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1:背徳の加算 ①
投稿者:
司馬 名和人
その家は本当にひっそりとしたたたずまいで、その入り口に小さく桐壺と記された看板代わりの提灯が下げられていなければ見逃すところである。
その待合茶屋である桐壺の前に尾こそ頭巾を被った女が周囲を憚るように立っていた。 その女は身なりからして大身とは言えないとはいえ、それなりの武家の女と思われた。 柴田多江はやがて意を決した様に目の前にある桐壺の格子戸を開けて案内を請うたのである。 そうするとすぐに一人の女中が現れて「いらっしゃいませ」と頭を下げるのである。 そこでようやく、おこそ頭巾を頭から取った多江が目を伏せながら待ち合わせをしている相手の名をいかにも小さい声で尋ねると、物慣れた様子の中年の女中はニコリと微笑してから言った。 「はい、先ほどからお待ちかねですよ。すぐにご案内致します」 その女中の返事に多江はますます顔を赤くして黙って頷くのである。その姿はまさにまだ未婚の二十歳前の小娘の様である。 その多江自身は未婚の生娘どころか、既に四十路を二つばかり越えた年の人妻であった。 そのような多江であるが背もすらっとした目元涼やかな中年美人であり、年齢に相応しい上品な色香漂う武家の夫人であった。 そのような多江であるがいまはそのすらりとした背を屈みながら周囲を憚るように顔を伏せながら案内の女中のあとをただひたすらついていくのであった。 やがて、その女中はあある部屋の前まで来るとその部屋と廊下を隔てている襖の前に座ると襖の向こうに向かって「お連れ様がお見えになりました」と声をかけたのである。するとその襖の向こう側より「ああ、部屋にその方を入れて下さい」との男の返事があった。 その相手の男の声は間違いなく、多江が今日、この桐壺で密会する予定の男の声であった。 その返事を聞いた女中は頷くと背後を振り返り、多江にニコヤカナ笑みを浮かべながら「さあ、どうぞ」と部屋に入るように促すとその襖を少し開けるのである。 多江はやや顔を強張らせて頷くとやがてしずしずとその部屋に入っていくのであった。 いまだ、昼だと言うのにその部屋は雨戸が閉められているのか、薄暗く、ほのかに行灯の灯りが周囲を照らしていた。その行灯の辺りには床の間を背にして座布団と肘掛が置かれ、その前には茶と菓子があったが、誰一人の姿も見えなかった。 多江は怪訝な面持ちで部屋に進み出ると辺りを探るように見渡しながら口を開いた。 「い猪市殿、勾当殿、どこに居られるのです」 その多江の問いかけに全く反応が無かった。 その部屋の襖のすぐ近くに大きな屏風のようなものが置かれていたが、その物陰から一人の人影がぬっと現れたかと思うとまだ部屋の周囲を見渡している多江を背後から突然に抱きすくめるのであった。 「多殿、待ちかねたぞ」 その男は多江の体を背後から抱きすくめるとすかさずに彼女の耳元でそのように囁くのであった。 その男に突然にそのようなことをされた多江が驚いたのは言うまでもない。 「いい猪市殿、突然、な何をさされる」 「フフフフフフフフ、良いではないか。いまさら」 その男・武井猪市はそのように嘯きながら背後から多江の胸元に手を差し入れて、そのまだまだ張りのある乳房を触るのである。 「フフフフフフフフ、多江殿、そなたの乳房はいつ触っても柔らかいのお、ふふまさに餅肌じゃ」 「ううううううううう、そそんなおおお戯れを」 「フフフフ、そなたとはもう長い間、ともに肌を合わせて睦みあった仲であろう。ふふ今更、気取ることはあるまい」 猪市はそのようなことを囁きながらそっと自分の口で多江の右耳を舐めるのであった。 「あああああああああああああ、おお止めください言いいい」 多江はそのように抗いの言葉を漏らすとたちまちのうちにへなへなとなってその場に腰を下ろすのであった。 「ふふふ、多江殿、相変わらず、そなたは良い匂をしておるなああ」 猪市はそのようなことを多江の耳元で囁きながら尚も、多江の胸元を押し広げて、背後から多江の左右の乳房を持ち抱える様な格好で揉み上げるのであった。 