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1:少女と少年(2)
投稿者:
ゆきだるま
◆7wMDImOLT2
春樹はひとりでコンビニで買い物をして戻る。優は寝ていないとしたら眠
くてベッドで寝てしまっているはずだ。そのそばでネットでもしようかと思 う。優の精神状態は普通ではない。 春樹「ただいまー。」 玄関を入って2DKの一室に入りながら声をかける。テレビはついているが優 はいない。 春樹「やっぱり寝ちゃったか。」 奥の寝室にしている部屋をのぞくとベッドの上で毛布をかけて丸くなってい るのが見えた。しかし、優はガタガタ震えている。 優「うーーーー。」 春樹「どした?寒いのか?熱でもでるかなあ。」 近寄っていく春樹。そっと毛布越しに優の肩に手をかけた瞬間、優は暴れだ した。 優「私にさわらないで!ケダモノ!」 体を起こし、春樹に向かって両腕を振り回し、枕を投げつけ、毛布も投げつ けた。さらに立ち上がって目覚まし時計をつかんで振り上げた。 優「あんたなんか死んじゃえばいいのよ!私だって勇気があれば死にたいん だから!私は・・・汚れちゃった・・・・あんたに汚されたんだ・・・一生 憎んでやるから!絶対許さないから!」 春樹「落ち着いて!僕を見るんだ!僕はそいつじゃない!」 両手を広げ、優の怒りを受け止めるかのように無防備に構えた。時計を投げ られたら逃げずに受け止めもせず、時計の攻撃をなすがまま受けるつもり だ。優の動きが止まる。 優「あなた・・・誰?私を助けに来たの?」 春樹「そうだ。僕は君を裏切ったりしない。君から何も奪わない。君にとっ ていやなこと、悲しいこと、痛いことはしない。その男とは違う。優、信じ てくれないかな。」 優「優って誰?私は美希。誰かとまちがえてるなら、ここじゃないよ。」 春樹「美希?思い出したのか?名前を。」 美希「名前?思い出す?何言ってるの?名前なんか忘れるわけないじゃな い。そんな嘘もつかないし。なんでそんなこと言うの?」 春樹「家族は?」 美希「お母さんと妹の美香、あとは・・・・」 春樹「お父さんだね。お爺さんお婆さんは?」 美希「お父さん?」 穏やかになりかけていた美希の表情が険しくなる。 美希「あんなやつがお父さんのはずがない。私を・・・私を・・・美香を襲 うぞと脅して・・・無理やり・・・あーーーーーーーーーー!!!」 半狂乱で叫びだすと髪をふりみだし、腕をめちゃくちゃに振り回してからベ ッドに倒れた。呆然と見ていた春樹は、動かなくなった美希に少し近づいて 声をかけた。 春樹「美希・・・ちゃん?」 優「なによーー気持ちよく寝てるのにーーー。」 春樹「え?たった今暴れてたじゃないか。」 優「寝てたよおとなしく。なんでそんなこと言うの?」 春樹「わけがわかんないな。」 優「簡単じゃないか。僕は僕。優だよ。春樹が名前付けてくれたんじゃない か。」 春樹「あ、ああ・・・そうだね・・・」 春樹の中でひとつの答えが出ていた。 春樹「多重人格・・・・か。」 父に力ずくで我が物にされ、少女の心は耐えられなかったのだ。心の奥で男 の子だったらこんなめには遭わなかったのにという思いが強かったのだろ う。 春樹「優、服とか買わないとなあ。」 優「うん。鞄の中見たけど着れる物がないよ。女の子のばっかり。」 春樹「しょうがないだろ。女の子の体になってるんだからさ。服はボーイッ シュでもいいから女の子のにすること。下着はノーブラなんて許さないから な。追い出すよ。」 優「行くとこないし困る。」 優は口を尖らせた。 春樹「じゃ、言うとおりにするんだね。」 優「うん。」 春樹「とりあえず着るものはそれだけしかないんだから鞄の中のを着るしか ないね。」 優「ギク・・・・ブラのつけかたなんか知らないよ?」 春樹「安心しろ、僕だって恋愛経験くらいある。つけるとこ見たことあるし な。」 優はしぶしぶTシャツとGパンを脱いでいく優。 春樹「向こう向いて。」 