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魔女
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:シナリオ 官能小説
ルール: エロラノベ。会話メインで進む投稿小説
  
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1:魔女
投稿者:
 斉藤は、ほとんど死ぬつもりでいました。理沙を見捨てて逃げたことを深
く恥じ、許すべからざる罪である、と考えたからです。だから、自分の命と
引き換えにしてでも、理沙を救い出さなければならぬ、と決意しました。ま
た、あの魔女から理沙を救うには、自分は命を惜しんではいられない、とも
考えていました。
 しかし、ただ単に玉砕覚悟で挑んでみたところで、魔女に勝てる保障はあ
りませんでしたから、斉藤は作戦を練りました。けれども、いくら頭を捻っ
て思案してみたところで、魔女という、自分より遥かに強大な力を持つらし
い敵を前にして、妙案らしい妙案はさっぱり浮かんでこず、そうしているう
ちに斉藤は、だんだん屈託した気持ちになってきて、
「私はあの魔女に対してなんと無力であることか!」
 と嘆いてしまいました。
 途方にくれて、街中をぶらついていると、別段行くあてもありませんの
で、自然と足は魔女の家のほうに向かい、魔女の家が視認できるくらいのと
ころまで近付いて、足を止めました。そうしてそこでまた、不毛な思案を始
めるのでした。
「折角お嬢様の在り処を突き止めたのに、連れ戻せないのは残念だな。いっ
そ、強引に連れ出してしまおうか。魔女は外出して家にいないことも多いよ
うだから、その隙を狙えば難しくはないのではなかろうか。しかし、そんな
ことをしてお嬢様の身にもしものことがあっては大変だ…」
 まったく、あのような形で人の精神を支配するとは、うまいことを考えた
ものです。縄で縛ったり、痛めつけたり、脅したりするよりは、遥かに効果
的で、厄介です。斉藤は、魔女に対して感心する気持ちさえ起こりました。
 斉藤は弱りきって、何度も嘆息を漏らしました。すると、魔女の家の玄関
の戸が開き、あのしわがれた背の低い老婆が出てきたので、斉藤は思わず物
陰に身を潜めました。昨日の出来事は、斉藤の心にも、少なからず恐怖を植
えつけているようでした。
 魔女は斉藤には気付かず、通りを歩いていき、やがて見えなくなりまし
た。魔女に注意していた斉藤は、安堵し、再び家に目を向けました。
 すると今度は、二階の窓が開け放たれ、理沙が顔を出したではありません
か。辺りを見回して、何かを探しているような素振りにも見えます。斉藤は
驚いて、魔女が歩いていった方向に気を付けながら、家に近付きました。
 理沙は、斉藤の姿を見つけると、歓喜しました。
「ああ、斉藤!無事だったのね!よかった」
 その言葉を受けて、斉藤は、
「お嬢様も」
 と言いかけて、口をつぐみました。昨夜のあの出来事を思い出し、何が無
事であろうか、と思ったからです。
 言葉に困っている斉藤に気付く様子もなく、
「話したいことがあるのです。今はおばあさんはいませんから、中に入って
くださる?」
 と理沙は言いました。斉藤は従いました。
 昨日はなんの印象も受けませんでしたが、今となっては建物全体から威圧
されているような心持ちがします。吐き気に似たものを感じつつ、階段のと
ころまでいくと、昨日のように、理沙が下りてくるところでした。
 理沙は何も言わずに斉藤に抱きつきました。斉藤は驚きましたが、理沙を
受け止めました。斉藤は、これまで以上に理沙を愛おしく感じて、それから
また、不憫にも思って、何としても救出しなければならぬ、と決意を新たに
しました。
 少しの間、そのままでいました。やがて、理沙は顔を挙げ、体を離しまし
た。
「昨日は、ごめんなさい。私ね、斉藤に会えて勇気が出たわ。どうにかして
ここを出ようっていう気になったの」
