日本人には馴染み深い花

気温が和らぐ春の初旬
目を覚ましたようにそれは一気に咲き誇る

この時期になるとお天気予報と共に
桜前線などという造語で桜の開花を伝える

今年は幾分開花が遅いようだ

極めて薄いたった5枚の花びら
白に近いピンクの小ぶりの花
溢れんばかりに咲き乱れたかと思えば
風に舞い、儚げに散りゆく様

染井吉野

お花見という言葉は
染井吉野のためにあるようなものだ

この時期、桜モチーフのピンクの商品が巷に溢れる

人を虜にしてしまうこの花が

私にはとても恐ろしく感じてしまう

自力で子孫を残すことができないこの栽培品種は
いつの間にか日本全国に分布し
我々日本人の心を
根っこから鷲掴みにしている

己の美の力のみで嫌味なく勢力を広げる
その見かけからは想像できない

しぶとく賢い女

私にはそう思えてならないのだ

男心を掴んで離さない女性を
同性の目から見て疎ましく感じるように
私は染井吉野に複雑な思いを馳せる

23時過ぎ、子供が寝たのを確認すると
私は着物の襦袢に着替え足袋をはいた。

下着はつけておらず、
襦袢と足袋だけの格好にベージュのコートを羽織り
まだ2分咲きの桜の名所を訪れた

ポツポツと灯りが灯るその公園で待っていたのは
私のかつての主（あるじ）ご主人様だ。

藍色の作務衣姿に
登山用のリュックを背負ってやってきたご主人様は
特に声をかけるでもなく私の前を歩く。

その後ろを静々とついていく私

シンと静まった夜の大きな公園の立派な桜の根本で
ご主人様はリュックから風呂敷に包まれた麻縄を取り出した。

会話を交わすことなく私はコートを脱ぎ、襦袢姿になった。

3月の夜の寒さが身にしみる。

ブーツを脱いで足袋だけになると
無言で私を縛り始めるご主人様

顔を手で覆い隠すような形で縛られると、
視界が塞がれ、息があまりできなくなった。

まるで強制的に瞑想させられてるようだ。

上半身のみ縛られるとご主人様が耳元で囁いた

ご主人様「奴隷綾、綺麗だ。」

ご主人様は自前の一眼レフを取り出すと
カシャ、カシャと写真を何枚か撮りはじめる

夜中の公園で襦袢姿で縛られてる異様な光景は私を恍惚とさせた

緊縛をされているこの瞬間だけは、
ご主人様に全てをコントロールされるのだ。

薄い襦袢のみで身動きの取れない私の安全は
ご主人様にかかっている。

己の命を預ける。

そう、直感的に肌身で感じるととても安心するのだった。

ご主人様は全神経を私に向け、耐え難いほどいじめ抜くが、
決して怪我をさせたりはしない。
その信頼があるからこそ、私はご主人様でないといけないのだ。

その時、襦袢の裾をたくし上げられ、
下半身があらわにされる

「ああぁぁ・・・」

私の鼓動はたちまち早くなり、息が早くなるが
上半身が縛られている為
肺が広がらず小刻みに吸ったり吐いたりを繰り返す

やがて桜の枝にかけた縄で
片足を吊られてしまい
私のあそこは丸出しになってしまった。

秘部は丸見え、片足立ちという不安定な格好になり、
縄の軋む音だけが鳴っている。

恐怖と興奮で頭が混乱する私。

バチンッ！！！「ひぁっっ」

吊られた太ももにご主人様の鞭が走る。

暗闇に浮かび上がる白い女体
静寂に響き渡る鞭の音。

手で顔を覆い隠している為、痛みに打ち震えながら
ほとんど声をあげることができず悶絶する

バチンッ！！！

バチンッ！！！

私は片足立ちでよろめきながら鞭を受ける。

逃げることもできず耐えるのみだ

そのうち股間にも鞭が入る。
その度に体を震わせる。

私から溢れた蜜が太ももに垂れているのがわかった

少し間を置いて静寂が戻ると

ご主人様の指が私の腰のあたりを

トン・トン・トン

と一定のリズムでゆっくりと打ち始めた

ご主人様は終始無言だったが
私ははっきりとそれが理解できた

ご主人様の指の先には子宮があるのだ

私の子宮に訴えかけているのだった

その刺激に呼び覚まされたように
痙攣をし始める私の子宮

耳元で短くはっきりとした口調で

「逝け」

その言葉を聞いた瞬間

「あぁあぁあぁぁぁぁぁぁあああああああ」

私はご主人様の一言で絶頂に達した

月明かりに照らされた染井吉野が私を見下ろしている

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