃないわよ。」 「放してください! それより何か話があるんでしょ?」 「そうだった。」 やっと話が進み始めた。 「音波砲や熱線砲はもう使いこなせるみたいだけれど、さらに強力な武器、シンクロニウム弾について説明しておく必要があると思うの。」 「いったいどんな武器なんです?」 「敵の体内に撃ち込み、遠隔操作で内部から爆破する。」 「わりと普通ですね。で、起爆装置は?」 「たぶん、プロトの子宮。」 「は!?」 なんでそんなところに…? 普美と仁子も驚いて、顔を真っ赤にしている。 「合成人間であるプロトには、シンクロイザーの操作装置が自然発生的に体の器官としてできていくの。だけど、どこにできるかは調整できないのよ。」 「つまり、子宮まで指を入れろと…。」 「指じゃ細すぎてだめね。たぶんペニスでやってもらわないと……」 「届かなかったらどうするんですか?」 僕はまじめに質問した。僕は、けして巨根というわけじゃない。人並みか、ちょっと小さいくらいだ。 まあ普通の膣なら、長さが6cmあれば子宮口に届かせることは可能と聞いたことあるから、多少は余裕あると思うけれど、それにしても初心者がちゃんと届かせられるかには自信が無かった。 「体温程度の熱を含む細胞が触ればOKだから、その場合は膣内射精で……」 「彼女たちは妊娠はしないんですね?」 「いや……確率は普通の人間と同じよ。」 「……できちゃったらどうするんですか!」 僕は思わず怒鳴った。すると普美が 「滝斗さんの赤ちゃんなら、私……できてもかまいません。」 仁子も負けじと、目をそらし顔を赤らめながら 「た、滝斗がどうしてもって言うんなら、妊娠してあげなくもないわよ?」 「お前ら軽く考えすぎだ!」 僕はキレかけた。 「セックスってのはそういうもんじゃないだろ! 二人が愛情を持って、お互いを大切にして、その気持ちを確かめた上でするものだろ! そして、愛の結晶として子供ができるんだろ! 違うのか!」 遙さんがボソッと漏らす。 「説得力、ゼロ。」 仁子も 「そうよね、童貞(まほうつかい)のくせに、複数の女をイカせた男の言うことじゃないわ。」 「だから、お前には入れなかっただろ!」 僕は机をたたいた。 「僕が愛する女性は、生涯にただ一人でいいんだ! Hする女も一人! それでいいんだ。」 普美の顔に喜色が差した。 「えっ…じゃ、プロト2とはしてないんですか!?」 「してない。素股だけだった。」 「狩畑二尉とも…」 「未遂!」 「よかった……」 「何が?」 ホッとしている普美に仁子が意地悪げに言う。 「でも、滝斗は私の素股でイッたもーん。気持ちよかったって言ってたもーん。」 二人が再びにらみ合いを始め、僕はまたなだめなければならなかった。 その日には魔機の襲来は無かった。 僕は精神的に疲れきって、自分の部屋で横になっていた。が、ウトウトし始めたころ、ドアチャイムで起こされた。普美だった。 「あの……さっきはごめんなさい。プロト2と喧嘩して」 普美は本気ですまなそうに頭をさげた。 「もういいよ。君と仁子の仲がよくないのはわかった。だけど、できるだけでいいから、争わないようにしてくれ。」 「はい。滝斗さんの負担にならないように、努力します。」 ほんとに素直なコだ……プロトがこのコだけだったらよかったのに。いや、いっそ自分の彼女だったらよかったのに。僕は本当にそう思った。 そう思いながら見つめていると、普美はなんだかもじもじしている。 「どうしたの?」 「えっと……」 何か戸惑ってる様子だ。 「何か尋きたいの? 普美が知りたいことなら、答えるよ?」 「じゃあ……プロト2が気持ちよかったって、本当ですか?」 「ブッ!」 僕は噴き出した。 「私の時は、私だけイッちゃって、滝斗さんは……なのにプロト2のときは滝斗さんもイッたんですよね? 素股で……」 普美は下を向いて、涙目になっている。 「えーと……じゃ、次に普美とのときは、僕もイく。いや、普美にイかせてもらうから。」 「本当ですか!? ……でも私なんかじゃイケないんじゃ……」 「そんなことないよ、普美だって、触ってて気持ちよかったんだから。なんなら、次は一緒にイこうよ。」 そこまで言うと、普美の顔にぱあっと明るい笑顔がよみがえった。 「わかりました! 約束ですよ?」 小指を出す。僕は、「なんつー約束をしてるんだ」、と自分にあきれ苦笑いしながら、指きりをした。 普美は上機嫌で去っていったが、僕はまた疲れを感じた。