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1:密かな楽しみ42~香奈~
投稿者:
瀬名
あたしは紗耶香を傷付けた。
そうしたかった。 多分ずっと前から、紗耶香に出会った頃からそうしたかったんだと思う。 だって、彼女はあたしに無いものを全て持ってたんだもの。 綺麗な髪、お人形のような顔、白い肌、細くしなやかな体、澄んだ声、清らかな笑顔、活発で社交的、みんなの憧れ。 そして、何より中村君の心を掴んで離さない。 多分、いくら中村君が気持ちを伝えても、紗耶香には届かないと思う。 彼女は、中村君にはまるで興味がないから。 なのに中村君の心は、いつだって紗耶香のもの。 嫉妬した。 悔しかった。 憎かった。 紗耶香なんていなくなればいいって思った。 ───あたしは醜い。 それでもいい。 中村君はあたしのもの。 身も心も奪ってやる。 紗耶香の事なんて思い出せないくらいにあたしを好きにさせてやる。 香奈は中村に抱かれながらそんな事を考えていた。 天窓から月明かりが差し込む薄暗いロフトの中で、二人は裸で抱き合っている。 香奈の上に覆い被さった中村は、おぼつかない手つきで香奈の乳房を揉みながら、固くなっている突起を吸っている。 香奈は中村の肩に手を置き、目を閉じてその感触を感じている。 夢にまで見た中村との交わり。 中村のたくましい胸の筋肉が香奈のお腹に触れている。 堅くなった男性器が太ももに当たっている。 『・・・嬉しい。中村君があたしを抱いてくれてる。中村君の手があたしの胸を触ってる。唇が乳首に触れている。あたしを抱いて興奮してくれてる。』 そう考えるだけで、香奈は全身が幸せで満たされていくのを感じた。 中村の手が下腹部へと移動し、割れ目に指を滑らせた。 一瞬、敏感な突起に触れる。 香奈は声を上げる。 その声に反応した中村は、突起を探り当て責め始めた。 力が入っている。 乱暴に責める中村の指。 香奈は口に手を当て声を押し殺す。 少し痛い。 擦れてひりひりする。 「・・・い・・た・・・。」 香奈は言葉に出してしまった。 「ご!ごめん!おれ・・あんまり・・なれてなくて・・・ごめん。」 中村が怯えたような顔をして言った。 「あたしもだよ・・。」 香奈はそんな中村が愛おしくてたまらなくなり、優しい笑みを浮かべて言った。 中村は、体を起こすと慎重な手付きで香奈の股間を愛撫した。 溢れ出た粘液で音がする。 中村の指は、突起を触れたかと思うと膣に僅かに入ってくる。 その動作を何度も繰り返す。 じわじわと快感が押し寄せてくる。 しかし、その快感は一定の波を繰り返すだけで、もどかしさだけが募る。 ───もっと。 香奈は起き上がると、中村にキスをした。 中村は香奈の股間から手を離し、肩に手を回す。 求め合うように舌を絡める。 唇を離した香奈は頭を下げて中村の胸に頬を当てると、そのまま下腹部へと顔を向けて体を折る。 反り返りピクピクと僅かに動いている固くなった中村のペニスを優しく握り締めると舌をはわせた。 中村の腰が動く。 香奈は先端に舌を絡めながら握り締めた手を上下に動かす。 はしたない女だと想われてもいい。 全力で快感を与える。 そう決めていた。 中村の息づかいが荒い。 香奈は、そのまま口に含み舌で刺激する。 中村の腰が浮く。 根元を握り直すと、唇をすぼめ先端に舌を絡めながら頭を上下させる。 中村が低い呻き声をあげたかと思うと、口の中に生臭い液体がほとばしるのを感じた。 香奈は反射的にペニスから口を離してしまった。 中村の精液は香奈の顎や首筋、乳房まで飛び散った。 中村は目を瞑り荒い息を吐いている。 香奈は、枕元のティッシュを取って飛び散った精液を拭き取ると仰向けに寝転んだ。 「・・・岡本!」 唐突に中村が覆い被さってきた。 香奈は、間近に迫る中村の顔を見た。 窓から差し込む薄明かりが中村の表情を辛うじて映す。 怖いくらいに鋭くなった眼差し。 しかし、不安げな光を放っている。 香奈は中村の目を見つめながらゆっくりと頷いた。 足の間に中村が割り込んでくる。 割れ目に堅いものがあたるが、その場所には中々あてがわれない。 中村は慌てたように、位置をずらし腰を動かす。 何度か繰り返すうちに、やっとその場所に辿り着いた。 香奈の中にゆっくりと入ってくる。 何とも言えない充足感が香奈の全身を覆っていく。 『・・やっと・・やっと中村君と一つになれる。』 香奈は、侵入してくる中村のペニスの感触に、期待と喜びと愛しさを感じた。 中村のペニスは根元まで香奈に埋まるとビクビクと痙攣した。 ───もっと。 中村は激しく動き始める。 香奈の中を掻き回す。 粘液が音をたてる。 香奈の耳元で中村の息づかいが聞こえる。 ・・・幸せ・・。 中村君と一つになれて幸せ・・。 嬉しい・・・。 嬉しい・・・。 もっと・・・。 もっと中村君を感じたい。 もっと・・もっと! 香奈の耳元で中村の息づかいが聞こえる。 香奈は中村にしがみつき、股間を打ちつける腰の動きに合わせて腰を動かす。 貪欲に快感を求め合う。 しかし、快感は一定の波を作るだけで全身を痺れさせない。 あの目の前を真っ白に染めていく高揚感が感じられない。 股間が満たされない。 子宮の奥を突き上げる鋭く痺れるような快感が感じられない。 感触が鈍い。 『・・・小さい・・。』 香奈は心の中で呟いてしまった。 その途端、感覚が鈍くなり興奮が冷めていくのを感じた。 中村の動きが激しくなる。 股間を打ちつける速度が増す。 『いや・・まだ・・だめ・・・!』 そう思った瞬間、中村は低い呻きと共にペニスを引き抜き、香奈の腹部へ精液を撒き散らした。 「・・・中村君・・あたし・・中村君が好き・・・だから・・あたしと・・・付き合って・・・。」 香奈は天窓から差し込む月明かりを見ながら呟くように言った。 「・・・うん・・。」 隣に寝ている中村は小さな声で呟いた。 香奈は天窓から視線を変えずにその声を聞いた。 香奈の目から涙が一滴流れ落ち、こめかみを伝ってシーツに吸い込まれた────。
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2009/07/12 21:15:09(W6CJeKkd)
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