「ヘヘヘヘヘヘヘヘヘ、多江殿、そなたの乳房はやはり柔らかく、揉み外があるのおお、フフフフ、とてももう四十路を越したとも思われる」 猪市はそのようなことを喘ぎ声をほとばしらせる多江の耳元で囁きながらおのれの口を多江の右の首筋に這わせていくのである。 「あああううううういいいいいいいいいい」 「あひいいいいいい」 そのように喘ぐ多江を尻目に猪市は更に多江の左右の乳房をじわりじわりと揉み上げるとと今度はやや多江の上半身をやや自分の方に傾けさせると、喘ぐ多江の顔を自分の顔面の前の方に近づけさせたのちにやがて多江の唇とおのれの唇とをあわせてゆくのである。 「ピチュウウウピチュウウウウ」 そのような音を出して多江と猪市とは互いの唇をあわせていたが、すぐに唇を離すと猪市はやや厳しい調子で多江の耳元でこう囁くのである。 「さあさあ多江殿、そなたも舌を出して、わたしの舌と絡ませるのじゃ」 猪市がそのように言うと多江はやや強張りながらも頷いたのた。やがて再び多江と猪市は再び唇同士を合わせて行くのであった。 「ピシャアアピシャアアアアピサヤアアア」 「ピシャアアアンンピサヤアアンンピサヤアアンン」 「ぴちゅうううううううううううううう、ピチュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 多江と猪市はそのような音を出しながらかなり長い間に渡って互いの唇同士を貪り、舌を絡ませていったのである。 「フフフフ、そなたの舌は何時味わってもまろやかじゃな」 長い接吻ののちにようやく唇を離したのちに猪市はそのようなことを囁きながら巧みに多江の上半身を更に自分の方に傾けさせて、ついに多江と猪市は互いに正面を遭対する格好となった。そこでようやく多江は猪市の姿全体を眺める形になったのである。 そこには僧侶のように頭を剃って坊主頭の少し小太りの男がニコヤカナ笑顔を多江に向けていた。 猪市は改めて多江を抱きなおすと自分の頬を多江のそれにピッタリとくっつけて頬刷りするのである。 「フフフ、多江殿、遭いたかったぞ。そなたとこうして遭えるのは久しぶりであろう」 「ううううううう、そそれは」 「うむ、そなたの娘御の由香殿が嫁ぎ先から戻されているからな。そなたもなかなかそれがしと遭ういとまもできまいて」 「でですから、い猪市殿、おお願いです。早く、や屋敷に戻らないと」 そのように多江が喘ぐように言うと猪市はそれまでの笑顔をを一転させてやや不機嫌な表情になり、多江の耳元で囁いた。 「折角、遭えたばかりだと言うのにもう帰る話をするのか、ふん、興ざめじゃな」 「そのようなことを申されましても、娘が由香が我が家に戻って以来、何かとゴタゴタがあるのをあ貴方様もご存知ででしょう」 「それはまあ、しかし、そんなに毎日、屋敷の方に娘御の借金を催促する連中が押しかけておるのか。わたしはいつも昼間は留守にしているのでよくは判らんが」 その猪市の言い方にややむっとしたように多江は言った。 「別に、娘が由香が作った借財ではございません。あれはあくまでもせ関口様がお作りになった借財です。ああそれなのに」 「しかし、多江殿、その関口殿が借財を残して逐電してしまったのであろう」 「そそれは」 「それに由香殿はその関口殿の奥方じゃったのじゃ。関口殿に金を貸した連中が由香殿のところに借金の催促に来るのは当然の帰結であろうな」 「ううううう、そんな。それでは娘が余りにも哀れです。夫は妻をないがしろにした挙句に女郎と出奔しただけでなく、そのあとに大きな借財を残して、それをなぜ娘が被らねばならんのです」 「まあまあ気を落ち着かせられ余。そなたの気持ちは良く判るが、わたしに文句を言っても仕方があるまい」 そのように猪市が多江を宥めると多江も大人気ないと思ったのか顔をやや俯かせて猪市の胸に埋めるのである。 「まあ、わたしとこのように会った時ぐらいはそのようなことは忘れて存分に憂さを晴らせば良い」 猪市はそのようなことを多江の耳元で囁く一方で多江の左手を掴むとおのれの股間に導くのであった。 「ウウウウウウウウウウウ、猪市殿、何をなさるのです。おお止めください」 猪市は浴衣に着替えていたがその股間にはもう下帯・褌をはずしていたので、いきなり多江の手をおのれの男根に直接触れさせたのである。 