このまま寝る気分でもなくなったので、シャワー室に行くことにした。 僕がシャワーを浴び始めると、まるで計ったかのように仁子がやってきて、ついたての向こうでシャワーを浴び始めた。 特に話すことも無いから無視していたら、仁子のほうから話し掛けてきた。 「あのさ。」 「うん?」 シャワーブースの仕切り越しに声が行き交う。 「私を気持ちいいって言ったの、あれ、嘘じゃないよね?」 「嘘じゃないよ。その証拠に、僕もイッたじゃないか。」 「じゃあさ。プロト3と私、どっちが気持ちいい?」 僕は、シャワーのお湯に足をさらわれそうになった。 「いや、そういうのは比べるもんじゃないだろうと……」 「でも、どっちのほうがいいとかってあるでしょ?」 僕はしばらく困ってたけれど、意を決して言った。 「普美ではまだイッてない。だから、どっちがいいとか、比べらんない。」 「じゃ、今のところは私の勝ちってことね。」 「それでいいと思うよ。」 面倒になってそう答えたら、仁子は満足した風だった。 これからどれだけ、こんな風に二人の機嫌を取り続けなきゃならないんだろう。さらにプロト4、プロト5とだんだん増えていくんだろうか。そう思うと、頭が重くなってきた。 「あっ、負担には思わないでね。私、そういうのは求めてないから。ただ……」 「ただ?」 そこで言葉が途切れた。 隣のブースのシャワー音が途絶え、仁子が出て行く気配がする。僕もシャワーを止めた。 「仁子!」 驚いて立ち止まってる彼女。目が何かを訴えているが、それが何なのかは僕にはわからない。 だけど僕はぬれた体のまま歩み寄って、しっかりと抱きしめてしまった。 仁子も、僕の背に手を回してきた。考えてみたら、あんなことまでしておいて、すっ裸で抱き合うのは初めてだ。 塩素を含むお湯の匂いと、仁子の肌の匂いが混ざって鼻をついた。そして、全身に感じる暖かくてやわらかい肌……そのなめらかな感触に下半身が反応しはじめたのが自分でもわかった。 僕は、吸い寄せられるように仁子にキスをしていた。仁子もそれに応え、舌を絡めてきた。次第に僕は意識を制御できなくなり、左手が、仁子の背中をつつきながら下へ移動する。そして軟らかいお尻をなでてその下へ侵入しようとする……と、仁子は突然、僕を押しのけて離れた。 「これ以上は、だめ。」 僕は、かなり情けない顔をしたような気がする。仁子がまた満足げな笑いを漏らした。 「滝斗が私で気持ちいいっていうのは本当みたいね。でも私、勢いで流されるほど安い女じゃないの。」 いまさらなに言ってるんだよ!と心の中ではツッコんでいたが、口には出さなかった。 「ふふふ……また今度イカせてあげる。次はグズ滝斗の方が足腰立たなくなるくらいに、情けない顔でイッちゃわせてあげる。お子様のプロト3じゃできないような気持ちよさを味あわせて、昨日、私の処女で童貞捨てなかったことを後悔させてあげる。でも今日はここまでよ?」 仁子はそう言い捨てると、鼻歌を歌いながら更衣室へと出て行った。 僕は、完全に屹立してしまった自分のものをどうしようかと悩みながら、シャワーへ戻った。 シンクロニウム弾…… それを使うということは、屹立するそれを使って普美か仁子のどちらかと最後の一線を越えることを意味する。 でもどっちを選んでももう片方にはつらい思いをさせてしまいそうで……そう思うと、心が重くなった。 顔も名も思い出せない兄よ、いったいなんていうとんでもないものを作ってくれたんだ……! シャワーのお湯を全身にかぶりながら、僕は、会った記憶もなければ存在感さえ思い出せない兄に、呪いの言葉を吐いていた。 ── つづく
11/07/19 22:43
(8022mRp8)
投稿者:
有松真理亜
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第五話 (約14枚)
