|
|
1:祖母・昭子
投稿者:
雄一
女の人の、男子として妙に気持ちをそそられそうな甘い化粧のような匂いを、
僕は鼻孔に感じ、同時に薄くすべすべとした布地の感触を通して、人肌の温み を頬肉の表皮に感じさせられて、茫漠とした気持ちで薄目を開けた。 すぐ間近に人のような気配を感じ、顔を少し動かせて目を大きく開けると、 畳に寝転んでいる僕の身体に、誰かが覆い被さってきているようだった。 開けた目の真ん前に、薄い水色のすべすべとした布地が揺れていて、その布 地の中の人肌の温みが、感じのいい化粧の匂いを含ませて、僕の顔のあたりの 空気をほんのりと包み込んできているのだ。 少し慌て気味に顔を上げた時、僕の鼻先と頬に水色の薄い布地の中の柔らか い肉が触れてきたのがわかった。 居間の畳の上に僕は身体を横たえて、うたた寝よりももう少し深い眠りの中 に落ちていたのだ。 そこへ風呂から上がってパジャマ着替えた祖母が来て、寝入っている僕にタ オルケットを掛けてくれていたのだ。 寝がえりか何かでタオルケットがずれたのを、祖母がまた掛け直してくれる のに身体を僕に寄せてきた時に、僕が目を覚ましたのだった。 「風邪ひくわよ、こんなとこで寝ちゃ」 身体を少し離して、祖母がかたちのいい唇から白い歯を覗かせて微笑んでき た。 「あっ、ごめん。婆ちゃんにおやすみの挨拶しようと思っ てたら、つい寝込 んじゃった」 「そんな気を使わなくていいのに」 「あ、それとね、婆ちゃんにいい忘れてたことあって」 「何、いい忘れててことって?」 「あのね、僕の発見なんだけど…演歌の歌手でね、三味線抱えて歌う人で、 その人の顔が婆ちゃんにそっくりなんだよ。名前はたしか…長山、何とかってい う人。スタイルも婆ちゃんと一緒で小さくて奇麗な人。何日か前にテレビに出て たんで母さんにもいったら、驚いてた。」 「そうなの。婆ちゃん喜ばなくちゃいけないわね」 「ああ、そういえば、婆ちゃんの娘の母さんもチョイ似てるね。でも婆ちゃん はほんとに瓜二つだよ」 「はいはい、もういいから早く寝なさい」 「うん、おやすみ」 他愛のない話を祖母とし終えて、寝室の布団に身体を横たえると、現実の状況 がすぐに僕の頭にもたがってきた。 竹野という男のことだった。 当然に、僕はまだ竹野本人には会ってはいなくて、知っていることといったら、 年齢が祖母よりも二十二も年下の四十二歳で、例の高明寺のお守り役として働い ていて、坊主頭であることと、性格的には自分の書いた下品で下劣としか思えな いような拙文をわざわざ祖母にメールに書き写させて、それを読ませたりとか、 相当な偏執狂のような面があったりという変人的な人物のようである。 祖母のスマホのメール情報では、過去に離婚歴があり、この村へは四年ほど前 に流れ着いたとのことだが、それまでの住まいとか仕事歴はわかっていないよう だ。 祖母との性の関係もそうだが、推測するまでもなく、所謂SM嗜好者であるのは 間違いないようだ。 性の問題は、たかだか十六歳でしかない、著しく若輩の僕が偉そうにいうべき ことでないことはわかっているので、どうこうと意見はいわないが、SM嗜好その ものについては、僕自身は侮蔑や軽蔑の対象外だと胸の奥では密かに思っている。 恥ずかしいことだが、思春期真っ盛りの一年ほど前のある時期、僕は女性の生 理について、唐突に歪んだ好奇心を持つようになり、自宅の便所の汚物入れにあ った自分の母親が捨てた汚物を手に取り、テッシュに包まれたものを開いて、赤 い血や黄色い沁みを見て、訳もなく興奮したことがある。 人はさまざまなのだと僕は思う。 つつましく穏やかで清廉な僕の祖母を、恥ずかしく凌辱し虐げる竹野という人 物には、憎悪や嫌悪や憤怒といった感情が、何故かあまり湧いてきていないこと に内心で少し驚いているというのが、僕の正直な気持ちで、肉親である祖母には 申し訳ないのだが、性行為に伴うSM嗜好への興味の思いのほうが強いのかも知れ ないと恥ずかしながら思っているのだ。 「明日の夜ね、婆ちゃん、また寄り合いがあるの。雄ちゃん、留守番お願いね」 祖母の口から待望(?)の言葉が出たのは、それから三日後のことだった…。