「フフフフフフフフ、ほれほれ、多江殿、そなたのことを思ってここで待っている間に、このようにわたしの股間の一物はもうこんなに膨らんでおる」 猪市はそのようなことを多江の耳元に囁きつつ、多江の手でおのれの股間の強張りを握らせると更に囁くように言うのである。 「フフフフ、そなたにはのう、ほれほれ、このわたしの股間のこの強張りを静めて貰いたいのじゃ」 「ウウウウ、そそんな猪市殿、そんなはしたないことを」 多江はそのようなことを呟いてますます顔を朱に染めるのであるが、あえて自分の方から握らされている猪市の男根から手を外すことは無かった。 それどころか、自ら猪市の股間の強張りを握り締めるかの様子である。 それから猪市は再び多江の顎に手をかけて上向かせるとまた改めて唇を合わせるのであった。 「ピチュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、ピチュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「ピシャアアアアアアアアアア、ピシャアアアアアアアアアアアアア、ピシャアアアアアアアアアアアアア」 「ピシャアアアーン、ピシャーン」 猪市と唇を合わせ、舌を絡ませながら、多江は心の中で「この人と密会する時はいつも長い間に口吸いをさせられる」と思った。 この時代、接吻は口吸いと呼ばれたが猪市はどう言う訳か、この口吸いがことのほか好みでたびたび多江との睦言の中で「口吸いをするとそのおなごの心もおのれのものにできるような気持ちになる」と言ったものであった。それを猪市が口にするたびに多江は「心までこの男になびいてたまるか」と思いながら猪市との情事に耽っていたのである。 その後も更にかなり長い時間をかけて猪市は多江の口と舌を貪り続けた挙句にようやく唇を離すとまたまた多江の頬に頬刷りしながらことさら甘い声音で囁くのであった。 「フフフフフフフフ、そなたも察しているようにこの隣の部屋に床の用意がされておる。フフフ、そこで多江殿、そなたとしっぽりとまいろうではないか」 それから、猪市は多江を抱き起こすとやおら立ち上がりった。 「アアアアアアアアアア、猪市殿、す少しおお待ち下さいいいいいい」 猪市はそのような多江の抗いも無視して、多江を引きずるようにして隣の部屋の襖を開けたのである。 その部屋には先ほど、猪市が言ったように床の用意がなされていた。 猪市はその部屋に入るとどっさっと多江の体をその敷かれた布団の上に突き飛ばすようにした。 「ほんとうにこの人は目が見えないのであろうか」 多江は猪市によって、布団の上に放りだされながら思った。 その通り、この武井猪市と言う男はいわゆる座頭と呼ばれる盲人の身の上の男であった。それも平の座頭でなく、検校に次ぐ、勾当の盲官[盲人の官位]を持つ男であった。 「フフフフフフフ、それでは多江殿、そなたもわたしのように着物を脱いで寛がれよ」 その猪市の言葉のように猪市自身は上半身を黒衣、下半身を白袴と言ういかにも僧侶と思わせる匂当の正装から浴衣に着替えていた。だから、多江も着物を脱ぐようにと多江の着物の帯に手をつけようとしたが多江が「い猪市殿、勾当殿、おお待ち下さい。わたわたくし、自らお帯をと解きますので、おお待ち下さい」 多江はやや息も絶え絶えにそのように言うと猪市はにやりと微笑んで「判り申した。それではお待ち申し上げるので早く、多江殿、自ら帯を解かれることだな」 猪市はそのようなことを嘯くとどっかと布団の上に胡坐をかくと見えない筈の目で多江を眺めるのであった。 猪市自身から以前に多江が寝物語に聞いたところによると彼は盲人と言っても完全に失明している訳ではなく、右目は完全に光を失っているものの、左目はかろうじて失明を免れ、光や人・物のおぼろげな影・気配のようなものは何とか感じることが出来るとしていた。そしていま、猪市はそのような誠に頼りない視線を多江に向けているのである。 それでも猪市からじっと見つめられると多江はいたたまれない様にすくっと立ち上がるのである。 その多江の様子を察した猪市はニタリニタリと薄笑いを浮かべながら言った。 「フフフフフ、さあさああ多江殿、ぼやぼやしないで早く、帯を解かれよ。