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水田 莉子(みずた りこ)34歳、主婦。小学六年生の娘 優希(ゆうき)と二人暮らし。シングルマザーというわけではなく、夫は単身赴任で出張中のため、土日にだけ顔を合わせる程度になっている。
8月のある日の午後、娘の帰宅に合わせて買い物をしに近所のスーパーへ出かけた。 じっとしていることが苦手な性格からか、一人単身赴任先で頑張る夫のことを思ってか、日中の短い時間はカフェのパートに出ることもあった。サラッとした黒髪をショートボブにし、あえて控えめなピアスをつけている。153cmと比較的小柄でありながら、健康的でスレンダーな体をした彼女は、34歳という実年齢より若く見られることが多く、顔立ちもモデルと言われれば納得してしまうほど整っていた。広瀬すずや西内まりやに似ていると言われたこともあったが、当の本人は「お世辞が過ぎる。」と、まったく気にしない様子だった。彼女の唯一のコンプレックスはBカップの胸だったが、その小ぶりな胸も彼女を若く見せる一つの要因になっていた。 この日も、何人かの男から視線を感じる。 しかし彼女からしてみればそんなことは慣れっこだった。それを嫌がることも、自慢することもなく、彼女はまっすぐに生きていた。いつも感じる視線をよそに、娘と食べる食事の献立を考えることを優先させていた。 午後4時頃帰宅。あと1時間もすれば娘が帰ってくるはず。早く食事の準備を始めなければ・・・テレビでは巷のニュースがだらだらと流れていたが、彼女はそんなニュースやドラマをだらだらと観るのが好きだった。外へ出れば、気を使って過ごすことが多いことからの反動なのか、つかの間の休息を彼女はとっていた。 買い物に行くときに来ていたカジュアルなジャケットを脱ぎ、黒のTシャツに着替える。デニムはわざわざ脱ぐのも面倒だったので、そのまま。完全に部屋着といったスタイルだった。 「優希ちゃんまだかなー・・・今日はコロッケにするから、少し手伝ってもらいたいんだけどな・・・。あ、でもまずは宿題やらせなきゃいけないし、やっぱ私がやるしかないかー。」 比較的若い年齢で産んだ娘。彼女はそんな娘、優希のことを愛していた。 女同士だから、友達同士のような会話になることもしばしばだが、母親としてしかるべきことはしかる。お世辞ではなく、莉子はとても良い母親だった。 娘の優希はと言うと、母親に似て比較的小柄な背丈、胸。そしてスタイルが良く、歯に絹着せぬサバサバとした性格の優希は、クラスでも中心的な役割になることが多い活発な女の子だった。 そして、優希もまた、友達のようでありながら自分を守ってくれている莉子のことが大好きだった。 ・・・・・ピンポーン チャイムが鳴った。 (あ!優希、かえってきたかな・・・部活のない日だっけ?) そんな思いがあったため、特に返答はせず玄関まで向かった。・・・しかし気配が違う。優希なら、なんというかもう少し落ち着きのない気配がドア越しに感じられるのだ。不必要にドアをノックすることもしばしばである。 ドアの覗き穴を覗く莉子。すると、そこに立つ帽子をかぶった作業着姿の20代と思しき男性。帽子を深くかぶっているのではっきりとは分からないが、爽やかでナチュラルな笑顔と、おそらく先ほどまでなにかの作業をしていたであろう薄汚れた作業着に白い軍手。右手には、何かの修理や作業に使う道具類が入っていると思われる大きめの黒いカバンを持っていた。莉子と優希が住んでいるのはマンションの一室のため、何かの業者がメンテナンスに落とすれることは、考えられないことではなかった。 優希は少し後悔した。別段育ちがいいというわけでもなかったが、他人への挨拶などについては母親からきちんとしつけられた記憶があった。娘の帰宅時間とかぶる時間でなければ、もっと愛想よくしながらドアのところまで行ったのに・・・。 「あ、はーい!今開けまーす・・・」ドアチェーンなどは掛けない。無用心と言われればそれまでだが、比較的田舎ということもあり、犯罪などの噂も聞いたことがなかった。なにより莉子自身が、そんなことを考えたこともない、幸せな家庭で育っていたのだ。 キィ・・・ 少しの音を立ててドアが開かれた。 ・・・・・・・・・そこから先の記憶が曖昧だ。 ・・・・・意識を取り戻した時には、全てが手遅れだった。 「・・・ん・・ぅん?・・・っぅむんん!?んーー!!」 初めに気づいたのは、口の違和感だった。口腔内に何かハンカチのような布を詰められている。