 斉藤は喜びました。一人で、理沙を守りながら魔女と戦うよりは、協力者
がいたほうがやりやすいのですから、当然です。
「昨日、私に見せてくれた、あのピストル。私に貸してくださる?おばあさ
んは、完全に私を征服したつもりで、私に対しては油断しているから、私な
ら、隙を見てお婆さんを撃ち殺せると思うのです」
 これには驚きました。理沙が、自ら魔女を殺すなどと、言い出すとは寸毫
も思わなかったからです。斉藤の知る理沙は、虫も殺せないような少女です
のに、二年の間に募った、理沙の、魔女に対する憎悪が、殺す、と平気で言
えるようにしてしまったのだと思い、斉藤は理沙を可哀想に思いました。斉
藤は、なるべく理沙には危険な真似はさせたくありませんでしたが、自分で
はいい考えが浮かばないことはとうにわかりきっていますし、理沙の言うこ
とには一理あるように思われ、そう思うと、最早それ以外に手段がないよう
な気さえしてきたので、拳銃を理沙に手渡しました。拳銃は、小型のもので
したので、理沙の小さな手でも扱えるものでしたが、それでも、理沙の手に
はずっしりと重く感ぜられました。
「確実に隙を作るために、私が囮になります。魔女が私に気をとられたら、
その隙に撃ってください」
 そう斉藤が言ったのは、理沙に任せて自分はなにもしないのでは、あまり
に不甲斐無い、という心持ちからでもありました。

 魔女が帰ってきました。魔女が家に入っていくのを外から伺っていた斉藤
は、魔女の後を追うように走り出しました。拳銃は理沙に貸してしまったの
で、手にはナイフを握っています。
 斉藤は家に飛び込み、魔女の姿を確認すると、ナイフを前に突き出して、
一気に突進しました。出来れば理沙の手を煩わせないように、魔女の術が精
神を侵す前に、決着を付けてしまおうと考えたからです。しかし、あと一歩
踏み出せば、というところで斉藤の体は石のように硬直してしまいました。
斉藤の心は、どうしても魔女を刺し殺すことを拒否するのでした。
「お前は野蛮でしつこい男だね。せっかく生き延びたのに、わざわざ命を捨
てにきたのかい?」
 魔女が嘲笑うと、斉藤は、また、自分で自分を刺したい気持ちが起こって
きました。抵抗しなければ、すぐにでもぐさりとやってしまいそうです。し
かし、思惑通りに魔女は斉藤に意識を集中しています。斉藤もそれを認め
て、精神の抵抗をしつつ、理沙の射撃を待ちました。
「理沙よ。そのピストルでどうするつもりだい?この私が、そんな浅はかな
てにかかるとでも思ったのかい?」
 魔女は、理沙を見もせずにそう言いました。
 見破られている!斉藤は絶望の底に突き落とされ、ほとんど諦めてしまい
ました。自分は理沙を救えずに、殺される。悔しくて、涙を流しそうになり
ました。
「ただ殺すのもつまらないね。最後に、良い思いをさせてやろうか?私が育
てた、理沙の味を教えてやるよ」
 と魔女が言うと、自分を刺したい衝動の代わりに、理沙を犯したい衝動
が、それも常軌を逸したる程の烈しい衝動が、斉藤の胸の内に湧き起りまし
た。
「やめろ」
 斉藤はそう呟くのが精一杯で、一歩一歩、理沙に近付いていました。
「お前は、この娘を愛しているのだろう?心の中で裸にしたことがあるのだ
ろう。心の中で交わって、自分を慰めたことがあるのだろう?」
 魔女はおかしそうに斉藤を罵りました。
「違う!」
 殊更に強く否定したのは、魔女の言葉が図星であったからに他ありません
でした。
 理沙は先ほどから目が虚ろになっています。既に術にかかっているのに違
いありません。
 いよいよ斉藤は、理沙の目の前まで来ました。眼前に認める理沙の容姿
が、瞳が、唇が、いつもより艶かしく、官能的に、美しく見えるのは、術の
所為なのかどうなのか、斉藤にはわかりませんでした。
「斉藤。して」
 理沙の甘い吐息が、斉藤の鼻腔をくすぐると、最早我慢できませんでし
た。斉藤は物凄い勢いで理沙の唇を自らの唇で塞ぎ、舌を絡ませ、勢いに任
せて理沙を押し倒しました。