フフフ、あらかじめ申しておくがの。わたしのはかない目でもそなたが帯を解いたがどうかぐらいの見極めはつくからな」 そのようなことを嘯く猪市の姿を恨めしい表情で眺めていた多江であったが、やがて意を決したように自ら着物の帯に手をつけたのである。 「シュルシュルシュルシュルウウウウウウウウウウウウウ」 そのような衣擦れの音とともにいかにも品のある武家の女らしい笹島文庫結びの帯が解かれ始めたのである。そして地味な色ながら武家の中年女性らしい着物を自ら脱ぎ捨てるとそこにはいかにも艶っぽい萌黄色の長襦袢姿が現れたのである。 その間、猪市は黙って固唾を飲んで多江の姿を眺めていたのである。 猪市の目ではその姿は仔細には見えないものの、猪市はいつもこのように女が帯を自ら解く瞬間を眺めるのが楽しみでもあった。そして「フフフフフ、やはり、望むべきはもっと濃い色の長襦袢を着てもらえれば良いが、まあ良いか」 猪が余り見えない目で多江の襦袢姿を眺めなが考えていた間に、多江は既に両足の白足袋も脱いでいたのである。 それから長襦袢姿になった多江は改めて正座すると猪市の方を振り向いてから三つ指を突きながら「猪市殿、お待たせ致しました」と頭を下げるのである。 猪市は相変わらず布団の上にどっかと胡坐をかいてその多江の挨拶を受けたがことさら笑顔を向けて「さあさあ、多江殿、こちらへ」と手招きするのである。 多江はますます顔を朱に染めながらも頷くと立ち上がるとしずしずと猪市の方に近づいて行ったのである。 「い猪市殿」 「多江殿」 そのように互いの名を呼び合いながら二人はどちらともなく抱き合うのであった。 猪市と多江はお互いの顔の頬と頬とをピッタリとクッツケテ頬刷りしていたが、やがて猪市は左手で多江の肩を掴んで抱きなおしながら右手は多江の左手を押さえて、再び自分の股間に導き、男根の強張りを握らせるのである。今度は多江もそれを拒みもせずに自分の方から進んで猪市の強張った一物を握り締めるのである。 「フフフ、多江殿、どうだね。久しぶりに膨らんだ男の持ち物を握り締めた気持ちは。ヘヘヘヘヘヘ、やはり良いものであろう」 猪市は頬刷りしながら多江の耳元でそのようなことを囁くと多江は朱に染めた顔の顎を猪市の右肩に乗せながら恥ずかしそうに「そんなこと。そんなはしたない」と小さい声で呟くのである。 「ヘヘヘヘヘヘヘヘ、今更恥ずかしがることはない。多江殿、あんたのご亭主の持ち物はもう使い物にはならんでしょう」 猪市がわざと多江の夫である兵六のことを揶揄するように言うと多江は顔を曇らせて「あああ、あの人のことは言わないで下さい」と小声で言うのである。 「ヘヘヘヘ、ご亭主のあれが病で使い物にならなくてわたしとこんな関係になったのでしょう。フフフフ、いまさら気取ることはないでしょう」 猪市は多江の耳元でそのようなことを囁きながらおのれの舌を多江の左耳の穴に差し入れるのである。 「アアアアアウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、い猪市殿」 そのような多江の喘ぎ声を聞きながら、猪市はおのれの右手を多江が着ている萌黄色の長襦袢の襟元から差し入れると多江の左の乳房を揉みはじめるののである。 「アアアアウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「ウフフフフフフフ、先ほども言ったがほんとうに柔らかい乳房じゃのうう、とても四十路を越えた年のおなごとは思えぬ張りがあるのおお」 猪市はそのようなことを嘯きながら多江の乳房をジワリジワリと揉み解すのである。 そのように猪市は多江の乳房を揉み解しながら同時におのれの口と舌で多江の首筋や耳のあたりをねっとりと舐めるのである。 「アウウウウウウウウウウウーン、アウウウウウウウウウウウウウ」 多江はそのような猪市による愛撫に次第に身を悶えさせてゆくのである。 それから猪市はやや姿勢を変えて今度は右の乳房をじっくりと揉みはじめて、同時に反対側の多江の首筋・耳たぶに対する口・舌による愛撫を始めるのである。その間、依然として多江の右手でおのれの股間の男根を握らせるのである。 「ヘヘヘヘヘヘヘ、多江殿よ。