記憶が戻らないまま、5日が過ぎた。 この間に、魔機の襲撃が2回。それぞれ普美と仁子とのシンクロイザーで出撃して、撃退に成功した。 普美は前より反応が素直になった。それどころか、僕のほうも感じさせようとして、手や舌を使ってくるようになった。「普美さえ感じていればシンクロイザーは動くんだから、そんなことしなくていいんだよ」と伝えたのだけれど、普美は僕にも一緒に気持ちよくなってほしいらしい。 最後の熱線砲では、仁子と同じように挟ませて擦りつけ、約束どおり一緒に絶頂を迎えた。普美はとても満足そうだった。 後ろから抱いてるより、お互いに向き合って抱きしめあったほうが絶頂を感じやすいことも、普美としていて気がついた。 一方で仁子のほうも、なんとなく付き合い方がわかってきた。仁子は負けん気が強い。だから普段は、演技でもいいから僕のほうが負けてるように感じさせてあげれなければ満足しない。 だけどシンクロイザーの中では主導権を渡してはいられない。むしろ、もがいて抵抗されるほど僕のほうも仁子をいじめたくなり、二度目の出撃では前から後ろから、指でペニスで、さらにひっくり返して舌でと、何度も絶頂の声をあげさせてしまった。 もっとも、僕のほうも複数回、仁子の手や口や素股に出さされてしまったのだけど……。 でもシンクロニウム弾はまだ使っていない。仁子との時は危ないところまで行ったものの、なんとか入り口の粘膜にこすりつける「熱線砲」だけで終わらせた。 僕はいったい、何をやっているんだろう? そもそも、僕くらいの年齢なら普通は学校に行ってるもんなんじゃないだろうか? ともかく、シミュレータが壊れたために訓練とやらはしなくてすむそうで、朝からぼーっとベッドで本を読んでいたりする。そうやって待機していて、警報が鳴ると飛び出していく。 遙さんはデータのチェックや報告書に追われ、作戦室に行ってもほとんど会話もできない。他にも何人かの知り合いができたけれど、この施設の中で僕は実験体のように特別扱いされていて、打ち解けることが難しかった。 あれ以前の記憶もないし……もしかすると、僕自身が合成人間なんじゃないだろうか? そんな思いもよぎった。 普美は、適当な距離をとりながらも僕のことを何かと気使ってくれる。一緒に食事をとるときなど、年下っぽいのにお姉さんのように接してきたりもした。仁子は逆で、ふだん威張ってるくせに、たまに急にしおらしくなったり頼りなくなったりした。 その日は魔機の襲撃も無いまま日が暮れた。寝転がって読んでいた文庫本の「現代語訳 養生訓 ~貝原益軒・著」にも飽きてきたころ。僕が施設の食堂に行くと、仁子と普美もいた。食後のお茶を味わっているときに、遙さんがやってきてこう言うまでは何事も無かった。 「いよいよ来週、プロト4が培養槽を出ることになったわ。」 反射的なのか、仁子が右から手を伸ばして僕の頭を胸に抱きしめるように引っ張った。普美は左から腕にしがみついた。 「いてて、いてえ!」 首関節と腕を極められ、僕は悲鳴を上げた。 「そんな顔してにらまなくても…」 二人は力の入った顔で、遙さんを見ていた。 「プロト4にはプロトとしての知識は入れないから、滝斗くんが教えてあげてね。」 「はい? もしかして、自分がシンクロイザーの操縦装置だってことを知らないんですか?」 遙さんが笑顔で頷く。僕は頭を抱えた。 何も知らない女の子を膝に乗せて、狭いコクピットで体中の敏感な部位をいじくりまくる。そんなことをどうやって納得させればいいんだよ! 「まあ、それはまだまだ先の話。培養槽を出ても2ヶ月やそこらは、基礎学習を脳に入れないといけないからね。」 遙さんが立ち去っても頭を抱えている僕の背に、仁子が元気付けるように手を置いた。 「心配しなくても大丈夫。プロト4に滝斗への恋愛感情を持たせればいいだけよ。」 「?」 「好きな人に触られるのは、女の子にとってけして嫌じゃないもの。」 「……じゃあ、仁子は僕が好きなの?」 そのとたん、やさしかった目がいつもの仁子に戻った。 「か、勘違いしないでよね! 私は滝斗に、しかたなく触らせてあげてるんだから! あんたなんか大っ嫌いなんだから!」 言い捨てると、仁子はドンと音を立てて立ち上がり、さっさと出て行ってしまった。 普美が心配そうに僕の腕を掴む。 「あの……私は好きですよ、滝斗さんのこと。だから……」 その手の上に僕の手を置く。 「ありがとう、普美。僕も好きだよ。」 普美は目をつぶり、頬を赤らめてうれしそうにこくんと頷いた。 このコは大切にしたい……できれば一生。 もしシンクロニウム弾を使うなら、やっぱり仁子より普美だな、とちょっと思った。 眠る前にシャワーを浴びていると、また仁子が来た。どうもあれ以降、仁子とは、気まずくなった後にはシャワーでなんとなく抱きしめ合って仲直りするという、変なパターンができてしまってる。ここまでしといてまだ一線を越えてないのも不思議な気分だけど……。 でもこのときの仁子は、隣のシャワーブースでなく僕のほうに直接入ってきた。 「ちょ、っとちょちょっと!」 