2023/01/27 22:12:19(7WqPo0xO)
投稿者:
雄一
何度か書くが、これまでの僕は友達もいなくて内向的で、引き込み思案の
陰気な性格というイメージが先行しがちのようだが、存外、本人自身はそれ ほどネガティブな思考や、マイナーな気持ちでいつもいるとは思ってはいな い。 身体的にも、身長百七十五センチ、体重六十一キロのまだまだ成長盛りの、 普通の高校生でだと思っていて、ロック音楽やバラード曲も幅広く聴いたり するし、歴史小説に嵌ったかと思えば、漫画のスラムダンクにも一時期夢中 になったことがあったりで、それほどには自分を異質な人間とは全然思って いなかった。 それがこの夏休み、祖母の住むこの奥多摩の、限界集落と揶揄される山村 に恒例的に遊びに来て、ふとしたきっかけで何もかも全てが新しい発見と、 青天の霹靂のような興奮の世界に、まるで時速三百キロで走る新幹線に乗っ たような速さで、僕は身体と頭と心の中に、同じ年代の人間の大半以上が体 験でき得なかった世界の渦の中へ、間違いなく突入しようとしているのだ。 いや、もうこの何日かで、僕は終着駅のわからないレールの上に乗ってい て、驚愕の関門の幾つかを、この目と頭で体験してしまっているのだ。 高明寺の裏庭で目にした大人の男女、熟れた年齢のつつましやかな尼僧と、 四十代のどこといって特徴のない風采の、寺の下男的なお守り役の男との、 淫靡で刺激的過ぎる、肉体と肉体の交わりを図らずもこの目と意識の中深く へ入力してしまっているのだ。 四方を山に囲まれた集落の日没は早いようだ。 祖母が仕事から帰ってきたのは、五時半過ぎだったが、縁側の庭先はもう 陽射しはとっくになく、薄闇のような空気に包まれていた。 僕は今日の午前中の高明寺での、驚愕と興奮の出来事との遭遇など、当然 のように億尾にも出すことはなく、夕食までの間、ちらちらと様子を窺い見 るだけだった。 夜の秘密の外出を控えている祖母だったが、表情には何一つ変わったとこ ろはなく、夕食時の僕との会話でもさりげなく淡々としていた。 「雄ちゃん、あなた夏休みの宿題とかしてるの?」 「やってるよ」 「家にいると、お父さんやお母さんにうるさくいわれるから、ここに来て るんじゃない?」 「違うよ」 「こんな不便なだけの田舎に毎年来てくれて、婆ちゃんは嬉しいんだけど ね」 「ここは空気がおいしい」 と祖母と孫の普通の会話で夕食が終わった時、流し台に食器を運びながら、 祖母が急に何かを思い出したような声で、 「忘れてた。今夜また寄り合いだった」 と、テレビを観ていた僕のほうに向けていってきた。 「あ、そうなの」 と僕はわざと気のないような返事を返し、大人って…と小声で呟いた。 それから約一時間弱、外は完全に夜が更けた頃、祖母が自分の室から出て きたのだが、僕の目は多分、点になっていたのではないかと思う。 祖母は何と着物姿だったのだ。 白に近い灰色の夏用の薄手の生地のようで、黒の細い線が縦に等間隔に入 っていて、裾のあたりに水墨画風に花が目立たないように描かれている。 帯は着物よりも少し濃い灰色だ。 「何それ?」 僕は驚きの思いを胸に隠して、普通に訝るような声でいった。 「き、今日はね、椎茸栽培の組合が出来て五周年らしくてね。人数は少な いんだけど、細やかな祝杯を上げようってことになってるの」 話しながら祖母の視線が、向いていないのがわかったが、 「奇麗だよ、婆ちゃん。センスあるね」 と普通に誉め言葉を送った。 この時の僕の頭の中に浮かんでいたのは、今日の午前の寺での尼僧の法衣 姿だった。 そんな気持ちでいると、祖母の赤い唇が際立って見えるような化粧の顔が、 僕にはひどく欲情的に見えた。 「じゃ、行ってくるわね。留守番お願いね」 下足箱から着物用の履物を出して、祖母は落ち着いた足取りで玄関を外に 出た。 