そしてそれを吐き出せないように、真ん中に結び瘤のついた手拭いのような布を噛まされ、首の後ろできつく結ばれている。目にはタオルのようなものが巻きつけられており、彼女の瞳には暗闇しか映らない。 「ん・・!むぅ・・・・・んっ・・」 どんなに声を出そうとっしてもくぐもった声にしかならない。それでも必死に口に詰められた布を吐き出そうと舌を動かすうちに、その形状や材質から自分の口に詰められているのは、自分の仕事用カバンの中に入れていたタオルハンカチではないかと予想がついた。そんなことが分かっても、事態は一切好転しないのだが、意図せず莉子は気づいてしまったのだ。 (こ、これ私のタオル・・・なんだよもう!ちょっとお気に入りだったのに・・・友達にもらったやつなのに・・・) (てか・・・これって さるぐつわ ??ほんとに声出せない!ドラマとかと違う!!) 彼女のお気に入りのタオルは、彼女自身の唾液を吸収し、声を出す自由を効率的に奪い続けていた。また、彼女の口を割る様に噛まされた瘤付きの手拭いは、瘤が口腔内にすっぽりと入ってしまうほど深く噛まされており、いくら口を動かしてみても、自力で外すことは叶わないようだった。その手拭いの瘤付近にも、じんわりと莉子の唾液が染み込みつつある・・・ 以前ドラマなどで見た さるぐつわ とはあまりに違う凶暴性に、莉子は戸惑い、困惑していた。 口と目の違和感に気づくのとほぼ同時、少しだけ遅れて莉子は自分の手足が厳重に縛られていることにも気が付いた。 ギチ・・ギッ・・・ギリ・・・・ 「んん・・・んく・・・・・っ!」 おそらくは、手足ともにロープのようなもので縛られている。 両手は背中に回され、高い位置で手首をきつくひとまとめに縛られ、莉子の小ぶりな胸の上下にもきっちりと縄が掛けられている。手首だけでなく腕全体の動きも封じているため微動だにできない・・・こんな状況化において皮肉にも、きつく縛られた縄によって、莉子のコンプレックスである胸は大きく強調されていた。 下半身も、厳重に縛られている。シンプルではあるが、足首、膝の下、膝の上をそれぞれロープのようなものできつく縛られ、上半身以上に、まるで下半身が一本の棒になったかのように全く動くことができなかった。 「んん・・・ぅんんんんーー!・・んんっ!」 もちろん、タオルで目隠しをされているため全ては莉子の感じている情報からの想像に過ぎないが、概ね、莉子の想像、予想は当たっていた。補足をするならば莉子の口に噛ませている瘤付き猿轡は豆絞りの手拭いを使ったもの、口に詰めている布は予想通り莉子の仕事カバンに入っていた薄ピンクのタオルハンカチ、目隠しのタオルも莉子の持ち物、引き出しにしまってあった黒のフェイスタオル、体と手足を縛っているのは艶やかな質感の麻縄であった。 「んーー・・・・っ」 (なんだこれは・・・・・まって、何があった、今何時、えーーと・・・) (あ!・・・そういえば・・・・・・・・・・) 時間はおよそ一時間強、遡る。 「あ、はーい!今開けまーす・・・」 キィ・・・ 少しの音を立ててドアが開かれた。 そこには覗き穴から覗いた印象と同じ20代後半くらいの好青年が立っていた。額に少しの汗をかき、おそらく以前から薄汚れてはいるが、洗濯したてであろう作業着が好印象を与えた。 「こんにちは!水田様のお宅でお間違いなかったでしょうか?」 「あ、はい。そうですが?」 莉子がそう応じると、男は名刺を差し出した。 「はじめまして!私TNソリューションズの桑田と申しまして・・・」 「あ、はい・・」 「今回、こちらのマンションでガス漏れ検知器のチェック実施するようにとマンションのオーナー様から依頼されておりまして、法定規則で決まっているように、各階、無作為に選択させていただいたご家庭にお邪魔させていただいております。機器のチェックをさせていただきたいのですが、今少々お時間を頂戴させていただくことは可能でしょうか・・・?」 「あ、えーと、今から晩ご飯の支度をしたいので・・・うーん・・・」 少しだけ面倒くさいなと思った莉子は、自分でも理由になっていないとわかる理由を口にしてしまった。 「左様でございますか・・・お忙しいとは存じますが、チェックは5分程度で終了いたしますし、法定規則でチェック実施の時期ということは、万が一ということも考えられます。なんとかお願いできないでしょうか・・・」 おそらく、この人も会社の上司に言われて作業に来ているんだろう。それにもし今ここで拒んでも、後日また迎え入れるということにでもなったらそれこそ面倒くさい。 「あ、そうですよね・・分かりました、どうぞ、お願いします!