「さてと……」
そう言っただけで、彼女は、不安とおののきに焦点の定まらない瞳を僕に
向けてくる。
果たして、僕はクリニックに戻って、彼女にワインレッドのスーツを着さ
さた。ブラジャーとショーツは赤紫色の男を誘うためだけのものとしか思え
ないような代物だし、ひざ上20cmのタイトスカートは、10cmのピン
ヒールのパンプスと相まって、さっきまでの奴隷女から、見掛けは一変して
女王様だ。
「悠斗君・・・・」
安堵の色とともに、何やら期待しているらしいが、僕のもくろみは、彼女
の期待とは反対のものだった。
「これからボランティア活動に下町に出かけよう!」
「ボランティアですって?」