 こんなことをしてはいけない、という気持ちもあるような気がするのです
が、それより、理沙と性交しろ、という指令が、最優先で脳から発せられ
て、他のことなど考えられなくなってしまうのでした。
 いつの間にか、二人して全裸になって、斉藤は激しく腰を振りまくって、
理沙は喘ぎまくっていました。何度も接吻をしました。理沙の顔を見ると、
とても嬉しそうな表情で、悩ましい声を出しているので、斉藤も、嬉しい気
持ちがしてしまいました。
 斉藤は、魔女の言ったとおり、理沙を愛していました。理沙が成長してく
るにつれて、自分の心の内に欲情を覚えたのも、全く事実でした。けれど
も、所詮は身分が違いすぎると、諦めていました。ところが今、自分は夢に
まで見た女性と交わっている。それが魔女の術によるものであるのが、頭の
どこか片隅に、幽かに残っている斉藤の正気には、情けなく悔しく感じまし
たが、想像以上の大きさで己の全身を貫く快感に、その正気も危うくなりま
した。
 行為が終わって、肩で息をしていると、少し術が弱まったのか、自らの意
識が戻ってきて、すると、自己嫌悪に陥りました。理沙を連れ戻すために、
二年も捜し歩いて、ようやく見つけたのに、助け出せないばかりか、いった
い何をしているのだろう、と。
 魔女の高笑いが聞こえます。
「よほどたまっていたみたいじゃないか?くくく。思い残すことはあるま
い。理沙、そのピストルで一思いに殺しておやり。私が手を下すよりそのほ
うがお前にとっても本望であろう」
 理沙は、覆いかぶさるようにしている斉藤を払いのけると、拳銃を拾いま
した。斉藤は、こうなってはどのみち生きる道はない、確かに、理沙に殺さ
れるのであれば、本望だ。とぼんやり考えていました。
 音がしました。拳銃の音。それから、人が倒れる音。人が倒れる音?
 斉藤はがばっと顔を挙げました。全裸で拳銃を構える理沙の姿に、尋常な
らざる迫力を感じつつ、状況を確認してみると、拳銃からは煙が出ており、
弾丸が発射されたのだということを示していました。しかし、自分の体はど
こも異常がありません。振り返ってみると、老婆が倒れていました。
 理沙が、魔女を撃ったのだとは思いましたが、斉藤は、よくわかりません
でした。もう一度理沙のほうを振り返ると、理沙はもう拳銃を置いて、斉藤
の前にしゃがみこんでいました。
「大丈夫ですか?」
 と理沙は言いました。斉藤は頷き、
「どうして?」
 と言いました。
「術にかけられた振りをしていたのです。これほどうまくいくとは思わなか
った」
 理沙が発射した弾丸は、見事に魔女の左胸を撃ち抜き、一撃で仕留めてい
ました。

「この街にはお嬢様の顔を知っている者も多いでしょうから、隣町まで行っ
て、ひとまず宿を取りましょう。そうして、翌日、家に帰りましょう」
 と斉藤が言うと、
「それがいいでしょう」
 と理沙は応えました。
 宿に着き、部屋を取り、休憩をしました。
 斉藤はまだ、妙な興奮が冷めない思いがしていましたが、とにかく全ては
終わったのだと思い、心底安心しました。
 しかし、斉藤には一つだけ気になることがありました。
「術にかけられた振りをしていたなら、何故すぐに撃たなかったのですか?
どうして…」
 自分に犯されるがままにしていたのか、とそこまでは流石に口に出しては
言えませんでした。けれども理沙は、斉藤の言いたいことを大体察したよう
でした。
「お婆さんを、確実に油断させたかったからよ」
 そう言った理沙の顔には、冷たい微笑が浮かんでしました。
 それを見た斉藤は、あんな魔女なんかより、眼前にいるこの娘のほうがよ
ほど恐ろしいのかも知れない、とやはり冷たい微笑を浮かべました。
 
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2006/02/02 11:09:13(d/pWcW/5)
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