・・・ごめんなさい、すぐ終わるんですよね?」 「はい!ありがとうございます。何事もなければ5分もかからず終わるはずです。よろしければ、検知器の場所までご案内いただけますでしょうか?」 「はいはい、どうぞー・・・」 莉子と作業着の男が部屋の中に入る。その直後・・・ ガチャリ・・・ 「?・・・あ、ドアの鍵・・・ご丁寧にどうも。」 莉子がそうする前に、男は玄関のドアの鍵をかっていた。 「いえいえ。お気になさらず・・・。検知器は・・・?」 「あ、はいこちらですっ・・」 心なしか、先程よりも男の表情が暗い気がした。でもまぁ、仕事モードになって真剣な表情になったのか、と都合よく自分を納得させた。 検知器・・・たしか台所の壁?いや、足元だったか・・・そんなことを考えながら男に背を向け、台所の方向へ1歩、2歩、3歩・・・ ・・・・・・ドサッ・・・ 莉子の背後で物音がした。 男が右手に持っていた黒いカバンが莉子の頭をよぎる。 ・・・あれ、この人カバン落とした・・・・・ ・・・・・・・・。 そう思った次の瞬間、背後から伸びてくる軍手・・・その右手が持っていた厚手のタオルハンカチが素早く、しかし確実に、莉子の口と鼻を覆った。 「っ!?・・・んんんんっ!!!!?むぅーー!・・・ふぅぅぅんん!?!?」 あまりに突然の出来事に、莉子は驚き、身をよじって逃げようとしたが、男は余った左手で莉子の小柄な体を腕ごと押さえつけてきたためわずかな抵抗しかできない・・・。とにかく、小柄で華奢な莉子と作業着姿の男とでは、圧倒的に力の差がありすぎる・・・! ・・・というか、この状況を一瞬で理解できるほど、莉子は特殊な経験があるわけではなかった。反射的に逃げようとはしてみたものの、なぜ自分が口を塞がれているのかを理解するのには2秒ほど時間を要した。 「んっ!・・・く・・・ぅむんんんんー!!・・・んー!んんー!!」 (この人何を・・・何でハンカチで私の口を!?え、検査はウソ・・・強盗!?) (しかもこのタオルなんだか湿ってる・・・薬品?・・・これってもしかしてドラマとかで見るクロロホルムってやつ!?・・・やだっ!!眠らされちゃう・・・!!!) 莉子の口と鼻をタオルハンカチでぴったりと塞ぎ続ける男は、その両腕にさらに強く力を込めた。 「んうぅ・・!むぅぅ!!」 (やめて!・・・この状況じゃ、声もあげられないし、呼吸するたびにタオルに染みた薬品を吸い込んじゃう・・・!誘拐される人ってこんな気持ち・・・って!!逃げなきゃだよ!!!) 莉子がもう一度気力を振り絞ろうと決意した瞬間、男は体重をかけ、莉子をうつぶせの状態に組み伏せた。そして素早く莉子の左腕を背中に回し、関節を極めるような体勢をとった。男は背中側から右手のタオルハンカチで莉子の口と鼻を塞ぎ続け、莉子が悲鳴を上げるチャンスを一瞬たりとも許さない。 「ん!!・・・んぐっ・・・・ぅうんんんん!!んーーーー!!」 (痛っ!・・・やばい動けない・・・なんかちょっと体動かなくなってきてる・・・?) 男は左腕を極め、右手でクロロホルムのしみ込んだハンカチで莉子の口と鼻を覆い続けながら身をかがめて莉子の耳元でゆっくりと、先ほどとは別人のように冷静な声で話し始めた・・・。 「大丈夫だよ、莉子さん。殺したりはしない・・・。」 「んん!?・・・」 (この人何で私の名前・・・) 「左腕、痛くない?」 「ん・・・・・・」 (痛いよ・・・) 「このタオルハンカチ、クロロホルムっていう薬が染み込んでるんだ・・・苦しくないように嗅がせてるから、ゆっくりと吸い込んでね・・・。」 「んーー・・!っむううう・・・」 (やっぱり・・・!目的は何なの・・・) 「薬は効いてきたかな・・・?タオルで口と鼻を覆われてる莉子さん、ゾクッとするくらい奇麗だよ・・・。」 「ん・・・むうぅ・・・」 (やばい、ヤバい、ヤバイ・・・) 「あ、今日はこのあと・・・優希ちゃんも帰ってくるよね・・・?」 「・・・!?んんんんぅむんむうぅーー!!」 (優希!?この人優希のことも知ってるの・・・!?) 「大丈夫。優希ちゃんにも乱暴なことはしないよ・・・。ただ、莉子さんは眠っている間に縛らせてもらうね・・・。もちろん、声を出されちゃ困るから、猿轡も、ね・・・。」 「んん・・・んむ・・・・・・・」 (私、縛られる・・・さるぐつわ?・・・・・・優希、来ちゃダメ・・・・) 「おやすみなさい・・・。莉子さん。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 (ゆ・・・う・・・・・・・・) 男は周到で、莉子が完全に沈黙してからも2分ほど、タオルハンカチを口と鼻から離すことはなかった。 