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ご主人様は、うたの宣言を聞いたあと、短く言った。
「こんな簡単な放棄宣言じゃ、足りないな。 あとで、もう一度ちゃんとさせてあげる」 うたは、その言葉に、胸の奥が小さく沈むのを感じた。 今言った三つの文章では、まだ不十分だと告げられた。 なのに、拒否する気持ちは浮かばなかった。 「あとで、もう一度」と言われたことが、すでに次の予定として、身体に入ってくる。 ご主人様は、ソファの背に体重を預けたまま、続けた。 「四つん這いになれ」 命令は、短く、明確だった。 うたは、一度だけ息を吸って、床に手をついた。 膝を下ろす。 背中を低くして、頭を少し下げた姿勢になる。 全裸のまま、ご主人様の居間の床で、四つん這いになる。 床の感触が、掌と膝に直接伝わる。 乳首が、下を向いた角度で、わずかに空気に晒される。 一週間かけて過敏になった先端が、その姿勢だけでも存在を主張した。 ご主人様は、その姿を上から見下ろしていた。 「いい姿勢だ。 そのまま、動くな」 うたは、命じられた通りに、動かなかった。 頭の位置も、腰の角度も、変えずに維持する。 所有物として、人権を放棄したばかりの身体が、四つん這いのまま、そこに固定される。 静かだった。 時計の音も、外の気配も、遠くに感じる。 うたの耳に残っているのは、自分の呼吸と、ご主人様のわずかな衣擦れだけだった。 この姿勢で、次に何をされるのか。 うたは、それを待っていた。 待つことしか、できなかった。 ご主人様は、立ち上がってうたの前に来た。 「目を閉じろ」 うたは、四つん這いのまま、言われた通りに目を閉じた。 柔らかい布が、目の上に当てられる。 後ろで結ばれる感触。 視界が、完全に暗くなる。 次に、口が開かされた。 球形のものが、歯のあいだに押し込まれる。 ストラップが頭の後ろで固定される。 唾液が、すぐに溜まり始めた。 声が、出せなくなる。 目隠しと、ギャグ。 うたは、四つん這いの姿勢を崩さずに、その状態を受け入れた。 見えない。 話せない。 聞こえるのは、自分の鼻からの呼吸と、ご主人様の足音だけ。 ご主人様の手が、うたの背中に触れた。 最初は、軽い。 肩甲骨のあたりを、ゆっくりと撫でる。 髪を耳にかけ、首筋を指の腹で辿る。 一週間、誰にも触れられなかった身体が、その感触に大きく反応した。 うたの背中が、わずかに震える。 ギャグのあいだから、小さな吐息が漏れる。 なのに、逃げることはできない。 動かないでいろ、と命じられているから。 ご主人様の手は、背中から腰へ、腰から尻の曲線へ、ゆっくりと移動した。 所有物を確認するように、丁寧で、冷たくない。 なのに、うたの身体は、撫でられるたびに熱を上げていく。 乳首が、下を向いたまま硬くなっているのが、自分でもわかった。 触れられていない場所まで、待ち構えるように疼く。 一週間の禁欲が、この穏やかな手つきに、過剰に反応してしまう。 ご主人様は、うたの頭を優しく押さえるようにして、耳元で静かに言った。 「いい子だ。 そのまま、撫でられていることを感じろ」 うたは、目隠しの下で目を閉じたまま、小さく頷いた。 ギャグが、その動きで少しずれる。 なのに、外さない。 外させてもらえない。 ただ、撫でられる。 所有物として、人権を放棄したばかりの身体が、ご主人様の手でゆっくりと確認されていく。 うたの内側で、空白と熱が、静かに混ざり合っていた。 うたは、撫でられているあいだ、胸の奥が熱く緩んでいるのを感じていた。 やっと、触れてもらえている。 一週間、誰の手も入らなかった身体に、ご主人様の指が直接触れている。 目隠しの下で、うたは小さく目を細めた。 ギャグに阻まれて声にはならないのに、嬉しさが先に来ていた。 そのときだった。 ご主人様の手が、背中から離れる。 次の瞬間、右のお尻に、思い切り掌が打ち下ろされた。 「……っ!!」 鋭い音が、居間に響いた。 痛みが、遅れて火のように広がる。 うたの上体が、反射的に前へつんのめる。 なのに、ギャグが口の中で大きく動いただけだった。 声にならない。 上手く、声が出ない。 ご主人様は、すぐに反対側も同じ強さで叩いた。 また、高い音。 うたの尻が、熱く脈打つ。 四つん這いのまま、腰が小さく震える。 撫でられて緩んでいた身体が、一気に緊張に引き戻される。 嬉しさの直後に、痛み。 その落差が、うたの内側を大きく揺さぶった。 目隠しのせいではっきりしないのに、涙が滲むのがわかった。 ギャグの隙間から、よだれと一緒に、短い吐息だけが漏れる。 ご主人様は、赤くなった尻を、今度は優しく撫でた。 「やっと触れてもらえて、嬉しい顔してたな。 だから、叩いた」 うたは、答えることができなかった。 ただ、四つん這いのまま、熱を帯びた尻を、ご主人様の手のひらに預けていた。 嬉しさと、痛みと、所有されている実感が、混ざり合って、うまく分離できなくなっていた。 ご主人様の掌が、また落ちた。 右。 左。 右。 左。 音が、短く、高く、連続する。 うたの尻が、打たれるたびに熱を持ち、次第に熱が熱を呼んで、皮膚の下まで脈打ち始めた。 最初は痛みだったものが、回数を重ねるうちに、痛みの形を変えていく。 痛い。 なのに、内側が、熱く濡れていくのが自分でもわかった。 クリが、何も触れられていないのに、疼いて腫れてくる。 秘部が、打たれる衝撃のたびに、きゅっと収縮して、水分をにじませる。 ギャグのあいだから、よだれと一緒に、短い鼻音が漏れる。 声にならない。 なのに、身体は正直に反応していた。 ご主人様は、うたの尻が真っ赤になるまで、叩き続けた。 腫れて、熱を持って、触れるだけで痛みが走る状態になるまで。 そして、止めた。 次に来たのは、優しい手だった。 赤く腫れ上がった皮膚を、掌全体でゆっくりと撫でる。 熱を吸収するように、円を描くように。 「……っ」 うたの背中が、大きく震えた。 痛みの残る場所を、丁寧に撫でられる。 その感触が、ビリビリと、神経を伝って全身に走る。 ご主人様を、感じる。 手のひらの温度も、指の形も、撫でる速度も、全部が「ご主人様」として、うたの身体に直接刻まれる。 濡れている。 痛いのに、濡れている。 叩かれた衝撃で、秘部が熱を持って、太ももを伝うほどに湿っている。 四つん這いのまま、その事実を隠すこともできない。 ご主人様の手が、尻の割れ目に沿って、ゆっくりと下へ滑った。 濡れていることに、すぐに気づく。 「痛いはずなのに、こんなになってる」 うたは、目隠しの下で目を強く閉じた。 否定できない。 痛みと、嬉しさと、所有されている実感が、全部混ざって、身体をビリビリと震わせている。 ご主人様の手のひらが、もう一度、赤くなった尻を優しく包み込んだ。 その感触だけが、今のうたにとっての世界だった。
2026/08/08 05:07:06(voI1G0QD)
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