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SNSのDMルームは、いつも秘密の応接室のような機能を果たす。今回来てくれたのは、アヤカ。彼女のメッセージは簡潔だが、行間から「真面目さ」と「抑制された渇望」が伝わってきた。 アヤカ: 突然失礼いたします。あなたのプロフィールを拝見し、ご連絡いたしました。ソフトSMというものに興味があるのですが、知識がなく、また何より、強制されるのが怖くて……。優しく、知的に導いてくださる相手を求めております。ルールをご理解の上、ご配慮いただける方を探しておりました。 俺: アヤカさん。初めまして。メッセージをありがとうございます。あなたの言葉は、非常に明確で誠実です。私の関心は、強制ではなく、お互いの合意に基づいた「感覚の拡張」にあります。恐怖は当然の感情です。その感情を決して無視しません。 アヤカ: ……本当でしょうか。 俺: もちろんです。もし少しでも不快な兆候があれば、その瞬間、私はあなたの保護者としての役割に徹します。今日の体験は、あなたがお望みの「知識」を得ること、そして「安心感」を得ることです。 アヤカ: ありがとうございます。では、明日、新宿西口のカフェロータリーで、17時に。私は水色のコートを着ています。 俺: 承知した。明日、静かにあなたを迎えに行きます。君の知的好奇心が満たされるよう、努めましょう。 翌日の夕方、駅はオフィス帰りの人々で混雑していた。指定された場所で、俺はコートの襟を正し、静かに立っていた。 やがて、人波の中から、約束通りの水色のコートが見えた。アヤカは周囲を警戒するように見回し、その表情は緊張で強張っていた。俺を見つけた彼女の顔が、一瞬で血の気を失うのが分かった。 俺は彼女に向かって穏やかに微笑み、人混みを割って近づいた。 「アヤカさん。お待たせしました」 俺は決して急がず、彼女の視線が逃げないように、真っ直ぐに見つめ返した。彼女の瞳は、不安に湿っている。 「あ、あの……こちら、ホテルでしょうか」 「そうだ。だが、急ぐ必要はない。車を待たせている。少し外の空気を吸いながら、今日の流れを話そう」 俺は彼女の腕を組むのではなく、そっと肩に手を添え、人混みから外れた静かな場所へとエスコートした。カフェに入り、彼女に温かいものを注文し、他愛もない世間話をした。彼女の仕事のこと、趣味のこと。表面的な会話を通じて、俺は彼女が理性的で、繊細な感受性を持っていることを確認した。 「今日の体験は、あなた自身への丁寧な探求だと考えてください。試すのは、あなたの本能です」 彼女が深く頷いたのを確認してから、俺たちはホテルへと向かった。タクシーの中で、彼女の緊張は、半分ほど解けていたように見えた。 ホテルの一室に入ると、アヤカは緊張を取り戻したが、もう逃げ出す気配はない。扉を閉め、俺は彼女を部屋の中央へと誘った。 「アヤカさん。まず、外の世界のノイズから、あなたを解放する時間だ」 俺は鞄から、高級なサテン生地の布を取り出した。色は、夜空のような深いネイビー。 「これは、あなたを縛るものではない。集中力を高めるための道具だ」 俺は彼女の意思を確認してから、ゆっくりと、その布を彼女の両の目に当てた。視界が完全に奪われた瞬間、アヤカは小さく息を吸い込んだ。 「……すべてが、音と、匂いと、熱だけになりました」彼女の声は、震えながらもどこか感心したようだった。 俺は彼女の背後に回り、再び、ビジネス用のシルクネクタイを取り出した。 「あなたの自由を、一時的に預かる」 優しく、手首を交差させ、ネクタイを結ぶ。きつすぎない。だが、動けないという事実は、彼女の意識を強制的に「今、この瞬間」に縛りつけた。 アヤカ: 「動けません……でも、不思議と、安心します」 「それが、服従の甘さだ。あなたは今、すべてを俺に委ねた」 俺は彼女を、身体を横たえやすいソファへと移動させた。俺は彼女の前に跪き、その敏感な素肌に、そっと息を吹きかける。 「アヤカ。教えてくれ。この状態で、何をされたら一番、心が解放される?」俺は、囁き声で、しかし明確に問いかけた。 彼女は目隠しをしているため、俺の表情を読めない。その不確かさが、彼女の理性を揺さぶる。 アヤカ: 「私には分かりません……。でも、もし、私が自分で選べないのなら……優しく、でも、逃げられないように……」 「逃げられない誘惑、か。理解した」 俺は、愛撫の延長として、彼女の太腿の内側を、時間をかけて辿った。準備が整った場所へ向かう道筋を、執拗に、だが決して痛みを伴わせずに撫で続ける。 それが十分に進んだところで、俺は一瞬手を止め、柔らかな革の手袋を嵌めた右手の平を広げた。 パチッ、と、皮膚が叩きつけられる、非常に軽い音。 アヤカの身体が、弾かれたように跳ね上がった。「ああっ!」 「驚いたか?」俺は急いで再度叩かず、間を置く。「これは、君の反応を確認するための合図だ。痛みではない、刺激だ」 パチッ……パチッ…… 二度目、三度目は、同じ感覚の繰り返し。彼女の身体は、次に音が来ることを学習し、自ら臀部をわずかに持ち上げるように反応し始めた。 「気持ちいい……ここで、私の本音を聞かせてほしい。君が本当に求めているのは、優しさか、それとも……もっと強い『命令』か?」俺はなおも優しく問い詰めた。 アヤカは激しく喘いだ後、震える声で絞り出した。 「……私を、意のままに……強く、してください。もう、考えるのをやめさせて、ください……!」 理性は消え失せ、彼女に残されたのは、服従への純粋な渇望だけだった。 俺は彼女の首筋に顔を寄せ、冷たい吐息を吹きかける。「その通りだ、アヤカ。お前の思考は、俺が預かる」 俺は愛撫の緊張を極限まで高めた後、彼女の最も求めていた場所を支配した。自由を奪われた身体は、抵抗することなく、俺を受け入れる。焦らしと、高まった感覚が、彼女を制御不能な快感へと連れ去った。彼女の全身が強張るのを感じ、俺は彼女の解放の波に乗った。 すべてが終わり、部屋に静寂が戻る。俺はネクタイを解き、アヤカの目隠しをそっと外した。 彼女の目は、涙ではなく、深い陶酔で潤んでいた。数十分前までの硬い探求者の顔は消え失せ、そこには、初めて真の自分に出会った者の安堵があった。 「……痛みは、一つもありませんでした」アヤカは絞り出すように言った。「ただ、優しさと、それを裏切る刺激が、私をここまで連れてきた……」 彼女はゆっくりと、拘束されていた手首を撫でた。赤みは薄れてきているが、その感触を彼女は確かに記憶しているだろう。 「この体験を、私は忘れないでしょう。そして、この安らぎを必要とします」 彼女は微笑み、俺のコートの襟元に手を伸ばした。そこには、もう不安の色はない。あるのは、次のレッスンへの渇望だけだった。 「また、あなたに導かれたいです。私の知性を、快感で満たしてください」 俺は満足げに頷いた。紳士的な対応が、彼女の秘めた欲望を最も純粋な形で引き出したのだ。 「いつでもここに待っている。アヤカ。君の探求は、まだ始まったばかりだ。」
2025/12/11 18:12:06(/qie18D3)
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