莉子が完全に意識を失ったことを確認した男は、宣言通り、莉子を縛りにかかった。持参した黒いカバンの中には文字通り作業用の道具が入っていた・・・麻縄、手錠、ガムテープ、手拭い、ハンカチ、タオル、インシュロック等々、そしてクロロホルムの入った小瓶と、すでにクロロホルムが染み込んでいると思われるタオルハンカチが入ったジップロック・・・。クロロホルムは揮発性の液体なので、薄手の所謂ハンカチよりもタオルハンカチの方が勝手が良い。男は確実に標的の意識を奪う方法を熟知していた。 続く。 「さて、と。」 男は意識を失った莉子を“お姫様抱っこ”をしてリビングに運び、絨毯の上に寝かせた。そして黒いカバンの中から麻縄を取り出し、二つ折りにして軽くしごく・・・。 シュル・・・シュル・・・・・・・・・・・ 縄尻をそろえ、二つ折りにした頂点に結び目を作り、仮止めをしておく。 そうしてこしらえた縄を二束用意し、一つを傍らに置いた男は、うつぶせのまま莉子の両腕を背中に回し、その手首に縄を巻き付けていく・・・。 仮に、この時点で莉子が目覚めたとしても、手首に縄が巻き付いた後ではもう間に合わない・・・最後のチャンス、ターニングポイントを、無抵抗のまま超える・・・ 二重に巻き付けた縄を固定し、縄尻を左脇の下から首の後ろを経由し、右の脇の下から背中側に戻す・・・。更に手首の縄と連結し首の後ろに渡した縄にくぐらせ、再度手首の方へ“引き下げる”・・・ シュッ・・・・・ミチ・・・・・ミチッ・・・・・・・・・・・・・ こうすることで莉子の手首は背中の比較的高い位置で固定され、縄抜けが困難になる。 ここから、男の動きは迅速だった。不必要な飾りは排除し、ただ抵抗すること、逃げることを、物理的、精神的に不可能にする縛り・・・緊縛と言うよりは、野暮な話 捕縛に近いかもしれないと、男は自らを皮肉った。 手首を固定した縄を莉子の小ぶりな胸の上下に回す・・・。強く縛りすぎては血行障害の恐れもあるし、緩すぎて縄がたわんでしまっても興ざめだ・・・。男は“縛る”のではなく、“掛ける”ことを意識していた。 胸の上下に二回ずつ、背中側で締め上げ、固定しては縄を掛ける・・・それぞれ四本ずつの縄が、莉子の胸の上下を這う・・・ 胸縄の下側の縄には、しっかりと“閂”を掛ける。脇から通し、閂をした縄は莉子の背中側で仮止めし、最後は正中線を走る縄に複数回巻き付け、収納した。 次は、下半身・・・。 特に、飾った縛りはしない・・・。と言っても、足首だけを縛るような”手抜き”もしない・・・ 男は新たな麻縄を取り出し、莉子の足首に、一回、二回・・・三回ほど巻きつけ、固定。そのまま縄尻を伸ばし、膝下、膝上も厳重に縛り上げていく・・・。もちろん、それぞれの箇所に縦縄、閂・・・。気付けば、下半身だけで二束の縄を使っていた・・・。 「・・・うん。莉子さんはスポーツも好きだからね・・・。これくらいしないと、縄抜けへの希望が湧いちゃうから・・」 男は、莉子の特性も熟知していた。 ・・・次に猿轡の準備に取り掛かる。 男はあたりを軽く見まわし、ソファの上に置かれた莉子のカバンを発見した。ブランドものではない、革製品でもない・・・シックとは真逆とも言えるグレーのフェルト地の小さなカバン。カジュアル?ポップ・・・?ファッションに疎い男には分からなかったが、莉子の持ち物としてとても似合っていることだけは分かった。 カバンをのぞき込むと、財布、ポーチ・・・あった!・・・想像していた通り、莉子はしっかりとハンカチを持ち歩く女子で、その日も派手ではない、しかし品のある小ぶりな薄ピンク色のタオルハンカチが鞄にそっと収められていた・・・。莉子にとっては普通のことでも、男はそれを大変うれしく、愛おしく思った・・・。 「うん、そうだよね・・・声をできるだけ抑えたいから、口に詰め物は欠かせないんだけど、不潔な布切れとかじゃ嫌だもんね・・・?莉子さん・・・・・・?」 男はタオルハンカチをつかむと、絶望的、機能的に縛り上げた莉子の口元にそれを近づける・・・・・・ すぅー・・・・・・すぅー・・・・・・・・・・・ 莉子の寝息が聞こえる・・・。今はこんなに従順だが、目を覚ました時にはどのような反応をするのか・・・男は少し想像し、若干の笑みが溢れた・・・。 ハンカチを詰めようとしたとき、自然に莉子の髪、首筋に男の顔が近づく・・・ 「・・・良い匂いだね・・・莉子さん・・・。」 一言呟くと、莉子の口腔内に自身のハンカチが詰め込まれる・・。