勲は少年野球のコーチをしている。完全なボランティアだが、勲の目
的はただ一つ、調教するための獲物探しだ。
最初に目をつけたのは中2の邦夫の母親、雅子。特に美人というわけ
ではなく、真面目で堅い感じの主婦だ。
40を過ぎて肉欲の悦びを味わうと、女は豹変する。
男性経験の少ない女ほど、タガが外れると堕ちるのは早いものだ。
実際に雅子はそうだった。
昼下がりに自宅に訪れた勲を雅子はすんなりと招き入れた。
コーチと母親という関係に油断があったし、息子の相談に乗らない夫
への不満を解消しようという軽い気持ちからだった。
勲は雅子の話を最後までじっくり聞いてやった。
雅子は話を聞いてくれる勲と夫を心の中で天秤にかけた。
「雅子さん」
勲は「お母さん」という呼称から敢えて名前で呼んだ。
雅子の頬はみるみる紅潮した。
勲は強引に雅子の顔を引き寄せて、キスをした。
雅子の体は震えていた。
夫以外の男に口を吸われて、頭の中が混乱していた。
否、そうされた瞬間に抗う力は消えてしまっていた。