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1: 夜這いの村
投稿者:
浦島プウ
少しずつ日は伸びているようだ。
明け方は新聞配達がやってくる。 「としお、たまには寄ってお茶でも飲んで行けよ」 新聞配達の男は、近所の若者だった。 「じいさん、家へはいれよ。風邪ひかないうちに」 小便を切る。 いわれなくともそうするわ。 さむっ 外で立小便を終えると、私は家に戻った。 「おとうさん。さっきの人、としおくんでしょ。大きくなったわね」 娘のともみが声をかける。 「どうした。やりたいのか」 実にぞんざいな口の利き方だ。 娘は家を出て都会に出たきりしばらく音沙汰がなかった。 そうして帰ってきたかと思うと、腕に乳飲み子を抱いていた。 男については、別れたといったきり何も語らなかった。 「おとうさん。ちらっ」 男を要求するかのように、ともみは胸をはだけてみせるのだ。 乳首が浮き上がる。なかなかの豊かさだ。 だが、私の男性は、最初から鎮火して何事もなかったかのようなのだ。 その日の午後、としおが新聞代の集金に来た。 「ちーっす。じいさん、誰かほかに人がいないか、あっ」 娘のともみがあらわれたとき、としおは驚いたようにたじろいだ。 「としおちゃん、元気?」 赤ん坊を抱いた姿に、としおはえらく気を落としたようだった。 そして、次の日の朝まだきまだ外は暗かったが、聞き覚えのある自転車の走る音がした。 新聞配達にはまだ早い。 裏木戸を開ける音。 どうやらともみがとしおを招き入れたようだ。 静まりかえる室内。 やがて押し殺したように湿り気を帯びた声が聞こえてくる。 しばらくしたのち、男はまた自転車に乗り、帰っていく。 「おい、としお。たまには寄って、お茶でも飲んでいけよ」 再びとしおが新聞配達にあらわれたのは、外が明るくなってからのことだった。 いつもむさ苦しい感じの男は、今日はやけにすっきりした表情だ。 としおは何も答えず、新聞受けに新聞を放り込むと、また何事もなかったかのように自転車のペダルをこいで、悠々と去っていった。
2025/02/22 05:30:27(96gqYRZf)
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