「いまさら隠すような仲でもないでしょ?」 「どんな仲だよ!」 僕のツッコミにかまわず、仁子は僕の胸に寄りかかるように体を預けてきた。僕も手のやり場がなくなって、仁子の髪を指で梳いたりした。 そのうち、仁子のあごを軽く持ち上げ、唇を触れさせる。仁子も背伸びをして僕の首に腕を回した。二人の息と唾液がたっぷりと交換された。 仁子の胸が僕の胸に押し付けられて潰れている。ぷよぷよ動いて、なんかくすぐったい感じだ。シャワーのお湯が、密着した二人の肌に挟まれて広がっていった。 しばらくうっとりと抱き合ってた後、そのまま仁子がつぶやいた。 「あのさ」 「うん?」 「別に好きじゃないけど……イヤじゃないから。滝斗のこと。」 「なにそれ?」 「もう…男なら察してよ。」 察して勘違いだったら誰が責任とってくれるんだよ、という言葉は飲み込む。 けれど、この全身に触れている心地よさはやめられない……さっきは普美を選ぼうと思ってたのに、いまは仁子のことが愛しくなっている。 自分のいいかげんさに少し嫌気がさした。 その表情を仁子が見て取ったらしい。何か勘違いして心配したのか、急に饒舌になった。 「あのさっ、滝斗は嫌なやつじゃないから! グズではっきりしないところはあるけど、こうやってしっかり私を受け止めてくれるし、守ってもくれるし……それは認めてるから! 嫌いじゃないから! 嫌いって言ってもほんとは嫌いじゃないから!」 ……これが、仁子にできるぎりぎりの意思表示なんだろう。 お湯なのか涙なのかわからないものを流している頬を、仁子は僕の胸にこすりつけた。 「だから、こんなことしてるんだからね。本気で嫌いだったら、こんなことしないんだからね!?」 「ああ……わかってるよ」 答えて仁子の背中をなでているうち、僕の下の方が持ち上がってきてしまった。これは生理現象だからしかたがない。 その熱くなったところが触れて、仁子も気がついたらしい。最初は軽く驚き、一瞬うれしそうな目をしたあと、いたずらっぽい笑顔になった。 「ふふ……あそこが、おっきくなったの?」 「仕方ないだろ。仁子みたいなコと裸で抱きあって、反応しない方がどうかしてるもん。」 「うふふ……」 仁子の手がそこへ伸びた。自分の手とは違う、肌の軟らかい手のひらと指がそれに触れて、上下にこすりだした。 「滝斗はこの辺が弱いのよね」 指先で、根元の筋の横あたりをつつく。 「うっ……」 思わず腰が引け、背中が壁にくっついた。濡れたタイルの冷たい感触が、前面の熱い感触と好対照となる。 仁子はゆっくりと膝をつき、それを口に含んだ。お互いに弱点はある程度わかってきている……仁子は唇でそれの根元からだんだん先のほうへととキスを重ねた上で、唇を先端に当て、ゆっくりと包んでいった。軽く当てられる歯と、うごめく舌が僕のそれを包み込んでいく。思わずうめき声か出てしまった。 「んふふ。がわいっ☆」 咥えたまま喋られると、その振動が敏感なところに響く。僕は歯を食いしばるように首を振った。 「ガマンひないれ、出ひひゃってゐーのよ?」 喋りながらもしゃぶることをやめない。サオ、カリ、亀頭と満遍なく仁子の舌に撫でられてるうち、僕は本当に我慢できなくなってきた。 「出、出そう。」 僕は仁子の頭を両手で掴み、腰を激しく前後させた。先端が喉に触れた感触もあり、仁子は軽く咳き込んだが、もう止まらない。むしろその振動が気持ちよさを増幅した。 「いくぞ!」 僕は、仁子の口の中に思いっきり放出した。 ・・・・・。 「けほ……けほ……喉に射精するなんてひどい……」 仁子の口から白い液体がたれている。僕から出たものだ。僕は軽くシャワーを浴び、仁子の体も水洗いすると、お湯を止めて仁子の腰に腕を回した。 「今度は、仁子の番。」 「え?」 驚いている仁子をそのまま、ブースの外の床の、すのこの上に倒す。 そして上からのしかかって、耳にキスすると、次に胸に唇を当てた。 「は…ぁっ…」 仁子が、深呼吸のように息をつく。このくらいはもう慣れてきたのだろう。乳首を歯で挟み、その先っちょを舌でつついて、次に転がした。 「ん……ふぅ。」 シャワー室での仁子はいつもしおらしく、抵抗する仁子とまた違ってなんだか新鮮だ。 片手を仁子の背中にまわしながら、もう片手を下半身に当てる。もう充分に濡れてるようだ。指でぐちゅぐちゅと粘膜の入り口をかき撫でてみた。 「あ……あああっ!」 仁子の中に入って、膣内で果てたい── そんな誘惑にも駆られたが、こんな形での喪失は嫌だ。