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1:ありゃま!<1>
投稿者:
庄司
セミが、うるさくなってきた七月。
大学を卒業しても、定職にもつかず、プーなおれ。 クーラーもない、自分の部屋で、パラパラと漫画を読んでると 「こら、バイトするとか、仕事しろっ!」母がエライけんまくで、部屋に きた。 「わかってるよー、これ読んだら」おれが背中をむけると 「このばか息子!」と、背後から、ケリが飛んできた。 「うおお・・・・・・いってえ」わき腹に、ケリがあたり、苦しんでいる と 「ふん!早くいきなっ」と、またケリが、今度は、けつにヒット。 「くそっ、このばばあ・・・・・・・マジかよ」 しょうがないので、表に出て(ゲーセンでも行くか・・・・) 原チャリの、エンジンをかけて、駅の、はずれにある、ゲームセンターに 行った。 「はああ・・・・・・涼しい涼しい」と、まったりしていたら、誰が、置 き忘れたのか、成人向けの、週刊誌があった。 「ふーん」 グラビアなんか見ながら、ペラペラと、ページをめくっていくと 《男性パートナー募集、十八才以上の、健康な方》 の、文字で、めくるのを止めた。 <こんなの、会えるわけないよな・・・・・・> 興味半分で、そのページに書いてある、番号に電話すると 「パートナーご希望の、お客さまですか?」女性の人が出た。 「ええ、まあ・・・・・・」 そして、自分の生年月日、希望する女性のタイプ、など聞かれ 「条件が、揃いましたら、ご連絡します」と、言われて、電話をきられ た。 結局、その日も、一日中遊び回り、家に帰ると、いつものように、夫婦喧 嘩をしている、両親のすきを、しりめに、自分の部屋に入り、内鍵をして、 さっさと寝た。クーラーがないので、だらだらと汗をかいて、寝苦しい夜だ った。 それから、毎日のように、説教してくる母を、何とかごまかしながら、遊 びほうけていると、もう八月になろうとしていた、ある日の夜 「野田庄司さんですか?」と、電話がきた。 「はい、そうですけど」おれは、誰だろうと、思ったが 「パートナーの女性、見つかったのですが、今週の金曜日の夜、ご都合つ きますか?」えっ、あれ本当なんだ・・・・・・ 「はい。問題ないですけど」 「では、金曜日の夜に・・・・・・・まで来てください」 と、言われたので、半信半疑だったが、金曜の夜、指定されたビルに、行 ってみた。 指定されたビルの、エレベーターホールの、案内が載っているボードを見 たら、指定された、会社名が、五階の部分に載っていた。 <ヤラセのような会だったら、逃げればいいか> エレベーターに乗り、五階のボタンを押した。 五階で降りて、その会社に入った。 「いらっしゃいませ!!」と、従業員の元気なあいさつがあり、おれは、 自分の名前を、受付の人に告げると 「野田庄司様ですね。あちらの席で、お待ちください。担当の係が、ご案 内いたしますので・・・」と丁重に、案内された。 しばらくして 「野田庄司様、お待たせして申し訳ありません。こちらが・・・」と、担 当の係の人が、隣にいた女性を紹介した。 「初めまして、関口祐美子といいます」おれは、慌てて立ち上がり 「あっ、どうも・・・・・・初めまして。野田庄司です」と、緊張のため か、堅苦しいあいさつをしてしまい 「すいません・・・・・・」と、もう一度あいさつをした。 担当の人が 「では・・・・・・・あとは、お二人で話なさってください」 そう言うと、席をはずした。 ソファの周りには、仕切りが囲っていて、不便さは感じないけれど、いご ごちが悪かった。 関口祐美子さんは、三十一才で、女性だけの、人材派遣会社の社長で、結 婚は、まだしていないらしい。 おれも、簡単な自己紹介をすると 「ここじゃ、話づらいわね。外で、食事でもしながら話しましょうか」 「そうですね。ここ、さっきからいごごち悪くて」 また、エレベーターで、下に降りて、関口祐美子さんの車で、ドライブし ながら、お店をみつけることになった。 「野田庄司さんね・・・・・庄司くんって呼んでいいのかな?」 「そのほうが、気楽でいいですよ」 「わたしも、下の名前でいいわよ」と、にこりとそう言った。 * 祐美子さんは、道にくわしいらしく、無駄のない走りで、街中をとばし、 しゃれたカフェレストラン風の店を、みつけると、駐車場に、車を止めた。 「ここでいいかな?」祐美子さんが、おれに聞いてきた。 「こんなおしゃれな店、初めてですけど」 「そうなの?軽く食べるなら、こういうお店、割と便利なの」祐美子さん は、おれとは違い、行きなれてると思った。 