当然、意識を失っている莉子は反応することができない・・・ ハンカチの全てが莉子の口腔内に収まると、男は再度黒い鞄を探った・・・ 豆絞りの手拭いだ・・・・・・・・。 男は取り出した手拭いを器用に細くまとめ、その中心に結び瘤を一つ作った・・・。そしてその結び瘤を莉子の口に咥えさせ、首の後ろできつく結ぶ。”猿轡を噛ませる”と一言で言えばそうだが、莉子に施した猿轡は、機能性、そしてその見た目の美しさも、高次元で両立されていた。 「綺麗だよ、莉子さん・・・・・・・。最後に目隠しをさせてもらうから、ちょっとタオルか何か探してくるね・・・。」 そして男はリビングにあった小さめで、可愛らしいタンスの引き出しをいくつか調べた・・・ 靴下の棚・・・・・・Tシャツ類の棚・・・・・・ブラジャー、パンティの棚・・・・・・ハンカチの棚・・・・・・! 「あ・・・この棚はいいね。・・・うーん、左側が莉子さんのハンカチで、右側が優希ちゃんのハンカチに分かれてるのかな?・・・うん、莉子さんも優希ちゃんも、タオル地のハンカチが好きなんだね・・・柔軟剤かな?いい匂いがする・・・」 独り言を言った男は少し間を置き、”右側=優希のハンカチ”からブルーのタオルハンカチを一枚取り出し、ポケットにしまった・・・。 やがてフェイスタオルの棚を見つけた男は、黒いタオルを手に取り、手足を縛られ、厳重な猿轡をされた莉子の目に巻きつけ、後頭部でしっかりと結んだ・・・。 突然背後から、タオルハンカチで口を塞がれ、意識を奪われた・・・どんなに抵抗しても、無駄だった・・・手足を縛られ、猿轡、そして目隠し・・・。厳重に拘束された莉子をソファの上に寝かせ、男はその姿を見つめていた・・・。 「早く目を覚ましてね・・・嗅がせた薬は特別に調節してあるから、効果はそんなに持続しない・・・。目を覚ましたら、楽しもうね・・・莉子さん。・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ そして、現在の莉子・・・。 「んん・・・・ん・・・・むんんぅぅ・・・・・・・・・・・・」 (そうだった・・・私、いきなりハンカチを口に当てられて・・・匂いがして、体が動かなくなってって・・・・・) (と、とにかく逃げないと・・・・) 「んん・・・っ!くっ・・・・・・・・・・・・・・・・」 莉子は、不自由にも背中に回された両手を自由にしようと必死にもがく・・・。 ギリ・・・ミチミチ・・・・・・・・・・ 手首を動かしても、僅かに動く指先で結び目を探しても、腕に力を入れてみても、後ろ手に縛られた両手は一切自由になる気配がない・・・。 「んん・・・・・・・・・ぅんんーーーーーーー!!」 (ダメだよ・・・全然動かない・・・足なんてもっと動かないし・・・口だけでも自由になれば助けが呼べるのに・・・っ!) 莉子は、ハンカチを詰められ、瘤付きの手拭いを噛まされた不自由な口を、必死に動かした・・・。 「もぐぅ・・・・ぅむむん・・・・・・・・・・」 (くっ・・・きっつい・・・・・・なにこれ!?・・・・・・・) 詰められたハンカチ(そもそも莉子自身の持ち物なのだが・・・)を舌で押し出そうとしても、きつく噛まされた手拭いがそれを阻む・・・。あるいは猿轡を噛まされた直後であれば、ある程度の効果も期待できたのかもしれない・・・しかし、莉子が緊縛され、厳重な猿轡を噛まされてから一時間以上・・・詰め込まれハンカチは莉子自身の唾液をたっぷりと吸い込んでおり、まるでハンカチ自身が意思を持ち、莉子の口から外に出ることを拒んでいるかのようだった・・・。噛まされた手拭いにも、瘤の部分を中心に唾液が染み出して来ていることを、唇の端で莉子自身も感じ取っていた・・・。 「んむぅ・・・・・・・んぐむぅぅぅ・・・・・・・・・・・・」 (とれないよ・・・どうしよう・・・・・・なんかこの布も濡れてきてて気持ち悪いし・・・) このときの莉子の頭の中には、”縛られた手足を自由にする”、”猿轡を外す”といった、この状況に対する対応策しかなかったのかもしれない。そんな莉子自身も気がついていない、いや、冷静にさえなれば、あるいはこんな緊迫した状況下でなければすぐに考えつく”道筋”を、すぐに、身を以て知ることとなる・・・ 「んんーーー!むぅんんんううーーーー!!・・・・」 手足の拘束から逃れることを諦めたわけではない・・・。ただ、いろいろな可能性を試しているだけで、猿轡を噛まされて不自由とは言え、最大限に大きな声を出したら誰か気づいてくれるかもと、淡い期待を込めて、タオルハンカチ、手拭い”越し”に莉子は叫んだ・・・ 「んんーーーーー!!