第1楽章　プレリュード


「明日、お目に掛かる時には本名で呼ばせていただけませんか?」

みほからのメッセージが届いていた。


みほは３０代のシングルマザーで、来月には二度目のジューンブライドになると言う。そして以前ブログで同じく３０代のシングルマザーかおりのために叶えた「一日だけM女になった」様子を調教日誌としてストーリー仕立てに掲載した記事を読み興味を抱いくれていたのだった。


かおりに経験させた数々の恥辱調教の内容に憧れ、再婚する前に同じことを経験したいと要望してきたのだった。だが本名にこだわるのは何か理由槌があるのか?　メッセンジャーで質問を返した。


「みほ、どうして?　会った時には本名を伝える積もりだったけど、何か特別な理由でも?」


「特別な理由ではないのですが。。。かおりさんへの嫉妬と言うか、対抗心なんだと思います」


「嫉妬?　彼女とは連絡を取ってないと言うか、お互いの連絡先はあの日で削除し合ってる」


「はい、それは存じ上げてます。かおりさんって同性のわたしから見ても魅力的な女性で、自分はとても敵わないと思えて」


「確かに彼女は素敵な女性だったし想像以上にM性を開花してくれたよ。でども、みほにはみほの魅力があると思うし、そんなこと気にする必要ないだろ?」


ブログで公開したかおりへの恥辱調教日誌に興味を持って連絡をくれたみほであるが、いざ自分自身が調教されることに不安を感じているのか、あるいは来月の結婚を前にマリッジブルーを感じているのだろうか。


「かおりさんは、あなたのことをニックネームでしか呼んでません、だからあなたを本名で呼ばせていただくことが優越感に」


「そうか、そんな風に感じるのか。じゃあヒロでいいか?」


「ヒロ。。。ヒロ様。。。ではそのように」

「みほ、じゃあ明日は予定通り九時半の待ち合わせでいいか?」


「はい、ランドマークの車寄せで」


槌もしかしら明日の予定がキャンセルになるかと思ったが、ただの危惧に過ぎなかった。


明日は今週の月曜日と火曜日に一緒に過ごしたビジター達に朝食を招待されていた。母国に帰る前に上海に立ち寄るため、空港への九時半のバスに乗せてしまえば後はお役目ごめんだ。

そして久しぶりの平日の休暇をみほへのM女体験に費やすことが出来るのだ。


みほは、かおりが経験したことを全て望むと申し入れていたのだが槌、そうなるとショッピングモールの駐車場で車内でオナニーをさせることから始めることになる。かおりはコンパクトのハッチバックで最寄り駅まで迎えに来てくれたが、みほは二人乗りのロードスターに乗っていると言っていた。

ルーフトップを下ろすと車内は丸見えになるだろう、となると車外から覗かれる可能性は格段に高いだろう。首都高環状線のラッシュの中では並走するバスやトラックからはシートに座った爪先まで見えるはずだ、ローターを潜ませたまま助手席に座らせるのもいいだろうと感じた。

身体の中心からほとばしる快感に耐え切れず自ら乳房への快感を槌求めるはずだ。


クローゼットからローター、麻縄、赤い蝋燭を取り出すとバッグからパソコンを取り出して、その開いたスペースにしまいこんだ。

ヴィクトリノックスの赤いバッグは待ち合わせの目印としては最適である。待ち合わせの場所からは、みほのロードスターで移動するが、その場まではメトロと私鉄を乗り継いで行く、外からはそんなものが入ってるとは誰も思わないだろう。


「みほ、明日はシアサッカーのジャケットにニットタイ、チノパンで行く積もりだ。赤いバッグを目印に見つけ出してくれ」


「ヒロ様、わたしはインディゴブルーのワンピースで参ります。お約束のとおり前開きの。。。ああっ、今から緊張でドキドキしてます」

「そんなに緊張しなくていいよ、嫌なことを無理矢理させることも、危険なことをさせる積もりもないから」

「はい、お目に掛かるのを楽しみにしています、おやすみなさい」

「おやすみ、ゆっくりとおやすみ」


チャットの槌メッセージを終えると、ブラックベリーを充電ケーブルに繋ぐ、１１時間半後にはまるで同音反復のような行為が始まるのだ、それはバッハのピアノ独奏曲槌『前奏曲とパルティータ』第２楽章アルマンドを思わせるものだ。