なので僕は、仁子の脚やお腹に自分のそれを擦りつけ続けた。 すると仁子が、自分から手を伸ばして、それを自分の粘膜に当てた。すでに何度か経験してる、素股の状態だ。 僕は腰を前後させて仁子のそこに自分をこすりつける。仁子も脚を閉じ、その動きにあわせて腰を浮かせてきた。 これでまだ童貞と処女なのだから不思議だ……。 二人の息が荒くなり、肌がこすれあう。胸、腹、顔をお互いに触れあい、腕を背に回して、脚まで使って刺激しあっている。仁子の肌の匂いが脳を麻痺させていった。 「お、おねがい……」 息も絶え絶えに仁子が言う。 「もう……ちょうだい。……して。おねがい!」 その意味は僕にもわかった。どうしようと迷っているうちに、こすりつけているその先端が、仁子の粘膜の間に、徐々に侵入しかけてる感触が生じた。 あっ、まずい……でも、気持ちよくて止められない! 亀頭の両側に粘膜の感触があった瞬間。 「痛いィッ、やめてやめてーーーッ!」 仁子の絶叫が耳をつんざく。僕はハッとして腰を引いた。そして侵入をあきらめて、粘膜の入り口ににこすりつけ続けるだけにした。 「じゃ、外でいくぞ。いいな、仁子!」 「わかった。来て……どこでもいいから早く!」 仁子が涙声で答える。 侵入はあきらめたが一気に腰の動きを早めた。太ももに、茂みに、粘膜に、そして顔を出した突起に、僕のそれが擦れて濡れていた。 「くっ……」 「はぁぁぁぁぁっ!」 僕のほうが一瞬早かったようだ。どくん、どくんという脈動が感じられ、そこに詰まっていた熱い液体が仁子の下腹部に向かって飛び散った。3回、4回……それは何度も飛び出して、仁子と僕の密着した肌の間に広がっていくのがわかった。 ただ、脳裏に…なんとなく、普美の絶頂の顔が思い浮かんでしまい、少し罪悪感に襲われた。 出すだけ出してしまうと、自分に言い訳するかのように、脱力してうつろな涙目をしている仁子に唇をかさねる。仁子は強く抱きついて、僕の口の中に、甘くて熱い吐息を入れてきた……と思ったら、そのままかくっと全身の力をぬいてしまった。 ──失神したらしい。 「そ、そんなに満足したのか? 素股で?」 僕はむしろ不審を感じたくらいだった。 その瞬間、ブザーが鳴り響いた。 「警告、警告。魔機、接近。!」 ── つづく
11/07/19 22:46
(8022mRp8)
投稿者:
有松真理亜
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第六話 (約16枚) ~最終話
僕は急いで10秒くらいだけシャワーを浴び、下着もつけずにズボンをはいた。 そしてぐったりしている仁子を横抱きにして、シャワー室を飛び出した。 ブザーは鳴り続けている。 シンクロイザーで出なければならない。が、仁子はこんな状態……ならば普美しかいない。 僕は自分の部屋に飛び込み、失神している仁子をベッドに寝かせて毛布をかけると、いそいで「始動室」へ駆け込んだ。そこにはすでに、スーツ姿の普美が来ていた。 僕はとっさに叫んだ。 「脱げ!」 「え!?」 「シンクロイザーは、肌と肌が触れてるほうが強い……僕も脱ぐから普美も脱げ!」 「は、はい!」 有無を言わさぬ僕の勢いに、普美はおそるおそる、スーツのジッパーを下ろす。 僕はそれよりも早くズボンを脱ぎ捨てマッパになると、まだのろのろしている普美のスーツをはぎとった。 「嫌ぁっ! 乱暴にしないでください!」 ちょっとぐずっている普美を膝に乗せると、僕は座席に座った。普美と僕の肌がじかに触れ合う。それに快感を感じた。と、普美が振り向いて嫌そうに言った。 「滝斗さんから、仁子ちゃんの匂いがします……」 僕はドキッとしたけれど、誤魔化すように座席を射出させた。 座席がコクピットに飛び込む。シンクロイザーを始動させようと普美のあごに手をかけると、いつもは素直な普美が逆らった。 「仁子ちゃんと、何してたんですか?」 このころには普美と仁子の二人は愛称で呼び合うようになっていた。が、妙な対抗心は消えてないようだ。 「答えてください。何をしてたんですか!?」 普美が涙目で僕を責めてくる。 「おい、始動できないよ!」 「答えて!」 完全に普美は臍を曲げてしまったようだ。 「正直に言うけど、怒るなよ?」 「はい。」 卑怯な言質だ……でもしかたない。 「裸で体をいじり合ってた。」 普美の表情に、ショックが見て取れた。 