むううんんんっっーーー!!!」 トスン・・・ 「・・・っ!?」 莉子の背後で、具体的には背中の数センチ後ろで、気配がした・・・信じたくないが、経験上、おそらく靴下を履いた人間が床に腰を下ろす音・・・ この瞬間、莉子は自身の考えの浅さ、甘さを悔いた・・・。 (私の猿轡・・・?縛られた手足・・・?いや、大事なのはそこじゃなくって・・・) (考えもしなかった、勝手にあの男が・・・あの男がお金目当ての強盗と決めつけていた・・・助けを呼べば助かると思っていた・・・) 膝が、縛られて不自由な体が細かく震える・・・ (く・・・っ・・・。今になって頭の中にいろんなことが、可能性が・・・そもそも私は何時間眠らされていたの・・・?そんなことより、考えたくもない・・・最悪な記憶・・・) (私の口をタオルハンカチで塞ぎながらあの男・・・おそらくは今私のすぐ後ろに座っている男は、こう言った・・・。) ---------------------------------------------------------------- ・・・男の手は私の口を塞いでいる・・・ 「あ、今日はこのあと・・・優希ちゃんも帰ってくるよね・・・?」 「・・・!?んんんんぅむんむうぅーー!!」 (優希!?この人優希のことも知ってるの・・・!?) 「大丈夫。優希ちゃんにも乱暴なことはしないよ・・・。ただ、莉子さんは眠っている間に縛らせてもらうね・・・。もちろん、声を出されちゃ困るから、猿轡も、ね・・・。」 「んん・・・んむ・・・・・・・」 (私、縛られる・・・さるぐつわ?・・・・・・優希、来ちゃダメ・・・・) 「おやすみなさい・・・。莉子さん。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 (ゆ・・・う・・・・・・・・) ---------------------------------------------------------------- (・・・そう、この男、優希のことを知っている・・・!私が眠っていたのが二時間以下だとしたら、最悪・・・そうでなくても・・・小学六年生の女の子だ・・・私が監禁されている“この部屋”に帰ってくること以外、選択肢はあるのだろうか・・・・・・・・優希・・来ちゃだ・・・・・・・・・・・・・・) 「おはよう・・・。莉子さん・・・。」 ・・・スッ・・・・・・・・ 「・・・っんんぅうんんんん!!!???」 莉子が驚いた理由は、何も突然話しかけられたからだけではなかった・・・ 男は、莉子の縛られた背中にほぼ密着する形で座り込み、耳元で言葉を発した・・・ そしてそれと同時に、あろうことか縛られて一切の抵抗ができない莉子の胸・・・Bカップで、莉子の唯一のコンプレックス・・・しかし今は麻縄によって強調されたその両胸を覆うように手で触れた・・・ 「っん!・・・ふんんんんぅぅぅ・・・・・・」 (やめて!・・・くぅ・・・) 「想定の範囲内だけど、意外と早く起きたね・・・莉子さん・・・?」 「んんん・・・・・・っ!ふむぅぅ・・・・・・・・・」 「いつも見てたけど、実際会ってみるとやっぱりいい匂いだね・・・健康的な胸も、思っていたよりもずっと柔らかい・・・」 「んー・・・んんん・・・・・・・・・っ?!?!?」 「ん?もしかして今気づいた・・・?あのね、りこさんが眠っている間に、莉子さんのブラジャー、外させてもらったんだ・・・でも安心して?下半身なんて完全にノータッチだし、それ以外何もしてないから・・・」 「んーーーーーー!!!むぅーーーーーーーー!!!!!!」 莉子は首、体を必死に左右に振って抵抗した・・・。それもその筈、縄を解いてもがいていた間、胸に触られた瞬間には分からなかったが、何の理由かは分からないが、男はりこのブラジャーを外し、再度莉子にTシャツを着せた上で厳重に縛り上げているのだ・・・。するとどうだ、男は単に莉子の胸を触っているだけなのだが、その掌、指先、関節・・・すべてが莉子の乳首に触れて通過してしまうのだ・・・ 「んーーーー!!!!ふんんんんんんっーーー!!!!!」 「莉子さん・・・怖いですか・・・?」 「ふぅぅんんん!!むんんんーーーー!!!・・・」 「会話になりません・・・莉子さん、危害を加えるつもりはありませんよ・・・?」 「っんん・・・むんーーーー!!!!んんんんーーーーーーーーー!!!!!!」 