お店に入り、祐美子さんが、てきぱきと注文をする。そんな祐美子さん を、見ていたら、祐美子さんが 「庄司くんは、普段、どんなお店で食事するの?」 「はあ・・・・・ラーメン、牛どん、あとは・・・・・・ホカ弁ですか ね」おれは、真剣に答えると、祐美子さんは 「あははは。おっかしい~そんな真剣に答えなくても・・・・・・」 妙に、やたらと、ウケていた。 また、おれの顔を見ると、思い出したかのように、笑っていた。 <そんなにおもしろいかなあ> 食事が運ばれてくると、今風の手の込んだ、おいしそうな料理が並んだ。 「さあ、食べましょう」 とおれに、勧めてくれた。 祐美子さんは、しっとりとした雰囲気で、大人の女を思わせる、かっこい い女性だと、おれはうっとりと、祐美子さんを見ていた。 その雰囲気に圧倒されて、何がどういう味なのかもわからないで、食べ終 わっていた。 食事も終わり、祐美子さんは紅茶、おれはコーヒーを飲んだ。おれは、砂 糖は入れて、ミルクは入れないコーヒーが好みだ。 おれは、祐美子さんに会社の経営のことや、人間関係のことを質問した。 祐美子さんは、意外な顔をしていたが 「庄司くんは、何の仕事しているの?」 「大学は出たけど、無職です・・・・・」 祐美子さんが、続けざまに聞いてきた 「就職活動とか・・・・・会社訪問はしなかったの?」 「全然!夢中で、柔道ばかりやってたもんで・・・・」 「あきれた。そうねえ・・・言われれば、首なんかも太いし、肩幅は狭い けど、がっちりしてるわね」と、祐美子さんが、なるほどという目で、おれ を観察した。 「それなら、会社の所属で、柔道続けられたでしょう」と祐美子さんが続 けた。 「いいえ、昨年の夏の大会で、背骨を傷めたんです。内定もそのことが原 因で・・・・・」おれが、言葉を濁すと 「へえ・・・・・・見た目じゃわからないけど。たいへんだったんだ」 しんみりとなったが、くよくよしてもと、祐美子さんは言ったが、おれの 気持ちの中では、それが、しこりとして残っている。 そして、お店を出て、もうしばらくドライブしていると 「そろそろ送るわね。庄司くんなかなか楽しかったから、また会ってもい いかもね。庄司くんはどう?」 「おれも楽しかったし、また会いたいですね」 「そう・・・・・これわたしの携帯の番号」と番号の書いてある、メモを くれた。 家の近くまできたので、てっきり降ろしてくれると思い、シートベルトを はずそうとすると 「ちょっと待って・・・・・今夜、庄司くんと寝てみてもいいかなって」 「はっ?からかってるんですか?」 「からかってなんかいないわよ~庄司くんみたいに、たくましい人に弱い の・・・・・・わたし」と、言って、いきなりホテルに車を入れた。 部屋に入るなり、すぐにキスをしてきて、黒のTシャツを脱がすと、おれ の分厚い胸板が、露わになると 「うわ~ほんと、たくましくて・・・・・」と胸にしがみついて、顔をう ずめて、そのままじっとしていた。 祐美子さんが、そのままの体勢でいると、おれは、祐美子さんを軽々と持 ちあげて、ベッドに連れて行き、祐美子さんに迫った。 「ちょっと・・・・・慌てないで、シャワー浴びて。それから・・・・」 祐美子さんが言うのを振りきって、おれは強引に、祐美子さんを求めた。 祐美子さんの衣服を、次々と脱がしていくと、色が白く、もちもちと柔ら かそうな肌が現れると、おれは夢中で、祐美子さんを愛した。 もうすでに、下半身は大きくなっていて、前戯もほどほどなのに、祐美子 さんに、押しいれた。 「うう」と祐美子さんがうなった。 祐美子さんの中は、柔らかく、優しく包むように温かであった。 その何ともいえない快感を、たぐりよせるように腰を動かした。 「あっ好きよ、好き」と目をつむって、祐美子さんが言った。 おれは、迫りくる絶頂の中、祐美子さんに 「祐美子さん・・・・・」と、声をあげ、達した。 祐美子さんも 「あ~~いく、あ~~~」と達し、曲げていた足が伸びて、おれの首から 手が、するりと落ちた。 祐美子さんは、満足したのか、おれを見て 「わたし・・・会ったその日に、寝たの初めてよ。なんか、庄司くん帰し たくなくて・・・・・・」 「祐美子さん・・・・」 祐美子さんは、そう言うと、疲れていたのか、そのまま眠ってしまった。 久しぶりに、説教に悩まされないですむとおれは思い、その夜は、安心し て、眠ることができた。
2006/04/16 20:07:46(qGagWOVU)
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