背中を向けた優の腕にブラを通して前かがみにさせる。乳房をとりあえずカ ップに収めつつ背中でホックを止める。前にまわって乳房のわきのほうから 寄せるようにしつつできるだけ大きく見せるようにする。 優「なんか・・・変だよ・・・」 乳房に触りながら収めていく手が刺激してしまっていたのだ。 春樹「ごめんな。触っちゃって。でも・・できたよ。体起こしていいよ。」 優は自分の胸元を見た。ドキドキする。 優「女の子の胸・・・・なんだね。」 春樹「そうさ。ワンピース着てごらんよ。」 優は渡された淡いピンクのワンピースをなんとか着ていく。背中のファスナ ーは春樹が上げた。 優「僕の居場所じゃないんだね?この体は。」 春樹「男の子の体が欲しい?」 優「うん。すぐじゃなくてもいいけど・・・できるの?」 春樹「僕の知識が間違いじゃなければ、君の体の持ち主の女の子は悲しい体 験をしたことで、傷ついて心が耐えられなかった。はじけちゃったんだよ。 そしてそのとき、男の子に生まれていればこんなことにはならなかったと強 く思った。はじけるときにね。だから心が分かれてもとの女の子と君になっ た。だから彼女の体は君の体でもあるんだよ。いていいんだよ、そこに。」 優「治ったら消えちゃうの?僕は」 春樹「わからない。消えちゃうのか吸収されていくのか、優としてすごした 記憶を持ち続けるのか忘れちゃうのか・・・・」 優「消えたくないよ・・・女の子として生きていかなきゃいけないならそれ でもいいから。」 優の目から涙があふれる。 春樹「なりゆきを見守るしかできないけど・・・優に楽しい思い出をいっぱ いあげる。女の子が、この思い出は大切にしたい、忘れたくないって思うよ うに。優と融合とか吸収しても、優の記憶が残るように。」 優「うん。ありがとう。」 春樹は優を抱きしめた。 優「なんだか・・・落ち着くね・・・いい気持ち。」 春樹「体を抱きしめてはいるけど、優の心も一緒に抱きしめてるからだ よ。」 優「下心はないのか。」 春樹「ばか。」 春樹は笑って優からそっと離れた。 優はその夜、春樹に触られたときの「感じ」を思い出していた。自然に自 分でも触ってみる。すこし違う気もするが、気持ちいいことにかわりはな い。乳首から体の中心に電気が走ったような鋭い心地よさが響く。シャワー にかき消されながらもあえぎ声がもれる。 優「はあ・・」 泡にまみれた体をなでてみると、甘い快感・・・・全身の表面をぞくぞくし た刺激が駆け巡り、自然に、そっと脚の間に手が伸びる。 優「ごめんよ・・・でも・・・止まらない。」 優は自分の中の女の子に謝った。立っていられなくなってしゃがみこむ。尻 餅をついて脚を少し開き、手のひら全体で刺激するとその中でも一番気持ち いいところがある。そこに焦点をしぼって指2本で触ってみる。 優「ひあ!」 想像以上の快感に背中が反り返る。皮に包まれた中にコリコリとするものが 触れる。皮とのすべりはなめらかで甘美な感覚にますます溺れていくように くりくりとこねまわす。指と恥骨ではさむように圧迫すると脳天まで駆け上 る快感に狂いそうなほどの「切なさ」を覚える。 優「ごめんよ・・あう・・・ん・・ん・・ごめんよ・・感じる・・・感じ る・・ごめんよ・・・もうだめ・・・もうだめ・・・はあああ!」 絶頂感にひたりながら優は泣いていた。 優「生きてる・・・体がある・・僕はここにいる・・・ここに・・・」 消えてしまうかもしれない恐怖から逃げるかのように、もう1度果てるまで 快感に溺れた。薄れ行く意識の中で鏡で見た顔が優しく微笑んだ。優はもう 一人の自分だと察した。この体の持ち主。 優「僕はヤドカリなのかい?」 少女は悲しそうな顔をした。 優「僕の居場所はここ?いてもいいの?」 少女はうなづいた。優しく微笑んで。
2005/10/22 04:16:31(lyjE0C1B)
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