幸いなことに外は月夜のようだった。 それから二十分ほど、観るともなしに観ていたテレビを消して、僕も玄関 に出た。 月の明かりが煌々としていた。 祖母は懐中電灯を持って出たが、朝に下調べも済ませている僕には、この 月明かりだけで充分だった。 何種類かの虫の音や蛙の鳴き声を背中に聞きながら、僕は苦も無く目的地 に辿り着き、杉木立ちの間をぬって、明かりの点いている窓が全部見える位 置にゆっくりと座り込んだ。 二つの引き違い窓と一つの嵌め殺し窓で、そのどれもに網戸があり、全て の窓が開け放たれている。 六畳間が二間続いているようで、外にいる僕から向かって右側に今夜の出 席者が今は集まっているようだった。 この家の住人の竹野という坊主頭の男が、盛んに右往左往しているのが見 えた。 他に男が二人いるようで、室の中央の少し大きめのテーブルで向かい合っ て座っている。 当然に僕には、二人とも知らない顔の人物だ。 一人は六十代半ばくらいの白髪頭で、もう一人は頭の前のほうが大きく禿 げ上がっていて、縁の太い眼鏡が特徴的な四十代後半に見える男だ。 白髪の男はでっぷりとした体格で、ポロシャツに黒のジャージーという軽 装だったが、眼鏡の男はネクタイを締めたスーツ姿である。 二人ともこの村の者ではないというのが、何となくわかった。 そして着物の祖母の姿は床の間を背にした、細長いテーブルの短いところ にあって、色白の小さな顔を伏せ気味にして静かに正座しているのだった。 テーブルの上にはビール三本ほどと、二つ三つの肴用の小皿や小鉢が置か れていた。 僕のいる位置と家の窓の距離は十メートルもなく、竹野やそこにいる男た ちの声も途切れ途切れに聞こえたが、もう少し近づきたいという思いに駆ら れ、僕は思いきって窓下の壁にまで身体を進めた。 杉木立ちのほうからの虫の音に混じって、家の中の声が鮮明に聞こえた。 「山野さんは、その…いつ頃から、こういう世界というか、SMに興味とい うか、関心を持たれたのですか?」 この低い声は白髪の初老の男の声だ。 盗み聞きしている、僕のほうも知りたいと思っていた質問が出て、自分の 胸が小躍りするのが分かった。 「………」 祖母からの返事はなかなかなかったのだが、 「お客さんに聞かれたことは、何でも応えるんだ」 と、これは竹野のような声だった。 「は、はい……」 祖母の小さな声がして、 「あ、あの…も、もう何年も前に亡くなっている夫に……」 と蚊の鳴くような言葉が続いた。 「ほう……で、旦那さんが亡くなってからは?」 「た、竹野さんと……二、二年ほど前に知り合って…また」 「あなた、そんなにお奇麗なのに、再婚のお話とかなたったんですかな?」 「な、何回かはいただきましたが…」 「私も三年前に妻を病気で亡くしていましてね。いやあ、もう少し早くお会いし たかったですな。お幾つでしたかな?」 「…ろ、六十四です」 「ふーむ、とても見えないくらいにお若い」 白髪の男との会話はいくらでも続きそうだったが、遮るようにそこで竹野から声 が出た。 「そろそろドラマの作成に入りたいと思いますので、ご準備をお願いします」 ん?と小首をかしげるような竹野の言葉だったが、その理由は間もなくわかった。 予め台本のようなものが作られていて、竹野を含めた四人で、SMドラマを作ってビ デオ撮影をしようというのだった。 「役名の確認をもう一度しますね。吉野さんがサラ金会社の社長で、古村さんが、 そこの会社の悪徳社員で、私が返済不能になった債務者で、彼女が私の妻というこ とです。台詞はその時々でアドリブでいいですから、皆さん、役になりきって下さ いね」 祖母の思いも寄らない告白とか、祖母を辱め甚振るのを目的としたドラマ撮影と かいったあまりのことの展開に、窓下に屈んでいる僕の気持ちのほうがそれこそ右 往左往させられる展開だったが、ここまできたらもう逃げるわけにはいかないとい う開き直りの気持ちで、僕は見聞の意識を高めることに専念しようと決めた。 煌々とした明るい月が僕の頭の上にあった…。 続く