「莉子さん・・・」 莉子が半ば半狂乱になって叫ぶのも無理はない、緊縛され、口を塞がれ、視界も・・・そんな抵抗が絶対不可能な状況下において、性的な辱めを受けているのだ・・・。 ・・・犯される・・・・・・ 莉子がそう考えるのも無理はなかった・・・。莉子には分かるはずもないことだが、男にはそんなつもりは一切ない・・・。その目的、最終到達地点は、男自身にさえ完全に分かっているのか・・・ 「んんーーーーっっ!!ふんんむぅぅぅ・・んんん!!!」 「莉子さん・・・ふぅ・・・」 男は立ち上がり、部屋の隅にあるタンスに歩み寄り、ハンカチの棚を見つけ、引き出す・・・ 右側、優希のハンカチのあたりから、適当に白色のタオルハンカチを抜き取った・・・ そして素早く莉子の背後に再度ポジションを取ると、そのタオルハンカチで、猿轡を噛まされたままの莉子の口と鼻を塞いだ・・・! 「ぅ!?むぅんんんんんんん!!!!!!!!!・・・むぅーーーーー!!!・・・」 「うるさくしすぎると、また眠ってもらうことになるよ・・・いいの?このまま、抵抗できないまま眠らされて・・・?」 「んんっ!・・・・・・・・・・・・」 莉子は首を左右に振って、最低限の意思を伝えた・・・。 「うん、分かってくれればいいんだ・・・莉子さん。ごめんね、怖がらせて・・・今莉子さんの口を塞いでるハンカチは優希ちゃんのだよ・・・当然、クロロホルムも染みこませてない・・・薬の匂いしなかったでしょ・・・?」 「まぁ、それはいいとしてね・・・」 男は白色のタオルハンカチを床に置くと、そのままの流れで、当たり前のように莉子の胸を再度愛撫し始めた・・・ 「ん・・・くむぅぅう・・・・・・・・・んっ・・・・・・・・・・・」 間を置かれると、男の乳首責めも一層効果が現れた・・・。 柔らかく、責めるといいうよりは自然に、乳首と、莉子の小ぶりな乳房自体を愛撫する・・・ 男は語りだす・・・ 「話を戻すよ・・・莉子さん・・・。」 「ふむぅ・・・・・・・・・んんっ・・・・・・・・・・」 (もう・・・なんでブラを・・・乳首めっちゃ来るんですけど・・・くっ・・・感じる・・・) 「端的に言うと、僕は以前から莉子さんのことを知っています・・・。ストーカーとは違います、たまにあなたのことを思い出したり、駅で見かけたり、スーパーで見かけたり・・・・・・。普段は仕事をしているので、勝手に恋をしている・・・という表現が一番近いのでしょうか・・・?」 男は、話をしている最中も、一切莉子の胸を触る手の動きを止めない・・・まるで指の一本一本が目の見えない生き物かのように、莉子の乳首を求める・・・ 「ふん・・・・・・・?むむむむむんんぅ・・・・・・・・・・・・」 (ストーカー・・・?でも・・・そんなことより・・・乳首が・・・くっ・・・・・) 「それでね、さっきも言ったんだけど、このあとの段取りがあるからね・・・ちょっと目隠しを外すね・・・」 「んん・・・?」 (段取り・・・?) 男は、莉子の目に巻かれた黒のフェイスタオルをゆっくりと外した・・・ 「ん・・・・・・・・」 久しぶりの光が、莉子の目に染みた・・・ フェイスタオルには、莉子の涙と思われる液体がしっとりと染みており、それを裏付ける涙の跡が莉子のまぶたに残る・・・ 光に目を慣らすために、無意識に辺りを見回した莉子の目に、男の姿が映り込む・・・ 作業着姿は先程と変わらないが、その首から上・・・本来顔があるべき場所が真っ黒だった・・・目出し帽?とは違う、真っ黒なのだ・・・。 男の真っ黒な顔に気を取られた莉子・・・男は、外したフェイスタオルの目隠しを、猿轡を噛ませた莉子の口と鼻を覆うように当て、首の後ろできつく結んだ。いわゆる被せ猿轡だ・・・。 はたから見れば、莉子は手足を縛られ、口に黒いタオルを被せられているだけなのだが、実際はまたく違う厳重な戒めが出来上がっていた・・・。 「んむうぅ!・・・・んぅぅ・・・・・・」 (苦しいっ・・・・この上タオルとか・・・・) 今までよりも一段階、こもった声で呻く莉子・・・ 「さ、莉子さん、予定なんだけど、このあとちょっと静かにしててもらいたくて・・・そのためにタオルで二重に猿轡もさせてもらったんだけど・・・ま、分かるよね、優希ちゃんがそろそろ・・・」 「・・・!!んんんっ!!!むぅぅーーーー!!!!!」 (そうだ!優希!!この人・・・、まさか優希も・・・・・いや!それだけは・・・) ピンポーン・・・ 迅速。男は縛られた莉子を再度お姫様抱っこし、リビングの隣、寝室へ運んだ・・・。 その間、莉子は今までにない抵抗を見せた・・・ 「むぅぅぅぅんんんんん!!!!!!!んんんーーーーーんんーーーーーーーーーーーー!!!!!!」 (やだ、だめ!優希・・・お願い・・・優希!来ちゃダメ・・・・・・・・・・) ドスン・・・・・・・ 男は莉子をベッドに寝かせると、ポケットから優希のブルーのタオルハンカチを取り出した・・・。そして自身の黒いカバンの中からクロロホルムの小瓶を取り出し、そのハンカチに染み込ませる・・・。 トプン・・・トプン・・・・・・ 「!?・・・んんっ!!!」 薄暗い寝室で、黒い顔をした男が、縛られ、抵抗できない自分の目の前でハンカチに麻酔薬を染み込ませている・・・莉子は反射的に体をこわばらせ、小さく悲鳴を上げてしまった・・・ しかしそれは、その自身への恐怖は、当然とでも言うかのように最悪の形で裏切られた・・・ 「安心・・・?なのかな、莉子さん・・・まぁ、とりあえず安心して・・・。このタオルハンカチは莉子さんに使うんじゃないよ・・・これは・・・」 男は言葉を最後まで言い切らずに背を向け、寝室を出ていった・・・ 「んん・・・ん・・・・・・・・むぅうぅぅうぅ・・・・・・・・・・・・」 抵抗し尽くした莉子は、これから起こることを想像し、またこの状況から縄抜けできることの可能性を考え、絶望しかけていた・・・ これだけ抵抗しても、床やベッドに擦りつけても、縄、猿轡、ともに全く緩まない・・・ 「むぅんん・・・・・・んん・・・・・・ん・・・・・・・・ん・・・・・・・・・」 (優希・・・だめ、優希・・・・・・・・・・誰か助けてっ!・・・) 普段と変わらない日常の、住宅地に建つマンションの一室・・・。 緊縛され、厳重な猿轡で声を封じられた若い母親は、ただただ娘を思う・・・ 続く。 キーンコーンカーンコーン・・・ 下校のチャイムが鳴ると、生徒たちは一斉に帰路に着く。 登校時は班での登校だが、帰りは自由だ。 「優希―、いこー。」 「はーい。帰ろかー。」 水田優希は小学校六年生の12歳。今日も友達の鳴瀬遥(なるせはるか)と下校するつもりだ。 「ねぇ、昨日のテレビ見た?超かっこよかったよね!」 「あー、昨日のは観てないや・・・お母さんとご飯行ってってさー・・・」 「優希ってほんとママと仲いいよね・・・うちは怒られてばっかだよ!」 「そんなことないよ!起こるとすっごい怖いし!」 「え!優希ママ起こることあるの!?」 「ほとんど毎日だよ・・・私も言い返しちゃうけどねー!」 ランドセルを背負ってなければ、小学生とは思えないほどふたりの容姿は大人びていた。 150cmと、ややほかの子よりも大きい背丈にすらっと伸びた脚。成瀬遥は、その体格だけで既に大人びて見られることが多くったが、端正な顔立ちがそれに拍車をかけていた。 髪は肩甲骨のあたりまで伸ばした健康的なストレート。白いフリルのついた膝丈のスカートに、紺色のブラウスを着ていた。・・・実は安売りされていた服なのだが、彼女の雰囲気がそれを安物に見せなかった。 優希はそれとは対照的な女の子だった。 144cmの身長に、肩までのショートヘア。まだまだ子供の顔立ちなのだが、女性アスリートのような雰囲気を持ち、スレンダーな体型だ。服装はボーイッシュで、水色のタイトなTシャツに、黒のハーフパンツというスタイルだった。 性格は男勝りで、男子と喧嘩になることもしばしば。間違っていることは間違っている。人見知りはしないし、友達を大事にする。ハキハキとした、責任感のある勇気の周りには、いつも友達がたくさんいるのだった。 二人ともまだブラなどはしていないのだが、控えめで健康的な膨らみが胸に浮かび始めていた。 「でさ、昨日のテレビなんだけど、すっごい面白くてさ、祐介くんの彼女が誘拐されちゃったんだよ!」 ・・・祐介くんとはアイドルグループのイケメン君だ。 「そーなの!?どーやって?」 「なんかね、後ろからタオルみたいなので口を塞がれちゃって、そしたらそのまま眠っちゃってて・・・」 「うんうん。」 「気がついたら縛られてて、ハンカチみたいなのを口に噛まされてて、絶体絶命!!って感じだったんだけど、そこに祐介君が登場してさ!すごいかっこよくてねー・・・」 正直、優希はイケメンに興味がなかった。そりゃあ、かっこいいと思わなくはないが、それと現実とは全く別のものだと思っていた。遥はその点イケメン好き。遥の話に合わせる場面も今までに何度もあったが、それを面倒とも思わなかった。サバサバした性格なのか、大人びた考え方なのか、とにかく優
2021/06/22 14:53:41(.OEQHfT7)
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