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1:魔性への目覚め
投稿者:
秋雨
◆kr0AbkBuKU
自分がまさかこんなにも危険な大胆さを持つ人間だったのかと、斎藤真由は 思った。 夕暮れ時の公園の片隅のある公衆トイレ。天井から古びた電球がほんのりと 室内を照らしているが、四方を壁やベニヤ板で取り囲まれた狭い個室の中は灯 りがほとんど遮断されてどこか不気味な薄暗さであった。 しかしそんな狭く窮屈な個室の中に、真由は一人ではなかった。真由と向き 合いながら、もう一人の人間が壁に背をもたれながら立っている。その相手 は、ガチガチに身体と表情を強張らせながら、真由へと向けられるどこか怯え た様な瞳が、暗い空間の中で強調される様に輝いていた。相手は男性、それも まだあどけなさが色濃く残る少年が、真由の前に立っているのである。 自分がなぜこんな状況の中にいるのか、未だ真由はこれが本当に現実なのだ ろうかと、本気で疑わしく思えてきてしまう。永遠に続くと思っていた平凡な 世界から、突如として真由は非日常の世界へと衝動的に足を踏み込んでいたの だった。 今年三十二歳になる真由は、その頃色々な意味で行き詰まりを感じていた。 五年前に結婚した夫との間では、かつての恋人時代の様な生き生きとした愛情 や新鮮さを感じなくなっており、色々と喧嘩をする事も増え夫婦生活もどこか 淡白なものとなっていた。仕事の方は、これといった失態や窮地といった立場 に追い詰められている訳ではないものの、昔の様な仕事へのやり甲斐や情熱と いうものがどこか冷めてきて、今ではただ給料を稼ぐための単なる手段として 働いている状態となっていた。結婚して家庭を持ち、仕事だけに打ち込む訳に はいかなくなったという立場が、そうさせてしまったのかもしれない。 自分が不幸だとは思わないものの、夫や仕事といった事に対する心境の変化 を前に、最近自分の若さが刻一刻と衰えていく様な思いに駆られる事が多くな り、真由は寂しさや虚しさをどこか抱く様になっていたのである。 そんな中で、全ては始まった。 その日、真由は仕事を終えて職場から駅までいつもの様に歩いていた。その 帰路に小さな公園があったのだが、そこにある公衆トイレへと真由は立ち寄っ た。特に深い意味はなく、何となくついでだから用を足そうと思っただけであ る。 用を終え、トイレを出た時であった。ちょうど入れ違いに、一人の少年がト イレに向かって歩いてきたのである。 背格好からして、この辺りの中学生の様だった。部活帰りらしく、赤を主体 にしたスポーツウェアを上下に着込み、いかにも運動部系らしいスラリとした 体格と健康的な小麦色の肌をした少年であった。 (へぇ、なかなかカッコいい子じゃない) 思わずそんな気持ちを、真由は何げなく抱いた。 幼さを残す中性的な顔立ちとはいえ、さぞ学校の女子達の関心を呼んでいる であろう端正さと爽やかさが漂う少年であった。 自然と真由はそんな少年の姿に見惚れていた。 しかし少年にしてみれば、見ず知らずの女性から熱い眼差しを向けられ、さ ぞ驚いた事であろう。トイレの前でジッとこちらを見る真由に対し、少年は立 ち止まって訝しげな表情をしてきたのである。 ハッとして、真由はしまったと思った。真由と少年との間に、何ともいえな い気まずい空気が生まれたのだった。 そのまま視線を背け、バツが悪いながらもさっさとその場を後にするのが普 通の行動であったであろう。しかしその時の真由は、なぜ自分がそんな行動に 出たのかすらよく分からない中、何か大きな衝動に突き動かされる様に、自然 とその少年へ足を進めたのだった。 そして今、自分はそんな少年と共にトイレの個室にいた。 壁と前後で挟み込む様に、真由は少年へと身体を寄り添わせる。触れ合うそ の身体から、少年の熱い体温と荒い吐息が鮮明なまでに真由の肌へと伝えられ てきていた。 「そういえば、まだ名前を聞いてなかったね」 「川村・・・川村和希・・・」 たどたどしく、和希と名乗った少年は答えた。 「中学生?」 「うん、二年・・・」 「若いなぁ、君からすれば私なんかもうおばさんよね」 「別に・・・そんな事は・・・」 少年への誘惑は、真由自身が驚く程にあっさりと成功した。いきなりの事で すっかり緊張しきっているとはいえ、真由を前にした和希が抗ってくる気配は ない。 「この事は、誰にも言っちゃ駄目だからね」 真由はそう、和希の耳元で甘い口調で囁いた。 そんな真由の言葉を前に、緊張した面持ちで和希はその場に硬直する様に立 ち尽くしていた。ゴクリと生唾を飲み込んだのであろう、和希の喉仏が大きく 収縮する。 フッと、真由は口元をほころばせた。そして視線をゆっくりと和希の下半身 へ移動させていく。 すでに和希のズボンは下着ごと膝の辺りにまで引き下ろされ、真由の手で弄 られるそのペニスは今やすっかり男の欲望の象徴と化していた。 硬く直立する少年のペニスを見下ろしながら、真由はうっとりしてしばらく 魅入ってしまう。 (ああ・・・素敵、何て逞しいの・・・) ゾクゾクと、身震いしそうになる感覚が全身を駆け巡っていく。男の一物を 目の当たりにし、今や理性の箍が外れそうなくらいに欲情しきっている自分が そこにいた。