「君はちゃんと恋愛すべきだな、そうすればもっと良くなるよ。」

　大学を出てOLを三年やって、したいことは小説を書きたい、もっと上手に、大好きな作家に何度も感想とどうしたらこんな作品が書けるのかって質問して、奥様に先立たれた先生の身の回りの世話をすることになった。

　先生はもう還暦で、ＳＭが好きだった。
　「挿入したいって欲望はもう無いしね、そこまで固くもならないんだよ。」
　緊縛されて鞭で、蝋燭で、バイブで何度もいかされて、浣腸も排泄も、お尻にも色々悪戯された。

　性欲が強い美男子集めるから、パートナーを選びなさい、まあ複数でもかまわんよ。

　龍介くんは同い年でサディストというか本能に忠実な野獣だった。
　アナルの処女を奪われた。
　「今夜は大丈夫とかピル飲んでるって嘘つく女多くないっすか？」
　これはクラッシクギターじゃなくてフラメンコギター、違うんです全然、そう言うと、華麗な演奏を聞かせてくれた、先生の著作は読んだけれど、迷うでしょうって、怖い物知らず、先生はその意見を嬉しそうに聞く。
　「道徳なんていらないでしょう、っていうか三島は読めって太宰も日本人としての最低限の知性でしょう、バカ多いですよね、ボケてる老人と一緒にね消えて欲しい。」
　同意見、私も電車で大学生らしき二人が動画で本のあらすじ知ったら読む時間もったいないって、映画も再生スピードどれだけあげるかって、なのにアイドルの握手会で感動したって、どこまでバカなのかって思う。

　他の男達なんてもう興味無かった、音楽だけだったら言葉いらなくて、勝手に解釈して聞きたければ聞く、それだけ、言葉に支配されたくない。

　私はピアノが弾ける、子供の頃に習うのは嫌だったけれど、レッスン受けると母は喜ぶし、先生は美味しいお菓子をご褒美にくれた。
　アップライトのピアノはこの屋敷にはある、先妻が好きだったと譜面で先生というか奥様がよく弾いていたという曲はレパートリーにした。

　譜面書いたり読めるようになりたいんですけどねえ。
　ピアノが得意な演奏と、ギターが得意な演奏、その差異について演奏しながら話していると、先生は短編だったらすぐだけれど、いいぞとっても。

　良かった、新作へのモチベーションが無いって悩んでいた。
　私の部屋で深く愛し合った、彼の熱い精液を中で受け止めた、何度も。

　「子供が飯食えないって、最悪っすよねえ。」
　先生に無駄に金持ってるなら生きてるうちに使えって、それもいいなって、週末に彼の知り合いの打楽器奏者のやってるボランティアに参加した。
　
　「作家ってなあ、人付き合い苦手なのが多いからな、私もそうだしな、綾乃もな。」
　そうですね、私達って月ですよね、彼は太陽。　うなずく先生。

　先生は若い時に特殊な病気に罹って子供を作れない身体に、その時の彼女が亡くなった奥様で、見捨てないでって泣いて頼んだって告白された。
　それが先生の文才のはじまり、凄まじい文章の理由。

　「もっと綾乃と変態したかったのになあ。」
　あれで妊娠しちゃうとは思わなかった。
　「私も赤ちゃん欲しい。」　彼の最初の彼女。　にぎやかになってきた、皆んな養子になれば相続も、使い切るけどな。
　先生は筆が止まらない、彼のことをどうしようもない息子だって、そして私達は娘で。
　「孫は目に入れても痛くないって本当か期待している。」
　仏壇の奥様が笑った気がしたのは、出来過ぎ。
　

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