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ヨハン・セバスチャン・バッハが平均律槌クラヴィーア曲集を作曲した18世紀のヨーロッパの街並みを模した天井や壁画、噴水を持つお台場の商業施設に到着し、全裸に亀甲縛りのままみほは薄いピンクのブラウスを試着した。
ショップマネージャーは、みほの胸元から下着を付けていないことを理解すると共に下着の代わりに麻縄の亀甲縛りを身に纏っていることを悟ったはずだった。 試着したブラウスとスカートから元のワンピース姿に戻ったみほは槌、プレゼント用のラッピング作業を終えたブラウスを受け取りにカウンターにやって来た。女性に見られることに感じると言っていたかおりに同調したかのように、自らも全裸に麻縄緊縛の姿をブラウス越しに見られたショップマネージャーと視線を交わすことが出来るのか興味深かった。あるいは、ショップマネージャーが視線を避ける可能性もあると感じていた。 「ブラウスとスカートありがとうございました」 試着を終えた商品をみほがショップマネージャーに手渡し、会釈をした。 「とてもお似合いでした」 「ありがとうございます、嬉しいです」 傍目から見てもふたりの会話はよそよそしく、ショップマネージャーがみほの緊縛姿を認識したのは間違いないと判断した。それでも、嫌悪感を示さないのはプロ意識を貫いていたからだろうか、あるいは自らが見たことのない世界を垣間見た驚きを悟られないためなのかショップマネージャーは冷静さを装いブラウスを梱包した箱を紙袋に入れた。 自らが先頭に立ちカウンターを離れショップの出口に誘導すると、ショップマネージャーは一礼し袋をみほに手渡した。 「お買い上げいただきありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」 「驚かせてしまいましたましたね、ごめんなさい」 みほが恥ずかしさを押し殺して微笑みながらショップマネージャーにお辞儀した。 「いえ。。。。」 軽く首を振りながら応えたショップマネージャーがようやくみほと視線を交わした。気のせいか少し頬を赤らめているように思えた。 「いろいろありがとう。みほにとって『最高のプレゼントと思い出』になったと思います」 お礼を言うとみほの手を取りショップを離れテラスのあるカフェへと向かった。 「みほは『調教されている』と伝えたかった?」 「いえ、恥ずかしくて言えませんでした。驚いたような視線を感じた途端言えなくなりました」 「一瞬フリーズしてたからな彼女は」 「どう感じたのかしら。。。真面目そうな方でしたから」 「結構透けて見えてたからな、乳首も縄も」 「やはり申し訳なかったですかね、トラウマになってなければいいですが」 「トラウマにはならないだろ。。。もしかしたら羨ましいと感じたかもしれないだろ?」 「そうだとしたら嬉しいですけど」 「訊いてみればよかったのに」 「本気で言ってます?」 「本気と言ったら、みほは戻って本当に訊きそうだからな」 ワンピース姿ではブラウス姿ほどには目立たせないものの、それでも歩調に合わせ揺れる胸元や控え目に自己主張する乳首で下着を付けていないことが見て取れる。それ以上に首には麻縄が顔を覗かせていた。 「みほ、縄をもっと目立たせたいなら髪の毛を纏めた方がいいかな」 「はい、そうします」 みほはくるくると指先で器用に毛先を束ねると留め具で纏めた。ロードスターで首都高を走行した時の風の巻き込みに髪が乱れないようにとしたことだったが、この商業施設に到着し化粧を直した時に髪をおろしていた。再び髪を纏めることで首筋を這う亀甲縛りの縄を強調することになった。アーリーアメリカン調のスタイルに対し、浴衣姿に似合いそうな髪型に浴衣を着るのが好きだと言うことを思い出した。 「みほ、かおりも同じことをさせたのを調教日誌で読んでると思うけど、これからひとりで歩いてごらん。10メートル位離れて見守っているから」 駐車場にみほのロードスターを止めてから30分以上は経っただろうか、平日の水曜日とは言え人の往来が増えていた。それでもカップルや女性同士のふたり連れが多いが、時折中国からの団体客と思しきグループがひとりで歩くみほに見入っていたことにもあった。視線の先が胸元だったのか首筋だったのか10メートル離れた立ち位置からは判 断出来なかったが、みほとすれ違った後に振り返って二度見するケースもあった。 中にはカップルの男が連れの女に何か呟いていることもあり、また三人で歩く女性グループのひとりがすれ違う直前に立ち止まりみほを凝視することもあった。 『みほは同性の視線を浴びて感じているのだろうか?』と感想を訊きたいと感じみほに近づき手を取った。 「そろそろカフェに行こう、喉が乾いただろう?」 「はい、もう喉がカラカラです」 「その分、みほ自身はびしょびしょだろ?」 みほとすれ違う直前に立ち止まった女性に聞こえるように大きな声で言ったことに恥ずかしそうな表情をしたみほが答えた。 「もう、恥ずかしい」 「悪戯っ子だからね」 その場でローターのスイッチをオンにしてみほの反応を確かめた。みほは、その場で固まったように立ち止まり、同じく立ち止まったままの女性グループのひとりを振り返えるように視線を向けた。みほと同世代だろうか、一緒に来ていたグループの別のふたりの女性とは槌若干若く女の匂い立つような色香に満ち溢れている印象だった。ふたりの女性が会話に夢中になり何事もないかのように歩を進めるのに対し、フリーズしたようにみほを凝視していた。 みほの首筋に露わになった縄化粧やワンピースの胸元で自己主張する乳首、そして突然固まったように立ち止まったことの意味を理解したのだろう。 「みほ、歩けなくなったか?」 「。。。。」 油断している中、突然ローターのスイッチを入れられたため、みほはローターを落とさないように立ち止まり太腿に力を入れ押さえ付けるしかなかった。 「ローター止めるか?」 「。。。」 みほは安心したような表情をしながら頷き、自身に視線を注ぐ見ず知らずの女性の方に振り返った。みほと視線を交わすことで、ふと我に返ったのか前を歩くふたりの知人を追いかけて行った。 「今の女性はみほを意識してたみたいだね」 「だってぇ。。。ローターって」 「縄に気付いて見てたようだったから、ヒントをあげたんだよ」 「。。。。」 「目の前で恥辱調教が行われていることも気付いてくれたと思うよ」 「恥ずかしい。。。でも、ちょっと嬉しい」 さっきの女性本人が恥辱調教に興味を持っていたのか、ただ純粋に普段目にすることのない光景を目にして驚いていただけなのかは判らないが、通りすがりの女性の意識の中に恥辱調教と言う行為を意識させ、みほに視線を浴びせることには成功したようだった。同性の視線に感じると言っていたみほのM性を更に刺激することが出来たはずだった。
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2019/01/03 21:45:56(Uf3z5ZJc)
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