こんなにも自分は淫乱な女だったのかと、真由自身が驚いてなら ない。しかしなぜか自己嫌悪といったものを抱く事はなかった。むしろ、いた いけな少年をかどわかす様な真似をして淫らな行為へと巻き込んでいるという このスリリングな刺激と背徳感が、平凡な日常とストレスにうんざりしていた 真由の気持ちを激しく高揚させ、それまで世間相手に必死に守り続けてきた良 識や体面といったものが何ら気にならなくなっていく。今はただ、女としての 快楽と満足を純粋に真由は欲していたのである。 やがて真由は、そんな和希のペニスへと絡めていた指を軽く動かした。 「あっ・・・!」 わずかばかりの摩擦で、和希は甲高い声を発しながら、ビクッと大きく身を 震わせてきた。そしてそんな真由からの刺激に反応し、和希のペニスは何度も 大きく跳ねてくる。 初々しい少年の反応に、真由の胸は大きく躍る。 「可愛らしい顔してるのに、こっちの方は随分と男らしいのね」 「当たり前だよ・・・俺男なんだし・・・」 可愛いと言われたのが癪に障ったのか、和希は少しムッとする表情をしてき た。 やや苦笑しながら、真由は改めてそんな和希のペニスを眺めた。和希の言う 通り、確かにこの少年が男なのだという事実を思い知らさせるものがそこに存 在している。 最初はわずかばかり先端部分が剥けているだけだった和希のペニスは、真由 の手ですっかり亀頭が曝け出され、充血したその真っ赤な部分が、先走りの滴 によってヌラヌラした潤みを帯びてきていた。そして硬く反り返る幹は、今に も皮が張り裂けんばかりに怒張し、何本もの青筋が浮き上がってきている。そ れは未だ発育途上な外見上の肉体とは違い、溢れんばかりの精力と若さ、そし て猛々しいまでの男の欲望を真由へひしひしと感じさせられるものであった。 (続く)
2010/12/24 16:47:53(qYLeBQbZ)
投稿者:
秋雨
◆kr0AbkBuKU
その後、和希はしばし虚脱状態となっていた。 初めての性体験である和希にしてみれば、かなり衝撃的な内容の数々であっただ ろう。それだけに今この少年は何を感じ考えているのだろうかと、真由は興味深い ものがあった。 「私にこんな遅くまで付き合ってくれてホント有難うね、和希君」 「う、うん・・・」 未だ快感の余韻で気持ちに昂ぶりが残る真由とは対照的に、和希は二回続けての 射精後とあって、すっかり冷静さを取り戻している様子だった。しかしそれだけに 和希は複雑な表情を浮かべ、恥ずかしさと気まずさが相当あるのか、真由に対しさ っきから一向に視線を向けてこようとはしてこない。 時間が時間だけに、そろそろこの辺りが潮時かと真由は思った。 「それじゃあ、そろそろ君ともお別れね」 そう真由が言うと、和希は急にオドオドした様子になっていく。 「あの・・・真由さん・・・」 「何?」 「お別れっていうのは・・・その・・・もうこれで会う事はないって意 味・・・?」 上目遣いで恐る恐る、和希は真由へと問い掛けてきた。 「また私と会いたい?」 「出来れば・・・」 顔を俯け、か細い声でそう和希は答えてくる。 しかし和希のそんな言葉が、真由にとってまさに願ったり叶ったりというべきも のであった。正直なところ、真由自身が和希と次に会うためのきっかけをちょうど 今考えていたところであったからである。 「また私と会ってくれるっていうなら、連絡ちょうだい。私としても予定があるか ら、いつでもって訳にはいかないけどね」 「うん」 ようやく和希はまた明るい表情となっていく。 そして真由と和希は、互いの携帯番号とアドレスを交換する。 「そうだ、これ和希君にあげよっか?」 すっかり上機嫌の真由は、未だタンクの上に置いたままだった自らのショーツ を、和希の目の前へと示してきた。 「えっ・・・」 突然そんなものを真由から差し出され、和希は大いに困惑してきてしまう。 「いらないなら、別にいいけど?」 「・・・・」 和希は、なかなか明確な返答をしてこなかった。そんなものを素直に受け取る事 に、かなり抵抗がある様子だった。かといってキッパリと拒否もしてこないところ からして、目の前に存在するその淫靡に濡れた真由のショーツは、少年にとって極 めて魅惑的なものであるらしい。 「ま、必要ないなら勝手に捨ててちょうだい」 そう言うと真由は、戸板に付けられたフックへと掛けてある和希のカバンへ、持 っていたショーツを勝手にその中へと押し込んだ。 真由のそんな行動に戸惑いの色を浮かべる和希であったが、カバンの中へ入れら れたショーツが突き返される事はなかった。 「だけど・・・それじゃあ真由さんがノーパンのままじゃ・・・」 「いいのよ、どうせ後はもう帰るだけだし」 「・・・・」 そういう問題じゃないだろうと、いかにも言いたげな表情を和希はしてくる。 しかしそんな和希を無視し、真由さっさと閉じられていた個室のドアを開けた。 「じゃあね、和希君」 そう最後に言うと、茫然としたまま立ち尽くす和希を残し、真由はその場を後に するのだった。
11/01/02 13:20
(18bT9t4F)
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