いまそなたがわたしの持ち物を握り締めている手を少し、動かして気持ちよくしてくれんかな」 その猪市の囁きに多江は今度はコックリと頷くとやがて猪市の股間の強張りを握っている手をゆっくりとではあるが動かし始めたのである。 「ウウウウウウン、いいぞおおおいい気持ちじゃああああああ」 猪市は多江の手管に喜悦の声を上げながら、またまた多江と唇を合わせるのであった。 「ピチュウウウウピチュウウウウウウウウ」 今度もまたかなり長い間に猪市と多江は互いに熱烈な口吻を交していたが、やがて唇を離すと猪市は再びぐったりとなっておのれの胸元に顔を埋めている多江の耳元にことさら甘い声音で次のようなことを囁くのであった。 「フフフフフフフフフ、多江殿、もうそろそろそなたの股間の観音様の具合を確かめて見ますかな」 「エエエ、猪市殿、そそれは」 それまでウットリとした表情で顔を猪市の胸元に押し付けていた多江であったが、猪市の言葉に怪訝な表情をしながら顔をあげて思わず猪市の顔を正面に見つめるのである。 そんな多江の様子を察した猪市は薄笑いの表情を顔に浮かべながらいかにも皮肉そうに呟くのである。 「フフフフフフフフ、多江殿、そなたも既に四十路を越えた大年増であろう。いまさら生娘のごとくカマトトぶるものではない。そなたの観音様と言ったら、ここに決まっておるではないか」 猪市はそう言ったかと思うやそれまで多江の乳房を弄っていた手を下に下ろして多江の股間を弄ったのである。 「アアアアアアアアアアアア、い猪市殿おおおおお」 猪市は手で多江の股間を弄ると一瞬で多江の女の秘部を探りあてるとニタリと微笑しながらおのれの指を そ こ に差し入れるのであった。 「ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウアアアアアアアアアアアアアアア」」 「イヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 女の秘部を猪市に指を差し入れられて多江はそれこそ上半身をノケゾラして身もだえしたが、その一方では自自分の手で握っている猪市の男根の強張りからは手を離すことは無かった。 「ヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ、多江殿、そなたのここはそれそれもうこんなに濡れて居るではないか。」 猪市はそのようなことを多江の耳元で囁きつつ、更に言葉を続けた。 「フフフフフフフ、先ほども申した様にそなたのご亭主も病の為にままならず、それに加えて娘御の由香殿が嫁ぎ先から家の方に戻られていてているので、わたくしとの逢瀬もままならず、フフフフフフフフ、多江殿、そなた長居間、孤閨に耐えて、かなり欲求不満になっておるのではないかな」 猪市はそのようなことを囁きながら尚も指を多江の股間の秘所に差し入れつつ、口と舌で多江の首筋を丹念に舐め上げてゆくのである。 「うううううううう、そそんなことおおおおおおおお」 「フンフン、それではなぜ、そなたのここは既にこんなにビショビショに濡れておる」 「うううううううううううう、そそんんああなああ」 猪市は多江の秘部を指で弄りながらまた再び多江と口吻を交してゆくのである。 それから更に唇を離すと猪市はおのれの口で多江の首筋をネットリと舐めつつ、更に口を下に移してついに左右の乳房を交互に口に含んでゆくのである。 「アアアアアウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「ウウウウウウウウウウウ嘘祖おおおこおおおおおおおおおおおおおおおお」 多江は下半身の股間の秘所と左右の乳房を同時に愛撫されてそれこそ喘ぎながら身もだえして身を仰け反らすのである。 それから猪市は多江の右肩を先ほどから掴んでいた片手を使って多の上半身を纏っていた長襦袢を脱がしてゆくと、やがてゆっくりと多江の体を布団の上に仰向けに横たえるのであった。 「フフフフフフ、それでは本格的に、多江殿、そなたの体をじっくりと賞味することにするかな」 猪市はそこでようやく多江の股間から指を刺しぬくとやおら自分も浴衣を脱いでから布団の上に仰向けにされた多江に覆いかぶさるのであった。 