紅潮は、頬から首元、うなじに判ってとれ、
うっすらと汗ばみ始めたのか、あの匂いが再びした。
発情時のあの匂いは、汗臭さとは違う、
雌の臭い。
性交の時に汗ばみやすい女から臭い立つ独特の香しい香り。
その香りに、脳が刺激され、男はさらに興奮するもの。
この経験は味わったものにしかわからないものだ。
女の名前を聞いた。
「一花・・といいます・・」
名前以外は何も聞かない。個人に踏み入るのは無粋だと知っている。
それから少しの間、酒を飲みながら、性癖を探った。
周囲は酒に酔った、大声や、笑い声が個室まで届いた。
一花の隣に座り、肩に手をまわし、耳元でささやいた。
「振動物より、指と舌を味わってみないか。」