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背徳感は蜜の味
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:痴漢 官能小説   
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1:背徳感は蜜の味
投稿者: (無名)
こめかみに当てていた指を下ろして、ひとつ溜息をつく。

時計に目をやると定時が迫っていることに気付いて、きりの良いところで仕事を終えるとパソコンの画面を閉じた。

視線を前にやると部下たちがそろそろ帰り支度を密かに整えていて、こちらを伺う雰囲気が漂い始めていた。

中村遥香は内心で苦笑し、大袈裟に溜息をついて見せてから腕を伸ばしてみせた。
これで部下たちも仕事の手をおもむろに止めて、時計を見ると定時を10分ほど過ぎてから次々と席を立ちはじめる。

上司の遥香が率先して仕事を切り上げないと部下たちが帰りづらいなんて、嫌な風潮を作り上げたのは歴代の前任者立ちである。

会社も今の時代にそぐわないと危機感を抱いて重い腰を上げ、今のポストに初めて女性の遥香を置いたのだ。

女性にして38歳、実力と柔軟性に富んだ遥香は上司として言わば事実上の実験台である。
これで良い前例を築けなければそれ見たことかと、頭の古い爺様たちを喜ばせるだけなので、自分を推してくれた遥香の元上司に恥をかかせまいと日々頑張っている。

彼は今役員にその名を連ね、会社の古い体制を変えようとしてくれている。
遥香は新人の頃に上司だった彼に育てられ、可愛がられたものだった。
その恩に報いる為に茨の道を行き、踏ん張らなければならない。

近視用の眼鏡を外して椅子から立ち上がり、オフィスから出る。
上司の自分が率先して帰る姿を見せないと、部下たちも帰れないから。

こんな役目をするのは自分で最後にしなければならないと、遥香は心に決めている。
エレベーターの扉が閉まると盛大に溜息をつき、後の壁に寄りかかった。

凛として近寄りがたい雰囲気を漂わせてはいるが、遥香にも結婚を意識した相手がかつてはいた。

仕事とプライベートのどちらを重要視するかなんて、今なら迷わず後者を選ぶはずなのに、若かった遥香は仕事を選んでしまった。

目陰の至りとはいえ、キャリアウーマンに憧れて入社したキャリアを無駄にはしたくなかったのだ。
今では同期入社した女性たちは遥香を除いていなくなり、同期の同僚たちには陰で鉄の女と揶揄されていることを知っている。

それは女だてらに仕事の能力が高いだけではなく、同期の自分たちの誰にも靡かない遥香を皮肉った醜い焼き餅である。

それほど遥香は誰が見ても、美しい女性だった。
自宅に変えればコンビニの弁当をビールで流し込む虚しい夕食、楽しいことなんて何もない。

そろそろ生理が近いからか、胸が張ってきている。
この時期になると体がざわついて、仕事の集中力が散漫になりかねない。
熱いシャワーを浴びて体の泡を流していると、指が乳首に触れただけで鈍い感覚が起きる。

敏感な体質が恨めしくて、さっさと体の泡を洗い流していく。
不意に下半身のそこを何気なく触れると、無視し難い感覚を覚えた。

遥香は無言で指を這わせて、敏感な部分をのの字に動かしていた………。

バスタオルで体の水気を拭き取り、化粧水を肌に馴染ませる。
裸のままベッドに横たわり、ベッド脇の引き出しから男性の形をした黒い物体を取り出す。

先に指で敏感なところを可愛がり、指を下にずらして静かに挿入する。
これが愛しい人の物だったら………。

堪りかねて疑似男性器を手に持って入口にあてがうと、眉間に深い皺を刻みながらゆっくりと沈めていく。

浅く深く加減をつけて、動かしていく。
やがてやって来る、その瞬間を目指して……。

ずいずいと分け入り膣壁を擦られる快感にそれを両手で必死に動かし、ふわふわと腰がベッドから浮き上がる。

誰も聞くことのない卑猥な水音が出し入れされるそこから鳴り響き、ベッドに肩を沈み込ませながら背中まで浮き上がりはじめる。

そして数回ほど腰が激しく上下してベッドに降ろされると、体を丸めて横向きでびくびくと痙攣する体を自ら抱き締める……。

虚しくて甘い官能の波が引いていくまで、数分が経過してから体から疑似男性器を引き抜いた。

透明な糸を伸ばしながら黒光りするそれを眺め、綾香は寂しさを覚えていた………。





翌朝、いつもの習慣で熱いシャワーを済ませて、清潔な下着を身に着ける。
メイクをして髪の毛を後ろで一纏めにすると全身が見える鏡の前でストッキング、ブラウス、上下スカートスーツを身に着けてチェックを済ませる。

パンとコーナーだけの簡単な朝食を採って、玄関を出る。
嫌味なほど爽やかな朝日を浴びて、駅に着く頃には仕事モードの顔になっていた。

ホームに並ぶと今日はいつもより混んでいるような気がして、朝からうんざりする。

これがこれからの受難を暗示しているとは、この時は遥香には思いもしなかった………。


 
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2025/04/19 18:20:53(PVfJ0iba)
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