多江に覆いかぶさった猪市はまずはいまだ多江が身に纏っていた緋色の腰巻に手をかけて一気にそれを脱がすのであった。 こうしてて布団の上に多江の全裸が露にされたのである。 「さああさああこれからじっくりとそなたの体を味わうこととしよう」 猪市はそのようなことを嘯きながら左手を仰向けに寝ている多江の首の下に回して、腕枕をするような格好で抱きかかえるともう一方の右手で多江の股間を弄り、多江の女の秘部に指を差し入れるのである。 「アアアウウウウウウウウウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 「アヒイイイイイイイイイイイイイイ」 多江は呻き声を上げて身もだえするのであるが、猪市はそのような多江の耳元に「多江殿、さあさあ、そなたも先ほどのようにわたしの一物を可愛がってくだされ」と囁くのである。 多江は喘ぎながらも頷くと今度は下の方から覆いかぶさっている全裸の猪市の股間の男根を握り締めるのである。 こうして、猪市と多江は布団の上に寝ていながら互いの性器を手で愛撫しあう格好となった。 それから猪市と多江は互いの顔を見つめあうと再びどちらともなく唇を遭わずのである。 「ピシャアアピシャアアピシャアアア」 「ピチュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 猪市は多江の唇を貪ったあとで唇を下に移動して顎から首筋を舐め上げてから左右の乳房を交互に口に含んで転がし始めるのである。 「アアウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「あへえエエエエエエエエエアヘエエエエエエエエエエエエ」 それから猪市はかなり長い間に渡り、口で多江の左右の乳房を愛撫したのである。その間、多江は何度も身を仰け反らそうと身悶えるのである。 それから猪市は多江の体をうつうつ伏せにし、、今度は左手で多江の臀部[尻の部分]を撫でさする一方で右手で多江の肩を掴んだ格好で多江の体を支えつつ、口と下で多江の項から背中をじわりじわりと舐め始めるのであった。 と特に項を丹念に舌を這わされたので多江はそれこそ甲高い呻き声をあげてのた打ち回るのである。長い間の多江との情交でそこが彼女の性感帯であることを猪市は熟知していたのである。 その性感帯を責められて身悶える多江の姿を余り見えない目で見つめながら猪市は多江の耳元にこう囁くのである。 「フフフフフフフ、そそれでは多江殿、そなたの操を頂くとしますかな」 そのようなことを嘯きながら猪市は再び多江の体を仰向けにさせると改めて抱き起こしたのである。そして更に多江の耳元でこう囁くのである。 「さあさああ、わたしの膝の上に跨るのです」 「エエエエエ、そそれは」 「フフフフ、それは多江殿、そなたと一つに繋がるために決まっておるではないか」 猪市はそのように嘯きながら目を細めて多江を見つめるのである。つまり、猪市はいわゆる相対座位の格好で多江と情交を交そうと言っているのである。 その猪市の言う言葉の意味を察した多江はますます顔を真っ赤にして俯くと聞こえるか聞こえない様な小さい声で言った。 「そそんな格好、は恥ずかしい」 そんな多江の反応に猪市は背背笑うように彼女の耳元でこう囁くのである。 「フンフン、そなたとの情交のたびにそのような形でたびたび結ばれておるではないか。多江殿、いまさら恥ずかしがることはあるまい」 猪市は小柄でかつ小太りと言う彼自身の体型のゆえか、女と枕を交す際は余り、正常位は好まずに今、求めている相対座位か、女性上位の所謂騎上位の体位を取るのが好みであり、多江とのこれまでの情交においても、このいずれかの体位で最後は結ばれたのである。 そして、そのたびごとに多江がそのような体位を取ることを恥ずかしがるのもいつものことであった。そんな多江の反応を楽しみながら、猪市いつものように猫なで声で多江の耳元で囁くのである。 「さあさああ、多江殿、そんなにいつまでも駄々をこねずにわたしの膝の上に大人しくそなたの股座を載せるのじゃ」 猪市はそのようなことを嘯きながら、これまたいつものように半ば強引に胡坐を組んでいるおのれの膝の上に多江の股座を載せ上げてゆくのである。 