23/01/30 14:53
(TIa0bRkC)
投稿者:
雄一
「おいっ、奥さんよ。もう待ってください、許してくださいでは済まなく
なってるんだよっ」 これは古村という四十代の眼鏡の男の怒号の声だった。 真に迫ったような迫力のある演技だ。 「す、すみません。ゆ、許してください」 声が小さくて少し聞き取りにくいが、祖母の声だった。 窓の外から顔を上げて僕は中を覗き込んでいる。 祖母は最初に座っていた床の間を背にした位置で、畳に手をつき頭を深く 下げて、恫喝の声を挙げ続けている古村に向かって謝り続けていた。 吉野という初老の男は、ただ平身低頭している祖母の前で、テーブルの上 にどっかりと尻を下ろしていて、室の隅のほうで手首足首を縄で緊縛され、 口をガムテープのようなもので塞がれて転がされていた。 六畳間の間仕切りの中央に、テレビカメラのような少し大きな撮影機が三 脚を立てて置かれている。 もう一台、身体を俯けtままでいる祖母の近くにも、小型カメラが三脚で 据えられていた。 それぞれの顔や表情に、少し不気味な真剣さのような出ていて、窓の外か らこっそりと覗き見ているだけの自分のほうが、何か妙に気まずいような、 面映ゆいような変な気分になってきていた。 祖母のほうがどうなのか、頭を下げているばかりで表情が読み取れなかっ たのだが、他の三人の男たちにはふざけたような表情はほとんどないのが、 ある意味、僕には異様な雰囲気に見えた。 それと全員が演技のようなものに集中しているので、窓から顔を覗かせて いる僕のことなど、まるで眼中に入っていないようだった。 場面設定を要約すると、夫の作った借金を取り立てにサラ金会社の男二人 が乗り込んできているということのようなのだ。 祖母に強い恫喝の声で迫っていた、眼鏡の男がいきなり動いた。 頭を深く下げているだけだった祖母の肩を掴み取り、上体を起こすと間髪 を入れることなく、祖母の着物の襟の中深くに片手を刺し込んだのだ。 小さな声を出して抗おうとする祖母に、 「今日の利息は子の身体でもらうぜっ」 と捨て台詞を吐いて、着物の襟の中の手を荒々しく揺すり動かせてきた。 「ああっ…」 男の両腕で背後から挟み込まれるようにして、着物の襟の奥で乳房を激し く揉みしだかれている祖母の表情が、抗いの気持ちから次第に喘ぎ、悶えの 妖しげな表情に変わっていくのが、窓の外にいる僕にも何となくそう見えた のだが、それが祖母の演技なのかどうかはよくわからなかった。 と、ここでテーブルの上にただ座っていただけの白髪の男が徐に動き出し、 祖母の傍に慌てた素振りで近づいたかと思うと、いきなり分厚い両手で祖母 の小さな顔をわし掴むようにして唇を重ねにきた。 男二人に挟み込まれた小柄な祖母に、逃げ道はどこにもなく、ただ、あっ とかうっとかの短い声を出すしかなかった。 そこそこの時間、二人の男の口と手に寄る唇と乳房への愛撫に、祖母の反 応はもうどこまでが演技で、どこまでが本心なのか、窓の外で見ているだけ の僕には本当に分からなくなっていた。 ふと縄で括られて、畳に転がされている竹野のほうを見ると、ガムテープ を貼られた口を苦しげに動かし、二人の男の激しい愛撫を受けている祖母の ほうを見て、ううっ、ううっと呻き声を挙げていたのだが、それが変に真に 迫っていて、僕な頭は少し以上にぐちゃぐちゃになっていた。 最初は確かに芝居がかっていたのだが、祖母も含めて男三人もどうやら本 気モードに入ってるような、おかしなことだが真剣な表情や動きになってい るのだった。 これもSMの世界の一つの実態なのかどうかは、残念ながらたかだか十六歳 の少年にわかる道理もなかった。 二人の男から、執拗なくらいの凌辱を受けている、祖母のほうに又目を戻 すと、いつの間にか祖母の着ている、薄灰色の着物の襟が大きくはだけられ、 白い肩と乳房の両方が露わになっていて、足元の裾のほうも乱れきって、足 袋の上の素足が膝の関節の少し上まで覗き見えていた。 