「でも、最後まではしてない。」 だから何だというのだ。自分を責めたい気持ちと、とにかく急がなきゃという気持ちの葛藤で引き裂かれそうだ。 「今の滝斗さんとは、キス、したくない。」 普美がぷいっと顔そむける。でもそんなこといってる場合じゃない…… 僕は普美の頭を掴んで強引にこちらを向かせ、唇を押し付けた。まさに「奪う」といった感じに。甘い感触とともに、しょっぱい味もしたような気がした。 それでもシンクロイザーは起動し、ランプが次々と点灯した。 「ユニット、プロト3を確認。パイロット、時田滝斗を確認。シンクロイザー、始動。」 普美が涙をこぼしながら抗議する。 「ひどいです……無理やりするなんて。」 かわいそうとも思ったが、やさしい言葉をかけてあげてる余裕は無い。といって「ごめん」と謝るのもなんだか変だ。 僕は無言のまま、普美の薄い微乳を手で覆い、発進に備えた。いつもなら吐息を漏らす普美が、今日は体をこわばらせて耐えている。もうひとついつもと違うのは、スーツ越しでなく生乳だということだ。 「カタパルト始動、シンクロイザー発進!」 前方からのGに引き続き、モニタに青空が写る。いつもの発進情景だ。僕も操作に慣れてきていたから、左右の手のひらと指を使って「操縦桿」である普美の胸とそのピンク色の先っぽを、上下左右に転がした。 シンクロイザーは操作に反応して空を飛ぶ。だが、普美は少し呼吸音を強くしているほかは、歯を食いしばるように力んで、反応しないようにしている。 それが、前二回の敏感すぎるまでの反応と違っていて、とんでもなく新鮮さを感じさせた。平家物語だかに出ていた「万度(ばんたび)、処女の如く」っていうのはもしかしてこういうことなのだろうか? なんていう考えが頭に浮かぶ。が、普美はもともとまだ処女のはず。自分の考えを自分で否定した。 そうこうしているうちに、魔機が迫ってきた。今度の魔機は、スライム状の物体だ。それが意思をもっているようで、ぶるぶると半球状の一塊となり、森の木々をのみこんで転がってくる。飲み込まれたものは融けてしまうようだ。 「液体なら、熱線で蒸発させるのがいいな。」 僕はつぶやいて、下手に地面に降り魔機の進路に巻き込まれたりしないよう、空中を移動した。 「普美、熱線砲だ。いくぞ。」 僕は自分のものを普美の股の間に当てて、前後させた。が、普美は応えない。あいかわらず体を硬くしたまま、力んで耐えている。 「普美、だめだよ、感じなきゃ。」 「……嫌です。」 か細いつぶやきが聞こえた。 「私……仁子ちゃんの『次』じゃありません……私……私っ!」 肩が微妙に振動し、普美が嗚咽しているのがわかった。 それはそれでサイコエネルギーになってはいるようで、シンクロイザーは安定した周回軌道を描いている。が、性感があるときと違って、胸や乳首で操ろうとしてもどうも微妙な調整が利きにくい。 必死に腰を動かして擦りつけ、胸も刺激し、背筋に舌を這わせもした。だが、普美のそこは湿って汁をたらしてはいても、本人が気持ちよくなっている様子が無い。 「だめだ、これじゃ……」 熱線砲はあきらめ、普美の口の中に指を突っ込む。音波砲のスイッチだ。 だが普美は歯を強く閉じて、それ以上奥へは行かせようとしない。 「おい、だめだってば!」 「らって……らって……」 まだすすり泣き続けている。 逆に、落ち着いてサイコエネルギーが下がってきたらしい。シンクロイザーの飛行高度が落ちてきた。 「あ!」 どんどん落ちていったシンクロイザーは、とうとう魔機の中に墜落してしまった。そこは半球状になった粘液の塊だったから、クッションのようになって衝撃は少なかったが、シンクロイザーごとスライムに飲まれてしまった。 「まずい…! 脱出しないと!」 だが、普美が体を硬くしているため、シンクロイザーの力が発揮できない。 と、モニターに写っているものが僕の目に飛び込んできた。 「溶けてる…!」 シンクロイザーの手が、スライムの粘液に溶け始めている。もはや、迷っている場合じゃない……。 僕は普美の方向を変え、こちらを向かせた。正面から抱き合う体勢だ。 「普美、こうなったらシンクロニウム弾を試すしかない。」 「……私の処女を奪うんですね? 仁子ちゃんとさんざん遊んだもので?」 目をそらして口を曲げている。 「普美!」 僕は、手で無理やりこっちを向かせた。 「仁子とは、最後まではしてないって言ったろ! 初めては、普美とがいいんだ!」 