私はスマイル。名前はまだない・・・・いや、その名前を口にしたくない。
「掃き溜め」を呼ぶのと同等に扱われた名前だ。そう、私は社会のゴミなのだ。
その社会のゴミが社会に出て働いているのである。何とも不可思議な話しだ。
小中高を通して、その掃き溜めが学んだのは笑う事だった。
どんな陰湿ないじめも、直接的な暴力も、精神的な辱しめも、笑う事で切り抜けてきた。何時なんどき誰とであろうと、微笑んだ。
最初は罵っていた連中も、最後は気持ち悪がり相手にしなくなる。そして次の標的を見つけ、私の存在など無かった様に振る舞うのである。
だから私は独りだ。独りが寂しいなんて宣う人もいるが、私はその感覚が無かった。いえ、正確に言い換えればその感覚が分からなかった。独り以外の時間など無かったのだから。