まるで性に長く餓え、渇望しきっていたかのように、六十代と四十代の男 二人は貪欲に、祖母のいたいけなく白い柔肌を貪り続けていた。 今日の昼間も含めて、一日の間でこれだけの性の淫靡な光景を見せられた 僕だが、不思議にも嫌悪感とか堪能感というものが湧いてはこなかった。 少年そのもので、勿論まだ童貞で、女の身体の何たるかもほとんど知らな い僕だったが、肉親である祖母にも、そして目の前にいる三人の男の人たち にも、嫌悪や侮蔑の思いを持ってはいないというのが正直な感想だ。 そして夜はまだ長く続き、前に祖母のスマホで見た画像の世界を実際にこ の目で生々しく見ることになるのだ…。 続く
23/01/30 18:39
(TIa0bRkC)
投稿者:
(無名)
素晴らしい。次回、期待大です。よろしくお願いします。
23/01/30 21:12
(NSfsUByI)
投稿者:
雄一
「さて、今からが第二部…ですか?」
「うむ、縄師、竹野三郎のお出ましだ」 「吉野さん、ぼ、僕はもう、さっきまでの第一部で、今日の会費の元は取 ったと思ってますよ。…あの人は素晴らしい」 「そうだろ?僕はこれで三度目だが、何度抱いても飽きるということがな い。ふふ、君も彼女に嵌りそうだな」 吉野という六十代の白髪の男と、古村という四十代の眼鏡男とがテーブル に向かい合って、ビールを酌み交わしながらの会話だった。 六十四歳の祖母の小さな身体を、二人は散々に弄び、祖母が上品に着こな していた着物の元のかたちが、ほとんどなくなるくらいに激しく乱れさせ、 淫猥な行為に耽きって、さらにというところで、室の隅で縄で括られ、ガム テープで口を塞がれている竹野の、一際高い大きな呻き声を聴いて、何故か 二人は申し合わせたように行為を中断したのだった。 古村がその場を立ち竹野のところに行き、縄とガムテープを解いた。 何か小声で話し合いながら、吉野と古村はテーブルの元の場所に戻り、竹 野が床の間の前で、ぐったりと身体を伏せている祖母を抱きかかえるように して室を出ていったのだった。 まだ月明かりのある窓の下に、僕は昂まる胸の興奮を抑えなだめながら、 冷やりとする犬走りの上に蹲りながら、室の中の男二人の会話を聴いていた。 「…それにしても、あの肌の艶やかさ、ていうか、肌理の細かい感触は、 誰にもあるものじゃないですね。とても六十代の肌とは思えないくらいの柔 らかさだ」 「そうだねえ。僕もその点は同感だ。吸盤のように吸いつく感じだね」 「この冷たいビールが、何杯でも喉に入っていきますよ。…ところで」 「うん?」 「彼女がお色直しに出る少し前に、竹野氏から何か小さなもの受け取って ましたよね?」 「あ、ああ…あれか。さすがに若い古村君、よく見てるね」 「も、もしかして…彼女の下着?」 「さすがに君は目ざといね。そうなんだよ、彼女が穿いていたショーツだ。 …それもね、このショーツを彼女は四日か五日ほど、ずっと吐き続けている、 いわばレア物なんだよ」 「あ、そうだった。吉野さん、匂いフェチだって前に仰ってましたよね?」 「前にここに来た時から、竹野君に頼んであったんだよ。少々ぼったくら れたがね」 「いいですね、それ。後で僕にも少々ご相伴に預かれますかね?」 「かまわんよ。…あ、そろそろお出ましのようだぞ」 吉野という男のその声を聴いて、僕はそろりと立ち上がり、室の中の様子を 窺い見ると、対面の開け放した硝子戸の端から、着物をきちんと整えられ、顔 の化粧も奇麗にし直された祖母が、かたちのいい唇を怯えたように小さく震わ せながら静々とした足取りで現れ出てきた。 その祖母の薄灰色の着物の上には、真っ赤な色の縄が幾重にも巻かれていた。 手は後ろ手に括られているようだ。 その縄の先をゆらゆらと揺らせながら、白い縮みのシャツとステテコ姿の竹 野が悠然とした動きで、祖母の後ろから歩いてきた。 二人の男たちは、窓の外の僕に背中を見せるだけで、竹野の目の動きだけ注 意していれば見つかる恐れはないと踏んで、僕は中腰に姿勢で好奇の視線を中 に注いだ。 