普美に動揺はみられたが、まだ納得しきれてない様子だ。 「記憶喪失で目がさめたとき、僕が最初に見たのは普美だった。そして君を見て安心した。普美となら、どんな苦しみでもきっと乗り越えられる。……ずっと一緒にいたいんだ、普美と!」 「滝斗さん……」 「……好きだよ、普美。」 「わ……私も!」 普美が、ようやく自分から抱きついてきた。 唇を重ね、舌を絡める。仁子よりすこしやわらかい感触の唇が触れ、これも仁子と違う未熟な味の液体が、口の中に広がった。 「シンクロイザーをテストしている間は、普美だけを選ぶことができないんだ。わかってくれるね?」 「はい。」 いつもの素直な普美に戻った。 下も、充分に濡れている。 「入れるぞ。」 「入れてください。滝斗さんので、私を大人にしてください……。」 その言葉が終わらないうちに、僕はその先端で普美の入り口を探り出し、できるだけ痛くないように一気に刺し貫いた。 「あっがっ……くわはぁぁぁああぁっ!」 絶叫が耳をつんざき、僕のそこに、愛液とはちがう液体の感触が混ざった。狭いコクピットに血の匂いがかすかに漂う。 「いっ、痛……いいいっ」 普美の涙を指で救う。 「力を抜いて……僕に任せるんだ。」 「はい。」 普美は僕にしがみつきながら、身を任せようと努力した。 僕のあそこにも、信じられないような刺激が走り続けている。仁子の口の、包み込むような感じとはまったく違う、搾られるような感覚だ。 僕はその感覚を夢中でむさぼりながら、どこか醒めた目で見ている自分もいた。 さっき普美に言ったことは嘘じゃない。でも本心かと言われると正確でもない。いま、たまたま普美の純潔をを貫いてしまっているけれど、場合によってはこれは仁子だったり、いやもしかすると他のプロトだったかもしれないんだ。 普美以外のプロトだったとしても僕は、きっと似たようなことを言っただろう。……最低だ。 そう思うと、そんな僕にしがみついて涙を流している普美も、こんなつまらない男に処女をささげたつまらない女に思えてきた。 「あっ……中で! 中でおっきくっ!!」 普美が涙声を上げる。僕のそれは、さっきより熱く固くなっているようだ。 そのとき、僕はふと気がついた。そうか! 仁子のことを、僕は大切にしているような気がしていたけれど、もしかすると侮蔑していたのかもしれない。 「性交するときは、相手のことを大切に思いすぎるより、つまらないものと思ったほうが、かえってうまくいく──」 「養生訓」の教えだ。だから、普美より仁子との快楽の方が大きく、溺れそうになってたのかもしれない……! そんなことを考えながらも、腰は激しく動き、普美の中を僕のものがかき回していった。螺旋を描いて、また前後に、軽く軽く深く、さまざまなリズムでそれは普美を犯していく。 普美も、もう体が伸びきってしまい、顔はよだれや涙で汚れている。僕は、それを舌で舐め取った。 最低同士。侮蔑しながら愛している……。 そう思うほど僕は快感の中に自分がいるような感覚になり、そのときが近づいていることを悟った。さらに激しく突き入れる。少しでも、少しでも深く、普美の中へ……。そして、先端がなにかにこつっと当たった。子宮口と、ペニスとのキス……2度、3度、4度。 「普美! 愛してるぞ!」 「! 私も! 私も愛してます、滝斗さぁん!」 その声が終わらないうちに、普美が僕を抱きしめる腕に激しい力がこもった。普美の薄い胸が僕に押し付けられて、鼓動が伝わってくる。僕のものを包み込んでいる膣にも、根元のほうから絞るようなぜん動が走った。 僕はもはや耐え切れなくなり、その熱いエネルギーを、普美の中にこれでもかとぶちまけた。 「はああああああっああああっ!」 叫んで硬直した普美が、だんだんと脱力する。そこを締め付ける膣の力もだんだと弱くなっていく。が、普美が脱力してしまっても僕は、何度も何度も普美の中に腰を突き入れ、快楽のエッセンスを注ぎ込み続けた。 だが次第に白濁していく脳裏では、なぜか普美でなく仁子の中にそそぎ込んでいる感覚もあった……。 ふと気がつくと、僕は医務室のベッドに寝かされていた。 「あっ、よかった、滝斗、目が醒めたのね!」 いきなり視界いっぱいに女の子の顔が広がり、首を抱きしめられた。 驚いているうちに、その女の子が手を放して、心配そうに問い掛けてきた。 「憶えてる? 私の名前、憶えてる?」 「え? プロト2……仁子、じゃないの?」 「わーーーんっ! よかった!」 仁子がまた抱きついてきた。