「おおおおお許しいいいいいをおおおおおお」 多江は猪市の膝の上に跨がされた瞬間に劈くような呻き声を上げたが、猪市はそれに構わずに既に十二分に強張り、猛々しくなっているおのれの男根をこれまた十分に疼き、濡れそぼっている多江の女の源泉を刺し貫くのである。 「アヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 その瞬間に一際高い呻き声が多江の口からほとばしり、かつ彼女の上半身は一段と仰け反るような形になり、多江は思わず、おのれの両手を猪市の首に回す格好となったのである。 「フフフフフフフフフフ、どうやら多江殿、上手く繋がったようですね」 猪市はそのような言葉をことさら甘い声姉で多江の耳元で囁くとやがて腰をゆっくりと動かし始めて、おのれの一物を下から突き上げ始めるのである。 「アアアアヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 「アウウウウウウウウウウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 多江がそれこそ呻き声とも喘ぎ声ともつかない声を上げながらその上半身をのた打ち回らせたのは言うまでも無かった。 猪市はおのれの男根を突き上げながら両手で多江の両肩を掴んで抱き寄せるとまたまた唇を合わすのである。 「ピチュウウウウウウウピチュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「ピシャアアアピシャアアピシャアアア」 多江はこれまで以上に積極的に自ら進んで猪市と舌を絡ませて、これまで以上に熱烈な接吻を交すのである。 それから猪市は多江との長い接吻が終わると彼女の首筋かをねっとりと舐め上げてゆく出ある。それと同時に左右の乳房をゆらゆらと手で揉み解しているのは当然のことであった。 そのような愛撫を続けながら猪市は多江の耳元でこう囁くのである。 「フフフフフ、多江殿、わたしわたしの腰だけを働かせるのではなく、そなたもほれほれ腰を動かされよ」 その猪市の言葉に顔を朱に染めながらもかすかに頷くとやがて自分の方から腰を動かし始めるのである。 多江はやがて、下からおのれの一物を突き上げている猪市と歩調を合わせるかのように腰をのの字を書くようにゆらゆらと揺らし始めるのである。 こうして、猪市と多江は対面座位の形で結ばれながら、それぞれ互いの腰をゆらゆらと動かしていた。その間も二人は互いの唇をあわしたり、猪市は手と口・舌で多江の上半身にねっとりと愛撫を続けていたのも当然のことである。 そうこうする内に、多江の呻き声が更に多角なり、それはもうよがり声と言ってもいいくらいの淫らな調子のものである。 「アヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 「あへえエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」」 「イイイイイキイイイイイイソオオオオオオオオオオオオオオオ」 そのようなよがり声を出して多江は更に大きく身を仰け反らすのである。その様子を敏感に察した猪市はことさらに意地悪そうな笑みを浮かべながら多江の耳元で囁くのである。 「フフフフフフフフフ、多江殿、そなた、もういきそうなのであろう」 「アアアアアアウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」とよがりながらも多江は小さく頷くのである。すると猪市はますます告白そうな笑みを浮かべて囁くのである。 「フフフフフフ、それならば、わたしに遠慮することはない。行きたければ行けばよい」 その突き放したような猪市の言葉に多江は眉ねをよせながら荒い息をしながら叫ぶように呻いた。 「そそんなああ、わわたしだけいくのはイヤアアアアア、いくのならばあ貴方様ももおおお」 そのように叫んで多江は更に大きく仰け反るのである。 「フフフフフフ、それも良いが、フフフフフ、多江殿、それまでそなたの気が持つかな」 「そそんないいい意地悪ううううううう」 そのように多江はもはや、四十路を越えた落ち着きのある中年の上品な武家夫人でなく、まるで盛りのついた雌のような声をだしながらよがり泣くのであった。 