男二人がいる六畳間と続きの間の境の、襖戸の開け放された鴨居の下に、祖 母と竹野の二人が並ぶようにして立った。 赤い縄を身体に幾重にも巻かれて、色白の顔をほんのりと朱色に染めながら、 恥ずかしげに顔を俯けている祖母と、淫猥で狡猾そうな表情を丸出しの竹野の 並びたちは、時代劇ドラマでよく出てくる光景のようだった。 竹野は前で、はしたない興奮と淫靡な期待を膨らませている、二人の客に 向かって恭しく頭を下げると、早速に手にしていた縄を、頭の上の鴨居に投げ 通して、祖母の小さな身体を吊るした。 そして僕もその時まで気づいていなかったのだが、立ち竦む祖母の着物の裾 を割るようにして赤の縄がもう一本出ていて、その先も鴨居の間を通されていた。 昔あった井戸の釣瓶の縄を手繰り上げるように、竹野が少し大げさな動作をす ると、祖母の片足が畳を離れ、折り曲がるように上がってきた。 当然に祖母の着物の裾は大きく割れて、白足袋と細くて白い脹脛が覗き見えて きた。 祖母の朱に染まった小さな顔が、苦しく切なげに歪むのが見えた。 口紅を引き直した唇が小さく割れ、白い歯と短く喘ぐような声が漏れてていた。 竹野の目も、そして二人の男たちの視線も、祖母の妖しく開かれようとしてい る下半身に集中しているので、僕も中腰の姿勢を少し伸ばして、視線をそこに向 けた。 祖母の片足の膝の上あたりに縄は巻かれていて、竹野が客二人を故意に焦らせ るように縄を絞り上げていき、もう脹脛だけでなく、やはり同じように白くて滑 かな太腿の、かなり上のほうまで見通せるくらいになっていた。 眼鏡の古村が少しふざけ気味に、前に身を乗り出し、下から覗き上げるような 動作をして、感嘆の表情を露わにして、吉野のほうに振り返った。 「み、見えましたよ」 と発する古村の声が僕にも聞こえた。 祖母を恥ずかしい片足吊りに固定して、 「いよいよ、ご開帳ですよ」 というのと同時に、祖母の着物の裾を両手で一気にたくし上げてきたのだ。 「ああっ…」 最初に聞こえたのは、祖母の短い喘ぎの声だった。 祖母の白くて細い二本の足がすっかりと露呈し、その足の先の付け根までが 二人の男と、そして少し離れた位置の僕の目にまで、はっきりと見えていた。 と、眼鏡の古村が、一際高い呻き声を挙げたのだが、窓の外にいる僕も思わ ず口に手を当ててしまったのは、祖母の露呈された足の付け根の部分には、あ るべきはずのものがなく、白い肉の裂け目が露骨に見えていうせいだったのだ。 普通の大人の人なら当然に、そこになければならない漆黒の陰毛がなかった のである。 すると古村の横に座っていた白髪の吉野が、少しばかり得意げな表情になり、 「あれは、この前来た時にね。僕が剃髪させてもらったんだよ」 とゆっくりと話す声が聞こえた。 古村の羨ましそうな、また残念そうな横顔が僕にも見えた。 祖母の着物の裾を抱えていた竹野が、 「帯を解きまーす」 とどこかの観光ガイドのような声を出して、慣れた手つきで帯の細紐から解き 出しにかかった。 手の作業を続けながら、竹野が祖母に向かって声をかけていた。 「恥ずかしいか?」 「は、はい…」 「どこが一番恥ずかしい?」 「い、いえません…」 「いえっ」 「は、はい……お、お……こです」 「え?何て?…聞こえなかったよ。皆さん、聞こえました?」 「あ、あの……お、お……まんこです」 二人の男たちより後ろにいる僕には、祖母のその声は明確には聞こえなか ったような気がするのですが、口の動きから推測すると、多分そういったの だと思う。 着物と一緒に竹野は、鴨居から吊るし拘束していた赤い縄も解きにかかっ ていた。 「あ、古村さん、すみません。あのテーブルの上のもの、ざっとでよろし いんで片してもらえますかね?」 竹野がにんまりとした笑顔を浮かべながら、若いほうの古村に声をかける と、了解、と短い言葉を発してすぐに腰を上げた。 白髪の吉野も腰を上げ、テーブルの上のビール瓶や小皿とか小鉢の類を、 室の隅の畳に寄せて片した。 