胸から嗚咽の振動が伝わる。 「また記憶喪失になったら、どうしようかと思った……」 「うん、大丈夫みたいだ……憶えているよ、全部。……全部だ。」 そう。僕の名は時田滝斗(ときた・たきと)、高校三年生。時田歌貴人(ときた・うたきと)博士の弟で、シンクロイザーのテストパイロット。兄貴に借金があって、体をカタにとられたんだ。で、訓練中の事故でここ数日間、記憶が飛んでいた。 その間、人間や合成人間のいろんな女に遊ばれたけど、いまだ童て……いや。 「普美は!?」 僕はがばっと起き上がった。 仁子の顔が曇る。 「まさか……。」 「私より、やっぱり普美の方がいいの?」 「そ、そういう問題じゃないだろ! 無事なのか!? それとも……」 そのとき、 「滝斗くん、目が醒めたって?」 あわただしく医務室に入ってきたのは遙さん……狩畑二尉だった。そして、その後ろに… 「普美っ!」 「滝斗さんっ!」 僕はベッドを飛び起き、頭に包帯を巻いている普美に抱きついた。よかった…よかった…涙がこぼれる。と、同時に全身に痛みが走って、普美から離れて転倒しかけた。普美と仁子が手を貸して支えてくれる。 「滝斗さん、無理しちゃだめです!」 「バカ滝斗……まだ怪我が治ってないんだから。」 「うん……うん……ありがとう。やさしいね、普美も、仁子も。」 フン、と向こうを向いた仁子は、それでも少し顔を赤らめていた。 「怪我が治ったら……この前できなかったことを、するから、覚悟しときなさいよ?」 「できなかったこと?」 仁子が耳元でささやく。 「今度こそ私の処女でイかせて、普美で童貞捨てたことを後悔させてあげるんだから!」 「あっ……!」 僕が顔を赤くすると、反対側で普美がしがみついてきた。 「滝斗さん……仁子ちゃんとも仲良くしますから、私を用済みなんて言わないでくださいね?」 「そんなこと言わないよ……」 なんとかベッドに戻され、狩畑二尉の説明が始まった。 「シンクロニウム弾の実験は失敗。威力は充分だったけれど、シンクロイザーも破壊されたわ。でも、魔機の活動も止まったみたい。。シンクロイザーのテストはしばらくできないし、これで滝斗くんは元の学生に戻れるわね。」 「すると……普美や仁子ともお別れってことになるんですか!?」 「たしかに、プロト2とプロト3はもう不要だわ。」 普美も仁子も、すがるよな顔をしてこちらを見た。 「でも、合成人間が自然加齢とともにどうなっていくかは、研究しておく必要があるの。普通の人間であるパイロットと一緒に生活できるかどうかもね。」 「え……てことは!」 朝。あわただしい雰囲気の中、僕は学校の制服を身につけて玄関で靴をはいている。扉の外では仁子…古弐谷仁子(こにや・にこ)が 「早くしなさいよ、グズ滝斗!」 と不平をこぼしている。そして小さな声で 「まったく。もう許してって言ってるのに……明け方まで何度も、何度も。もう壊れちゃうかと思ったわよ。」 とつぶやいて顔を赤らめた。 「しょうがないだろ、仁子も普美も気持ちよすぎるんだから。」 僕が小さく答えると、仁子も真っ赤な顔で向こうを向く。それから僕は後ろに向かい、 「普美! 洗い物は帰ってきてからでいいよ!」 と叫んだ。台所から、制服姿の普美…三船普美(みふね・ふみ)が、弁当箱を3つ持ってやってくる。 「お弁当のおかずは、中華炒めのトマト風味です♪」 「わかった、ありがと。でも急いで!」 よく晴れた空の下、3つのトマト……いや3人の人影が駅への道を走っていく。 「復学初日から遅刻か~!」 「私たちなんか、転校初日から遅刻よ、グズ滝斗の所為で!」 「僕の所為かよ!」 そこへ、普美が右から僕の腕に抱きついてきた。 「でも、寝るときも食べるときも……遅刻まで滝斗さんと一緒なんて、私、幸せです。もう一生このままでいたいな。」 肘に微乳の感触があって少し慌てた。 それを見た仁子も、左から腕を絡めて胸を押し付けてくる。 「わ、私だって、グズ滝斗が一緒に暮らしたいんなら、ずっとこのままでいてあげてていいんだから。感謝してよね!?」 「わかったわかった、でも走りにくいだろ!」 僕たちはそんな関係で、普通の学園生活を楽しんだ──僕たちの前に志郎……男性型のプロト4が現れ、次の戦いが始まったその日まで。 ── 完
11/07/19 22:48
(8022mRp8)
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