そんな多江の様子を察した猪市はニヤリと微笑んでから多江の耳元でこう囁いた。 「フフフフフフフフ、そこまで言われるのであれば、フフフ一緒に頂上に上りますか」 それから猪市は更に腰を大きく揺り動かしておのれの一物を下から突き上げるのである。そしてその動きに合わして多江も自分の腰を揺らしたのは言うまでも無い。 それから少したった頃であった。多江はこれまで以上にない甲高い叫び声を上げたかと思うとこれまた大きく身を仰け反らしたかと思うとそれから一転して力が抜けたように腰の動きを止めたかと思うとその上半身全体を猪市の胸元に倒れ掛かるような形にしなだれかかるのであった。そして荒い息をはああはああとしながら目を閉じているのである。 「フフフフフフフフフ、多江殿、どうやら気を行かれたようですな」 猪市はそう呟くとやがて、おのれの胸に埋めている多江の顔の顎の下に手をかけて上向かせると余り見えない目で多江のと顔を見つめあったのである。そして、どちらかとなく互いに唇を合わすのである。 「ぴちゃああぴちゃああ」 こうして接吻で始まった猪市と多江の情事は最後もやはり接吻で終わったのである。 2、 多江は鏡に向かっていた。既に着物に着替えてはいたが、やや崩れかけた曲げをに手をかけて整えていたのである。 「多江殿」 背後からそう呼びかけられて多江は振り返った。そこには先ほどまで激しく多江と互いに肉を貪りあった仲の男が笑っている姿があった。 武井猪市も既に先ほどまでの浴衣姿から上半身を黒衣、下半身を白袴と言った勾当の正装に着替えていた。そして剃り上げた頭には茶色の頭巾を載せていた。その出で立ちは前述したごとく、一見するとどこかの寺院の僧侶を思わせるものである。現に、この猪市が勾当から一段上位の検校に昇進すると高い身分の僧侶が朝廷から与えられる紫衣を身に着けることを許されるのである。 背後を振り返った多江は声を掛けられた真意が掴めずに怪訝な表情をしていた。その様子を敏感に察した猪市はやや苦笑しながら再び口を開いた。 「既に口に紅を塗られたのかと思いまして」 「えええ、そそれは」 多江は尚も怪訝な表情であったがすぐに猪市が求めていることに気が着くと、急に顔を赤らめながらも猪市の方にしなだれかかるのであった。 猪市はそのような多江の上半身を抱き寄せると唇を合わすのである。 「今日はとても楽しかったぞ。多江殿」 唇を離すと猪市は多江と抱き寄せたままに頬刷りしながらそのようなことを囁くのである。 「あああああ、猪市殿、わわたしももお、貴方様との逢瀬だけが日常の嫌なことを一時でも忘れさせますううう」 その多江の感慨に満ちた言葉に猪市はやや眉ねを寄せながら多江の耳元で囁くのである。 「多江殿、そなたのご心配なことと言ったら、当然のことに娘御の背負わされた借財のことであろう。そのことはわたしも密かに懸念しておるのじゃ」 「あああ、そのことはい言わないで下さい、今ばかりは先ほども申したようにここでは忘れたいのです」 「しかし、そうも行くまい、それにしてもやや水臭いではないか。余り、役に立たないかも試練が、このわたしに相談ぐらいしてくれても」 その猪市の言葉を聞いたと単に彼の上半身にしなだれかかった多江はすくっと身を起こしてきっぱりとした口調で言うのであった。 「猪市殿、いえ勾当殿、そのことはあくまでも柴田家のうちうちの問題です。ご無礼ながら口出しは無用に願います」 それまでの態度とは一点して既に気品ある武家の夫人の姿に戻っており、取り付く暇も無い様子であり、さすがの猪市もそれ以上言うことは無かった。 気を取り直した猪市はその待合茶屋の女中を呼んで二挺の町籠を呼ぶように伝えた。その際にその女中に紙包みを握らせながら「言うまでもないが口の堅い町籠を呼んでおくれ」と言うとその女中も黙って頷くのである。 こうして多江はその茶屋から自分の屋敷まで町籠で送られることになったのである。
2017/07/22 19:59:01(/fZVpJzw)
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