その間は、僕は見つからないように、また冷やりとした犬走りの上で身を 屈めていたのだが、 「はーい、皆さん、こちらへどうぞ。白足袋一枚だけの裸の奥さまですよ」 竹野の例のガイド的な声がしたので、僕も腰を少し浮かせた。 すぐに立つのはやばいので、ゆっくりと様子を窺ってからとする。 「この奥様が、皆さん一人一人にキスをしてほしいそうです。今はっきりと 私の耳元でそういいました。そうだね?」 と竹野の声です。 「づぞ」 という吉野の声に続いて、 「い、いいですか?すみません」 と古村の昂ぶったような声が続いた。 少し様子を窺って、窓下から顔を覗かせると、祖母は白足袋一つの裸身で背 伸びするようにして、眼鏡の古村と抱き合っていた。 顔と顔が強く重なっているのが見えた。 古村は勿論だが、祖母の剥き出しの細い両腕がしっかりと男の首に巻き付け られているのが、何故か僕の胸を打った。 続いて白髪の吉野。 若い古村ほど慌てた素振りはなく、年の功なのか優しく包み込むような雰囲 気が何となく、十六の僕にもわかった。 祖母の小さな舌が吉野の老練な舌に反応しているのか、唇から外へ漏れ出て いるのが、またしても僕の胸の鼓動を強く波打たせた。 二人が祖母の唇を貪っている間、竹野は一時室から出たのだが、何かが入っ たスポーツバッグのようなものを下げて戻ってきた。 「それでは皆さん、こちらへ。昭子もこっちだ」 竹野が物の片づけられたテーブルの前に横に立って、三人を呼んだ。 何が次に始まるのか? 二人の大人の男たちも興味深々な顔でいたが、窓の外で明るい月に照らされ ながら傍観者でいる僕も、胸の中の若過ぎる血を小躍りさせながら…と、肉親 である祖母への微かな憐憫の思いを合わせ抱きながら、目の光を強くしていた …。 続く
23/01/31 17:52
(Wa3jf.bA)
投稿者:
(無名)
いやあ本当にいいですよ。どんどんお願いします。
23/01/31 21:07
(GxDz2kGk)
コメントを投稿
投稿前に利用規定をお読みください。 |
官能小説 掲示板
近親相姦 /
強姦輪姦 /
人妻熟女 /
ロリータ /
痴漢
SM・調教 / ノンジャンル / シナリオ / マミーポルノ 空想・幻想 / 透明人間体験告白 / 魔法使い体験告白 超能力・超常現象等体験告白 / 変身体験・願望告白 官能小説 月間人気
1位不貞妻、淫欲の... 投稿:龍次郎 19330view 2位そして、妻は甥... 投稿:ダイエットキング 12945view 3位狙われたオバサン 投稿:スケベおやじ 8206view 4位人妻課長 美樹 投稿:ミキ 5613view 5位引っ越す元人妻 投稿:コンビニ店長 5440view 官能小説 最近の人気
1位ショッピングモール 投稿:純也 148580view 2位幼なじみの母親 投稿:ナオミチ 1122248view 3位不貞妻、淫欲の... 投稿:龍次郎 19329view 4位そして、妻は甥... 投稿:ダイエットキング 12943view 5位マゾだった姉、... 投稿:ナオキ 1531930view 作品検索
動画掲示板
画像で見せたい女
目の前で-露出画像掲示板 - 画像見せたい女 04:16 いーれて-露出画像掲示板 - 画像見せたい女 01:29 おかず-露出画像掲示板 - 画像見せたい女 00:39 淫乱主婦です-露出画像掲示板 - 画像見せたい女 00:22 その他の新着投稿
妹と最後までしてしまうかも-近親相姦 願... 02:59 N県M市11月30日早朝-下着を置く女/... 01:49 あつあつ-SM調教・緊縛画像掲示板 00:34 置き縄 名は-下着を置く女/九州.沖縄 00:13 クリオナ言葉責めされたい-オナニー実況 25日23:23 人気の話題・ネタ
ナンネット人気カテゴリ
information
ご支援ありがとうございます。ナンネットはプレミアム会員様のご支援に支えられております。 |