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秘密〜抗えない快楽〜

カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1: 秘密〜抗えない快楽〜
投稿者: とんがり帽子
第一章
第五項
​ 翌日の深夜。二人のチャットルームは、昨夜の惨劇の余韻を引きずるように、どこか重苦しい空気が漂っていた。先に沈黙を破ったのは、晴人(リード)だった。
​『リード:ララさん。昨日の、配信……観てました?』
​スマホ越しに、リードの震える指先が伝わってくるようだ。桜(ララ)は、昨夜の光景を思い出し、画面の文字をぼんやりと見つめた。
​『ララ:……はい……』
​桜はそれ以上、言葉を継がなかった。あの恐怖を、リードとなら共有できるかもしれないという淡い期待は、昨夜の生々しい蹂躙の記憶に押し潰されていた。
​『リード:………あの…、ララさん。ああいうことに……興味はありますか……?』
​その問いかけに、桜は戸惑った。リードは、自分が昨夜の配信を楽しんだのかと聞いているのだろうか。それとも、もっと別の意味があるのか。桜にとっての「ああいうこと」とは、暴力と恐怖の同義語だった。彼の意図が掴めず、桜はキーボードの上で指を止めた。
​『ララ:……どういう、こと……ですか……? ……ごめんなさい、私、よく分かりません』
​桜の戸惑いを感じ取ったのか、画面の向こうで晴人は息を呑んだ。今ここで正直にならなければ、この唯一の拠り所を失ってしまうという焦燥感が、彼の理性を限界まで追い詰める。
​『リード:……ごめんなさい、困らせるつもりはなかったんです。……正直に言うと。ボク、童貞なんです………恥ずかしいことに……。』
​画面に表示された「童貞」という文字。桜は、昼間にバイト先で見た、いつもオドオドと頭を下げている晴人の背中をふと思い出した。
​『リード:……本当は、女性の体にも……興味があります。……怖いけど、すごく知りたいんだ。ボクは、……ララさんにに、一度でいいから、触れてみたいと……』
​それは、リードとしての精一杯の告白であり、現実の木戸晴人としての惨めな叫びだった。
桜は、その切実な言葉に胸が締め付けられるような痛みを感じた。彼が抱える劣等感と、自分に向けられる純粋すぎるほどの渇望。それは、昨夜見た配信のような「支配」とはかけ離れた、もっと脆く、壊れやすいものだと分かった。
​しかし、自分の身体が男たちに「エロい」と品定めされる恐怖が、彼女の中に根深く残っている。今の自分に、誰かを受け入れる余裕などない。
​『ララ:……リードさん。……ごめんない。……、でも、うれしいです……。』
​桜は努めて優しく、言葉を選んだ。彼を傷つけたくない。この唯一の繋がりを、自分の恐怖で壊したくなかったからだ。
​『ララ:……今は、無理なんです。ごめんなさい……』
​送信ボタンを押した後、桜はスマートフォンを胸に抱き寄せ、震える身体を小さく丸めた。画面の向こうで、晴人がどんな顔をしてその文字を見ているのか。その重みに耐えきれず、彼女はアプリを閉じた。
 四畳半の部屋とアパートの一室、同じ深夜の空の下で、二人の間に生じた亀裂は、修復不能なほど深く静かに広がっていった。

 
 
2026/08/22 21:40:50(zNBbccEp)
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